数学科の就職事情を解説!お勧めの業界や職種は?対策法やスキルも

数学科の就職事情を解説!お勧めの業界や職種は?対策法やスキルも

2023年9月17日更新

はじめに

数学科の学生にとって、就活で不利なのかどうかは、大きな不安の1つです。ここでは、数学科の学生に向けて、おすすめの就職業界と職種、対策法、アピールできる能力をそれぞれ解説しています。この記事を読むことで、自信がつくだけでなく、具体的な志望先やその対策法について把握できるでしょう。

数学科からの就職活動は不利にならない

結論、数学科からの就職活動は、不利にはなりません。理由は、出身学部よりも個人の能力を重要視する会社が多いこと、数字に対する知識が豊富であると見られることの2つです。

理由の1つ目は、出身学部よりも個人の能力を重要視する会社が多いことです。面接では自己PRやガクチカを尋ね、学生の人柄や持っているスキルを確認する企業が多いでしょう。そこで他社と差別化できる能力や秀でたスキル、目の引く人柄があれば、採用される確率は高くなってきます。多くの企業の場合、学部名だけで書類選考や面接に落とすことはありません。

理由の2つ目は、数字に対する知識が豊富であると見られることです。財務諸表や営業成績、データの分析など、ビジネスでは数字を扱うことが多くなっています。そのため、数字に関する知識が豊富な人材は重宝される場合があります。

以上のように、数学科からの就職活動であるといっても、不利になることはありません。自信を持って、就活に臨んでください。

数学科の就職事情は?

数学科の就職事情は、実際どのようなものなのでしょうか?把握することで、自分がどのような就活を行うべきか、指針を導き出す参考にできるでしょう。

大学院進学率が高い

まず押さえておきたいのが、数学科の学生は大学院進学率が高いということです。数学科では専門分野が多くあり、そのためには基礎を習得する土台作りが必要となってきます。大学の4年間は、専門分野の研究に進むための準備期間であると捉えている学生が多いでしょう。このように、もっと数学をつきつめたい多くの学生は、大学院進学を決断します。

数学科の知識を活かせる職業は幅広い

数字に強いこと、また、問題解決力が高いことから、数学科の学生は社会人になってもその能力を活かせます。たとえば、数学の問題を解く際には何度も何度も自分の考えを確かめながら多方面で分析を行い、計算を行うことがあるでしょう。ビジネスの世界では、このような問題解決力や論理的思考力、粘り強さが必要不可欠です。数学科で自分が身につけた能力が、どのようにビジネスで活かせるか、自己分析をしっかりと行いましょう。

 

就活に使える時間が確保しやすい

数学科の学生は、スケジュール調整が比較的安易なため、就活に使える時間が確保しやすいでしょう。研究室にもよりますが、数学科の学生は頻繁に研究室に出向いたり、卒論に追われたりすることが少ないからです。このような時間的優位は、就活において重要なポイントです。なぜなら、企業の説明会や選考は、決められた日に行われるからです。多くの企業を受けておくことは、良い対策にもなります。就活ではスケジュール管理に気を配り、できるだけ多くの説明会や選考に行くようにしてください。

数学科の学生に人気の業界7選

ここでは、数学科の学生に人気の就職先を、業界別に7つ取り上げます。把握しておくことで、志望先を上手く絞れるでしょう。また、業界研究の一助にもなります。

保険業界

保険業界では主に、保険を販売する営業職を募集しています。しかしながら、他の職も募集していることを知っていますか?たとえば、保険商品の設計開発に必要な数学的分析を担うアクチュアリーが挙げられます。確立や統計の知識やスキルが問われるアクチュアリーは、数学科出身の学生にうってつけの職業です。また他にも、市場や企業の動向を追い、分析・予測を行うクオンツの仕事があります。

保険商品は、顧客だけでなく、企業側にもメリットがあるものでなければなりません。その微妙なバランスをコントロールすることは、大きなやりがいにつながるでしょう。

銀行・証券業界

銀行・証券業界でも主に、商品やサービスを販売する営業職を募集しています。一方で、そのほかの職の募集も活発です。たとえば、クオンツ、ディーラー、リサーチなどが挙げられます。クオンツは、先に述べた通り、商品の企画を行う上で必要なデータの分析を行います。ディーラーは、金融商品の売買を行う仕事です。データ分析力や論理的思考力、忍耐力などが問われるでしょう。リサーチは、商品の企画運営に必要なデータの収集、分析を行う仕事です。数字を取り扱う場面が多いため、数字への強い関心や知識が重要となってきます。

銀行・証券会社では、日常的に数字を取り扱います。そのため、リテールと呼ばれる個人営業やホールセールと呼ばれる法人営業においても、数学科出身学生の需要はあります。

IT業界

IT業界においては、データサイエンティストやAIエンジニアで数学科出身の学生の需要があるでしょう。なぜなら、膨大な量のデータを、あらゆる観点で分析していく必要があるからです。そのプロセスで、統計学や解析学の知識を用いることがあるでしょう。

また、、ITエンジニアなどの技術職でも、数学科出身の学生に対する需要は高いでしょう。なぜなら、課題解決に向けた思考力が必要であるからです。

コンサル業界

コンサル業界は、数学科出身学生が持つ論理的思考力や問題解決力を活かせるため人気が高いでしょう。コンサルとしての仕事は、クライアントの問題を解決するため、あらゆる観点で問題を分析し、データ収集や解析が必要になってきます。さらに、問題発見の業務においても、データ分析を行うことが多いでしょう。そのため、数学で身につけた知識を大いに活用することができます。

製造業界

いわゆるメーカーへの就職は、数学科出身の学生の間でも人気となっています。たとえば、製品の開発やシステム構築を行う、技術者としての就職が挙げられます。業務のプロセスにおいて、微分積分や線形代数などの物理数学の基礎知識が必要であることが多いでしょう。論理的な思考力が必要です。就職先としては、自動車メーカーや電機・機械メーカー、化学メーカー、医薬品メーカー、医療機器メーカーなどが代表的です。

教育業界

小中高の学校教員、塾講師など、先生の立場で数学を教えるのも人気の仕事です。また、教材制作などの職に就く人もいるでしょう。教育業界での仕事は、大学で学んだことを直接的に活かすことができる、やりがいの大きい仕事です。数学の楽しさを多くの人に広めたいと考える人には、うってつけの職場でしょう。

教育業界を目指すにあたっては、教員試験と一般企業就職との併願を考える必要もあるでしょう。そのためには、スケジュールをよく確認して、早めに活動を始めることが大切です。

ゲーム業界

ゲームの設計に関わる職は、数学科の学生に人気です。たとえば、ゲームプログラマーやゲームプランナーなどが挙げられます。緻密なベクトル計算や微積分が必要とされることがあり、それによって、ゲーム内の滑らかな挙動や違和感のない動きが実現されています。また、論理的思考力が必要な仕事でもあるので、数学科で得た知識を存分に活用することが可能です。

数学科の学生に人気の企業は?

ここまで、数学科の学生におすすめの就職先を、業界別に紹介してきました。ここからは、職種別に紹介していきます。

アクチュアリー

アクチュアリーは、保険会社で募集がある職種です。保険商品の企画開発にはかかせないデータ分析を担います。分析のプロセスで、確率や統計の知識が必要となってくるでしょう。このように、数学科で学んだことをそのまま活かせるため、人気の高い職業です。志望動機も作りやすいと言えるでしょう。

アクチュアリーのやりがいは、自分の仕事が企業の業績に直接的に影響を及ぼすことです。顧客の利益を追求する一方で、自社にもメリットがある良い商品には、顧客だけでなく営業員からも称賛の声が得られるでしょう。裏返せば、責任は重大です。また、比較的早い段階で、大きな仕事を任せてもらえやすい仕事でもあります。 

クオンツ

クオンツは、銀行や証券会社で募集のある職種です。金融商品の企画開発には欠かせない市場分析や予測を行います。他には、投資戦略の策定も行います。数字をメインに取り扱うため、数学的な考え方が必要となってくるでしょう。また、データ分析にはある程度のプログラミングスキルが必要です。加えて、アナリストなどに対して戦略の内容を説明し、サポートを担える論理的思考力やプレゼンスキルも必要とされるでしょう。

クオンツは人気が高く、かつ、難易度が非常に高い職種です。早めに準備に取り掛かるようにしてください。

ITエンジニア

ITエンジニアは、IT技術者の総称を指す言葉です。基本的には、情報技術に関するシステムを提供する職業であることが多いでしょう。たとえば、システムエンジニア、プログラマー、Webエンジニアなどが挙げられます。

専門スキルが必要ではありますが、その基本は数学的な考え方にあります。プログラミングの知識があると良いですが、必須ではありません。なぜなら、入社後に身につけられると考えられるからです。このように将来性を見られがちな職種であるため、数学科の学生におすすめの職業であると言えます。

AIエンジニア

AIエンジニアは、AIに特化したシステムを提供する職業です。たとえば、AIの精度を高めるために、データ解析を行う作業などが業務内容として挙げられます。そのプロセスでは、微分積分や線形代数、確率論や統計学などを利用しながら膨大なデータを解析していきます。そのため、数学科の学生におすすめの職業です。近年ではAI技術の大幅な進歩と普及により、新卒採用で専門の枠を設ける企業も増えてきました。就職先には、機械、化学などのメーカーが挙げられます。AIエンジニアは将来性のある職業のため、キャリアアップも期待できる魅力的な就職先です。

データサイエンティスト

データサイエンティストは、ビックデータの解析により事業戦略に役立てる職です。膨大なデータの解析においては、統計学やデータ分析、プログラミングのスキルが必要とされるでしょう。就職先としては、IT、金融、コンサル、メーカーなど幅広い企業が挙げられます。

研究開発職

メーカーにおける研究開発職も、数学科の学生に人気の就職先です。企業において、新しい製品の開発、新技術の研究を行います。数学科の知識を直接活かせる、専門性の高い職であると言えるでしょう。

教員

小中高校の教員を目指す学生も多くなっています。特に中学・高校での数学教員は、人気の高い職業です。自身の数学知識を活かし、より多くの学生に数学の面白さを広めることができるため、やりがいの大きい仕事です。注意すべきは、教科を教えるだけでなく、学級運営や部活動など付随する業務もこなす必要がある点です。教員を目指す場合は、総合的に考えて自分に向いているのかどうかを見つめ直す必要があります。もし教員を目指しながら一般企業への就活も行う場合は、スケジュール管理に気をつけましょう。 

数学科からの就職におすすめの対策法

ここまで、数学科からの就職におすすめの業界や職種を紹介してきました。では、どのような対策を取るべきなのでしょうか。ここで確認しておくことで、迷わず就活の準備が始められるでしょう。

資格を取得する

数学に関わるものや、それ以外の資格を取得するよう心がけましょう。なぜなら、実力の証明になるからです。また、様々なエピソードを具体化できる根拠にもなります。おすすめの資格は、アクチュアリー、証券アナリスト、統計検定などです。

学科推薦を活用する

学科推薦が大学にある場合で志望先の企業の推薦が得られる時は、積極的に活用しましょう。通常の応募をするよりも、採用可能性がぐっと上がります。あくまでも志望度の高い企業のみにするよう気をつけてください。

スキルや経験を言語化できるよう準備する

数学科で得られたスキルや経験を言語化し、企業にアピールできるようにしましょう。専門性を評価してもらえるかもしれません。これができれば、数学科出身であることを大きな武器にできるでしょう。 

数学科からの就職に役立つスキルとは?

数学科の学生は、どのようなスキルを持つことが多いのでしょうか。以下に、3つのスキルをまとめました。ぜひ参考に、他のスキルについても考えてみてください。

論理的思考力

様々な数学の問題に立ち向かう時、論理的思考力が鍛えられているはずです。論理的思考力とは、問題や課題に対する取り組み方のことです。きちんと道筋を立てて、客観的で一貫性のある取り組みができれば、論理的思考力が高いと言えるでしょう。

データ分析力

データ分析力とは、データの多角的な見方、それに取り組む姿勢のことです。データを分析する際には、様々な数学的知識を使うことも多いでしょう。そのため、数学科の学生におすすめのアピールポイントとなります。

問題解決能力

問題解決能力とは、課題に立ち向かう姿勢のことです。数学の問題に取り組む時、多角的な視点から解答を考え、時には何度も何度も計算をして確かめる作業が必要となってくるでしょう。このプロセスは、ビジネスにおける課題の立ち向かい方にも通ずる点があります。

まとめ

ここまで、数学科の学生に向けて、おすすめの就職業界と職種、対策法、アピールできる能力を紹介してきました。数学科の学生は、就活に不利であることはありません。自分の能力を正しく理解し、それを発揮できる志望先を選定しましょう。そうすれば、説得力のある志望動機をアピールできるでしょう。ぜひこの記事を参考に、志望先を考えてみてください。

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監修者情報

近藤明弘

キャリアアドバイザー

株式会社ニトリに新卒入社。
個人売率ランキングでは全国で10位に入賞するなど、多くの成果を生み出してきた。 2021年より株式会社ナイモノにジョイン。 リクルーティングアドバイザー(RA)とキャリアアドバイザー(CA)の経験を持ち、現在はCAとして急成長中。