【業界研究】電力業界とは?志望動機・ビジネスモデル・職種を徹底解説

【業界研究】電力業界とは?志望動機・ビジネスモデル・職種を徹底解説

2023年9月13日更新

はじめに

私たちの生活に欠かせない電力を供給しているのが電力業界です。電力業界といっても、どのように電力を供給しているのか、どんな仕事があるのか、といったことに詳しいしゅうかつせいは少ないと思います。

 

そこで本記事では、電力業界に就職を考えている方のために、ビジネスモデルや職種、志望動機などを徹底解説していきます。電力業界に就職を考えている人は、参考にしてください。

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電力業界とは

電力業界とは、発電所で電気を発電し、工場や一般家庭などに発電した電気を供給する業界です。東京電力や関西電力といった地域の電力会社が、発電から供給までワンストップで行っています。

 

しかし、2016年から電気の小売りが自由化したことにより、KDDIや東京ガスなど電力会社以外の会社が参入し始め、競争が激化しているのが現状です。

電力業界のビジネスモデル

電力業界は、川の流れと同じように「上流(発電)」・「中流(送配電)」・「下流(小売り)」の3つの役割にわかれています。それぞれの特徴を見ていきましょう。

 

発電事業

発電事業の主な企業は、東京電力や関西電力といった地域の電力会社が多いです。事業内容としては、火力発電、水力発電、原子力発電、風力発電などを用いて、電気を発電することです。どのように発電しているのか、簡単に各発電方法のしくみを紹介します。

 

・火力発電

石油や石炭といった燃料を燃やし水を沸騰させ、発生した蒸気を用いてタービンを回転させて電気を生み出すのが火力発電です。高温の蒸気でタービンを回す方式のほかに、燃焼ガスによって回す方式、この二つを組み合わせた方式の3種類のやり方があります。

 

・水力発電

水力発電は、高い位置にある水を低いところに流すときに発生する、位置エネルギーを利用して電気を生み出す方法です。落差のある水の流れを利用し、水車を回し、電気を発生させます。

 

水力発電のやり方は、流れ込み式、調整池式、貯水池式、揚水式、ダム式、水路式、ダム水路式の7種類の方式があり、地形や会社の方針によってどれを採用するか異なります。

 

・原子力発電

原子力発電の発電方法は、火力発電と同じで、水を沸騰させ、発生した蒸気を用いてタービンを回し電力を生み出す方法です。火力発電と違う点は、蒸気を生み出す方法が異なります。

 

火力発電は、石炭や石油、液化天然ガスを燃やして熱を作るのに対し、原子力発電では、ウランの核分裂時の熱を利用して蒸気を発生させます。

 

・風力発電

風力発電は、自然に吹く風の力を利用し、風車を回転させ、その時に生じたエネルギーを利用して電気を生み出す方法です。燃料を一切使用しないので、地球にやさしい発電方法です。

 

・太陽光発電

太陽光発電は、簡単に言えば「太陽電池」を用いて太陽の光エネルギーを電気エネルギーに換える方法です。

 

太陽光電池は、電気を帯びた電子(マイナス)と正孔(プラス)が、半導体に集まると、電気の流れが生じます。この仕組みを利用しているのが「ソーラーパネル」や「太陽光パネル」です。

 

・バイオマス発電

バイオマス発電は、生物資源をガス化し、そのガスを燃やすことで電気を作り出す方法です。本来捨てられていた生物資源を利用することで、農山漁村の活性化を図る狙いがあります。

 

燃料となる生物資源は、動物の排せつ物や、麦わら、サトウキビ、トウモロコシ、稲わらなどを利用しているため、地球にやさしいのが特徴です。

・地熱発電

地熱発電は、地下の地熱エネルギーを利用した蒸気で、タービンを回し発電する方法です。

 

送配電事業

発電された電気を、工場や家庭などに配電する役目が送配電事業です。発電された電気は、産業用、家庭用など用途に合わせて活用するために、変電所で電圧を変換します。

 

電力の自由化が進められてきていますが、送配電事業だけは未だに自由化になっていないため、これまで通り、送配電業者が独占している状態です。

小売電気事業

電気をビルや一般住宅などに販売する事業者です。電気の自由化により、新規参入が増え、利用者はさまざまな会社からサービスを受けられるようになりました。自分の好きな会社から電気が利用できるので、消費者としてはメリットが増えました。

電力業界の職種

上記でも説明しましたが、発電・送配電・小売の3つにわかれ、その中でも技術職と事務職に分けることができます。そのため、この2つに注目して解説していきます。

 

技術職

技術職は、メンテナンスや管理、操作などを行うことが多い仕事です。

 

・計画

発電設備や既存設備の点検、修繕、工事計画、更新計画などを策定する仕事です。多種多様な設備があるため、それぞれの特徴を把握し、各分野と連携して作業を行います。

 

・メンテナンス

火力や原子力など各発電所のメンテナンスを行う仕事です。設計や保守計画を行う企画系と、実際に現場に立って指揮したり、メンテナンス作業をしたりする技術系の二つがあります。

 

・給電指令

発電所の発電量をコントロールしたり、変電所や送電線の監視業務をしたりする仕事です。季節や時間帯などで、供給と需要のバランスを管理します。

 

・送変電

送電線や鉄塔などの設備を管理・保守する仕事です。24時間365日、安定して電気を送ることができるように数万棟ある鉄塔の点検や巡視、補修を行います。

 

・配電

変電所から送られてきた電気を、安心・安全に家庭や工場などに届けられるように、電線や電柱、配電設備の管理、保守、設置を行う仕事です。

 

災害時では停電や漏電などトラブルが発生した際に、すぐに現場に駆け付け、早期復旧を行います。昼夜問わず対応しなければいけない仕事です。

 

事務職

事務職は、営業や販売を行うことが多い仕事です。

 

・燃料調達

発電する際に必要な燃料は、日本国内だけでは不足しているため、海外から輸入しなければいけません。石炭や石油なので燃料を調達するのが仕事です。

 

世界各国にある現地企業と交渉し、原価を抑えつつ安定供給ができるようにすることが大切な役割になります。

 

・営業

電気を一般家庭、商業施設、工場などに販売するために営業活動するのが仕事です。一般家庭と法人では、売り込み方が違うため、提案の仕方をマスターしなければいけません。

 

魅力的なプランやサービスを提案し、新たなサービスを提供するために、他部門と連携することも大切です。

大手企業紹介

電力業界の大手企業をいくつかピックアップし、売上高や就職偏差値の違いを見ていきましょう。就職偏差値や難易度を詳しく知りたい方は、【24卒・25卒最新版】文系・理系・公務員別就職偏差値・難易度ランキングを参考にしてください。

 

会社名売上高平均年収就職偏差値社風
関西電力3兆9,518億円

(2022年度)

820万円68挑戦を後押しする風土や、アットホームな雰囲気
東京電力HD7兆7,986億円

(2022年度)

815万円65「責任を取る」という使命感を持ち続けている
中部電力3兆9,866億円

(2022年度)

857万円67若手でも意見を言いやすい
東北電力2兆3,015億円

(2022年度)

793万円66休暇が取りやすく、職場の雰囲気も良好

電力業界は、東京電力の売上が一番高く、2位と2倍近い差をつけているのが特徴です。地域ごとに主要な電力会社があり、おのおのが地域に根付いたサービスを展開しています。

電力業界の動向

電力業界の動向について見ていきましょう。

 

ロシアによるウクライナ侵略がもたらしたエネルギー危機

ロシアがウクライナを侵略したことにより、世界的なエネルギー供給・需要の関係が崩れてしまいました。現在(2023年9月)でも侵略は止まらず、これにより世界的な世界的な「LNG争奪戦」が行われているのが現状です。

 

日本は石油・石炭・天然ガスをロシアから輸入していますが、輸入量が多くないため、影響は少ないですが、イタリア・ドイツ・フランス・イギリスといった国では、エネルギー不足が発生し、「代替エネルギーの確保」という喫緊の課題が発生しました。

 

ロシアからの輸入に依存していない日本ですが、世界規模でエネルギー危機が発生しているため、エネルギーの価格高騰により、日本でも電気料金が高騰しています。新エネルギーへの取り組みを進めていかなければ、世界的なエネルギー危機は解消されません。

 

このロシアがもたらした影響は、電力業界にも大きな打撃を与えているため、今後の動向としても気になるところです。

カーボンニュートラルの実現にむけて

電気事業連合会では、2050年にカーボンニュートラルな社会を実現するために、「S+3E」の同時達成を前提に、供給側の「電源の脱炭素化」、需要側の最大限の「電化の推進」といった取り組みを行っています。

 

再生可能エネルギーや原子力、水素・アンモニア発電(化石+CCUS)の取り組みに注目し、カーボンニュートラルの実現を目指しています。こうした取り組みは、供給側が改善していく内容ですが、需要側も協力することが重要です。

 

例えば、電化機器普及・技術開発等への補助拡充やロックイン(需要家の設備は一度導入された種類の熱源設備が更新時も使われ続けてしまうこと)を回避するためのエネルギー選択(電化)への誘導政策などが必要です。

 

カーボンニュートラルな社会が実現すれば、電力業界でも新たなサービスや開発が活発的に行われるため、また違った世界が見えてきます。

志望動機

電力業界でよくある志望動機を紹介していくので、参考にしてください。

 

人々の暮らしを支えたい

電力業界は、人々の暮らしを支えている業界です。災害時の停電や、キャンプなどアウトドアを体験したときに、電気のありがたみについて感じることがあります。こうした実体験がきっかけで、「人々の暮らしを支えたい」という想いから志望動機にする人が多いです。

 

実体験から得た教訓や想いと、志望する会社の考え方を組み合わせて志望動機にすると高評価を狙えます。

 

大学で学んだことを活かしたい

大学の研究で、電流や電圧など電力に関することを学んだ人は多いです。大学で研究し学んだ技術やノウハウを、電力会社で活かしたい、ということから志望動機にする人もいます。

 

また再生可能エネルギーなど、環境への取り組みを学んでいる人も多いです。主に理系学部の人であれば、こうした電力に直結する内容を講義で学んでいることから、興味を持ち電力業界を選択した人もいます。

ホットニュース

電力業界のホットニュースについて紹介します。

2024年度にも国内で初導入が計画される潮流発電

日本の海洋再生エネルギーの研究において、潮流発電が注目されています。「令和4年度潮流発電による地域の脱炭素化モデル構築事業」では、長崎県五島市沖奈留瀬が国内初の商用スケール大型潮流発電による実証試験として採択されました。

 

初期段階の実験を終え、大型発電機の設計に取り組んでおり、2024年度にも国内で初導入する計画です。

 

太陽光パネルの廃棄とリユース・リサイクルの現状と課題

日本の太陽光パネルの導入数は、国土面積あたりでは世界1位の導入量になっているほど、太陽光パネルを多く設置しています。2023年からの東京都の住宅設置義務化などもあり、今後も大量に設置されることが予想されます。

 

しかし2035年~37年には太陽光パネルの排出量がピークを迎え、大量に廃棄されることが予想されるため、しっかりとした対策が必要です。

 

太陽光発電設備のリサイクルやリユースに関するガイドラインはあるものの、法整備はされていないため、今後を考えると、法律を設定することが重要です。

まとめ

電力業界は、私たちの生活になくてはならない業界です。電力業界を志望する人は、ビジネスモデルや職種などを十分理解しておく必要があります。また、電力業界に直結するエネルギー事情は、経済とも関係してきます。

 

ロシアとウクライナの戦争のように、世界の出来事によって電力業界も大きく影響を受けるため、社会情勢も学んでおきましょう。電力業界の動向をしっかり理解しておけば、好印象を与えることもできるのでおすすめです。

 

まずは、本記事を参考に電力業界がどういうものであるかを把握し、企業・業界研究に役立ててください。

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