【実際のESを公開】選考通過者の自己PR・志望動機はここが違う!書き方を徹底解説
2026.09.26 更新
内閣府の調査では、ES提出数の集計対象となった大学4年生の24.1%が、10〜19社にエントリーシートを提出しています。これは応募先の数を示す結果であり、提出すべき社数の基準ではありません。(参考:内閣府「令和7年度 学生の就職・採用活動開始時期等に関する調査」、2025年発表)
応募を進める新卒就活生にとって、ESの悩みは文章量だけではありません。自己PRとガクチカが似てしまう、志望動機が企業紹介になる、字数を減らすと行動の説明が消えるなど、設問ごとの書き分けで手が止まる場面があります。経験が決まっていても、何を先に書き、どこまで説明すればよいかが分からなければ、例文を読むだけでは原稿を完成できません。
本記事では、自己PR・志望動機・ガクチカの書き分けを、就活ハンドブック内で公開している選考経験者のES回答と面接レポート10件、そして書き方を示すための作成例で徹底解説します。初めてESを書く学生から、複数社への応募に向けて原稿を仕上げたい学生まで使える内容です。下書きから提出までは、次の5つの手順で進みます。以降の章はこの順番に対応しているため、上から読めば1本のESが仕上がります。
| 1 設問を読む問われた要素に印を付ける | ▶ | 2 材料を出す場面・行動・変化を記録から拾う | ▶ | 3 順序を決める答え→根拠→結果に並べる | ▶ | 4 字数に収める設問に答えない説明から削る | ▶ | 5 提出前に点検表記・形式・保存を確かめる |
企業研究を進める中で、実際の選考フローや面接官の評価ポイントも押さえておきたいところです。以下の資料では、人気企業20社の選考を「面接の構造」「深掘りの傾向」「評価された回答例」まで整理しています。
ESを書く前の設問の読み取りと準備
最初に取りかかるのは、手順1の設問読み取りと手順2の材料集めです。ESの書き方は、経験を思い出す作業と、設問が求める答えを決める作業に分けると進めやすくなります。例えば、同じ部活動の経験でも、「力を入れたこと」を尋ねる欄と「周囲と協力したこと」を尋ねる欄では、冒頭に置く答えも、詳しく説明する場面も変わるため、完成した文章を提出する前に問いとの対応を点検してください。準備の段階で答えの範囲が決まれば、不要な説明を減らせます。
| 設問の内容 | 冒頭に置く答え | 後半で支える情報 | ありがちなズレ |
| 自己PR | 発揮できる強み | 強みを示す行動と結果 | 活動紹介が長く強みの根拠が残らない |
| 学生時代に力を入れたこと | 注力した取り組み | 課題、判断、行動、学び | 団体の成果を個人の成果として書く |
| 志望理由 | 応募先を選ぶ理由 | 原点となる経験と企業との接点 | 企業紹介で終わり経験との接点がない |
| 周囲と協力した経験 | 協力して取り組んだ内容 | 相手、自分の役割、調整の過程 | 相手が登場せず本人の努力だけになる |
| 研究内容 | 研究の対象と目的 | 方法、現在地、研究の意義 | 専門用語のまま目的が読み取れない |
ESの役割と履歴書との違い
表のとおり設問ごとに答えが変わるのは、ESが企業ごとの質問に答える書類だからです。履歴書にも自己PRや志望動機の欄があるため、書類名だけで内容を区別することはできません。記入欄の指示に合わせて必要な情報を選ぶと、同じ経験でも答えの焦点を変えられます。
| 比べる観点 | 履歴書 | ES |
| 中心になる情報 | 氏名・学歴・資格などの経歴 | 設問に対する経験と考え方 |
| 設問 | 書式がほぼ共通 | 企業ごとに異なる |
| 書く分量 | 欄が小さく事実中心 | 背景や判断の理由まで書ける |
| そろえるもの | 期間・名称・役割の事実 | 履歴書と同じ事実を保ったまま説明を厚くする |
また、ESに書いた内容は、面接で話す経験の土台です。活動名だけでなく、担当した領域や工夫した理由を残しておくと、提出後にも説明を再現できます。面接で使われることや、事実に基づく具体的な記述については、大学の就職支援資料でも公開されていることがあります。(参考:立命館アジア太平洋大学「エントリーシート・履歴書の書き方」)
執筆前にそろえる経験の記録と応募条件
書類の役割がつかめたら、手順2として書く材料を出します。執筆用のメモには、活動名、取り組んだ時期、担当した役割、困った場面、実行した行動、生じた変化を残します。ゼミの議事録、アルバイトの引き継ぎメモ、研究ノート、学内活動の記録などを見返すと、記憶だけでは曖昧だった行動を具体化できます。実施していない工夫や、記録で確かめられない成果を付け足さず、説明できる範囲の事実を使ってください。
応募条件は、経験のメモとは別に保存すると扱いやすくなります。企業名、応募コース、設問、文字数、締切、提出形式をひとまとまりにする方法です。書く材料が思い出せない段階なら、経験を洗い出す手順をまとめた記事で、振り返りの型を先に確かめられます。
材料がそろえば、あとは並べる順序を決める作業に移れます。
ESの文章を組み立てる基本構成
手順3は、出した材料を読みやすい順序に並べる工程です。ESの構成は、冒頭の答えを根拠となる経験で支え、設問が求める内容に着地させる形が基本になります。例えば、課題解決の経験なら、活動全体の紹介に説明の分量を割くよりも、困りごとをどう捉え、なぜその方法を選び、実際に何を変えたのかをつなぐことで、判断と行動の関係を伝えられます。順序を決める手がかりとして、就職活動でよく使われる2つの型を先に押さえます。
| 型 | 並べる順序 | 向いている設問 |
| PREP法 | 結論 → 理由 → 具体例 → 結論 | 強みや考えを問う欄(自己PR、長所) |
| STAR法 | 状況 → 課題 → 行動 → 結果 | 経験の過程を問う欄(ガクチカ、協力した経験) |
結論・理由・具体例をつなぐPREP法
表の1つ目、PREP法は、結論、理由、具体例、結論の順に話をつなぐ構成です。自己PRなら、強みを示し、その根拠となる経験を説明して、強みをどう発揮できるかへつなげます。ただし、理由と具体例で同じ説明を繰り返すと、行動を書く余地が減ってしまいます。短い記入欄では、強みと具体的な行動を直結させるなど、必要な情報が伝わる範囲で構成を縮めることもできます。
状況・課題・行動・結果をつなぐSTAR法
強みではなく出来事の過程を尋ねる欄では、2つ目のSTAR法が使えます。状況(Situation)でいつ・どこでの取り組みかを示し、課題(Task)で向き合った問題を述べ、行動(Action)で自分が実行したことを書き、結果(Result)で何が変わったかを伝える型です。項目名を埋めること自体が目的ではありません。例えば、参加者が集まらなかった経験なら、広報を強めたという行動だけでなく、告知が届いていないと判断した根拠まで書くと、課題と行動がつながります。
結果には、目標の達成だけでなく、実際に観察できた変化を書けます。手順書を作り、引き継ぎの際に担当者が自分で必要事項を調べられるようになった、といった変化も具体的です。成果が想定に届かなかった経験なら、到達した範囲と、次に変えた方法を分けて伝えられます。この型を400字の記入欄に当てはめると、次のような配分になります。
| 設問例 学生時代に力を入れたことを、取り組んだ理由と担当した役割を含めて教えてください。(400字以内) | |
| 冒頭(50字前後) 設問への答え |
学生時代に力を入れたことは、ゼミの共同発表で準備の進め方を改善したことです。 |
| 中盤(250字前後) 課題・判断・行動 |
資料の保存先が分かれ、議論の前提を共有できていませんでした。そこで必要な資料と担当者を一覧にし、打ち合わせ前に読める共有場所を提案しました。 |
| 末尾(100字前後) 結果と学び |
資料を探す場面が減り、発表内容の検討に時間を使えるようになりました。協力を求める際は、相手が動きやすい手順を先に整えることを学びました。 |
型と配分が決まったところで、設問別に何を書くかへ進みます。
自己PRの書き方と強みを伝える例文
設問別の書き分けは、自己PRから始めます。この欄では、強みの名前と、その強みが表れた行動を対応させます。「協調性」「主体性」といった言葉だけでは、どのように働きかける人物なのかを描けません。例えば、相手の話を聞いた経験を使うなら、聞いた内容をどう判断し、説明や手順にどう反映したかまで書くことで、話を聞く姿勢から一歩進んだ強みを伝えられます。
行動として表す強みの言い換え
先ほどのPREP法でいう最初の結論にあたるのが、冒頭に置く強みの言葉です。強みを決めるときは、「何ができるか」という動作まで言い換えます。「粘り強い性格です」よりも、「結果が出ない原因を切り分け、方法を変えながら続けられます」のほうが、経験との対応を確かめやすい表現です。ただし、文章を華やかにするためだけに、実際には担っていない能力を加えてはいけません。
| 抽象的な表現 | 行動まで具体化した表現 |
| 協調性 | 意見の違いを聞き、共通の目的に沿って進め方を決める力 |
| 主体性 | 作業の停滞に気づき、改善案を提案して実行する力 |
| 継続力 | 進捗を記録し、課題に合わせて方法を変えながら続ける力 |
| 傾聴力 | 相手の困りごとを聞き取り、必要な対応を確かめる力 |
接客経験を使ったオリジナル例文
言い換えた強みが1本の文章になると、次のような形になります。この例文は、自己PRの構成を示すために作成した架空の文章です。就活ハンドブック内で公開している選考経験者の回答とは区別して掲載しており、選考結果を示すものではありません。
強みは、相手の理解に合わせて説明の順番を変えられることです。生活雑貨店のアルバイトでは、商品の機能を説明しても、選び切れずに迷うお客様への対応が課題でした。接客を振り返り、機能の違いよりも、使う場所や手入れの負担を気にされていると気づきました。そこで、使用場面を先に伺い、条件に合う商品を比べて説明しました。その結果、お客様から選んだ理由を言葉にしていただける場面が生まれました。この経験で培った聞き取りと説明の工夫を、相手の課題に沿った提案に生かします。
結びに仕事での活用を書く場合は、応募職種の業務と、経験で示した強みが接する場面を選びます。営業職なら顧客の困りごとを聞く場面、技術職なら関係者との認識合わせや原因を切り分ける場面です。ただし、募集要項に書かれていない配属先や担当業務を、入社後に必ず任される仕事として断定しないでください。同じ経験は、次のガクチカ欄でも使えます。
ガクチカの書き方と取り組みを伝える例文
自己PRで強みと行動の対応ができたら、次は同じ経験をガクチカでどう書き分けるかです。自己PRが強みを答える欄であるのに対し、ガクチカの中心は取り組みの過程になります。例えば、同じアルバイト経験を使う場合でも、自己PRでは説明を工夫する力を示し、ガクチカでは店内の引き継ぎが滞る課題に対して進め方を変えた経緯を書くと、設問ごとの違いが生まれます。活動の成果と、自分が担った貢献を分けてください。
目標・課題・行動を結ぶエピソード
書き分けの起点は、冒頭に置く答えの違いです。ガクチカの冒頭では、力を入れた取り組みを端的に示し、その後に、なぜ取り組んだのか、どこに難しさがあったのか、自分は何を担当したのかを続けて説明すると、読み手が行動の理由をたどれます。ゼミでも、アルバイトでも、学内の係でも題材は選びません。ただし活動そのものの紹介に偏ると、本人の行動が後ろへ追いやられてしまいます。課題の出発点は、目標との差や、目の前の困りごとです。「運営が大変でした」だけでなく、「担当者ごとに案内内容が違い、参加者が受付で迷っていました」なら、次に書く改善行動との関係が明確になります。
▶ アルバイト経験を使ったガクチカの構成と具体例を詳しく見る
ゼミ活動を使ったオリジナル例文
課題と行動のつながりを1本の文章にすると、次のようになります。授業やゼミで経験した小さな改善でも、困っていた場面と、その後の変化を書き分ければ、取り組みの過程を説明できます。
学生時代に力を入れたことは、ゼミの共同発表で準備の進め方を改善したことです。当初は資料の保存先が分かれ、議論の前提となる情報を参加者が共有できていませんでした。そこで、必要な資料と担当者を一覧にし、打ち合わせの前に内容を読める共有場所を提案しました。利用しにくい点はメンバーに聞き、資料名の付け方や更新の知らせ方もそろえました。その結果、打ち合わせで資料を探す場面が減り、発表内容の検討に時間を使えるようになりました。この経験から、協力を求める際には、相手が動きやすい手順を先に整えることを学びました。
成果は、行動によって何が変わったかという事実で、学びは、その経験から得た判断や次の場面で使える考え方です。設問が両方を求める場合は、同じ言葉を繰り返さず、出来事の変化と得た考え方を分けて書いてください。ここまでは自分の経験の話でしたが、次の志望動機では応募先との接点が必要になります。
志望動機の書き方と経験・企業情報の接点
自己PRとガクチカが自分の経験を説明する欄なのに対し、志望動機は経験と応募先を結ぶ欄です。取り組みたい仕事、その仕事に関心を持った背景、応募先を選ぶ理由をつなぎます。企業の特徴を詳しく調べても、経験との接点がなければ、企業紹介に近い内容になります。例えば、利用者の困りごとを聞いた経験から住まいに関わる仕事を志望するなら、応募先のどの事業や職種で、その困りごとに向き合いたいのかまで結ぶと、選択の理由を伝えられます。
ニトリの面接回答に表れた経験と働く目的
応募先を選ぶ理由を書く手前に、働く目的を言葉にする段階があります。就活ハンドブックに掲載されているニトリの選考経験者の回答では、生活環境が変わった経験と、住まいへの安心感が、働く目的を語る背景として示されています。これは同社の選考を受けた個人の回答であり、企業が公表した評価基準や、一般に言われている定説ではありません。
就活ハンドブック内で公開している選考経験者の情報によると、ニトリの選考では働く目的と同社での実現方法を尋ねられ、回答には「夢や目標に向かう第一歩を提供すること」という目的が記されています。
参考になるのは、出来事の大きさではなく、経験のどこから仕事への関心が生まれたかというつながりです。企業側の事実を確かめる作業は、事業内容や顧客の調べ方を整理した記事で手順を確認できます。
企業情報を確かめて仕上げるオリジナル例文
働く目的と企業情報がそろったら、文章に落とします。次の例文は、業務改善に関わる仕事を志望する設定で作成した架空の文章です。応募先の事実を推測で補わないため、企業ごとの情報が必要な箇所を記入項目として残しています。
現場の困りごとを聞き、業務の進め方を改善する仕事に携わりたく、貴社を志望します。ゼミの共同発表で資料の共有方法を変えた際、仕組みを使う人の声を反映することで、作業を進めやすくできると実感しました。この経験から、顧客の業務を理解し、改善を継続して支える仕事に関心を持ちました。貴社の【公式情報で確認した事業・サービス】における【具体的な取り組み】に、その関心との接点を感じています。【応募職種】で必要な知識を学び、相手の状況を聞き取る姿勢を提案に生かしたいです。
企業名だけを差し替えると、応募先を選ぶ理由が変わらないまま残ります。3つの欄の書き方が出そろったので、次は実際の回答でその違いを確かめます。
学生のES回答で比べる設問の動詞と根拠
ここまでの書き分けを、公開されている実物のESで確かめます。WEB上で公開されている選考経験者の実際のESを参考にするときは、経験の華やかさより、設問のどの言葉に、どの事実で答えているかに注目すると書き方を学べます。例えば、「成果」を求める設問には変化の説明が必要ですが、「大切にしていること」を求める欄では、価値観と行動の対応が答えの中心になります。以下では、働きかけ、企画、改善、価値観という4つの切り口を順に見ます。
味の素のES回答に表れた相手への働きかけ
まずは、相手の心や行動の変化を尋ねる設問です。この型の欄では、本人が努力した内容だけでなく、相手との接点を文章に残す必要があります。就活ハンドブックに掲載されている味の素の選考経験者の回答は、海外でのボランティアを題材に、相手の思いを受け止めた場面と、その後に届いた知らせをつないでいます。
就活ハンドブック内で公開している選考経験者の情報によると、味の素のES回答では、タイの青少年更生施設での交流を通じて相手の夢を聞き、その後の活動を知らせる連絡を受け取った経験が記されています。
例えば、後輩に勉強方法を伝えた経験なら、「教えました」だけで終えず、何に困っていると分かり、伝え方をどう変え、その後どのような行動が見られたかを書けます。相手の気持ちを推測で断定しないことも、事実に沿った記述の条件です。
富士通ゼネラルのES回答に表れた企画と実行
相手への働きかけの次は、企画を動かした経験です。この場合は、役職や担当業務を列挙するだけでなく、何を変えるための企画だったかを示します。就活ハンドブックに掲載されている富士通ゼネラル(掲載時の社名)の選考経験者の回答では、下級生の試合出場機会という課題に対して、大会を企画・運営した経験が記されています。なお、現在の社名はゼネラルです。(参考:ゼネラル「商号変更のご案内」)
就活ハンドブック内で公開している選考経験者の情報によると、富士通ゼネラルのES回答では、下級生向けの大会を企画し、金銭面や設備面の課題を各大学の幹事長と調整して開催した過程が説明されています。
生かせるのは、「大会を開催した」という結果の前に、対象者の困りごとと、実現に向けた調整がある点です。企画を考えた人、関係者に説明した人、運営を担った人が別なら、自分が受け持った範囲を明記してください。
富士通ディフェンス&ナショナルセキュリティのES回答に表れた改善過程
企画の次は、仕組みそのものを改善した経験です。ここでは、導入した道具の名前より、どの不便を解消したかったかが文章の入口になります。就活ハンドブックに掲載されている富士通ディフェンス&ナショナルセキュリティの選考経験者の回答は、研究室の資料管理を題材に、資料を見つけにくい課題から共有システムの構築へ進み、役割分担や進行管理まで説明しています。
就活ハンドブック内で公開している選考経験者の情報によると、富士通ディフェンス&ナショナルセキュリティのES回答では、研究資料の共有システムについて、メンバーの意見を聞いた要件定義や役割分担、進捗に応じた調整が記されています。
▶ 富士通ディフェンス&ナショナルセキュリティのES回答例を読む
この回答を参考にする際は、改善後の成果だけを抜き出すより、課題、検討事項、担当した作業を順にたどると構成を学べます。
ニトリパブリックのES回答に表れた価値観と行動
4つ目は、行動そのものではなく価値観を尋ねる欄です。この欄では、価値観の言葉と、それに沿って取った行動を近くに置きます。就活ハンドブックに掲載されているニトリパブリックの選考経験者の回答では、相手の意見に共感する姿勢と、イベント運営で意見を引き出した場面が結び付いています。
就活ハンドブック内で公開している選考経験者の情報によると、ニトリパブリックのES回答には、イベントの企画でメンバーの意見に耳を傾け、共感を示した結果、発言が活発になったという内容が記されています。
| 比較する回答 | 設問から拾う内容 | 文章に残す根拠 |
| 味の素 | 相手への働きかけと変化 | 接点、行動、その後の相手の様子 |
| 富士通ゼネラル | 注力した取り組みと成果 | 課題、企画、関係者との調整 |
| 富士通ディフェンス&ナショナルセキュリティ | 力を入れた取り組み | 利用上の不便、担当業務、改善の過程 |
| ニトリパブリック | 人と接するときの価値観 | 大切にする姿勢、実際の行動、変化 |
4件に共通するのは、設問に必要な情報を決めてから、その情報を経験のどこから取り出すかという順序です。書く内容が決まったところで、次は決められた字数に収める作業に移ります。
記入欄の広さに合わせた情報量と研究・基本情報の書き方
手順4は、書いた内容を記入欄の広さに合わせる工程です。主要な設問以外の記入欄でも、事実の正確さと、初めて読む人に伝わる表現が基本になります。氏名や学校名は証明書の表記と照らし合わせ、学歴欄では卒業済みか卒業見込みかを区別し、資格は正式名称と取得時期を記載します。趣味や特技は分野の名前だけで終えず、続けている取り組み方まで添え、長所にはそれが表れた行動、短所には困りやすい場面と現在の対処を組み合わせてください。
短い記入欄と長い記入欄で変える情報量
同じ内容でも、記入欄の広さで残す情報が変わります。短い回答では、結論と、その根拠となる具体的な行動を優先します。例えば、学内イベントの運営を題材にするなら、開催に至る経緯を省き、意見を引き出すために行った働きかけを残す方法です。長い記入欄では、別のエピソードを次々に加えるよりも、中心となる経験の判断理由や調整の過程を補います。
| 状況 | 手を付ける順序 |
| 字数を超えた | ①設問に答えていない説明 ②同じ意味の繰り返し ③過剰な形容詞 の順で削る |
| 字数が足りない | ①判断のきっかけ ②担当した作業 ③相手の反応 など、まだ書いていない事実を足す |
| 表現が冗長 | 「積極的に自ら進んで取り組みました」→「自分から提案しました」のように動詞へ置き換える |
下書きソフトと応募フォームでカウントが違う場合は、提出先の表示に合わせて調整してください。
三菱電機のES回答に表れた研究の伝え方
記入欄の広さと同じく、読み手の前提でも書き方が変わるのが研究欄です。ここでの中心は、研究対象、目的、方法、意義の関係になります。専門用語を消し切る必要はありませんが、用語の意味が分からなくても研究の狙いを追える文章が適しています。
就活ハンドブック内で公開している選考経験者の情報によると、三菱電機のES回答には、風向ごとの建物や地形の特徴を調べ、地域の実態に合う風の評価方法を提案する研究が記されています。
進行中の研究なら、現在までに実施したことと、今後検証する内容を分け、未実施の検証を成果として書かないでください。字数が収まったら、提出後を見据えて説明の粒度を決めます。
学生の面接質問から逆算するESの説明範囲
最後の手順5に進む前に、提出後の面接から逆算して説明の粒度を決めます。面接レポートは、ESに書く役割や行動が、口頭でも説明できる内容になっているかを確かめる材料です。ここで扱う回答は別々の学生・企業の記録であり、前のES回答と同じ人物の続きではありません。例えば、「企画を担当した」と書いた経験に対し、立ち位置を尋ねられた場面を読むと、案を出したのか、意見をまとめたのか、運営を担ったのかまで区別しておく意味が分かります。
味の素冷凍食品の質問に表れた担当範囲
面接で最初に確かめられやすいのが、担当範囲です。チームで活動した経験を書くときは、全体の成果と、本人が受け持った作業を混同しない表現が適しています。「イベントを成功させました」だけでは、企画、広報、受付、当日の進行のうち、何を担ったかが分かりません。
就活ハンドブック内で公開している選考経験者の情報によると、味の素冷凍食品の選考で国際交流イベントにおける立ち位置を尋ねられた学生は、「主に企画の考案や、多数の意見を取りまとめる立ち位置でした。」と回答しています。
ESでも、「メンバーとして参加しました」から一歩進めて、「企画案を集め、実施条件に沿って比較する作業を担当しました」と書くと、受け持った役割が見えます。
富士通の回答に表れたチーム経験の説明
担当範囲の次に問われやすいのが、チーム経験の伝え方です。結果の共有と、本人が働きかけた場面の説明を両立させます。全員で達成した成果を個人の成果として書くと、実際の役割とのずれが生まれてしまいます。
就活ハンドブック内で公開している選考経験者の情報によると、富士通の選考で学生時代に力を入れたことを尋ねられた学生は、サマーセミナーでの経験を答え、チームで成し遂げたことやチームを牽引したことを強調しています。
ただし、この記録だけでは、具体的にどんな働きかけをしたかまでは分かりません。ESを書く側は、議論を進めた、作業を分担した、停滞を解消したなど、実際に行った内容まで補うと説明できます。
富士通Japanの回答に表れた自己紹介の範囲
チーム経験と並んで範囲を取り違えやすいのが、自己紹介です。自己紹介は所属や氏名などを伝え、面接の会話へ入るための答えで、自己PRは強みとその根拠を説明する答えになります。
就活ハンドブック内で公開している選考経験者の情報によると、富士通Japanの面接レポートでは、自己紹介を求められた場面で、大学・学部と氏名を述べ、挨拶を添えた回答が記されています。
指示された内容に応じて、所属だけを伝えるのか、取り組みを短く加えるのかを判断します。
ニトリホールディングスの回答に表れた活動と学業の接点
自己紹介では、別々の欄に書いた経験のつながりも見られます。出来事が異なっていても、本人の関心や取り組み方がつながっているかを点検できます。ただし、関係のない経験を無理につなげる必要はありません。
就活ハンドブック内で公開している選考経験者の情報によると、ニトリホールディングスの自己紹介では、体育会の部活動での役割に触れ、研究についても部活動に生かしたいという関心が示されています。
例えば、自己PRで「相手に合わせて説明する力」を示し、研究欄で「専門外の参加者にも伝わる発表を工夫した」と書くなら、異なる場面から同じ行動特性を説明できます。説明の粒度が決まれば、残るのは提出前の点検です。

監修者からのアドバイス
三好 達也(キャリアアドバイザー)
※監修者確認前のコメント案です。上記の担当範囲を尋ねる質問を踏まえると、ESの「企画」「調整」「牽引」という言葉には、実際に行った作業を添えると伝わりやすくなります。キャリアアドバイザーとの面談には設問と下書きを持参し、文章から読み取れる役割と、口頭で説明した役割が一致するかを確かめると、次に補う内容を具体化できます。
提出前の表記点検と迷いやすい疑問
手順5は、書き上げた原稿を提出できる状態にする工程です。文章の読みやすさと提出条件を別々に点検します。ESでは、応募先から指定がある場合はそれに従い、指定がない場合は選んだ文体を途中で変えない形が適しています。企業を文章で呼ぶ際は「貴社」、面接で話す際は「御社」という使い分けが基本です。例えば、下書きでは改行で区切られていた段落が応募フォームでは続けて表示される場合、入力後に文の境目を読み直すことで、提出画面での読みづらさを発見できます。
Web・PDF・手書きに応じた提出前の確認
表記をそろえたら、提出方法ごとの確認に移ります。提出方法は、採用マイページや企業からの案内に従います。Web入力では文字数と入力漏れ、ファイル提出では形式とファイル名、手書きでは指定用紙と筆記具など、確認する対象が変わります。PDFは作成後に開き、文字の欠けや改ページのずれがないかを点検してください。
| 提出形式 | 送信・発送前の確認 |
| Webフォーム | 必須欄、文字数、改行、保存と提出の区別 |
| ファイル添付 | 指定形式、ファイル名、添付漏れ、開いたときの表示 |
| 手書き用紙 | 指定用紙、読みやすさ、記入漏れ、写真 |
| 郵送 | 宛先、同封書類、締切が必着か消印有効か |
提出前には、設問と完成した回答を同じ場所に保存し、応募先、応募コース、提出日も併記すると、複数のESを扱う際に取り違えを防げます。提出形式ごとの入手方法や注意点は、手順をまとめた記事で確認できます。
自己PRとガクチカで同じ経験を使う場合の判断
点検の最後に、複数の欄で同じ経験を使ってよいかという迷いに触れます。基準は、設問ごとの答えを区別できているかです。自己PRで調整力を示し、ガクチカでは企画全体の課題に向き合った過程を説明するなら、同じ活動でも異なる情報を伝えられます。役職、取り組んだ時期、担当した作業は変えず、結論と詳しく書く場面だけを変えてください。読み終えた人が「どんな強みか」と「何に力を入れたか」を別々に答えられるかで点検できます。
公開されている回答やオリジナル例文から借りられるのは、話の順序と情報の選び方です。経験、成果、発言をそのまま借りると、提出した文章を面接で説明できなくなります。
まとめ
5つの手順をたどると、ESの書き方は、設問への答えを先に決め、経験の事実で支えることに行き着きます。自己PRでは強み、ガクチカでは取り組みの過程、志望動機では経験と企業を選ぶ理由の接点を中心に据えると、同じ材料でも設問に沿って書き分けられます。就活ハンドブック内で公開している選考経験者の回答では、相手への働きかけ、関係者との調整、研究の目的など、問いに応じた説明が確認できました。例えば、企画経験を使う際も、役職名だけで終えず、誰と何を調整し、どの作業を担ったのかまで示すと、面接で役割を尋ねられた場合にも同じ事実を説明できます。
例文は構成の参考にとどめ、実行していない行動や根拠のない成果を加えないでください。最後は文字数、表記、提出形式を点検し、設問と回答をセットで保存します。初めて読む人にも、考えたことと実際にしたことが伝わる文章が、ES作成の到達点です。

この記事の監修者三好 勝利(キャリアアドバイザー)
新卒で小学校教員となり、学級担任や学年主任などを務め、1000人以上の生徒の指導に携わる。その後、大手教育企業でのコンサルティング営業を経て、現在は株式会社ナイモノのキャリアアドバイザーとして250名以上の学生の就職支援に従事。未経験IT、総合職、人材など幅広い業界への支援実績を持つ。面接対策や自己PRの指導に定評があり、面接官の経験を生かした的確なアドバイスが強み。学生一人一人に寄り添い、ラフな雰囲気で親身に相談に乗ることを心がけている。










