【企業分析】DICの就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説

【企業分析】DICの就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説

2024/6/23更新

はじめに

DIC株式会社は1908年創業以来、印刷インキと有機材料、合成樹脂の事業などを手掛けている企業です。

連結従業員数は22,000人を超えており、グループ企業の数は国内外で185社と事業の拡大と成長を続けています。

素材から加工、ソリューションに至るまで様々な事業や製品を提供し、現在ではエネルギーやヘルスケア分野など新たな事業にも参入しています。

今回はそんなDICの企業研究を行うにあたって企業情報や社風、選考対策などを紹介します。

対象
  • DICの仕事内容がどのようなものか知りたい
  • DICの選考がどれくらい難しいのか知りたい
  • DICの選考対策で何をすればいいのか分からない

といった悩みや疑問を持つ就活生の方には特に参考になりますので、ぜひ最後までご覧ください。

また、化学メーカー以外の業界については、以下の記事で概観していますので、合わせてご参照ください。

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この記事の結論

この記事の結論を先にお伝えすると、DICの就職難易度は高いと言えます。

2023年に東洋経済ONLINEが発表した「入社が難しい有名企業ランキングトップ200社」では、DICが98位にランクインしており、入社難易度の数値は60.4となっています。

参考までに1位のマッキンゼーの数値は68.9です。

数ある日本企業の中で98番目に入社が難しいと考えれば、就職難易度が高いことも頷けるでしょう。

採用大学に関しては全国の国立大学や私立大学など様々な大学から採用しており、一定の学歴が求められる可能性が考えられます。

有名人気企業故に応募者の数も多く、倍率も10倍以上を超えることも多いです。

全国の優秀な学生の中から内定を勝ち取るためにも、選考対策は必須と考えましょう。

選考フローはエントリーシート、適性検査、面接と就職活動における基本となる内容で構成されていますが、適性検査が複数回行われたり、英語も科目に含まれていたりとレベルの高い選考となっています。

一つ一つの選考が高い壁となって立ちはだかるため、念入りな準備と対策が必要です。

募集職種は技術系職種、生産系職種、事務系職種の3つとなっています。

技術系は開発研究や分析・計算を取り扱い、生産系は生産技術やシステム開発・製造、事務系は営業やマーケティング・人事・総務などを主に担当します。

次の章からは各内容や選考フローについてなど詳しく紹介していきますので、最後まで読んで参考にしてください。

 

DIC株式会社について

DIC株式会社とは

出典元:DIC株式会社 (dic-global.com)

 

DIC株式会社についての紹介をしていきます。

何をしている企業なのかを知り、自分もDICに入社して働くイメージを持ちましょう。

会社概要

DIC株式会社は、印刷インキの開発・製造・販売から始まり、合成樹脂や有機顔料など約30万を超える製品を開発・製造してきた企業です。

接着剤、液晶材料、製缶塗料、樹脂着色剤、粘着製品、磁気製品など化学関連の製品開発は多岐に及びます。

海外進出にも余念がなく、現在60カ国以上に進出してグローバル事業を拡大しています。

色彩化学分野では世界でもトップクラスの実績を誇っており、今後はエレクトロニクス、ヘルスケアなどの技術の向上にも乗り出していくとのことで更なる飛躍が見込まれるでしょう。

現在、接着剤や包装材料などアジア圏をメインに成長しているパッケージに使われる材料を提供するパッケージング&グラフィック事業、ディスプレイのカラーフィルタ用顔料や化粧品用顔料など人に優しい素材を扱うカラー&ディスプレイ事業、膨大な数に及ぶ機能材料を通じて社会に貢献するファンクショナルプロダクツ事業、これまでとは異なる取り組みをする新事業の4つの事業に大きく分かれてサービスを展開しています。

化学といっても取り扱うものが非常に多いため、幅広く活躍ができるでしょう。

 

各事業別の売上規模

DIC株式会社の事業別の売上規模

DIC株式会社の2023年の総売上高は1兆387億円で、純利益は399億円でした。

この売上はパッケージ&グラフィック事業、カラー&ディスプレイ事業、ファンクショナルプロダクツ事業の3つの事業からの収益によって構成されています。

下記にそれぞれの事業分野での売上高を載せておきます。

2023年の決算ではM&Aの失敗や欧州の景気停滞、米国の物価上昇などの要因から23年振りに赤字に転落していますが、2024年12月期の売上高予想は黒字となっているので必要以上の敬遠は不要でしょう。

売上高
  • パッケージ&グラフィック事業:売上高は5,419億円で、前年同期比1.6%増えています。経常利益は220億円で0.8%増加しました。
  • カラー&ディスプレイ事業:売上高は2,273億円で、前年同期比より0.9%減っています。経常利益は89億円のマイナスとなっており、落ち込む形となっています。
  • ファンクショナルプロダクツ事業:売上高は3,059億円で、前年同期比より0.4%減っています。経常利益は154億円で35%減少しました。

 

各事業セグメントの解説

DIC株式会社の主な事業セグメントは以下の通りです。

事業部門活動内容
パッケージング&グラフィック事業インキ、製缶塗料、色見本帳、包装用接着剤、包装用フィルム、ポリスチレンの製造・開発・販売
カラー&ディスプレイ事業有機顔料、ディスプレイ用顔料、インクジェット用顔料、化粧品用顔料、光輝材、軽量発泡コンクリート用アルミニウム、フィコシアニン、DHAオイルの製造・開発・販売
ファンクショナルプロダクツ事業コーティング用樹脂、粘接着剤用樹脂、水系樹脂、アクリル樹脂、その他樹脂、コンパウンド、フィルム用原液着色剤、両面テープ、化粧紙、プラスチック成形品、その他製品の製造・開発・販売

 

3つの事業に分類されていますが、それぞれの事業で取り扱う商品やサービスの数は膨大で幅広い事業展開をしています。

代表として挙げられるのは印刷インキ、有機顔料、合成樹脂の製造・販売です。

いずれの事業も製造や開発に関わるものとなっており、常に新しい製品を手掛けてきたことが分かります。

現在柱となるのは上記の3つの事業ですが、「サステナブルエネルギー」「スマートリビング」「サステナブルパッケージング」「ヘルスケア」の4つの分野で新事業を進行中です。

3つの事業に満足せず、更なる事業拡大を目指して新しい事業への取り組みに着手しています。

 

DICで働いている社員は?

DICで働いている社員について気になる項目を5点紹介します。

平均勤続年数は?

DICの平均勤続年数は19年です。

メーカーの業界平均が15年であることから、DICの平均勤続年数は長い方だと言えるでしょう。

平均年齢も43歳とこちらも平均より高く、入社した社員の定着率は高いと考えられます。

平均年収は?

マイナビ2025のDICのサイトに掲載されている情報によると、DICの平均年収は865万円です。

業界の平均が614万円なことをみると、かなり高い数値であることが分かります。

全国平均でみても平均が458万円のため、2倍近くの開きがあります。

平均残業時間は?

DICの従業員の平均残業時間は、1か月あたり12.5時間です。

化学工業企業の従業員の平均残業時間は18時間のため、残業時間は短い方だと言えます。

残業時間の少なさも定着率の良さに繋がっていると考えられるでしょう。

また、平均有給休暇取得日数は11. 8日と一定数の有給も取得可能となっています。

仕事とプライベートのワークライフバランスは、しっかり両立できる会社と考えて良いでしょう。

平均ボーナス額は?

DICの平均ボーナス額は120万円前後となっています。

業界平均が100万円前後のため、ボーナス額に関しても平均より高い水準であることがうかがえるでしょう。

また、ボーナスは年に4回あり、4月、5月、10月、11月に支給されます。

ボーナス支給が4回に分かれているのは珍しく、独自の給与体系を取っていることが分かります。

どんな文化なの?

DICは誰もが活躍できる環境づくりを目指しており、様々な制度や研修を用意しています。

行動指針の一つに「ダイバーシティー&インクルージョン」を設定していて、これは個々の違いを受け入れ、認め合い、活かしていくことを意味します。

性別や年齢、国籍に関係なく多種多様な人が集まって協力しながら事業を進める意識が強いと言えるでしょう。

実際に取り入れているものとしては、自分の成果や強みを具現化するアセスメント制度の導入、2か月に1回ミーティングを1対1で実施、ホームページに各部署で活躍する社員を紹介して全世界の社員に共有するe-ラーニングでの紹介システムなどがあり、従業員のモチベーションを高め、業務をサポートする体制が整っています。

グローバルにも力を入れており、外国人社員用のネットワーク会議、社内情報の英語化、外国人社員の所属部署の意識改革など国内外の壁を取り除く試みが進められています。

このように能力ややる気のある社員はもちろん、社員1人1人の個性を尊重して成長を促す文化が形成されているとみて良いでしょう。

様々な人と一緒にプロジェクトを進め、共に成長していきたいと考えている人に向いていると言えます。

 

就職偏差値・難易度および業界での立ち位置

化学メーカー業界の中でのDICの立ち位置

化学メーカー業界の中でのDICの立ち位置を紹介します。

売上高を参照してみると、国内の有数の競合他社を追随していることが分かります。

理由は以下の要因があると考えられます。

 

多様な事業推進

化学製品の製造や開発をはじめ、前述した新規事業への参入をするなど新しいことへの挑戦を続けていることで、事業拡大を継続できているためです。

海外への進出

全世界62ヵ国に進出し、M&A戦略によって活動拠点の拡大と成長を続けてきました。

実際に海外のグループ企業による売上高が全体の68%、営業利益が45%を占めていることからも国外の影響は大きいと考えられます。

豊富な製品提供数

約30万種類におよぶ製品を手掛けてきたことで、DICだからこその商品やサービスが生まれ、選ばれてきました。
印刷インキや有機顔料といった色彩化学分野では世界トップの実績を誇り、大きなシェアを築いたことがDICの飛躍に繋がりました。

 

他の大手有名企業には一歩譲るように見えますが、上記の要素によりDICは化学業界の中でも国内有数の売上規模を誇ることも事実です。

また、売上高の差と比べて平均年収は高めで就職偏差値は容易な方なので、就職先としては大変人気な企業となっています。

参考までに競合4社の情報をまとめましたので、合わせて下記にご紹介します。

会社名売上高(2023年度)平均年収就職偏差値・難易度社風
DIC1兆387億円865万円60個々を個性を大事にする社風
旭化成2兆7,265億円760万円65風通しが良く、自主性を重んじる社風
三菱ケミカル4兆3,872億円1,045万円72総合力が求められる社風
積水化学工業1兆2565億円913万円60独自の社風はあまり設けておらず、オープンな環境

DICの新卒募集要項について

ここではDICの新卒募集要項についてまとめました。

ボーナスが年に4回ある点や大手企業らしく福利厚生が充実している点などは就活生にとっても社員にとっても魅力に映ることでしょう。

人材育成にも力を入れており、新入社員研修も基礎と安全の二種類に分かれて学べます。

その他、リーダーを育成するためのプログラム、スキルアッププログラム、キャリア形成プログラム、その他支援プログラムなど希望に合わせて多種多様な研修プログラムが用意されているため、仕事を通して大きく成長できるでしょう。

各項目詳細
職種技術系職種
業務内容:基礎・開発研究、分析・解析、データイエンス業務
生産系職種
業務内容:生産技術、生産システム開発、製造、品質保証業務
事務系職種
業務内容:営業、マーケティング活動、総務、人事業務
給与(2022年度入社実績)博士了:303,390円
修士了:248,920円
学部卒:227,920円
備考:時間外手当、通勤手当、住宅手当等別途支給
賞与年4回(4月、5月、10月、11月)
研修制度新入社員研修(仕事の進め方、基礎・安全)、OJT、内定者研修、グローバルコミュニケーション研修、部門・職種別ジョブスキル研修、グローバルリーダースキル研修、その他研修
福利厚生各種保険完備(健康・厚生・雇用・労災)、企業年金基金、財形貯蓄制度、持株会、保養所、社宅、福祉基金、その他福利厚生充実

求める人材

DIC株式会社では挑戦できる人を求める人材として強調しています。

これまで数多くの製品を生み出し、多くの事業に取り組んできた背景もあり、DICには新しいことに挑戦したい人や失敗を恐れずチャレンジできる人を求める傾向が強いです。

採用サイトにも挑戦したい仕事がある人のために多種多様な活躍の場を用意している旨が記載されており、社員の挑戦を後押しする体制が整っています。

豊富な研修制度も現状に満足せず、新しいスキルを身に付けて次の挑戦に臨んで欲しい願いが込められていると考えられます。

職種によっても求める人材に多少変化があり、技術職は学んできた専攻を活かせる人材を募集中です。

生産職はアイデアを発案する能力、事務職は顧客のニーズを聞き各部門が力を発揮できるよう橋渡しをするコミュニケーション能力を求めています。

自分の過去の体験の中でチャレンジした経験やアイデアを活かした経験など、DICが求める人材とマッチするものがないか探してみましょう。

また、グローバル化にも力を入れている点から、英語ができるとアピールポイントになるでしょう。

英語ができないからといって選考で落とされることはほぼないですが、英語ができた方が有利に働くのも事実です。

TOEICの実績がある方は、英語力もアピールしてみましょう。

 

新卒採用のフロー

DICの選考フローを紹介します。

選考過程も多く、スタンダードな質問から深掘りした質問までされることもあります。

ちなみにDICにはスカウト経由での選考というものもあり、そちらだと面接が一部免除されるなど特殊な選考フローを受けることが可能です。

今回は通常の選考フローで解説します。

①エントリーシート・テクニカルヒアリングシート

大勢の応募者を選別するためにエントリーシートを設けて選考を進めていきます。

エントリーシートでは自己PRや志望動機などが聞かれるため、自己分析をして自分の強み・性格・考え方を把握しておいてください。

その他聞かれる内容として「DICに入社して挑戦したいこと」が挙げられます。

入社後に自分がやりたいことを明確にしておきましょう。

やりたいだけでなく、なぜやりたいのか、どのような能力を持ってやるのかなど詳細に記載すると企業側にも響くでしょう。

テクニカルヒアリングシートは技術系と生産系の職種のみ提出します。

大学で学んでいる研究に関する質問が多いようです。

自分の研究内容を説明できるようにしておきましょう。

以下に参考になる記事を紹介します。

自分史の書き方は下記に記載した関連ページを確認してください。

 

②適性検査

適性検査は言語、非言語、英語、性格検査の4つの科目が出題されます。

書店にある参考書を繰り返し解くなどして対策をしていきましょう。

制限時間内に間に合わないケースをよく聞くので、何回か模擬テストの練習をしてタイム管理をするとおすすめです。

以下のページもぜひ参考にしてください!

 

③一次面接

一次面接では自己PRや学生時代に頑張ったことなど、スタンダードな質問が中心に聞かれます。

エントリーシートでも記載した内容の深掘りをされることもあるため、質問を想定してさらに落とし込んでいきましょう。

④複数回面接(二次面接)

DICの面接で重要なのは、自分の将来像ややりたいことを明確にすることです。

質問内容では将来像や入社後にやりたいことなど未来に向けた質問が頻繁に出ます。

自己分析では過去の自分を振り返ってばかりで、将来自分がどうしたいのか曖昧になることも多いです。

自分は過去にこういう体験をしてきた、そこでこんな能力が発揮されこんなことを学んだ、そのことを貴社でも活かして将来はこんなことをやりたい、というように自分の強みを持って将来やりたいことを伝えていきましょう。

最終面接では人事と役員の2名が担当します。

過度な緊張はせず、入社後に自分がやりたいことをはっきり伝えることが重要です。

以下のページも確認してぜひ内定を勝ち取ってください。

 

⑤内定

複数の面接を通過すれば内定が決まります。

採用大学

DICの採用大学の実績を以下に紹介します。

全国の大学から採用していますが、国立や有名私立大学が目立ちます。

〈大学〉
北海道大学、東北大学、東京大学、東京工業大学、一橋大学、埼玉大学、千葉大学、早稲田大学、慶應義塾大学、中央大学、明治大学、立教大学、芝浦工業大学、信州大学、近畿大学、立命館大学、広島大学、新潟大学、高知大学、首都大学東京

 

就活サイトのDICのページには日東駒専レベルの私立大学は見当たらなかったものの、高学歴の大学以外もあることから学歴フィルター自体は設けておらず、人物重視の採用をしていると考えられます。

ただし、適性検査で足切りされる可能性はあるため、対策は徹底しなければならないでしょう。

採用大学のランクに関しては以下の記事を参考にしてください。

就職偏差値・難易度

ここまでの内容を踏まえると、DICの就職難易度は難しいと言えるでしょう。

理由としては以下の2点が挙げられます。

DICの就職難易度が高い理由
  • 大学の採用実績が国立や有名私立大学ばかりで応募者のレベルが高い
  • 競合他社の売上高と比べて給与が高い分、学生からの人気もある

人気の有名企業である以上、対抗となる他の応募者のレベルはどうしても高くなります。

勉強が苦手な方は適性検査を、自分を伝えるのが苦手な方は自己分析をするなど徹底した対策は欠かせません。

自己分析、企業研究、適性検査対策をして内定を勝ち取ってください。

就職偏差値・難易度に関しては、以下の記事も参考にしてみてください。

まとめ

DICの企業分析

DICは化学製品メーカーとして事業を展開しており、印刷インキと有機材料、合成樹脂など様々な製品を扱ってきました。

常に新しい製品とサービスを追い求め、従業員の挑戦も全力でサポートする環境が整っています。

DICは化学業界でも人気でレベルの高い企業のため、選考対策をどれだけしているかで内定を得られるかが変わるでしょう。

全国の企業の中では難易度は高い方ですが、対策次第で内定を掴むチャンスもあります。

この記事を参考に内定を得られれば幸いです。

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