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私は人の五感に働きかける方法で歩行者の混雑を緩和することを目指し、歩行者の誘導実験を行っている。近年、乗り換えに最も近い改札口のみ行列が発生するなど、歩行者が個人の利益に基づく経路選択をすることで発生する局所的な混雑が問題視されている。これに対して現在は、バリケードや誘導員などを用いた強制的な歩行者の経路変更が行われている。しかしこの手法はコストがかかることに加えて、歩行者に経路の選択権がないというストレスを与えてしまう。私の研究は、自分で経路を選んだと認識することで歩行者にストレスを与えることなく混雑を緩和するために、人の五感から入る情報により行動が変化する特性を利用した混雑の解消を目指している。五感を用いて行動変容を促す実験は既往研究でも多く行われてきたが、これらの実験は、移動目的、歩行者の属性、周囲の環境からの影響を受けやすい。行動特性を利用した歩行者誘導の体系化のために、過去に行われていない条件で実験を行い、条件の違いによる結果の比較を可能にしたい。過去の研究から混雑時の見通しの悪さや周囲の騒音の中でも、匂いと明るさの効果が期待されていることを受けて、既往研究では行われていない「日本国内の昼夜ともに明るい屋内の環境」で匂いと明るさを用いた実験を行う。実験では、地下にある改札から地上出口までの経路に匂いまたは明るさの外部刺激を加えた時に、歩行者が二箇所ある出口のどちらを選択するかを計測する。歩行者を誘導したい方の出口付近に刺激を加え、刺激を加える前と後の通行量を比較することで、刺激が誘導効果を発揮したかを確認することが可能となる。私の研究の特徴として、変数要因が多すぎるために体系化に至っていない点と、行動特性という定性的な要素を扱っている点が挙げられる。前者については、既往研究を徹底的に調べ、現在の研究状況をもれなく把握することで新たな知見が必要とされる部分の特定に至った。後者については、数値化されない混雑の感じ方など、論文から得られない定量化が難しい要因・違和感を大事にすることで向き合っている。曜日や時間帯を変えて混雑の様子を複数回観察するだけでなく、歩行者の一人として混雑の体験も行った。これにより実験前に匂いや明るさのような要素の歩行者誘導効果が期待できるか、他に行動変容を促す要素があるかについて細かく検討することができた。
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