【企業研究】三菱製紙の就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説
2023年10月24日更新
はじめに
三菱製紙(三菱製紙株式会社)は、国内有数の老舗大手製紙メーカーです。三菱グループに属していますが、2018年に製紙業界国内最大手の王子ホールディングスと資本提携を結び、現在は王子グループにも属しています。
今回は三菱製紙の企業研究記事です。製紙業界の概要や三菱製紙の事業内容、業界での立ち位置など、企業について詳しく知るための内容を解説します。また、選考対策として新卒選考フローや就職偏差値・難易度、採用大学なども取り上げます。
製紙業界
三菱製紙が属する製紙業界は、紙製品を製造する企業により構成される業界です。筆記用具や印刷用としての紙だけでなく、ダンボール・ティッシュペーパー・トイレットペーパー・生理用品など、パルプを原料にしたさまざまな製品をつくり供給しています。
製紙業界(紙・繊維・パルプ業界)について、さらに詳しく調べたい場合はこちらの記事もチェックしてみてはいかがでしょうか?
【業界研究】紙・繊維・パルプ業界とは?志望動機・ビジネスモデル・職種を徹底解説
製紙業界以外の業界については、以下の記事で概観しているので、ぜひ読んでください!
事業内容
三菱製紙の主な事業内容は各種紙製品の製造です。ここでは、提供している製品・サービスごとに事業内容を見ていきます。
機能商品
特定の機能を持ったさまざまな分野で活用される商品を製造しています。具体的にはCTP・感光材料などの印刷感材、電子材料などのエレクトロニクス関連商品、エアフィルター・全熱交換エレメント・湿式不織布などの機能性製品、不織布マスク・除菌液などのアメニティ・衛生用品、留置針固定テープ・巻き爪緩和テープなどの医療系製品といったラインナップです。また、液体充填などの受託業務を行っています。
紙素材
幅広い種類の紙素材の製造を行っています。具体的な製品は、パルプ、印刷・情報用紙、包装用紙・家庭用紙、紙板・インクジェット用紙・耐熱プレスボード・紙ストローなどその他用紙・紙素材製品といったものです。なお、三菱製紙の紙素材に使用される資材は、持続可能な森林から得ています。三菱製紙は企業の方針として、環境への配慮やサステナビリティを強く意識しており、事業活動においても持続可能な社会づくりを含めた動きがなされています。
新卒選考フロー
三菱製紙の新卒選考の基本フローは次の通りです。なお、募集年度や応募する職種などによって、フローは変則的になる可能性もあるので留意してください。
エントリーシート提出
まずは三菱製紙の採用担当アドレス宛てに、エントリーシートの提出をします。エントリーシートには、志望動機や自己PRも記載します。なお、理系の学生はA4用紙数枚に自分の研究概要をまとめた資料の提出も必要です(事務系・工場技術系・研究系の3つの職種のうち、理系のみ全職種志望可能。文系は事務系のみです)。また、書類選考の結果は就活支援サイトのマイページ内で行われるため、指定のサイトへのエントリーも必須となります。
募集要項による限りでは、エントリーシートの提出とエントリーはそれぞれ別で行うようなので注意してください。
面接実施・SPI受検
書類選考を通過した後は、面接が実施されます。面接はWEBでの1次面接、対面での最終面接の2回が基本です。過去の面接では、エントリーシートの内容のほか、学生時代に力を入れたことや現在の就活の状況なども尋ねられているようです。また、1次面接と最終面接の間には適性検査(形式はSPI)も行われます。
参考:採用情報TOP 三菱製紙
社風
三菱製紙の社風において、主に見られる特徴は次のようなものです。穏やかで人柄の良い社員が多い、働き方の選択肢が複数あり福利厚生がしっかり整備されているなどの魅力がある環境のようです。
大人しい社員が多い・業務に集中しやすい
三菱製紙には穏やかな社員が多いようです。波風を立てることなく、自分の仕事に集中する人が多く、またそのような働き方がしやすい環境でもあります。横のコミュニケーションはよくとれて、人間関係も築きやすいと感じている社員が多いようです。ただし、挑戦する機会はあまり多くはない模様なので、良い成績を上げ若いうちから積極的に上を目指していきたいアグレッシブな性格の人は、物足りなさを感じる可能性があります。
福利厚生や柔軟な働き方が叶う制度が揃っている
有給が取得しやすいという声もよく聞かれます。福利厚生や手当の制度についても高い満足感を得ている社員が多いようです。時差出勤・在宅勤務など、さまざまな働き方にも柔軟に対応しています。社員の働きやすい環境や制度を整えることに注力していることも、三菱製紙の大きな特徴と言えるでしょう。
求める人材
三菱製紙は採用情報ページにおいて「チャレンジ精神にあふれた人材」を求めていると明確に示しています。その理由は、幅広い事業を今後より活発に展開していくためであるようです。事業内容の項目で紹介した通り、三菱製紙で取り扱う製品は非常に多岐に渡ります。これらの製品も、すべてこれまで三菱製紙が研究を重ねた末に世に送り出しているものなのです。現在も三菱製紙は新しい製品や事業について積極的な姿勢を見せています。既存の枠組みばかりにとらわれず、新しいフィールドに勇気を持って踏み出していける、そんな挑戦意欲の大きい人物こそ、今後の三菱製紙を背負っていく社員にふさわしいと考えているのでしょう。
参考:採用情報TOP 三菱製紙
就職偏差値・難易度および業界での立ち位置
ここからは、業界内の競合他社との比較を交え、三菱製紙の業界での立ち位置や就職難易度などを分析していきましょう。
会社名 | 売上高 | 平均年収 | 就職偏差値・難易度 | 社風 |
三菱製紙 | 2,095億円 | 631万円 | 59 | 真面目で大人しい社員が多い |
王子ホールディングス | 1兆4,858億円 | 827万円 | 64 | 保守的ながら挑戦の機会はあり |
日本製紙 | 1兆450億円 | 660万円 | 64 | 保守的で人間関係は築きやすい |
大王製紙 | 6,462億円 | 631万円 | 56 | 若手でも意見を主張しやすい |
財務情報の比較(売上)
今回三菱製紙との比較のためにピックアップしたのは、国内の製紙業界でトップクラスの大手企業です。中でも特に売上高や事業規模が大きいのが、王子ホールディングスと日本製紙です。ただし、三菱製紙と大王製紙も業界でトップ10に入る大手になります、
紙媒体のデジタル化が進むなどの情勢から、製紙業界の業績としては落ち込みなども予想されていました。しかし近年は環境保護の観点から、プラスチック製品を紙製品で代替するケースも多くなっており、製紙業界の新たな事業展開としても注目されています。
社風の比較
業界に共通して見られる社風のひとつが、保守的な傾向です。大手企業には長い歴史を持つ老舗も多く、それが保守的な風土が残る要因とも言えるでしょう。ただし、先述の通り、社会の変化や環境課題の深刻化などにより、製紙業界には新たなスタイルや事業に踏み込むことも求められており、そういった時代のニーズに対応しようとする方向も見られます。また、基本的に人柄が良く穏やかな社員が多いことも業界の特徴と言えるでしょう。良好な人間関係を築きながら働ける職場環境があります。
なお、社員が挑戦できる機会については各社まちまちで、かなり少ない企業もあれば、積極的にチャレンジの場を設けようとしている企業もあります。
就職偏差値
製紙業界のトップクラスの大手企業は就職偏差値も高めです。ただし、学歴より個人を重視している傾向にあり、選考対策を万全にすることによって、難関突破は不可能でないと考えられます。
なお、三菱製紙の新卒採用人数は非常に少なめです。近年の状況を言えば、2021年は17人で、2022年はゼロ、2023年は7人の採用を予定しています。また、2024年は23人の募集枠を用意しているようです。採用倍率などは不明ですが、全く新卒を採っていない年もあれば、例年より多めの人数を募集する年もあります。年によって人数にかなりバラつきがあるので、就活の上では情報収集を必ずしましょう。また、募集があっても人数は多くないので、採用獲得は容易でないと考えられます。十分な選考対策も欠かせません。
三菱製紙との比較で取り上げた3社について、より詳しく知りたい場合は次の記事もチェックしてみてください。
【企業研究】王子ホールディングスの就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説
【企業研究】日本製紙の就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説
【企業研究】大王製紙の就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説
また、業界内の就職偏差値などについてさらに調べたい方は、こちらの記事もぜひどうぞ。
採用大学
三菱製紙で採用実績のある大学の例は次の通りです。
青山学院大学、茨城大学、岩手大学、宇都宮大学、愛媛大学、大阪大学、大阪電気通信大学、岡山大学、神奈川大学、金沢大学、関西外国語大学、関西大学、関西学院大学、学習院大学、九州大学、京都大学、京都工芸繊維大学、近畿大学、慶應義塾大学、甲南大学、神戸大学、國學院大學、埼玉大学、芝浦工業大学、島根大学、首都大学東京、信州大学、上智大学、成城大学、摂南大学、専修大学、創価大学、千葉大学、中央大学、東京大学、東京外国語大学、東京経済大学、東京工業大学、東京工芸大学、東京電機大学、東京農業大学、東京農工大学、東京理科大学、東北大学、同志社大学、獨協大学、名古屋工業大学、新潟大学、日本大学、兵庫県立大学、福井大学、福島大学、法政大学、北海道大学、松山大学、三重大学、明治大学、明治学院大学、山形大学、横浜国立大学、立教大学、早稲田大学 ほか(五十音順)
このほかに、大学院・短大・高専・専門学校などの学生も幅広く採用しています。採用大学を見ても有名大学の名前は数多くありますが、ローカルな大学や特定分野の大学などからも採用者が多く出ています。このような状況を鑑みると、三菱製紙には学歴フィルターは存在しない可能性が高いと言えるでしょう。
海外の生産拠点の1つであるドイツの工場を売却
三菱製紙は海外の生産拠点の1つであったドイツの工場1箇所を2022年末をもって閉鎖・売却しました。こちらの工場では感熱紙などの生産を行われていました。しかし、2020年から数年に渡る世界的な感染症流行により、一部紙製品のデジタル化が加速。航空チケットのペーパーレスが進んだことで打撃を受けたようです。また、続く原料高も生産を圧迫し、工場閉鎖の要因となっています。
ただし、原料高による影響が著しいのは製紙業界だけではありません。社会の情勢に合わせ、事業や組織の見直しを図ることは非常に重要です。なお、ドイツのもう1つの生産工場は現在も稼働しています。
参考:三菱製紙、ドイツ工場を閉鎖 感熱紙など原料高で、三菱製紙、ドイツ工場の事業売却で32億円の特別損失計上(日本経済新聞)
まとめ
三菱製紙は国内外の製紙業界において、設立から現在にいたるまで常に第一線を走り続けている大手企業です。現代では、デジタル推進によるペーパーレス化や脱プラスチックなど、製紙業界に大きく影響するような動きも多々見られます。さらに、各業界で深刻化する原料高の問題は、製紙業界にも例外なく押し寄せています。このような状況において、時代の波に乗りながら、歴史を守り、かつ新しい事業にも挑戦していく三菱製紙は、これからも世界の紙産業や私達の生活を支え続けてくれる企業として存在感を放つでしょう。
そして社会に不可欠な紙製品を供給するという、重要な役割を担う三菱製紙で働けば、大きなやりがいも得られるかもしれません。三菱製紙は年によって新卒採用の人数が異なり、募集なしの年もあります。そのため、募集を行う年には就活生からの人気が高まる可能性もあるでしょう。三菱製紙に興味を持っている方は、この記事をきっかけにさらに深く企業研究を行ってみてください。