【業界研究】宇宙産業とは?志望動機・ビジネスモデル・職種を徹底解説

【業界研究】宇宙産業とは?志望動機・ビジネスモデル・職種を徹底解説

2023年9月30日更新

はじめに

過去と比較すると、年々その存在が身近になっている「宇宙」。

 

宇宙産業と聞くと、ロケットや人工衛星の打ち上げなどが代表的ですが、最近では民間企業が宇宙産業に積極的に参入しており、その領域は多岐に渡っています。

 

また、宇宙と聞くとJAXAが思い浮かぶ人が多いかもしれませんが、近年では私たちの日常生活を支える耳馴染みがある企業も、積極的に宇宙産業へ参入しています。

 

本記事では、そもそも宇宙産業とはどのような産業を指すのかをはじめ、ビジネスモデルや代表的な企業の紹介など、宇宙産業の詳細につながる情報を詳しくご紹介します。

 

すでに宇宙産業に目をつけている人はもちろん、これまで全く意識したことがなかったという人も、ぜひ最後までお読みくださいね。

宇宙産業とは?

宇宙産業とは、経済産業省によると以下のように定義されています。

宇宙基本計画(令和2年6月改訂)で掲げている「我が国の宇宙産業の規模(約1.2兆円)を 2030年代早期に倍増することを目指す」という政府目標の達成に向けて、人工衛星やロケット等の宇宙機器産業の国際競争力の強化、衛星通信・データ提供等の宇宙利用産業の振興に取り組んでいます。

引用:経済産業省ホームページ

 

もう少し具体例とともに噛み砕いてみましょう。

国際市場では、以下のような産業に分類されています。

  • 衛星サービス
  • 非衛星産業
  • 地上設備
  • 衛星製造
  • ロケット打ち上げ

 

私たちがイメージしやすい「宇宙」の産業である衛星製造やロケットの打ち上げは全体の6%にしか過ぎず、残りは生活に馴染んだものがほとんどです。

さらに具体的な例は、業界のビジネスモデルとともに見ていきましょう。

宇宙産業のビジネスモデル

製造・インフラ

宇宙産業を支えるビジネスカテゴリとして、製造・インフラが挙げられます。

ロケットや人工衛星、地上局といった、宇宙でテクノロジーを利用するための機器を製造する企業や、宇宙でのテクノロジー利用を促進するためのシステムを開発する企業が該当します。

製造分野は大きく「ロケット」「人工衛星」「地上局」といった3つに分けることができ、近年では民間企業が小型ロケットや小型衛星の開発に参入することが増えてきました。また、ただロケットや衛星を打ち上げるのではなく、取得したデータを活用するためのシステムを開発する企業も多くなっています。

しかしながら、衛星を通じて取得したデータの解析は一般的ではありません。

どのような事業者であっても使いやすいように、データを扱うことができるシステムを開発する企業や、画像解析技術を提供する企業などが登場し、今後もますます目が離せないビジネスカテゴリと言えるでしょう。

宇宙利用

宇宙利用というビジネスカテゴリは、言葉だけ聞いてもピンと来ないという人がほとんどなのではないでしょうか。

このカテゴリは大きく2つに分けることができ、「人工衛星を利用」することで地球上の生活を豊かにするビジネスと、地球上では実現できないことを、「宇宙空間を利用」して実現するビジネスという形に分けられます。

人工衛星を利用するビジネスの場合、即位衛星と呼ばれる衛星を用いて、高精度な位置情報を導き出すビジネスのほか、船舶などの様子を監視し、効率的な航行を支援するビジネスなどが挙げられます。

宇宙空間を利用するビジネスの場合、雲の影響を受けずに効率的に発電を行う宇宙太陽光発電や、バイオテクノロジーを活用した新たな技術や新薬の開発など、宇宙空間を存分に活用し地球に還元するビジネスが例として挙げられます。

しかしながら、製造・インフラと比較するとまだまだ民間企業が参入して日が浅いビジネスモデルであることから、今後より多くの企業が参入していくことが期待されます。

宇宙探査

宇宙探査は、文字通り「宇宙を探査」するビジネスを指しますが、実際に人が宇宙に出向いて宇宙探査を行う「有人宇宙探査」と、探査機が宇宙に出向く「無人宇宙探査」に分けることができます。

かつては国家機関のみが実際に探査できるとされていましたが、近年では民間企業の参入が多くなっています。

また、民間人が宇宙へ旅行に行く「宇宙旅行」を実際に行う人が増えてきましたが、この領域も宇宙探査にカテゴライズされます。

今後の拡大次第では、私たちの生活に最も身近な存在になる可能性が高いと言えるでしょう。

宇宙産業の職種

では、宇宙産業にはどのような職種があるのでしょうか。

代表的な職種をご紹介します。

開発技術者

宇宙産業に欠かせないのは、開発技術者です。

衛星やロケットなどの開発はもちろん、設計や製造までを担います。

開発技術者と聞くと、JAXAのような宇宙産業を中心に扱う企業でしか就職できないイメージがあるかもしれませんが、実際のところそんなことはありません。近年は民間企業も衛星やロケット開発に積極的に参加しているため、小さな町工場のような企業でも、宇宙に関する開発技術者となれる可能性は十分にあるでしょう。

設計した設備や機材の各種テストや、機器の運用・保守など、領域は多岐に渡るため、自身の強みや興味、専門分野を十分に考慮して職種を選ぶ必要があります。

研究者

宇宙産業には、まだまだ研究が欠かせません。

どのような分野の研究を行うかにはよるものの、宇宙産業に携わるほぼすべての企業が、研究を行っていると言っても過言ではないでしょう。

一言に研究と言っても、その領域は多岐に渡り、人工衛星やロケットといった宇宙産業の代表的な職種はもちろんのこと、通信や測位など、幅広い領域の研究が行われていることから、自身が気になる研究領域を見つけ、取り組むことが求められるでしょう。

その他一般職

これまで宇宙産業では、開発系の技術職や研究職のみが一般的でした。しかし宇宙産業を取り扱う民間企業が増えたことによって、いわゆる一般職のような業務が増えている傾向にあります。

自社の商品を他社へ売り込む営業職をはじめ、自社の取り組みを広報する広報職、さらにはより加速的に事業を伸ばしていくために、必要人材を獲得するための人事職など、一般企業に存在している職種は宇宙産業に関する企業であっても、基本的に需要が出てきたと考えて間違いないでしょう。

もちろん技術職や研究職と比較するとまだまだ募集人数は少ないため、気になる企業については、定期的に求人をチェックすることが必要です。

宇宙産業の大手企業紹介

では、宇宙産業の大手企業にはどのような企業があるのでしょうか。代表的な大手企業を詳しく見ていきましょう。

 

会社名売上高平均年収就職偏差値・難易度社風
JAXA国立研究開発法人のため売上高なし8,690,000円70・オンオフを使い分け、プライベートには干渉しないながらも、優しい人が多い

・福利厚生が充実している

三菱重工4,202,797百万円(2023年3月度)9,186,262円(2023年3月度)63・主体性を持っていれば、年次に関係なく挑戦できる土台がある

・大企業文化が残り、意思決定には時間がかかる

三菱電機5,003,694百万円(2023年3月度)8,273,671円(2023年3月度)58・自ら手を挙げる人には、新しいスキルの習得も協力的

・実力主義ながらも、年功序列の文化が残る

NEC3,313,018百万円(2023年3月度)8,428,687円(2023年3月度)55・キャリアオーナーシップが定着しており、自身のキャリアに向き合う機会は多い

・部門によるが、風通しが年々良くなってきている

参考:【24卒・25卒最新版】文系・理系・公務員別就職偏差値・難易度ランキング

宇宙産業の動向

では、宇宙産業の動向は現在どのようになっているのでしょうか。

詳しく見ていきましょう。

市場規模

まずご紹介するのは市場規模です。

宇宙産業市場は日本国内だけでも71,588億円にも上り、その規模は年々拡大しつつあります。(参考:宇宙産業の発展に向けて―我が国宇宙産業の国際競争力強化を目指して―

日本国内において宇宙産業は、国家の安全・経済・科学を担う戦略的分野という位置づけになっており、国家戦略的にも成長を促しています。現在市場は大きく拡大しているものの、中核となっている衛星システムは、ほぼすべて米国製となっており、日本企業による産業の発展が強く求められています。

成長性

日本国内の宇宙産業は、成長性という意味では他国と比較すると劣りを見せています。

大きな理由として挙げられるのは、日本企業の売上の9割は官需であることが大きな理由です。具体的な金額で比較すると、宇宙機器産業の売上は日本が約2600億円に対し、アメリカは約4.0兆円、EUは約9000億円となっており、現状の宇宙予算も少なくなっています。

今後のさらなる成長には民需の拡大が必要ではあるものの、現段階ではそのあたりは不明瞭で、引き続き国外との差は大きく広がっていくことが予想されます。

宇宙産業の志望動機

では、宇宙産業の志望動機はどのようなものが挙げられるのでしょうか。代表的な志望動機を見ていきましょう。

  • 宇宙という未知の領域に挑戦したい
  • 宇宙開発を通じて人類の発展に貢献したい
  • 宇宙業界に憧れがあった
  • 宇宙分野という独自性が高い領域で働きたい

このように、ビジネスとしては不透明な部分が多い宇宙領域だからこそ、「自分が新たな時代を創るぞ」という意気込みで志望する人が多いです。

また、民間企業で宇宙産業に取り組む場合は、「なぜ他の事業ではなく宇宙産業に携わりたいのか」「なぜ直接的な宇宙産業の企業ではなく、この業界から宇宙開発に携わりたいのか」を明確にしておく必要があります。

ホットニュース

では、最後に宇宙産業に関するホットニュースをご紹介しましょう。

月面利用市場が成長のカギ?

日本の宇宙産業が官需に頼っているため、国際競争力を発揮できていないことはすでにお伝えしました。しかし、現状を考慮すると官需からの脱却は容易なものではなく、新たな成長性を武器にするためには、新産業をターゲットにする必要があると考えている人が多くいます。

中でも注目されているのは、月面利用市場です。2019年に月での持続的な活動を目指す国際宇宙探査プロジェクト「アルテミス計画」の発表を受け、月面探査や月面利用に関する取り組みが世界的に活発化しています。

日本もこの「アルテミス計画」への参画を決定していることから、月面利用は遠い存在の話ではなく、今後の注力市場の位置付けです。

月面での建設や情報通信、資源・エネルギー、食糧・バイオ分野など、これまで民間企業が培ってきた専門性を存分に発揮できるタイミングが到来しています。

これらの市場も、立ち上がり当初は国家主導になることが予想されているものの、今後は民間主導のビジネスへ転換が予想されているため、この領域での専門性発揮こそ日本の宇宙産業の拡大に大きな影響を与えると言えるでしょう。

また、世界各国もこれから技術力を養っていく領域であるため、日本が先行優位性を獲得できる可能性も高いと言えます。

まとめ

ここまで、宇宙産業とはどのような産業を指すのかをはじめ、ビジネスモデルや代表的な企業の紹介など、宇宙産業の詳細につながる情報を詳しくご紹介してきました。

 

これまで宇宙と言えば「JAXA」というイメージしかなかった人も、民間企業での就職をはじめ、様々な宇宙への携わり方があることが分かったのではないでしょうか。

 

日本は確かに他国と比較すると遅れを取っていますが、技術的に劣っているわけではありません。ロケットの打ち上げをはじめ、世界と戦える分野を多数持っています。

 

また、これまでは理系学生のみが参入できるイメージだった宇宙産業ですが、現在ではそのような縛りはありません。ぜひ、興味がある人は文系・理系問わず今一度宇宙産業へ挑戦してみてはいかがでしょうか。

 

ぜひこの記事をきっかけに、宇宙産業への興味を広く持っていただけると嬉しいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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