【業界研究】建設業界とは?志望動機・ビジネスモデル・職種を徹底解説
2023年9月13日更新
はじめに
私たちの生活に欠かせないさまざまな建物や施設を創り出す業界、それが建設業界です。建設業界に興味を抱き、もっとよく知りたいと考えている就活生も多いのではないでしょうか
。そこで本記事では、建設業界の業界研究に役立つ内容を解説します。建設業界を構成する企業の種類や主な職種、大手企業、業界の動向・ニュースなど、幅広くみていきましょう。
建設業界とは?
建設業界は、公共工事や土木工事の実施、建物や施設の建設・整備・補修などを担う業界です。建設業界を構成する企業には次のような例があります。
ゼネコン・サブコン
ゼネコンは「ゼネラルコントラクター」を略した言葉です。日本語では「総合建設業者」を意味します。建設会社の中でも、「設計・施工・研究」を全て自社で担当できる企業がゼネコンに分類されます。建設計画をトータルで請け負えることが強みです。公益施設・企業拠点・インフラ・アミューズメント施設など、幅広いジャンルの建設を担当します。なお、ゼネコンの下請け業者はサブコンと呼ばれます。
工務店
工務店は、拠点を置く地域をメインに住宅の建設を請け負う業者です。建設業界の企業の中では、最も地域との密着度が高めな種類と言えます。住宅工事を総合的に請け負い、施工業者を管理しながら工事を進めることが主な業務です。
ハウスメーカー
ハウスメーカーは、工務店よりもさらに広範囲で住宅建設を請け負う会社です。具体的な定義はありませんが、自社ブランドを持ち、全国規模で住宅建設事業を展開していることなどが主な特徴です。
業界のビジネスモデル
建設業界に属する企業は、次のようなビジネスモデルで収益を得ています。
施工主から代金を受け取る
企業が施工主と直接契約を結んで建設工事を請け負っている場合、施工主から受け取る代金が収益になります。例えば工務店やハウスメーカーが個人から住宅建設を請け負う、ゼネコンが法人から施設建設を請け負うなどのパターンが考えられます。
元請けから代金を受け取る
下請け業者として建設工事の一部を請け負う場合、元請けから受け取る代金が収益になります。なお、下請け業者は元請け会社から不当な扱いを受けないよう、下請法によって守られており、代金支払いがスムーズに行われるための支払期日や支払い手段などについても定められています。
当該業界の職種
建設業界はさまざまな職種の業務によって成り立っています。ここでは、建設業界を支える主な職種について、業務内容や求められるスキルを紹介します。
施工管理
施工管理は、建設に携わる技術者などに指示を出す現場監督を担当する職種です。現場で直接指示を伝えるだけでなく、工事全体のスケジュール調整や進捗管理など、総合的なマネジメントを行います。なお、管理する工事も建設・土木・電気・配管などさまざまです。
工事をトータルでコントロールする立場であるため、非常に責任の大きい職種だと言えます。業務を最後まで責任を持って完了させる遂行力、工事の内容やスケジュールを広い視野で見ながらバランスを考え調整できる管理能力やマネジメント力、工事に携わる人とスムーズな連携をはかれるコミュニケーションスキルなど、幅広な能力が求められます。また、デスクワークを行う場面も多々あるので、書類作成能力もあると良いでしょう。
なお、資格がなければ就けない職種ではありませんが、工事現場には国家資格である「施工管理技士」を有する従業員を1名以上設置しなければならないルールがあり、施工管理者がその役割も兼ねているケースが多く見られます。
設計
設計は、建設するものの設計図を作成する職種です。顧客の希望や機能性、コスト、技術的な部分などを加味しながら、ニーズにマッチする設計図を考え作り上げます。なお、コンピュータで設計図を作るツールであるCADソフトを操作する技術者はCADオペレーターとも呼ばれます。
設計を行うには、設計作成に関する専門的な知識・スキルが不可欠です。また、さまざまな要素をバランスよく設計に盛り込む論理的思考力、発想力や提案力も求められます。その他、クライアントのニーズをしっかり汲み取り、設計に反映させるためコミュニケーションスキルも欠かせません。
技術
技術は建設技術を駆使する職種です。実際に現場で建設作業を行う、建設に活用する技術を提案・開発するなどの業務が主です。技術の中でもさらに細かく種類が分かれており、大工・とび職人・左官職人・内装工・塗装工・重機オペレーターなど、さまざまな技術者がこの職種にカテゴライズされます。
技術者はそれぞれの担当する作業について専門的な知識・スキルを要します。また、技術者に欠かせないのが体力です。建設現場では重量のある資材をかさんだり、厳しい体制で作業を続けたり、体力を使って業務にあたる場面が少なくありません。作業内容や現場にもよりますが、季節を問わず屋外で長時間作業を行うことも多く、体が資本の職種です。
営業
営業は、自社の営業活動を行い工事契約を獲得する職種です。建設会社の売上に直接影響する業務とも言えます。顧客の開拓のため、電話・メール・ネット・自分の足などさまざまなツールを使って自社の商品や技術の売り込みを行います。
営業にまず求められるのは自社のサービスに関する深い知識です。営業は企業の顔とも言われる存在であり、クライアントと自社をつなぐ窓口にもなります。クライアントに自社サービスを紹介する、クライアントの質問に応えるなど、さまざまな場面で十分な対応が必要がです。また、自分の提案を伝え、顧客のニーズを理解するコミュニケーションスキルや、さまざまな場面ですぐ行動できるフットワークの軽さなども不可欠です。
事務
事務は、建設会社においてバックオフィス業務全般を担当する職種です。総務・経理・営業事務など、さらに細かく分類されることもあります。見積書・契約書類・請求書といった各種書類の作成、データ入力、予算管理、給与関連作業、オフィス管理など、その業務は幅広く多岐に渡ります。建設業界は取り扱う数字が大きくなりやすく、また工事費の積算なども複雑な部分があるため、他の業界の事務とまた異なり特殊な部分も存在します。
事務処理スキルの他、建設業界の基本的な知識、さまざまな部署の従業員や取引先と円滑にやり取りするコミュニケーションスキルなどが求められます。
大手企業紹介
それでは、建設業界の大手企業を紹介します。建設業界には、売上規模1兆円を超える業界トップのゼネコンが5社あり、これらを総じて「スーパーゼネコン」と呼んでいます。
会社名 | 売上高 | 平均年収 | 就職偏差値・難易度 | 社風 |
清水建設 | 1兆9,338億円 | 971万円 | 68 | 若手も活躍のチャンスあり |
大林組 | 1兆9,838億円 | 1,032万円 | 69 | 穏やかで地道な性格の社員が多い |
大成建設 | 1兆6,427億円 | 993万円 | 69 | より良い環境づくりに前向き |
鹿島建設 | 2兆3,915億円 | 1,164万円 | 70 | 大きな成長ややりがいが得られる |
竹中工務店 | 1兆3,754億円 | 1,010万円 | 69 | 真面目で団結力が強い |
清水建設株式会社
「清水建設株式会社」は、東京に本拠を置く1804年創業の建設会社です。「子どもたちに誇れるしごとを。」というコーポレートメッセージを掲げています。子ども達が賑やかに建物づくり遊びを楽しむ同社CMなどを観たことがある人も多いでしょう。警視庁本部庁舎・サンシャイン60・大阪国際空港ターミナルビル・横浜スタジアムなど、全国各地の大規模な施設を数々手がけており、圧倒的に豊富な実績があります。世代や役職を問わず良好な人間関係を築きやすく、自分の意見を発信しやすい環境のようです。若手社員が活躍のチャンスをつかみやすい職場と言えるでしょう。
【企業研究】清水建設の就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説
株式会社大林組
「株式会社大林組」は、1892年大阪で創業した建設会社です(現在は東京に本拠を置いています)。企業理念は「『地球にやさしい』リーディングカンパニー」、創業地である大阪を中心に豊富な建設実績を有しています。大阪万博のランドマークとして有名な「太陽の塔」も大林組が施工したものです。また、東京スカイツリー・関西国際空港・大阪ドームなど名だたる施設の他、海外での建設実績が多いことも強みと言えます。穏やかなで地道な仕事を好む従業員が多く、スーパーゼネコンの中でも比較的おっとりとした社風のようです。
大成建設株式会社
「大成建設株式会社」は、東京に本拠を置く1917年設立の建設会社です。スーパーゼネコンの中では唯一非同族会社という特徴を持っています。「人がいきいきとする環境を創造する」のグループ理念のもと、持続可能な環境を意識しながら事業活動を行っています。大規模建築土木工事が得意分野で、明石海峡大橋・浅草寺風神雷神門・国立競技場・さいたまスーパーアリーナなど、全国各地の著名な建造物を多く手がけています。また、海外でも橋・空港・トンネル・ダムなどさまざまな建設工事に携わっています。社風はやや縦割り的な雰囲気が強い部分もあるものの、挑戦の場があり、風通しもより良くしようと変化を目指す空気が感じられるとの声が聞かれます。
鹿島建設株式会社
「鹿島建設株式会社」は、1840年に創業した大工店からの流れを組む、東京の建設会社です。コーポレートスローガンは「100年をつくる会社」、超高層ビル建築を得意分野としてており、日本各地のタワー建設に携わっています。また他にも、国立新美術館・両国国技館・霞が関ビルディング・各地の原子力発電所など、その建設実績は多彩です。国内外に拠点が多いことも特徴で、世界中に200以上の拠点を有しています。自分の仕事に誇りを持っている従業員が多く、クオリティの高い業務を求められる分、成長ややりがいも多く得られる会社です。
株式会社竹中工務店
「株式会社竹中工務店」は、大阪に本拠を置く建設会社です。スーパーゼネコンの中でも特に歴史が古く、織田信長の家臣であった竹中藤兵衛正高が、1610年に名古屋で創業したことに始まります。東京タワー・日本武道館など誰もが知っているスポットを始め、空港・駅・スタジアム・学校・劇場・ホテル・工場・公共施設など、ありとあらゆるジャンルの建造物の実績を有しています。また、設計分野が強く、設計部署から多くの著名な建築家がでています。真面目な従業員が多いこと、団結力が強く社員同士の連携や協力体制もとりやすいことなどが社風の特徴です。
当該業界の動向
近年は再開発の活発化などにより、建設投資が拡大の傾向にあり、建設工事の数自体は増加しています。その一方、不安定な社会情勢や円安、海外のデフレなど、さまざまな要因の影響により、建築資材の価格高騰も発生中です。
これらの状況から、売上が増えるとともに、コストも従来よりかさむこととなり、利益の増になかなかつながりにくいという状態も起こっています。また、今後も建設工事の需要増は続くと見込まれますが、建設業界でも人手不足がさらに深刻化しつつあり、この問題にどのように対処していくかも大きな課題になりそうです。
志望動機
就活で必ず応募先から確認されるであろうことが志望動機です。ここでは、建設業界の志望動機でよく見られる例を紹介します。
ものづくりに興味がある
建設業もものづくりのひとつです。自分の手で何かをつくり出すことには、特別な達成感ややりがいがあります。社会を形成する上で欠かせない建物づくりに携わることへの熱意を、自分自身のエピソードなども踏まえつつアピールすれば、説得力はよりアップします。
都市開発に携わりたい
自分の住む街づくりに、都市開発の観点から携わりたいという志望動機もよく見られます。
自分にとって最も身近な場所だからこそ、よりよい環境にしたい、誰もが住みよい地域にしたいと強い思いを持っている人も多いでしょう。その街をよく知っていることは、開発の上でも大きな強みです。地域に密着した建設会社などに応募する際の志望動機にも適しているでしょう。
ホットニュース
働き方改革関連法の適用による残業時間の規制の影響などで、2024年から建設業界で著しい人手不足が発生すると言われています。これが「建設2024年問題」です。この問題を解決する方法として、建設作業のICT化や省人化など、打開する方法が急ピッチで模索されています。また、建設業界の過酷なイメージから、若い世代の就業人数がなかなか伸びず、人手不足が解消されないことなども業界に影響を与えています。