就職先の倍率の考え方と注意すべきポイントを徹底解説
2024/8/17更新
はじめに
就職先を選ぶ際にどうしても気になってしまうのが倍率です。
400倍以上の競争倍率になる企業も存在しており、入社試験を受ける前から気が引けてしまいますよね。
就活生の中には、「そんなに倍率が高いなら、私みたいな学生は不採用になってしまう」と尻込みしてしまう人もいるでしょう。
ですが、結論から申し上げると、就職先の倍率は気にしなくてOKです。
細かい内容については、本記事で紹介していきますね。
本記事では、以下のような就活生に向けて、倍率の定義や調べ方、競争倍率の高い業界・低い業界について徹底解説します。
- 倍率の定義や調べ方、計算の仕方が知りたい
- 倍率が選考にどのように影響するのか知りたい
- 倍率の高い業界や企業について知りたい
加えて、倍率だけで志望企業を選んでしまうのは危険なので、倍率を参考にする場合の注意点についても解説しています。
倍率を参考にするのはいいですが、あまりにも影響されすぎると就活の軸がブレてしまうので注意しましょう。
倍率にとらわれることはなく、いかに参考にできるかが重要ですので、本記事を読んでニュートラルなマインドで就活に臨んでください。
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就活で使用する倍率とは
就活で使用する倍率は、「就職倍率」「内定倍率」「求人倍率」の3つです。
この指標さえ押さえておけば、まず問題ありません。
3つの指標の違いは以下のとおりです。
- 就職倍率:
エントリーした就活生の人数÷採用予定人数
→エントリーした人が100人で、採用予定人数が5人の場合の就職倍率=20倍(100÷5) - 内定倍率:
エントリーした就活生の人数÷内定を出した人数
→エントリーした人が100人で内定を出した人が2人の場合の内定倍率=50倍(100÷2) - 求人倍率:
求職者数÷求人数
→求職者数が100人で企業側の求人数が100人の場合の求人倍率=1.0(100÷100)
就職倍率は「何人採用するのか?」という未来にフォーカスした数値であるのに対して、内定倍率は「実際に何名の内定を出したのか?」という過去を指標にした実績数値となるので、違いを押さえておきましょう。
就職先の倍率を調べる方法3選!
残念ながら民間企業において独自に応募者数、筆記試験受験者数、面接受験者数などを公表する会社はありません。
そのような詳細を公表するのは一部の公務員試験、団体職員試験くらいです。
でも、大丈夫です。
ここからは、倍率を独自で調べる方法を3つ紹介します。
①就職四季報で調べる
就活生なら一度は目にしたことがあるであろう「就職四季報」という書籍を使用して調べる方法です。
この本には就活生の応募人数をもとに、最新の倍率が掲載されているので参考にできます。
ただし、企業によっては倍率を掲載していない場合もあるので注意しましょう。
ちなみに内定倍率が低すぎたり高すぎたりする企業は、NA(No Answer)にする傾向が強いです。
なぜなら、あまりにも倍率が低いと就活生から「この企業、人気がないけどなんかあるの?」と思われる可能性があります。
逆に倍率が高いと「この企業、人気がありすぎて受からないかもしれない」と敬遠して優秀な学生を取りこぼす可能性があるからです。
②求人サイトの「気になる」の登録人数で計算する
求人サイトの「気になる登録者人数」から倍率を計算する方法もあります。
ある企業に興味を持っている就活生がお気に入り登録をしていますので、その人数を確認することによって倍率を推定していきます。
具体的には「お気に入りの人数÷採用予定人数」で計算すれば就職内定率を推定できるでしょう。
たとえば、お気に入りの人数が1,314人で採用予定人数が10人の場合は、1,314÷10=131.4となりますので、倍率は約131倍と推定できるわけです。
もちろん、以下の点を考慮しておく必要があるので理解しておきましょう。
- 文系と理系が一緒になっている
- お気に入りに登録せずにエントリーする就活生がいる
- ほかのサイトや企業ホームページから登録する就活生がいる
- お気に入り登録しても実際に受けない就活生がいる
上記の点を加味する必要があることから、精緻な数字は出せませんが、おおよその推定は可能なので目安にはなりますよね。
③会社説明会の参加人数から倍率を推定する
「会社説明会に実際に参加して、参加人数を把握した上で倍率を予想する」という方法です。
たとえば、ある会社の説明会に参加したときに当日の参加者が20人だったとしましょう。
もしこの説明会が1日1回だけの開催なら、ライバルは自分を除いた19人です。
もし説明会が当日3回開催なら「1回につき参加者が20人」が「3回」行われるので、「20人×3回」で60人の参加者がいることが想定できます。
さらにこのやり方はWeb説明会でも応用可能です。
Web説明会に参加したときも参加人数を確認し、その日以外にも説明会があるなら「人数×説明会の回数」で計算すれば倍率を予想できます。
ただし、説明会に参加した就活生全員が選考に進むとは限らないことや、説明会に参加せず選考に臨む就活生もいるため、倍率は変化すると考えられます。
上記の方法を組み合わせることにより正確に予想できるので、ぜひ試してみてくださいね。
内定倍率の高い企業トップ20
ここからは内定倍率が高いとされている企業を20社紹介します。
順位 | 社名 | 倍率 | 内定 者数 | 業種 |
1 | GMOインターネットグループ | 476.5 | 2 | システム・ソフト |
2 | カゴメ | 377.7 | 12 | 食品 |
3 | 東京ドーム | 280.0 | 15 | レジャー |
4 | 日産化学 | 199.7 | 3 | 化学 |
5 | 松竹 | 192.1 | 11 | レジャー |
6 | 東京応化工業 | 191.0 | 1 | 化学 |
7 | 東映 | 184.6 | 14 | レジャー |
8 | アサヒグループ食品 | 178.3 | 26 | 食品 |
9 | オリンパス | 175.7 | 3 | 医療機器等 |
10 | 日本オラクル | 164.4 | 12 | システム・ソフト |
11 | 日本出版販売 | 159.9 | 13 | 商社・卸売業 |
12 | ハウス食品 | 156.7 | 23 | 食品 |
13 | 講談社 | 156.1 | 24 | 出版 |
14 | ダイドードリンコ | 153.8 | 6 | 食品・飲料 |
15 | 東急百貨店 | 146.0 | 3 | デパート |
16 | 三洋化成工業 | 141.0 | 1 | 化学 |
17 | ぴあ | 138.0 | 12 | その他サービス業 |
18 | KADOKAWA | 133.3 | 30 | 出版 |
19 | ミルボン | 128.1 | 42 | 化粧品 |
20 | NSユナイテッド海運 | 123.0 | 7 | 海運 |
このランキングを見ていると、知名度が高い企業が必ず上位にランクインしているとはいえません。
どちらかというと、内定者数が少ない企業が上位にランクインしている印象を受けます。
また、就活生から高い人気を誇っている金融業界の企業は1つもランクインしていないのは驚きです。
ちなみに、就職四季報に掲載されている業界で最も高倍率なのが食品業界で、内定倍率は86.2倍となっています。
一方、倍率が低い業界は建設業界で14倍程度にとどまっているのが特徴です。
倍率を見る際は、エントリー者数を気にするのではなく、採用予定数を意識するようにしましょう。
採用予定社数が少ない企業ばかりをチェックしている就活生は、ある程度採用数が見込める企業にも挑戦しておきましょう。
気がつけばすべて不採用だったとならないように注意が必要です。
ここからは内定倍率が高い企業に共通するポイントを解説していきます。
ビジネスモデルがBtoCの企業
採用しているビジネスモデルがBtoCの企業は倍率が高くなる傾向にあります。
BtoCとは「Business to Customer」の略で、商品を直接消費者に届けるビジネスモデルを採用している企業を指します。
一般消費者に商品を購入してもらう必要があるため、広告宣伝に力を入れているのが特徴です。
知名度が高い企業が多いので、必然的に応募数が増え、高倍率化するのです。
ちなみにBtoBは「Business to Business」の略で、製品を卸売業者や小売業者へ販売するのがメインのビジネスモデルのことを指します。
企業間での取引がメインとなるため、売上や経営が安定しやすいのが特徴です。
しかし、BtoCの企業に比べ、社名が世の中に出る機会が少ないので、知名度が低くなってしまっているのが現状です。
知名度の高い大企業
知名度が高い大企業や、有名企業には就活生の応募が殺到します。
ネームバリューがあると、経営に透明性があったり、福利厚生や給与などが充実しているイメージがあったりしますよね。
以下の表で広告宣伝費が多い会社をまとめていますのでご覧ください。
【広告宣伝費が多い会社トップ10】
順位 | 社名 | 広告宣伝費(単位:億円) |
1 | ソニーグループ | 2,600 |
2 | 日産自動車 | 2,325 |
3 | イオン | 1,705 |
4 | リクルートホールディングス | 1,417 |
5 | サントリー食品インターショナル | 1,306 |
6 | セブン&アイ・ホールディングス | 1,129 |
7 | ブリヂストン | 974 |
8 | マツダ | 925 |
9 | 資生堂 | 860 |
10 | 任天堂 | 844 |
先ほど説明したBtoCのビジネスモデルを採用している有名企業が名を連ねています。
このような企業は一般消費者に認知してもらう必要があることから、サービスや自社の商品をPRするために多くの金額を投資しているのです。
就活生としても、認知度の高い会社はエントリーの敷居が下がりますので、倍率が高くなるというわけです。
ランキングで上位に名前の挙がっていた企業について、企業研究の記事もございます。業界研究にぜひご活用ください。
倍率を参考にする際の4つのポイント
ここからは、就活で倍率を参考にする場合のポイントを4つ解説します。
倍率を参考にする際は、以下の点を押さえておきましょう。
- 就職倍率が高い=いい企業とは限らない
- 就職倍率が低いから受かるとは限らない
- 中小企業にも目を向ける
- インターンシップに参加する
この4つのポイントを押さえておけば、倍率という数字のマジックに振り回されることはなく就活を進めることができるでしょう。
①就職倍率が高い=いい企業とは限らない
倍率の高い人気企業があなたに合うかどうかはわかりません。
人気企業は高嶺の花のようなものです。
外見は確かに美しく魅力的で、当然みんなからモテモテなのですが、いざ付き合ってみると、性格がちょっと…ということもありえますよね。
なので、就職倍率が高い企業であっても、あなたにとっていい企業とは限りません。
「みんな受けてるし、とりあえずエントリーしておくか」というきっかけで選考に臨むこともあるかもしれませんが、選考開始前に必ず企業分析を行うようにしましょう。
以下のページでさまざまな企業の企業分析を行っていますので、参考にしてみてくださいね。
②就職倍率が低いから受かるとは限らない
次に就職倍率が低い場合の盲点についても解説します。
「倍率が低いから大丈夫だろう」「人気がないから楽勝!」など甘く考えていると、あとになって「なんで人気がないのに落ちたの?」といった不甲斐なさに直面するかもしれません。
というのは、いくら就職倍率が低くても、その企業内に一定の内定基準があるからです。
バブルのころは「多少基準に到達していなくても、とにかく採用予定数を確保しろ」という方針でしたが、いまでは「基準に達していない場合は無理して採らない」という採用スタイルに変化しています。
あなた自身のレベルがその企業の求めるニーズを満たしていなければ撃沈しますので、就職倍率が低いから受かるとは限らないと肝に銘じておきましょう。
③中小企業にも目を向ける
大企業だけに目を向けるのは危険です。
大企業の数は日本全体の企業の約0.3%にしかすぎず、
残りの99.7%が中小企業と呼ばれる企業です。
日本には名前こそ知られていないまでも、優れた業績をあげていたり、働きやすい環境が整っていたりする優良な中小企業やベンチャー企業がたくさん存在しています。
そんな大部分を占める中小企業に振り向かず就活を行う姿は、あなたにとってピッタリの選択肢を自ら放棄している行為といえるでしょう。
もちろん、大企業は安定性があるように見えますし、知名度もあって自慢できるのも否定しません。
ですが、少し間口を広げて中小企業まで手を伸ばすと、あなたにぴったりの会社が見つかるチャンスもありますので、選択肢を広げてみてはいかがでしょうか。
以下の記事で、優良中小企業の探し方を解説していますので、ぜひご覧ください。
④インターンシップに参加する
会社説明会や面接などの選考のように外から見るだけでは企業の実態をつかめません。
いざ入社すると、良いこともありますが、どうしても悪い部分に目が行ってしまうものなのです。
できるだけ長期のインターンシップに参加して内情を把握することをおすすめします。
長期のインターンシップに参加すると、社内の雰囲気を肌身で感じることができますし、仕事を実際に体験できるので「思っていたのと違った」というミスマッチを防止することができます。
【選考通過したエントリーシートを大公開】先輩就活生のエントリーシートを見れば選考通過のヒントが得られるかも?!
「エントリーシートに正解はあるのか」「書き方が良く分からない…」こんなことを考えたことはありませんか?
就活生にとって、エントリーシートは第一関門ともいえるものです。
今回は、選考を通過したエントリーシートを20社分用意しました。
各エントリーシートにはポイント付きで解説しています。
この機会にぜひチェックしてください。
おわりに
本記事では、就職活動における倍率について解説してきました。
結論から言えば、倍率は気にしなくてOKです。
ですが、エントリーする際の目安になる数字だと思いますので、上手に参考にすることをおすすめします。
就活生の温度感は、学生によってまちまちです。
「何が何でも受かってやる」という強い気持ちを持っているような超ハイスペックな持ち主はごくわずかです。
反対に、「なんとなくエントリーしてみた」という就活生のほうが圧倒的に多いでしょう。
本当にその企業を志望しているのであれば、誰にも負けないくらい企業分析を徹底し、自信を持って選考に臨みましょう。
また、例年、就職率は90%を超えています。
要は9割を超える人が内定をゲットして就職しているわけです。
なぜ倍率が高いのに就職率が高いのか、それは全企業数の99.7%を占める中小企業に就職しているからです。
なので、倍率が高いからと切羽詰まることはなく、大企業を狙いつつ、もう少し視点を広げて優良な中小企業や成長著しいベンチャー企業もターゲットに入れてみましょう。
広い視野を持って就職活動を行えば、内定だけでなく貴重な経験も手に入りますのでおすすめです。
本記事があなたの就活に役立てば幸甚です。
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