面接で「座右の銘」を答えるときの3つの選び方
2024/8/27更新
はじめに
就職活動や転職の際、面接で「あなたの座右の銘は何ですか?」と聞かれることは多くあります。
「座右の銘」の「座右」は座っているところのかたわら、「銘」は大事なことを心に刻み込むという意味です。
要するに、あなたが生きる上で日々大切にしている言葉、行動する際に優先する価値基準と捉えるとよいでしょう。
緊張する面接で「座右の銘は?」と問われても、即座には答えられないと思いますので、事前に自分なりの「座右の銘」を準備しておきましょう。
この記事は、転職や就活をしている以下のような方に向けて書いています。
ぜひ最後までご覧ください。
- 座右の銘ってどう答えたらいいの?
- おすすめの座右の銘は?
- 人事が何を求めているのかを知っておきたい
本記事では、「座右の銘」について人事側の質問意図やNG例まで詳しく具体的に解説していますので、「座右の銘」の見つけ方やそれをどのように伝えたら人事に響くかを知りたい方にはおすすめです。
また、就活対策する上では、自分が志望する各業界について調べておくことも必要です。
以下の記事で概観しているので、ぜひご覧ください。
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「座右の銘」を質問する意図とは
人事側が「座右の銘」を質問する意図を大きく分けると、以下の3つとなります。
それぞれについて解説していきます。
あなたの価値観を知りたい
1つ目は、あなたの価値観を知るためです。
価値観とは「優先順位」を指しますが、面接する就活生がどのような優先順位で会社やプライベートのライフスタイルを送るのかを知りたいと考えています。
たとえば、仕事の進め方において、多少品質が悪くても早いほうがいい(拙速)という価値観を持っている人と、品質を完璧にするなら多少遅れてもいい(巧遅)という価値観を持っている人とに分かれます。
その価値観の違いを知ることにより、あなたの個性や人柄を把握し、会社に合うかどうかを確認しています。
入社後のビジネススタイルをイメージしたい
2つ目は、入社してからどのように仕事を進めていくのかをイメージしたいという意図です。
採用で人事が懸念していることは「採用後に活躍ができない」という状況です。
本人の行動規範につながる「座右の銘」を聞くことで、実際に仕事を任せた際に、どのような考えをもって動くのかをチェックしています。
企業文化とのマッチング度を把握したい
3つ目の目的として、企業文化や風土との相性を把握したいという意図があります。
企業は組織で動いていますので、チームワークや協働性を重視します。
全く異なった価値観を取り入れることで事業が大きく伸びることもありますが、基本的には近い価値観を持っている人のほうが長く活躍してくれる可能性があるからです。
そのため、「座右の銘」を聞くことで、自社の文化にマッチしているかどうかを確認しています。
評価される「座右の銘」の選び方3つ
次に、評価される座右の銘の選び方を3つ紹介します。
「座右の銘なので、自分の好きなことわざや四字熟語を選べばよいのではないか」と思うかもしれませんが、人事が求める意図を考慮して選ぶほうが面接では効果的です。
それぞれについて解説します。
求める人物像にマッチングするもの
心理学でいう「類似性の法則」から、人間は自分と似たような人物に親近感を持つ性質があります。
企業も一人の人間と捉えた場合、相性が合う人と合わない人がいます。
そのため、面接においては「相手の求める人物像に寄せる」ことで、相性の良さをアピールすることができます。
たとえば、企業の求める人物像が「チャレンジ精神旺盛」であれば、座右の銘として「猪突猛進」や「積極果敢」などを選択するのがよいでしょう。
逆に、高品質な製品をつくる企業の場合、失敗やミスは許されないため「質実剛健」「謹厳実直」といった真面目で堅実な言葉を選ぶ必要があります。
このように自分が好きな言葉というだけでなく、「相手の求める人物像なら、どんな座右の銘を選ぶだろうか」と逆算した上で、座右の銘を選んでいくことが大切です。
過去のエピソードにリンクするもの
「座右の銘」を伝えるだけでなく、そこに紐づいた過去のエピソードを具体的に語れるものを選ぶ必要があります。
人事からの質問でも「座右の銘」を聞かれたあとには、その銘に従って行動した事例を必ず聞かれます。
そのときに話が詰まるようでは「上っ面な座右の銘だな…」と見透かされてしまいますので、説得力のあるエピソードと併せて座右の銘を選びましょう。
過去のエピソードがうまく見つからない人は、以下の記事を参考に自己分析をしてみるのがおすすめです。
自分史やモチベーショングラフ・ジョハリの窓など、具体的なやり方もまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
尊敬する人物の格言や共感できる意味
「どうしても座右の銘が思いつかない」という場合は、尊敬する人物の格言や共感できる意味から選ぶという方法があります。
たとえば、野球選手のイチローを尊敬しているのであれば、イチローの格言が綴られた書籍の中から見つけてみましょう。
また、インターネットで「座右の銘 一覧」と検索して、出てきた言葉の中から共感できる言葉を探してみるのも1つの手となります。
その場合も企業の求める人物像に当てはまる座右の銘なのか、あなたの過去のエピソードと紐づけられるのかを考慮しながら選ぶことが大切です。
「そもそも尊敬する人が思いつかない」という方は、以下のような基準で考えてみましょう。
選ぶ基準
- あなたの価値観に影響を与えた人
- 同性
- 尊敬する理由を答えられる人
- その会社の求める人物像に近い人
- イメージがしやすい人
就活で話す「尊敬する人」は、あなたの価値観に多大な影響を与えた人である必要があります。
また、あなたと同性であるほうが、将来的なイメージが湧きやすくなります。
あなたがいくら熱弁しても、面接官がイメージできなければ水の泡です。
そのため、あまり知られていないマイナーなキャラクターなどを選ぶのは避けましょう。
「尊敬する人」として、必ずしもすべての条件を満たす必要はありませんが、面接官に伝わる人を選ぶようにしましょう。
より具体的に「尊敬する人」について考えてみたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
面接で評価される「座右の銘」の答え方と例文
「座右の銘は決まりました。でも、これを使ってどのように答えたらいいですか?」という人のために、座右の銘の答えの「型と例文」を示します。
面接で評価される「座右の銘」の答え方
「座右の銘」について答える際には、以下の型に当てはめると人事からの評価が高くなりやすいでしょう。
まず「私の座右の銘は〇〇です。」と結論から答えましょう。
その上でその座右の銘が一般的でない場合や、面接官が知らないような難解な言葉の場合には、その意味を補足する必要があります。
たとえば、以下のように話します。
私の座右の銘は「敢為邁往(かんいまいおう)」です。
これは夏目漱石の著書でも使われている四字熟語で、どんな困難が立ちはだかろうとも、目的のためには、自ら思い切ってまっしぐらに進んでいくという意味です。
【ポイント】
この四文字熟語は難易度が高いと想定できますので、意味を補足することによって親切で気が利くことをアピールできますし、次に伝える内容の理解を促進させてくれます。
次に「なぜ、それが座右の銘なのか?」という理由を説明しましょう。
たとえば、「私がこの言葉を座右の銘にしている理由は、生きる意味や困難な時に自分自身を支えてくれる大切な存在だからです。」と理由を付け加えたあとで、エピソードを交え信憑性と説得力を加えます。
私が過去大きな交通事故に巻き込まれ、生死をさまよう程の怪我をした際、本当に人生をあきらめてしまおうかと沈んでいました。そのときこの言葉と出会い、もう一度絶対に克服して再起しようと自分自身を奮い立たせてくれました。おかげでつらいリハビリにも耐えることができ、今では交通事故前と遜色のない状態まで復活することができました。
【ポイント】
ここまででも十分な回答にはなっていますが、より人事の求める回答にするには、最後をベネフィットで締めくくるのがポイントです。
ベネフィットとは「相手の求める未来や結果」です。
たとえば、上記の例に付け加えるとしたら「このように、御社ではいかなる難題にぶち当たっても絶対にあきらめない不屈の精神で会社の発展に貢献します」となります。
面接で評価される「座右の銘」の例文
上述の型を使った例文をお見せしますので、ぜひ参考にしてみてください。
ここでは、2つの事例をご紹介します。
<事例1>
私の座右の銘は「雨垂れ石をも穿つ」です。(結論)
この言葉の意味はわずかなことでも根気よく続けてやれば、成功につながるという意味です。(座右の銘の意味)
私がこの言葉を座右の銘にしている理由は、中学校の修学旅行である鍾乳洞を訪れた際に、何万年もかけて1滴ずつポトリポトリと落ちる水の雫が石に落ちることにより、最後には石のような固いものでも穴を開けてしまう程、とてつもない結果につながるということに深く衝撃を受けたからです。(理由)
それ以来、粘り強くコツコツと継続していくことを信念とし、たとえばTOEICでは隙間時間を活用し、必ず毎日3時間の勉強ノルマを自分に課しました。
この地道な積み上げが功を奏して、大学入学時に450点だったスコアが4年生の4月には860点まで向上し、410ポイントもの引き上げに直結しました。(エピソード)
この継続力を御社でも十分に発揮し、小さな努力でもコツコツ継続をして最小限の力を集積することにより、最大のアウトプットを発揮するように努めてまいりたいと思います。(ベネフィット)
<事例2>
私の座右の銘は「ふりむくな、ふりむくな、後ろには夢がない」です。(結論)
この言葉は劇作家や演出家、監督などマルチな活動をしていた寺山修二氏の残した名言で、振り返ったところで過去には夢がないという意味で、くよくよ後悔することの無意味さを表しています。(意味)
この言葉を座右の銘にしている理由は、大学3年の4月にソフトボール部のキャプテンを拝命していましたが、就任当初は市のリーグで初戦での連敗続きで、チームのムードも最悪であり、自分のチームマネジメントの不甲斐なさに打ちひしがれ厭世的になっていた私を支えてくれた言葉だからです。(理由)
この言葉に出会ってから前向きに捉えることを心がけ、チーム全員で敗戦分析を行ったり、改善点を話し合い練習メニューに組み込むなど、一人ひとりが状況に応じて考えて動く組織を目指しました。
その結果、各自が自分の役割を認識し臨機応変に行動することで、チーム力が格段に向上しました。今年の4月には市のリーグで初優勝を収め、県体に出場する切符を手にすることができ、チームがおおいに活性化しました。(エピソード)
この経験から入社しても良くなる未来を確信しながら前向きに行動し、御社の業容拡大に貢献していきたいと考えています。(ベネフィット)
「座右の銘」の面接でのNGな答え方
最後に、座右の銘のNGな例についてもご紹介します。
それぞれについて説明していきます。
意味を詳しく説明できない
ほとんどの場合、座右の銘を伝えたあとに面接官から「その意味を具体的に教えてください。」と質問を返されます。
そのときに即座に答えられないと、面接のために用意してきた「にわか座右の銘」だと認識されます。
座右の銘は人生における大切な言葉であり、行動を決める基準であるにもかかわらず、その意味が言えないというのは信頼を失ってしまいます。
あなたが座右の銘として相手に伝えるのであれば、正しい意味を理解した上でアピールしましょう。
エピソードが弱い
次に、座右の銘の説得力を補強するエピソードが弱い場合や、関連性が薄い場合もNGとなります。
「このエピソードなら、この言葉が座右の銘となるのは合っているね」と面接官に納得してもらわなければいけません。
座右の銘を選ぶ際に、あなたの中にあるエピソードとの妥当性があるかどうかを検証しておきましょう。
企業側の求める人物像に合致しない
座右の銘の選び方の復習にもなりますが、企業側の求める人物像と相性の悪い座右の銘は返って悪い心証を与えてしまいます。
たとえば、ITやベンチャーなどの比較的スピードを求められる業界で「座右の銘は石橋を叩いて渡るです」と答えたら、相手はどう感じるでしょうか。
自分が好きな言葉だからといって、アピールができればいいというものではありません。
事前に企業側の求めている人物像をしっかりと把握した上で、できるだけ求めるイメージに寄せてアピールしていきましょう。
上記3つの事例を踏まえて、座右の銘を決める上では、自分の長所を理解することも大切です。
気になる方は、以下の記事を参考にしてぜひ考えてみましょう。
さいごに
本記事では、「座右の銘」についての選び方や答え方、人事側の質問意図やNG例まで詳しく具体的に解説してきました。
ポイントとしては、「相手の求める人物像であれば、どのように答えるのか」と想像しながら座右の銘を選ぶことです。
加えて、その座右の銘を選んだ理由やその銘に従った過去のエピソードなどもセットで聞かれますので、あらかじめ回答を作成しておくことをおすすめします。
企業分析をしながら、マッチするような座右の銘を探してみましょう。