【具体例あり】面接で評価される座右の銘の選び方・伝え方
2021年12月8日更新
はじめに
面接で「あなたの座右の銘は何ですか?」という質問が出される場合がありますが、
「座右の銘って何をどう答えたらいいの?」
「面接で聞かれたけど、全然答えられなかった…」
「そもそも座右の銘って何?」
という人も多いと思います。
「座右の銘」の「座右」は座っている所のかたわら、「銘」は大事なことを心に刻み込むという意味です。
要は、あなたが生きる上で日々大切にしている言葉、自分が行動する際に優先する価値基準と捉えればいいでしょう。
緊張する面接でいきなり「座右の銘は?」と問われても即座には答えられないはずです。
なので、予めあなたなりの「座右の銘」を準備しておかないと大切な面接で取り乱すことになります。
本記事では「座右の銘」の選び方や答え方、人事側の質問意図やNG例まで詳しく具体的に解説していきます。
座右の銘の質問意図
人事側が「座右の銘」を質問する意図は大きく3つあります。
1. あなたの価値観を知りたい 2.入社後のビジネス・スタイルをイメージしたい 3.企業文化とのマッチング度を把握したい |
1つずつ解説していきます。
あなたの価値観を知りたい
人間はそれぞれ自分なりの価値観を持っています。
価値観とは何かというと「優先順位」を指しますが、面接する就活生がどのような優先順位で会社やプライベートのライフスタイルを送るのかを知りたいというのが1つ目の目的です。
たとえば、仕事は多少品質が悪くても早いほうがいい(拙速)という価値観を持っている人と、品質を完璧にするなら多少遅れてもいい(巧遅)という価値観を重んじる人がいます。
その価値観を知ることにより、あなたの個性や人柄を把握しています。
入社後のビジネス・スタイルをイメージしたい
2つ目は、本人が入社してからどのような優先順位で仕事を進めていくのかをイメージしたいという意図です。
実際に仕事を与えたら、どのような考えでどのように動くのか、本人の行動規範である「座右の銘」を聞くことで、ある程度推察できるからです。
採用で人事が一番恐れていることが「採用ミス」ですから、この質問により将来をイメージ出しすることにより入社後の成功確度を測っています。
企業文化とのマッチング度を把握したい
3つ目の目的として、企業文化や風土との相性を把握したいという意図があります。
やはり、企業は組織で動いていますので、チームワークや協働性を重視します。
したがって、そこからはみ出すような価値観を持った人物を排除する傾向があり、ある程度似たような価値観や考え方を取り入れたいと思うDNAがあるので、「座右の銘」を聞くことにより、少しでも不協和を避けたいという欲求があります。
評価される座右の銘の選び方3つ
次に評価される座右の銘の選び方を3つ紹介します。
「座右の銘なので、自分の好きなことわざや四字熟語を選べばいいんじゃないの?」
と思うかもしれませんが、先ほどの質問の趣旨が理解できていれば面接では少し異なったアプローチが必要だということがわかってもらえると思います。
評価される選び方は以下の3つです。
1.「求める人物像にマッチングするもの」を選ぶ 2.「過去のエピソードにリンクするもの」を選ぶ 3.「尊敬する人物の格言や共感できる意味」から選ぶ |
以降で深掘り解説します。
「求める人物像にマッチングするもの」を選ぶ
「類似性の法則」から人間は自分と似たような人物に親近感を持つ性質があります。
企業も1人の人間と捉えた場合、相性が合う人と合わない人がいます。
なので、高評価を得ようと思えば、相手先企業にとってあなたは相性の合う人にならなければいけません。
では、どうやって相性の合う人物になるのか?
それは「相手の求める人物像に寄せる」ということです。
たとえば、ある企業の求める人物像が「チャレンジ精神旺盛」であれば、座右の銘として「猪突猛進」や「積極果敢」などを選択すれば響きますね。
したがって、「相手の求める人物像なら、どんな座右の銘を選ぶだろうか?」と逆算した上で、座右の銘を選択することが肝要です。
「過去のエピソードにリンクするもの」を選ぶ
次にあなたが伝えた「座右の銘」に紐づいたエピソードを具体的に語れるものを選ぶ必要があります。
なぜなら、「座右の銘」を伝えたあとに、その銘に従って行動した事例が必ず聞かれるからです。
そのときに詰まるようでは「上っ面な座右の銘だな…」と見透かされますので、説得力のあるストーリーで裏付けできる座右の銘を選びましょう。
「尊敬する人物の格言や共感できる意味」から選ぶ
「どうしても座右の銘が思いつかない」という場合は、あなたが尊敬する人物の格言や共感できる意味から選ぶという方法があります。
たとえば、野球選手のイチローを尊敬しているのであれば、イチローの格言が綴られた書籍を買って、その中から見つけるという方法があります。
また、「座右の銘 一覧」で検索して、出てきた言葉の中からあなたが共感できる
言葉をチョイスするという手段もあります。その場合も相手先企業の求める人物像が言いそうな座右の銘なのか、あなたの過去のエピソードと紐づけられるのかを考慮しながら選ぶことが大切です。
評価される座右の銘の答え方と例文
「座右の銘は決まりました。でも、これを使ってどのように答えたらいいですか?」という人のために座右の銘の答えの「型と例文」を示します。
評価される座右の銘の答え方
座右の銘の答えは以下の型に当てはめて下さい。
①結論:「私の座右の銘は〇〇です。」 (①´補足:「〇〇は□□という意味です。」) ➁理由:「私がこの言葉を座右の銘にしている理由は✖✖です。」 ③エピソード:「この座右の銘は△△で活かされました。」 ➃ベネフィット:「御社で〇〇に沿って貢献します。」 |
1つずつ分解して解説します。
まず「私の座右の銘は〇〇です。」と結論から答えて下さい。
その上でその座右の銘が一般的でなかったり、面接官が知らないような難解な言葉であれば、その意味を補足する必要があります。
なぜなら、面接官がその言葉が分からないとその意味が気になって、あなたが話す次の言葉が頭に入ってこないからです。
たとえば、
私の座右の銘は「敢為邁往(かんいまいおう)」です。 これは夏目漱石の著書でも使われている四字熟語で、どんな困難が立ちはだかろうとも、目的のためには、自ら思い切ってまっしぐらに進んでいくという意味です。 |
と補足してあげて下さい。
相当の夏目漱石好きでないと、この4文字熟語は理解できないと想定できますので、意味を伝えてあげることによって親切で気が利くことをアピールできますし、あなたの次に伝える内容の理解を促進させてくれますので一石二鳥です。
次に「なぜ、それが座右の銘なのか?」を説明してあげる必要があります。
たとえば、
「私がこの言葉を座右の銘にしている理由は、生きる意味や困難な時に自分自身を 支えてくれる大切な存在だからです。」
と理由を付け加えたあとで、エピソードを交え信憑性と説得力を加えています。
「たとえば、私が大きな交通事故に巻き込まれ、骨盤と大腿骨、顔面の鼻と頬骨を 骨折し、本当に人生をあきらめてしまおうかと沈んでいたときにこの言葉と出会 い、もう一度絶対に克服して再起しようと自分自身を奮い立たせてくれました。
おかげでキツいリハビリにも耐えることができ、今では交通事故前と遜色のない 状態まで復活することができました。」
通常はここで終了する就活生が多いですが、この場合だと面接官は「うんっ!それで?」と不完全燃焼で終わった形になります。
なので、最後は必ずベネフィットで締めくくって下さい。
ベネフィットとは何かというと、「相手の求める未来や結果」です。
たとえば、上記の例だと、
「御社ではいかなる難題にぶち当たっても絶対にあきらめない不屈の精神で課題を 完結します。」
というように必ずベネフィットで終わって下さい。
評価される座右の銘の例文
先ほどの型を使ってイメージしやすいように例文をお見せしますので参考にしてみて下さい。
私の座右の銘は「雨垂れ石をも穿つ」です。(結論) この言葉の意味はわずかなことでも根気よく続けてやれば、成功につながるという意味です。(座右の銘の意味) 私がこの言葉を座右の銘にしている理由は、中学校の修学旅行である鍾乳洞を訪れた際に、何万年もかけて一滴ずつポトリポトリと落ちる水の雫が石に落ちることにより、最後には石のような固いものでも穴を開けてしまうほど途轍もない結果につながるということに深く衝撃を受けたからです。(理由) それ以来、粘り強くコツコツと継続していくことを信念とし、たとえばTOEICでは隙間時間を活用し、必ず毎日3時間の勉強ノルマを自分に課しました。 この地道な積み上げが功を奏して、大学入学時に450点だったスコアが4年生の4月には860点まで向上し、410ポイントもの引き上げに直結しました。 (エピソード) この継続力を御社でも十分に発揮し、最小限の力を集積することにより、最大のアウトプットを発揮するように努めてまいりたいと思います。(ベネフィット) |
イメージを膨らませてもらうためにもう一つ事例を付け加えましょう。
今度は求める人物像が「チャレンジ精神旺盛な人」である企業を想定して座右の銘の答えを作っていきます。
私の座右の銘は「ふりむくな、ふりむくな、後ろには夢がない」です。(結論) この言葉は劇作家や演出家、監督などマルチな活動をしていた寺山修二氏の残した名言で、振り返ったところで過去には夢がないという意味で、くよくよ後悔することの無意味さを表しています。(意味) この言葉を座右の銘にしている理由は、大学3年の4月にソフトボール部のキャプテンを拝命しましたが、就任当初は市のリーグで初戦での連敗続きで、チームのムードも最悪であり、自分のチームマネジメントの不甲斐なさに打ちひしがれ厭世的になっていた私を支えてくれた言葉だからです。(理由) この言葉に出会ってから前向きに捉えることを心がけ、チーム全員で敗戦分析を行ったり、改善点を話し合い練習メニューに組み込むなど、1人1人が状況に応じ考えて動く組織を目指しました。 その結果、各自が自分の役割を認識し臨機応変に行動することで、チーム力が格段に向上しました。今年の4月には市のリーグで初優勝を収め、県体に出場する切符を手にすることができ、チームが大いに活性化しました。(エピソード) この経験から入社しても良くなる未来を確信しながら前向きに行動し、御社の業容拡大に貢献していきたいと考えています。(ベネフィット) |
座右の銘のNGな答え方
最後に座右の銘のNGな例についてもふれておきます。
NGな答え方は大きく3つです。
✓ 意味を詳しく説明できない ✓ エピソードが弱い ✓ 企業の求める人物像に合致しない |
順番に説明していきます。
意味を詳しく説明できない
座右の銘を伝えたあとに面接官から「その意味を具体的に教えて下さい。」と質問を返される場合があります。
その時に「あの~」とか「え~と…」と言って即座に答えられないと「にわか座右の銘」だと認識されます。
座右の銘は人生における大切な言葉やあなたの行動を決める基準であるにもかかわらず、その意味が言えないというのは致命傷ですよね。
あなたが座右の銘として相手に伝えるのであれば、正しい意味を理解した上でアピールしましょう。
エピソードが弱い
次に座右の銘の説得力を補強するエピソードが弱かったり、関連性が薄い場合もNGです。
「座右の銘のエピソードとしては弱いね」とか、「なんでそれがエピソードになり得るの?」と面接官に思われたらアウトです。
そうではなくて、「なるほど。このエピソードなら、この言葉が座右の銘となるのは至極当然だね。」と面接官をうなずかせなくてはいけません。
なので、座右の銘を選ぶ際にあなたの中にあるエピソードとの妥当性があるかどうかを検証しておく必要があります。
企業側の求める人物像に合致しない
座右の銘の選び方の復習にもなりますが、企業側の求める人物像と相性の悪い座右の銘は面接官に返って悪い心証を与えます。
たとえば、ITやベンチャーなどの比較的スピードを求められる業界で「座右の銘は石橋を叩いて渡るです。」と答えたら、相手はどういう反応になるでしょう?
「いやいや、石橋を叩いて渡ってたら、業界に取り残されて命取りになるよ。」
と感じますね。
なので、自分が好きな言葉だからと言って、何でもかんでもアピールしたらいいというものではないんです。
これはキャッチボールで好き勝手に相手が取れないところにボールを投げる行為に似ていて会話のキャッチボールになりません。
必ず相手の胸にストライクボールを投げる気持ちで、できるだけ相手の求める人物像に寄せてアピールしていきましょう。
まとめ
本記事では座右の銘の選び方、そして答え方について解説してきました。
ポイントは、「相手の求める人物像であれば、どのように答えるのかな?」と想像しながら座右の銘を選ぶことです。
加えて、その座右の銘を信条とする理由やその銘に従った過去の行動事例などもセットで聞かれますので、予め入念に想定問答を作成しておくことをおススメします。
本記事があなたの就活にお役立ちすることを祈念します。