社会人基礎力とは?社会人に必要とされる3つの能力を紹介
2024/10/25更新
はじめに
「社会人基礎力」という言葉を知っていますか?
「社会人基礎力」という言葉は2006年に経済産業省が提唱した言葉です。
経済産業省のホームページでは、「社会人基礎力」とは「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」の3つの能力(12の能力要素)から構成されており、「職場や地域社会で多様な人々と仕事していくために必要な基礎力」と定義されています。
- 社会人基礎力とは?
- 社会人基礎力の能力要素
- 求められる理由
社会人に必要な能力だけではなく、注目されている言葉でもあるので就職活動の面接でも聞かれることが想定されます。
学生、就活生は「社会人基礎力」を知っておきましょう!
社会人基礎力とは?
「社会人基礎力」とは、2006年に経済産業省が提唱した「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」です。
「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」という3つの能力と、それらを構成する12の能力要素から成り立っています。
総じて、読み書きや基本的なITスキルなどの「基礎学力」と、仕事に必要な知識や資格などの「専門知識」をより上手に活用し、社会で活躍していくために必要な力といえるでしょう。
社会人基礎力は仕事をするうえでの基盤となる能力です。まずはどのような能力が社会人基礎力として定義されているのかを学び、どうすれば高めていけるのかを考えていきましょう。
社会人基礎力①前に踏み出す力(アクション)
現代社会は常に変化し続けています。
そのため恒常的な答えは自ら、組織、企業にとって決して良い選択肢とは言えなくなってきています。
社会人として活躍するには失敗を恐れず、失敗したとしても再び立ち上がり前を向き、確実に一歩ずつ前へと進んでいく力が必要となってきます。
「前に踏み出す力」は3つの能力要素が含まれています。
- 主体性
- 働きかけ力
- 実行力
主体性
上司や先輩に指示されたことだけを実行するような受け身な態度で仕事をこなすのではなく、自ら積極的にかつ前向きに仕事に取り組む能力のことです。
主体性を持つことで、組織、企業にとってプラスの影響を及ぼすだけでなく自らがプラス思考に変化したり、向上心をさらに持つことができます。
以下の記事では、主体性がない学生に向いている仕事について紹介しています。
主体性にあまり自信がない方は、併せてチェックしてみると良いでしょう。
働きかけ力
組織、企業のもとで働く個人は一人だけで仕事をこなすことは不可能です。
そのため自ら、組織、企業に必要な能力を問いかけてみたり、その目的に向かって周りとともに協力していく能力のことです。
働きかけ力を発揮することで、仕事の効率化を見込めます。
さらに自らのプロジェクトや仕事を達成するために周りを巻き込む力も含まれます。
実行力
仕事に対してあれこれ考えることも大切ですが、いざ実際に実行しないとわからないことも多いです。
そのためまず一人だけでも実行する力のことです。
スピードが求められる現代社会において考えてから実行するのではなく、実行しながら考える能力も組織、企業にとっては必要なものとなってきています。
社会人基礎力②考え抜く力(シンキング)
グローバル化などの時代の変化とともに業務上の問題の難易度も上昇してきています。
最善の答えを導くためには、マニュアル通りの思考ではなく、自分で深くまで考えることができる柔軟性のある思考が必要です。
また恒常的な環境において、常に問題意識をもち、課題発見に努めます。それにより更なる個人、企業の発展にもつながります。
「考え抜く力」は3つの能力要素が含まれています。
- 課題発見力
- 計画力
- 創造力
課題発見力
定めた目標に対して適切なプロセスを考え出し、その達成にむけて必要な課題を探し出す能力のことです。
その状況を的確に把握する力(状況分析力)や意識的に批判的な思考を持ってみることにより、目標達成に対して最も効率的で、合理的なアプローチが可能になります。
計画力
マルチタスクを求められる中、どの問題が優先なのかを正確に把握し、解決するためのプロセスを最適に計画する能力のことです。
計画力を磨くには実践経験を積み重ねることによって得られるスキルだけではなく、論理的に物事を考えることも大切です。
そしてより効率的に問題解決のプロセスを計画することが組織、企業に求められるようになってきています。
創造力
多くの視点から物事を捉えることやオリジナリティのある発想により今までにない魅力的な商品や新しい価値を生み出すビジネス、サービスを開発することに必要な能力のことです。
単に創造的に考えるのではなく、固定概念や先入観の排除、直観力、発想力、個人が持つ自信などの多数の要素により、創造力の高い思考を身に付けることができます。
以下の記事では、空想が好きな人にあっている仕事を解説していますので、併せてチェックしてみてください。
社会人基礎力③チームで働く力(チームワーク)
職種や仕事の内容の専門化と細分化により、個人だけではなく組織、企業が強いチームワークを発揮しなければ、厳しい業界を生き残れません。
目標に対して最良のアプローチができる組織を構築するためには、まず自分の意見を明確に伝えることが重要です。
その次に、相手の意見に対しても耳を傾けることで自分にはない概念や思考の発見にも役に立ちます。
そしてチームメンバー全員の思考や知識、または既存の情報を共有することで問題解決を進めるうえで理想的な組織へと近づくことができます。
「チームで働く力」は5つの能力要素が含まれています。
- 発信力
- 傾聴力
- 柔軟性
- 情報把握力
- 規律性
- ストレスコントロール力
発信力
自分の意見や考えをまとめ、相手に正しく受け取ってもらえるように創意工夫をしながら伝える能力のことです。
この能力は情報を整理する力やコミュニケーション力、提案力を必要とします。
各々の力の要素を高めることによってよりスピーディーで、正確な情報伝達を可能とします。
傾聴力
意見や考えを遠慮なく言い合える環境を構築するために、仕事や人間関係に対する感情を最小限にすることで、相手の真意を引き出す能力のことです。
発信力で必要とする能力の他に相手の意見や考えに対する受容性が重要となります。
柔軟性
相手の立場や意見を尊重することで、今までにもなかった発想力や価値観を前向きに受け入れる能力のことです。
自分の意見や考えで物事を進めることも大事ではあるが、相手の意見や考えにも触れることで自分の視野が広がるだけではなく、その目的の達成により円滑な計画性を持つことができる。
順応性は、柔軟な思考で迅速に対応し、適切な解決策を見つける能力も順応性には不可欠です。
この機会に以下の記事もチェックしてみてください。
情報把握力
組織や企業の中の自分の立場、役割、周囲の人間との関係性を分析し、把握する能力のことです。
その目的に対するアプローチを考えるときに自分の立場、役割、周囲の人間との関係性を把握することで、今の自分にできることを正しく把握することができます。それにより判断力や状況分析力を高めることにも繋がります。
規律性
自分を自発的に律することで、法律や条例、就業規則などの属している環境に存在しているルールに則った言動を行う能力のことです。
自身が置かれている環境のルールを遵守し、モラルや一般教養、自律心、自制心を向上させることで1人の社会人として成長することを可能にします。
ストレスコントロール力
ストレスの原因の排除やポジティブ思考による発想の転換を行うことで、仕事の業務に支障がなくなるようにストレスをコントロールする能力のことです。
自身の周りの環境にストレスがあることは、前述の「前に踏み出す力」や「考え抜く力」にも影響します。
早急に取り除くまたはコントロールすることで、より集中して業務に取り組むことができます。
社会人基礎力を身につけるべき理由
社会人基礎力は、変動の多いビジネス社会を生き抜くことのできる組織、企業の構築には欠かせない要素となります。
その重要性を正しく理解することは、就職活動を行う上で不可欠ですし、就職後社会人になるあなたにも大切になってきます。
より理解してもらうために、社会人基礎力を身に付ける理由を社会的背景とともに解析していきます。
- 身に付けた知識やスキルの活用が困難
- 企業と学生の意識の違い
身につけた知識やスキルの活用が困難
かつての日本では、専門性のある仕事や業務内容が多いため、その学生が持つ知識やスキルを必要としてきました。
しかし時代の変化とともに、工業技術の高度化やIT産業の台頭、グローバル化により、商品のライフサイクルの短期化や、ニーズの多様化が起こりました。新しい仕組みでの商品の開発にはかつて必要とされてきた知識やスキルが通用しなくなってきたのです。
いわゆるここでの知識やスキルは形にあるもので、新しく求められる知識やスキルは「社会人基礎力」のような形がないものです。
そして時代は変化しているのにも関わらず、学生が持つ知識やスキルを活用できると考えている新入社員が増えていきました。
よって求められる社会人基礎力はもともと身に付けているものではなく、意識的に身に付けるものとして認識されています。
企業と学生の意識の違い
学生は自身の持つ人生設計に沿った理想的な企業を求めて就職活動を行います。
一方、企業側はさらなる成長に必要なスキルを持ち合わせている学生の採用を目的としています。
しかし、年々学生側と企業側の間には求める・求められるスキルの認識の違いが発生しています。
具体的なスキルとして「コミュニケーション力」、「主体性」、「チームワーク力」、「粘り強さ」が挙げられます。
企業側が「コミュニケーション力」、「主体性」を不足していると感じているのにも関わらず、学生側はこれらの要素を不足していると感じている割合は少ないです。
また「チームワーク力」、「粘り強さ」では学生側が持っているスキルと感じている一方で、企業側は求められているレベルには達成していないと感じている傾向にあります。
このような意識格差を解消することは両者ともにメリットを生じるので、経済産業省も様々な取り組みを小学校、中学校で行っていますが、20歳前後の就活生はその取り組みを受けていません。
そのため社会人基礎力を自発的に身に付ける必要があるのです。
学生が社会人基礎力を身につける2つの方法
社会人基礎力を身に付ける理由を説明することで、社会人基礎力の重要性については理解してもらえたと思います。
今度は身に付けるためには何をする必要があるのかと活用の場を具体的に紹介していきます。
- 社会人基礎力のインプット
- 社会人基礎力のフィードバック
- 社会人基礎力のフィードバック
社会人基礎力のインプット
本記事では社会人基礎力の3つの能力(12の能力要素)について説明していきました。
次は覚えることが大事です。企業によって当然のように聞いてくることもありますし、1社会人として知っておき、聞かれたらすぐ答えられるようにしておく必要があります。
社会人基礎力の記事は他にもたくさん出ているので、この記事と合わせながら補いつつ参考にしてください。
社会人基礎力のフィードバック
社会人基礎力を身に付けるためには、今の自分にはどこの部分が足りていないかを把握する必要があります。足りていない能力を把握することで、意識的に身に付ける取り組みにも活用できます。
自分でここが足りていないと判断するのは難しいので、評価方法については経済産業省も手法を公開しているので、実施してみてください。
社会人基礎力のアウトプット
インプットと足りていない要素のフィードバックが済んだら、最後に行うのは実際に意識しながら実践することです。
まず、日常的に実践してみましょう。
学生であるなら、サークルや部活、友達との付き合いでも始まられます。サークルや部活の活動で起こる問題の解決、周りの人のコミュニケーションなど社会人基礎力が必要となる局面が多くあるはずです。
またインターンや研修の参加をおすすめします。
そこで主に身に付けることが企業と学生の意識格差にも発生する「コミュニケーション力」です。またサークルや部活とは違い、周りには面識がない人が多いです。
自分の他にも社会人基礎力を求めている人の環境に身を置くことでさらなる向上が見込めます。
就活で「社会人基礎力」を活かす方法
就職前の学生は、社会人基礎力をどのように就活に活かすべきでしょうか。
以下では、2つのポイントをご紹介します。
- 自分の能力や体験を振り返る
- 社会に出てからどうなりたいかを意識する
自分の能力や体験を振り返る
就職前の学生が社会人基礎力と向き合う場合は、自分の能力やこれまでの体験を振り返ることが重要です。
能力や体験の振り返りは、自らの学びとして定着しやすくなります。
自分の強みや弱みを認識し、自分に欠けているものに対してどのように能力をつけていけばよいかを考える機会にもなります。
また、一人で取り組むよりも面談などで第三者に話を聞いてもらうと視野が広がりやすいため、大学のキャリアセンターなどに相談するのもおすすめです。
自分の能力や体験を振り返る際に頑張ったことを思い浮かべる就活生もいるでしょう。
そんな方は、ガクチカに関する知識も併せて学んでおきましょう。
今後の就活に役立ちますので、以下の記事も読んでみてください。
社会に出てからどうなりたいかを意識する
「社会に出てからどうなりたいか」を意識してみるのも大切です。
人生100年時代の社会人基礎力では、「自分で自分のキャリアについて考え、形成していくこと」の重要性がうたわれています。まずは「自分は社会に出てどうなりたいか」を意識するところから始めてみましょう。
こうした取り組みは、この記事で解説した「3つの視点」の「どう活躍するか」を掘り下げることにつながります。
さいごに
いかがだったでしょうか?
本記事でも紹介したように社会人基礎力はこれから先、何十年も求められるスキルになります。
もちろん就活生や社会人に大切なスキルですが、私達1人の社会人として生きていくことで最も必要な要素が多く含まれています。
意識的に身に付けようとする姿勢を持つことで、必ず自身の持つ理想的な人生設計の役に立つはずです。
まだ必要ないと思うかもしれませんが、学生のうちからこういった能力を養っていくことで、社会に出た際にもスムーズに対応できるでしょう。
この記事が少しでも活用できるのであれば幸いです。