事務職適性検査TAPOCとは?出題内容・対策法を例題付きで解説
2025年8月28日更新
はじめに
就職活動や転職活動で耳にする機会が増えてきた「事務職適性検査TAPOC」。
SPIとは何が違うのか、どのような問題が出題されるのか、不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、事務職適性検査TAPOCの概要から、SPIとの明確な違い、全6分野の出題内容と例題、そして効果的な対策法までを徹底的に解説します。
事務職を目指す方が選考を突破するための知識を網羅していますので、ぜひ最後までご覧ください。
事務職適性検査TAPOCとは
事務職適性検査TAPOCは、NOMA総研(日本経営協会総合研究所)が提供する、事務職への適性を測るために開発された適性検査です。
この検査は、単なる学力だけでなく、事務作業を「どれだけ速く、正確に習得できるか(学習適性)」と、「効率的に継続できるか(就業適性)」という、実務に直結する2つの側面を予測することを目的としています。
そのため、多くの企業が事務職の採用選考において、候補者のポテンシャルを正確に把握するために導入を進めています。検査の実施方式は以下の2種類があり、企業によって指定されます。
実施方法 | 内容 |
WEB方式 | 結果が一覧表で表示され、各項目ごとの標準得点と段階評価を確認できます。出題内容は「言語、分類、照合、計算、読図」の5科目です。 |
自社採点方式 | 受検者個人の詳細なプロフィールが作成され、各項目ごとの評価段階を確認できます。出題内容はWeb方式の5科目に「記憶」を加えた6科目です。 |
どちらの方式にも対応できるよう、6つの科目すべてを視野に入れた対策が合格のポイントです。
事務職適性検査TAPOCの3つの特徴
TAPOCが他の適性検査とどのように違うのか、その特徴を3つのポイントに整理して解説します。
特徴1:事務職の業務に特化した能力測定
TAPOCの最大の特徴は、その名のとおり「事務職」に求められる能力の測定に特化している点です。一般的な適性検査が幅広い職種への適性を測るのに対し、TAPOCは照合・分類・読図といった、事務作業で日常的に必要となる処理能力を重点的に評価します。これにより、企業は候補者が入社後、事務職としてスムーズに業務を遂行できるかを具体的に判断できます。
特徴2:「学習適性」と「就業適性」からポテンシャルを予測
TAPOCは、目の前の問題を解く能力だけでなく、将来的な成長や職場への定着度を予測できるのが特徴です。
新しい業務を素早く覚える能力を示す「学習適性」と、与えられた業務を効率よく着実に続ける力である「就業適性」を測定します。
この2つの指標によって、企業は候補者が長期的に活躍できる人材かどうかを見極めることが可能になります。
特徴3:Webとペーパー(自社採点)で選べる実施方式
TAPOCは、オンラインで受検するWeb方式と、企業内でマークシートなどを用いて実施する自社採点方式(ペーパーテスト)があります。
Web方式は利便性が高い一方、自社採点方式ではTAPOC独自の「記憶」問題が出題されるという違いがあります。志望する企業がどちらの方式を採用しているか事前に確認することは難しい場合が多いため、両方の形式を想定した準備が欠かせません。
\TAPOC対策にもつながるSPI対策で、筆記選考を有利に突破!/
TAPOC(事務職適性検査)は、言語・計算・読図・照合・分類・記憶など幅広い領域から出題される検査で、特に記憶分野はTAPOC特有の設問形式となっています。
ですが、言語や非言語の出題傾向はSPIと共通点が多く、SPI対策がTAPOC対策にも直結します。
はじめて受ける人でも安心して取り組めるように、【言語/非言語/英語】を網羅したSPI頻出問題集をご用意しています。
丁寧な解説付きで、今からでも遅くありません。
事務職を目指すなら、今すぐ筆記対策をスタートしましょう!
TAPOCとSPIの主な違いは?記憶問題の有無がポイント
TAPOCの対策を始めるにあたり、多くの就活生が受検経験のあるSPIとの違いを理解しておく必要があります。
比較項目 | TAPOC | SPI |
目的 | 事務職に特化した適性の測定 | 幅広い職種に共通する基礎能力の測定 |
独自科目 | 記憶(ペーパーテストのみ) | なし |
重視する点 | 正確性、スピード、分類・照合能力 | 論理的思考力、言語能力、計算能力 |
対策の互換性 | SPI対策が基礎として有効 | TAPOC対策はSPI対策の一部をカバー |
言語(国語)や計算(数学)といった基礎的な能力を測る点では、TAPOCとSPIは類似しています。そのため、SPIの対策で培った基礎学力は、TAPOCでも大いに役立つでしょう。
一方で、大きな違いは、ペーパーテスト形式のTAPOCで出題される「記憶」という科目です。これはSPIにはない独自の分野であり、専用の対策が求められます。また、全体としてTAPOCは、SPIよりも「正確性」と「スピード」を重視した事務処理能力を測る問題の比重が高い傾向にあるので抑えておきましょう。
TAPOCの出題内容と例題【6分野を徹底解説】
ここでは、TAPOCで出題される6つの分野について、例題を交えながら具体的に解説します。どのような問題が出題されるかを確認しておきましょう。
言語
言語分野では、語彙力や読解力といった国語の基礎知識が問われます。漢字の読み書き、同義語・対義語、語句の用法、長文読解などが出題範囲です。SPIの言語分野と類似しているため、SPI対策で対応可能です。
<例題>
次の文章を読み、要旨として最も適切なものを選択肢から選びなさい。
植物は、地球上の生態系において重要な役割を果たしています。光合成を通じて太陽のエネルギーを化学エネルギーに変換し、大気中の二酸化炭素を吸収して酸素を放出します。この過程は、動物や人間の生命維持に欠かせません。また、植物は水や栄養素を根から吸収し、成長に必要な要素を葉や茎に運びます。さらに、植物は花を咲かせて種を形成し、次世代に命をつなげます。多くの植物は、動物との相互作用を通じて繁殖や成長を助けられています。例えば、花粉媒介者である昆虫や風によって種子が広がります。このように、植物は生態系の基盤として、他の生物と共生することで地球の環境を維持しています。
<選択肢>
1.植物は二酸化炭素を吸収して酸素を放出するが、水分は必要ない。
2.植物は光合成を通じて生態系に貢献し、動物との共生関係を持っている。
3.植物は主に水を使って酸素を生み出す。
4.昆虫は植物の成長を助けるが、植物は生態系にあまり影響を与えない。
5.植物は花を咲かせるが、種子を作る必要はない。
解答:2
分類
分類は、与えられた情報をルールに従って正確に仕分ける能力を測る問題です。事務作業におけるファイリングやデータ整理といった業務の適性を示します。素早くルールを理解し、正確に処理するスピードが求められます。
<例題>
次の数字を、下記の手引きによって分類しなさい。
手引き
1357~1423, 1985~2123, 2860~2927, 3219~3432, 4122~4346
1234~1356, 2357~2566, 2676~2783, 3575~3687, 4347~4591
1424~1533, 1783~1984, 2928~3012, 3433~3574, 3924~4121
1679~1782, 2257~2356, 2784~2859, 3688~3781, 3782~3923
1534~1678, 2124~2256, 2567~2675, 3013~3218, 4592~4675
<問題>
(1) 3846
(2) 4185
(3) 2254
解答:(1) ④、(2) ①、(3) ⑤
照合
照合は、2つの情報(文字や数字の羅列)を比較し、間違いがないかを確認する能力を測ります。契約書や伝票のチェックなど、事務職に欠かせない正確性が問われる分野です。集中力を維持し、細かな違いを見つけ出す注意力が求められます。
<例題>
左の例題とまったく同じものを、右の選択肢の中から1つ選びなさい。
例題:168-5912
選択肢
167-7832, 198-5712, 168-5910, 168-5012, 158-5912
168-4912, 168-5912, 168-5911, 168-5812, 168-5922
解答:上から2段目、左から2番目の「168-5912」
計算
計算分野では、四則演算(足し算、引き算、掛け算、割り算)を基本とした問題が出題されます。単純な計算だけでなく、空欄補充や答えが同じになる式を選ぶなど、応用力が試される問題も出題されるのが特徴です。SPIの非言語分野と同様、正確かつ迅速な計算能力が求められます。
<例題>
答えが同じ結果になる計算式を選びなさい。
問題:40÷5+7
<選択肢>
(1)3×4
(2)3×8
(3)3×5
(4)4×4
(5)2×7
解答:(3)3×5
読図
読図は、グラフや図表を正確に読み取り、必要な情報を抽出したり、計算したりする能力を測る問題です。報告書作成やデータ分析など、数値を扱う事務作業の素養が問われます。どのデータを参照すべきかを素早く判断する力がポイントになります。
<例題>
下記の図から、レタス生産量における茨城県と長崎県の生産量の合計(%)を求めなさい。
<解答のポイント>
円グラフ全体が100%であることを確認し、茨城県と長崎県のシェア率(%)をそれぞれ読み取ります。その後、2つの数値を足し合わせることで、合計の生産量を算出します。
記憶(ペーパーテストでのみ出題)
記憶は、短時間で図形や記号、数値、位置関係などを覚え、その記憶を元に設問に答える、TAPOC独自の科目です。この科目はペーパーテスト形式でのみ出題されます。
情報を整理して覚える能力や、記憶を引き出す正確性が試されるのが特徴です。対策としては、国家公務員試験の「資料解釈」や「判断推理」の中にある記憶系の問題が参考になります。
<例題>
問: 先ほどの地図で「ASD-748」は何区を飛行中でしたか。
解答例: 1区
\TAPOC対策は“SPIの応用+コツ押さえ”がカギ!/
TAPOCを突破するには、SPIと共通する基礎力に加え、照合や記憶など独自問題への対応力が求められます。
特に、「短時間で正確に処理する力」や「集中力を保つトレーニング」が重要なポイント。
だからこそ、SPI対策でベースを固めつつ、TAPOC特有の出題形式に慣れておくことが合格への近道です。
今すぐ【言語/非言語/英語】を網羅したSPI頻出問題集を活用して、効率的に準備を始めましょう。
初心者でも安心の解説付きだから、今日からでも間に合います!
TAPOCは難しい?難易度と対策の必要性
「TAPOCは難しいのか?」という点は、受検を控える方にとって最も気になる部分でしょう。問題一つひとつの難易度は、SPIと比較して特別に高いわけではありません。
しかし、事務処理能力を測るという特性上、1問あたりにかけられる時間が非常に短く、スピードと正確性の両方が高いレベルで求められます。
特に、分類や照合といった問題は、慣れていないと焦りからミスをしやすくなります。また、独自の「記憶」問題は、事前に対策をしているかどうかで得点に大きな差がつく分野です。
したがって、TAPOCで高得点を狙うためには、問題形式に慣れ、時間内に解ききるためのトレーニングが欠かせません。油断せずにしっかりと対策を進めるようにしてください。
事務職適性検査TAPOCの効果的な対策法4選
ここでは、TAPOCを攻略するための具体的な対策法を4つ紹介します。
対策法1:SPIの問題集で基礎能力を固める
TAPOC専用の問題集はまだ少ないため、市販のSPI問題集を活用するのが最も効率的な対策法と言えるでしょう。
特に「言語」「計算」分野はSPIと共通する部分が多いため、SPIの問題集を繰り返し解くことで基礎学力を向上させられます。また「読図」に関しても、SPIの非言語分野にある「表の読み取り」問題が非常に役立ちます。まずはSPI対策を通じて、基礎的な問題解決能力を身につけましょう。
以下では、SPIの具体的な例題も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
対策法2:時間配分を意識して模擬テストを繰り返す
TAPOCは時間との勝負です。そのため、学習がある程度進んだら、必ず本番同様に時間を計って問題を解く練習を取り入れましょう。
模擬テストを繰り返すことで、自分の得意な分野と苦手な分野、そして時間のかかる問題の傾向を把握できます。時間内に全問を解き終えるペース配分を体で覚えることで、本番で焦らずに本来の実力を発揮できるでしょう。
対策法3:独自の「記憶」問題に慣れておく
ペーパーテストを受ける可能性がある場合「記憶」分野の対策は必須です。この分野はSPIでは出題されないため、個別で対策する必要があります。
対策としては、人事院が公開している国家公務員試験の例題が非常に参考になります。短時間で図や記号の配置を覚え、情報を整理するトレーニングを積みましょう。毎日少しずつでも記憶問題に触れることで、記憶の定着率と解答スピードを高められます。
対策法4:苦手分野を特定し集中的に学習する
模擬テストの結果を分析し、自分がどの分野で点数を落としているのかを正確に把握しましょう。例えば「分類問題でいつも時間が足りなくなる」「計算のケアレスミスが多い」といった弱点を特定します。
そして、その苦手分野の問題を集中的に解き、解法のパターンを身につけることが得点アップへの近道です。弱点を克服することで、全体のスコアを安定させられます。
TAPOC対策に役立つおすすめ問題集
TAPOC対策を進める上で役立つ市販の問題集を紹介します。自分に合った教材を見つけ、効率的に学習を進めていきましょう。
就職試験によく出る適性・適職問題 2027年度版
出典:Amazon.co.jp: 2027年度版 就職試験によく出る 適性・適職問題
この一冊は、TAPOCだけでなくさまざまな適性検査に対応しています。問題形式ごとに解答のコツや注意点が詳しく解説されており、網羅的な対策が可能です。幅広い試験形式に触れたい方や、複数の適性検査対策を並行して進めたい方に適しています。
事務職・一般職SPI3の完全対策 2027年度版
出典:事務職・一般職SPI3の完全対策 2027年度版 (就活ネットワークの就職試験完全対策) | 就活ネットワーク |本 | 通販 | Amazon
こちらは、事務職向けのSPI対策に特化した問題集ですが、TAPOCで問われる事務処理能力の対策に直結します。
特に、照合や分類といった作業のスピードと正確性を高めるトレーニングに最適です。事務職に特化した問題に数多く触れたい方におすすめです。
事務適性検査
おすすめのアプリは、事務適性検査です。
広告が表示されることがありますが、無料でインストールして利用できます。
また、広告表示を失くした有料版も配信されているので、よりスムーズに利用したい方は、そちらもチェックしてみてください。
事務職適性検査TAPOCに関するよくある質問
ここからは、TAPOCに関して就活生や転職者からよく寄せられる質問にお答えします。
Q. TAPOCに似た適性検査はありますか?
最も類似しているのはSPIです。特に言語能力や計算能力を測る基礎的な問題は共通しています。そのため、TAPOC対策はSPIの問題集をベースに進めるのが最も効果的です。
SPI対策をしておくことで、他の多くの企業の選考にも対応できるため、一石二鳥と言えるでしょう。以下の記事では、適性検査の種類について詳しく解説していますので、ぜひ読んでみてください。
適性検査の種類と特徴について解説!対策方法付きで完全攻略
Q. TAPOCならではの特徴的な問題は何ですか?
ペーパーテストで出題される「記憶」問題が最も特徴的です。短時間で情報をインプットし、それを元に解答する形式は他の多くの適性検査には見られません。この記憶問題への対策が、他の受検者と差をつけるための重要なポイントと言えるでしょう。
Q. TAPOCを導入している企業はどこですか?
TAPOCは特に金融業界やインフラ、メーカーなど、正確な事務処理が求められる大手企業で導入される傾向があります。代表的な導入企業は以下のとおりです。
- 三菱UFJ銀行
- 三井住友銀行
- 三井住友海上火災保険
- 日本生命保険
- 日本郵便
- ヤマト運輸
- サンリオ
- パナソニック
上記で紹介した企業の分析記事を紹介していますので、併せてチェックしてみてください。
【企業研究】三菱UFJ銀行の就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説
【企業研究】三井住友海上火災保険の就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説
【企業研究】日本生命の就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説
【企業研究】日本郵便の就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説
【企業分析】サンリオの就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説
Q. 対策はいつから始めればいいですか?
本選考が始まる1〜2ヶ月前から対策を始めるのがおすすめです。SPIの学習と並行して進めることで、効率的に準備ができます。特に「記憶」問題は慣れが必要なため、毎日少しずつでも問題に触れておきましょう。
さいごに
今回は、事務職適性検査TAPOCの概要からSPIとの違い、具体的な対策法までを詳しく解説しました。TAPOCは、事務職に不可欠な「迅速かつ正確な処理能力」を測るための重要な選考プロセスです。
問題の難易度自体は高くありませんが、時間的な制約が厳しいのが特徴です。また、独自問題である「記憶」の出来栄えが合否を大きく左右します。
まずはSPIの問題集で基礎を固め、時間配分を意識した練習や記憶問題の対策を進めるようにしてください。この記事を参考に、万全の準備で選考に臨み、希望する企業からの内定を勝ち取りましょう。