【企業研究】日産化学の就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説
2023年9月10日更新
はじめに
日産化学(日産化学株式会社)は、1887年創業の日本の化学メーカーです。化学品・機能性材料・農業化学品などさまざまな製品を開発から手がけ、幅広い業界に寄与しています。新卒採用人数においては、技術職のウエイトが大きいため、応募を視野に入れている理系出身の就活生も多いのではないでしょうか。
今回はそんな日産化学に関連して企業研究に役立つ内容を取り上げます。事業内容・社風・業界での位置など必ず押さえておきたい部分から、新卒選考フロー・求める人材像・就職難易度・採用大学など選考対策に活かせる内容まで幅広く紹介します。
化学業界
日産化学が属する化学業界は、化学反応を利用した製品を製造・販売する業界です。製品を作る企業は化学メーカーとも呼ばれます。取り扱う製品によってさらに区別がなされ、原料を作る会社が「上流」、中間製品を作る会社が「中流」、最終製品を作る会社が「下流」、この3種類です。
化学系企業への就職事情や選考対策などについて、より詳しく知りたい場合はこちらの記事もどうぞ。
【本記事1本丸わかり】化学系の就職事情と就職先の選び方&5つの必須対策
また、化学業界以外の業界については、以下の記事で概観しているので、ぜひ読んでください!
事業内容
日産化学は次のような区分に分けながら事業を展開しています。
化学品事業
基礎化学品・ファインケミカル・開発品の製造や販売を担う事業です。基礎化学品としては、高品位尿素水(アドブルー)・高純度薬品・アンモニア系製品・硫酸・建設化学品などを取り扱っています。ファインケミカルとしては、高機能エポキシ材料を始めとしたさまざまな環境化学品の取り扱いがあります。開発品は主要なものに塗料用添加剤「スターファイン」があり、顧客のニーズにマッチした新製品の開発に日々取り組んでいます。
機能性材料事業
ディスプレイ材料・半導体材料・無機コロイド・開発品の製造や販売を担う事業です。ディスプレイ材料は、基幹製品である液晶配向剤や周辺材料などの取り扱いがあります。電卓・時計などの液晶ディプレイに使用する材料として開発をスタート、現在はさらに幅広いディスプレイ製品に使われています。半導体材料は反射防止コーティング材・多層プロセス用材料・仮貼り合せ材など、半導体製造に不可欠な材料を幅広く取り扱っています。無機コロイドは、日産化学のコア技術の1つを駆使し製造されており、多様な分野で活用されているところです。
農業化学品事業
農薬・緑地管理用薬剤・動物用医薬品の製造・販売を担う事業です。農薬は農地用の除草剤・殺虫剤・殺菌剤など、緑地管理用薬剤はゴルフ場・公園に使用する除草剤など、動物用医薬品としてはペットの外部寄生虫薬などの開発・製造・販売を行っています。
ヘルスケア事業
医療用医薬品の開発・製造・販売を行う事業です。高血圧・狭心症・高コレステロール血症などに対応する薬の開発実績があり、現在も不整脈の治療薬など新たな開発を進めている他、医療材料も含めより幅広い製品の提供を目指しています。
参考:日産化学 事業・製品
新卒選考フロー
日産化学の基本的な新卒選考フローは次の通りです(選考の流れや内容は年度・募集職種などによって変わる可能性があります)。なお、日産化学の新卒採用では、自由応募と推薦応募の2種類の応募方法があります。推薦応募を選んだ場合、学校推薦・学科推薦・教授推薦いずれの内容でも、選考辞退や内定辞退をするのはNGです(強い入社の意志ありとみなされるため、辞退すると非常に悪印象になります)。
エントリー
エントリーは日産化学のエントリー用ページか就職情報サイトのエントリーページのいずれかから行います。登録を行い、期日までに既定の書類を提出すれば本エントリーは完了です。書類は事務職への応募であれば自己紹介書・履修履歴データの2種類、技術職であれば研究概要を加えて3種類が必要です。また、推薦応募の場合はこれらの書類は不要で、推薦状またはこれに準ずる書類が求められます。
書類選考
エントリーした書類を元に選考が行われます。推薦応募の場合は書類選考は行われません。書類選考を通過した人には、次の選考ステップの案内がなされます。
技術面接
技術面接は技術職の選考で行われるものです(事務職の選考フローでは存在しません)。応募する技術職の種類によって内容は異なりますが、専門的な事柄に関する面接です。必要に応じて研究所や工場等の見学も実施されます。
面接・適性検査
最後に面接と適性検査が行われます。技術職は技術面接の後は最終役員面接、事務職の場合は複数回の面接を経た上で最終役員面接です。適性検査は職種に関わらず受検が必要で、形式はSPIのようです。WEBかテストセンターで受検します。
社風
ここでは、日産化学の社風の特徴を見ていきましょう。おっとりした雰囲気で、安定感を得ながら長く働きたい人には適した職場と言えるでしょう。また、実力をどんどん発揮していきたいタイプの人も、行動次第で望むような働き方ができそうです。
穏やかで保守的な社員が多い
風通しのよさは社内の部署によって違いがあるようですが、同じ部署の中では軒並み良好との声が聞かれます。保守的なタイプの社員が多く、結果それが企業全体の空気につながっています。会社は挑戦の機会もしばしば用意しているようですが、あまりチャレンジする社員がおらず、機会が十分活用されていない状況です。アグレッシブな職場を求める人にとっては物足りなさもあるかもしれませんが、こうした挑戦の機会を積極的に活かしていけば、希望に近い働き方は不可能ではないでしょう。
ワークライフバランスを意識しやすい
休暇が比較的取りやすく、オンオフのバランスをつけやすいことも日産化学の社員の感想でよく見られます。時短勤務などを使いながら家庭と仕事の両立を行っている女性社員も多いようです。
求める人材
日産化学でははっきり求める人材像を言及していませんが、採用情報サイトなどから推しはかってみます。日産化学では「未来を創造する」「価値を生み出す」「世界を視る」「自律と協働」というキーワードを掲げています。これらは日産化学が事業を行う上で意識し目指していることであり、この姿勢に共感し、同じ方向を見ながら歩んでいける社員を求めていることは言うまでもありません。
また、日産化学の採用情報サイトにある社員の声では、各職種において求められる素質にも触れられています。例えば技術職は論理的思考力、事務職は経営全体を見る広い視野、そしてさまざまな部署や社員と連携して働くためのコミュニケーションスキルなどです。このようにそれぞれの職種で不可欠なスキルを自ら理解し、習得に向け行動しながら成長できる素養も必要だと考えられます。
日産化学の採用情報サイトには、他にも未だ答えのない課題に対する自分の考えを持つことを望むメッセージが記載されています。これらのことから、日産化学では未来を創造する上でぶつかる課題に対し立ち向かえる力、自らの考えで行動し自ら成長していける自律心や向上心を持っている人材を求めていると言えるでしょう。
就職偏差値・難易度および業界での立ち位置
会社名 | 売上高 | 平均年収 | 就職偏差値・難易度 | 社風 |
日産化学 | 2,079億円 | 814万円 | 61 | 保守的・WLBをとりやすい |
三菱ケミカルグループ | 4兆6,345億円 | 949万円 | 72 | あたたかみある人柄・年功序列 |
住友化学 | 2兆8,952億円 | 884万円 | 70 | 風通しが良い・挑戦しやすい |
積水化学工業 | 1兆2,425億円 | 897万円 | 64 | やりがいあり・人間関係良好 |
財務情報の比較(売上)
日産化学との比較のため、こちらに挙げた3社は、国内化学業界でもトップクラスに入る企業です。日産化学も業界内で知名度の高い大手企業ではありますが、業界トップの企業に比べると規模感は小さくなります。ただし、日産化学の業績は2022年度も順調な推移を見せており、2023年度はさらに売上高の増加が見込まれています。
社風の比較
化学業界は職場環境が優良な企業、いわゆるホワイト企業が多いといわれています。化学製品は幅広い分野で利用されている社会に必要不可欠なものであり、その開発・製造・販売を担う化学業界も安定しているため、ホワイトな環境が整いやすいと考えられています。
今回挙げた4社も、基本的に職場の雰囲気は基本的に明るく落ちついていて、人間関係も築きやすい、働きやすい社風が共通点です。福利厚生も充実していて、長く勤続する社員が多いことも類似しています。ただし、新しいチャレンジへの積極度は企業によって差があります。
就職偏差値
化学業界は基本的に就職偏差値が高めです。特にこちらに挙げた業界トップクラスの企業や大手企業はかなり難関だと言って良いでしょう。業界の安定感や優良な職場環境など、魅力的なポイントが多く、毎年就活生から大きな人気を集めています。
ただし、募集職種によって倍率は異なり、専門的な知識やスキルが必要な技術職より、幅広く応募が可能な事務職・総合職の方がより倍率が高い傾向にあります。
採用大学
日産化学で採用実績のある大学の例は次の通りです。
秋田県立大学、青山学院大学、石巻専修大学、茨城大学、岩手大学、愛媛大学、大分大学、大阪市立大学、大阪大学、大阪府立大学、岡山大学、帯広畜産大学、香川大学、鹿児島大学、神奈川大学、金沢大学、関西学院大学、関東学院大学、北見工業大学、九州工業大学、九州大学、京都大学、熊本大学、群馬大学、慶應義塾大学、高知大学、神戸大学、埼玉大学、首都大学東京、信州大学、千葉大学、東京海洋大学、東京工業大学、東京大学、東京農工大学、東京理科大学、東邦大学、東北大学、東洋大学、徳島大学、富山大学、長崎大学、名古屋大学、奈良先端科学技術大学院大学、新潟大学、日本大学、日本獣医生命科学大学、一橋大学、兵庫県立大学、弘前大学、広島大学、星薬科大学、北海道大学、福岡大学、明治大学、山形大学、山口大学、山梨大学、横浜国立大学、横浜市立大学、立教大学、立命館大学、早稲田大学 など(五十音順)
全国各地の多数の大学から採用実績があります。国内難関大学・有名私学から地方の中堅大学まで、非常に幅広いことが特徴です。また、工業・農業・理学・医学など、各分野に特化する大学からの採用も多々見られます。
このような状況から、日産化学では選考の際、学歴フィルターは設けていないと考えられます。学歴や地域にかかわらず、選考対策次第で採用を獲得することは十分可能でしょう。
健康経営優良法人に7年連続認定
「健康経営優良法人~ホワイト500~」は、経済産業省と日本健康会議(経済界や医療業界、自治体のリーダーなどで構成される活動体)が共同で行っている顕彰制度です。優良な健康経営を行う法人のうち、毎年認定基準を満たす大規模法人の上位500社がホワイト500に認定されます。日産化学はこのホワイト500の常連であり、2023年現在で7年連続認定され続けています。
化学業界はホワイト体質の傾向にあることなどは先に述べましたが、このような認定は日産化学が従業員の働きやすい職場環境づくりに注力している裏付けにもなると言えるでしょう。
参考:日産化学 ニュース
まとめ
日産化学は幅広い事業分野で高い技術力を武器に製品を開発・製造し、化学業界を力強く支えている企業です。業界自体が時代の変化にあまり左右されず高需要であることに加え、日産化学の業績も順調なため、安定した将来性を重視したい就活生に特に適しています。
技術系職種と事務系職種で、必要なスキルや仕事で求められるものが大きく異なるので、十分自己分析した上で、応募する職種を選ぶことも重要です。ぜひ今回紹介した内容も参考に、より深く企業研修を行ってみてください。