【業界研究】商社とはどんな業界か?魅力や向いている特徴を解説
2024/10/24更新
はじめに
商社は学生から絶大な人気を誇る業界の1つです。
スーツをしっかり決めたかっこいい商社マンの姿をイメージする方も多いのではないでしょうか?
ただ就活生の中には、商社の仕事内容や業界内の状勢などが分からないため、なかなか進路を絞れていない方も多いでしょう。
そこで本記事では、商社業界について解説していきます。
- 商社ってどんな業界?
- 商社業界に向いている人
- 商社業界の将来性
総合商社と専門商社の違いや基礎的な情報はもちろん、「もっと商社業界について知りたい!」という人に向けておすすめの本を紹介します。
商社業界に興味がある人や商社業界についてまんべんなく知りたい人には必見の記事です。
上京を志す地方学生ならジョーカツ!
あなたのキャリアを加速させるチャンス!
無料で利用できる快適な個室シェアハウス、
東京までの交通費サポート付き
首都圏の注目企業への就活ならジョーカツ
首都圏の学生ならスタキャリ!
理想のキャリアを実現へと導く第一歩!
あなたにピッタリのキャリアアドバイザーを選び、
自分にマッチする優良企業をご紹介
首都圏企業のES添削から面接対策まで、就活ならスタキャリ
商社ってどんな業界?
商社は以下の2種類のビジネスモデルが存在します。
商社のビジネスモデル
- トレーディング
- 事業投資
ここでは、それぞれのビジネスモデルの概要について紹介します。
トレーディングとは
商社において最も伝統的で基本的なビジネスモデルといえるのが「トレーディング」です。
トレーディングとは、中間業者として需要者と供給者を結ぶ事業のことを指します。
例えば、「製造した自動車Aを販売したい企業X」と「自動車Aを仕入れたい企業Y」をクライアントとします。
この場合、両企業の間に入ることで需要と供給をマッチングさせることで「トレーディング」が成り立つのです。
トレーディングにおける利益は以下の2点から発生します。
- 仲介業者としての手数料
- マージン…買値と売値の差額
トレーディングのビジネスモデルを展開している商社は、外国との取引も盛んな傾向があるため、社内や社風がグローバルになっていることも少なくありません。
ただ、高度経済成長期以前には、収益の多くをトレーディングでしたが、インターネット技術の発達により「商社外し」が見受けられるようになりました。
その結果、「事業投資」というビジネスモデルを選択していくことになります。
事業投資とは
「事業投資」とは継続的・多面的な経営参画を念頭に置きながら、ある企業へ投資を行うことを指します。
その際の商社の行動としては、商社は目をつけた企業の株式を買収し、企業の発行する株式の一部を取得・保有し、企業の大株主になることです。
そして商社は株式を取得して資金を投入するだけではなく、企業の経営にも参画していきます。
この場合の収益は、以下の通りです。
- 配当金やキャピタルゲインといった直接的な利益
- グループ会社とのシナジー効果などの間接的な利益
海外でのコンビニの展開や水産業など、事業投資から発展して「事業経営」を行っている商社も増えつつあります。
総合商社と専門商社
ここでは、総合商社と専門商社について解説していきます。
総合商社と専門商社は商社業界を知るうえで重要な情報であり、事業内容や事業規模が大きく異なります。
商社に就職しようと考えている人は、以下の内容を必ず理解するようにしましょう。
総合商社とは
総合商社は、豊富な資金力と情報収集力という大きな強みを生かして、トレーディングと事業投資が利益の2本柱となっている商社です。
トレーディングでは、幅広い分野の商材を取り扱っており、果物や野菜といった食品の買い付けから、航空機や金融商品の売買まで多種多様な商材を扱っています。
一方、事業投資では強みである資金力と情報力を生かし、見込みのある事業だと判断した場合に投資することで利益をあげています。
主な企業は以下の通りです。
- 三菱商事
- 伊藤忠商事
- 丸紅
- 三井物産
- 住友商事
国内だけではなく海外でも活躍しているグローバル企業が多いため、年収が高く、ビジネスキャリアが安定している企業が多いです。
そのため、就職先として人気があり、エントリーする就活生のレベルが高い傾向があります。
専門商社とは
専門商社は先述した総合商社と比較して、取り扱う分野がある程度絞られています。
また、中心事業といえるのはトレーディング事業であることも、総合商社とは異なる点です。
専門商社は取り扱う分野によって、以下の3つのタイプの企業に分けることができます。
専門商社のタイプ
- 大手メーカー
- 総合商社
- 特定の商材
専門商社は、この3つのうちどれか1つの分野に深く関係していることがほとんどです。
しかし、近年はメーカーが自社で原料の調達や売買を仕掛けることも増加してきており、商社のトレーディングの機会が減少しています。
そのため、トレーディング以外の分野でも収益を上げるよう模索する企業もあります。
主な企業は以下の通りです。
- 株式会社メディパルホールディングス
- アルフレッサホールディングス株式会社
- 三菱食品株式会社
- 株式会社スズケン
- 日鉄物産株式会社
専門商社は取り扱う分野が特化している性質上、業務を行う上で専門的な知識が求められる場合もあります。
そのため、専門商社によってはエントリーする対象として、特定の学部や学科を指定してくることも少なくありません。
以下の記事では、専門商社の業界研究について詳しく解説しています。
気になる方は、ぜひ参考にしてください。
商社の業務内容とは?
この項目では商社の業務内容について解説します。
商社の業務内容は取り扱っている商材や事業領域によって、内容が大きく異なります。
ただ、「商品やサービスを流通させ、利益を獲得する」という目的は共通です。
そのため、扱っている商材やサービスが異なると言えど、大まかな業務内容は共通しています。
大まかな業務内容の把握は、進路を決める判断材料になることはもちろん、就職活動にも役立つことでしょう。
商社の業界に少しでも興味がある就活生は、以下の業務内容を頭の隅に意識してみてはいかがでしょうか。
貿易業務
国内外の企業と取引を行い、商品やサービスの輸出入を実施します。
業務内容には、契約交渉、輸送手配、通関手続き、為替リスクの管理などが含まれ、リスク管理や臨機応変な対応が重要になる業務です。
また、海外の企業の担当者とのやり取りが発生する可能性も高いため、電話やメール対応において語学力が必要です。
マーケティングと販売
海外の製品やサービスを国内市場に導入したり、国内の製品を海外市場に販売するためのマーケティング戦略を策定し、実行します。
有効なマーケティング戦略を実施するには、市場調査や顧客のニーズを分析する必要があります。
そのため、情報収集能力や分析能力が必要になる場面が多いです。
物流管理
商品の輸送や保管に関する業務を管理します。
効率的な物流体制を構築し、コスト削減や納期の厳守を図るなど、物流の要と言えるポジションを担当します。
そのため、物流管理においては、スケジュール調整能力や他者とのコミュニケーション能力が必要になってくるでしょう。
また、物流コストの上昇が問題になってきているため、高利益化を目指すには物流管理に注力する必要があるでしょう。
投資・事業開発
企業やプロジェクトへの投資を通じて、新たなビジネスを開拓します。
商社はさまざまな産業に投資を行い、そのノウハウを活かして新規事業を展開することが多いです。
リスクマネジメント
取引に伴うリスク(為替リスク、信用リスク、法律リスクなど)を管理し、最小化するための戦略を立てます。
海外情勢に詳しくないと適切な処置が下せないため、常に情報をアップデートする必要があるでしょう。
原材料・エネルギー資源の調達
鉱物資源、エネルギー、食料品などの原材料の調達を行い、国内外の企業に供給します。
特に、大手商社は資源開発プロジェクトに関与することが傾向が強いです。
商社業界で働くの3つの魅力
人気業界の一つである商社業界の魅力について解説していきます。
商社に興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
3つの魅力
- 給与が高い水準にある
- グローバルなビジネス経験ができる
- 多様なビジネススキルを習得できる
給与が高い水準にある
商社業界の新卒の給与水準は、高く設定されています。
その要因となっているのが、新卒採用される人材に対して、高いコミュニケーション能力や国際的な感覚が求められるためだと考えられます。
例えば、総合商社は、取引規模が大きく、高い利益を上げることが可能です。
その結果として利益の一部を、従業員に還元することで、モチベーションの維持と向上を図ります。
これは、優秀な人材を確保し、長期にわたって会社に貢献してもらうための戦略としても機能しています。
グローバルなビジネス経験ができる
国内だけでなく、海外で働くチャンスが多いことも商社の特徴です。
例えば、海外勤務の場合、現地の外国人だけでなく他の国から派遣されてきた競合他社のスタッフと顔を合わせることも珍しくありません。
グローバルに人脈が広がる点は大きな魅力です。
そのための、言語力やコミュニケーション能力は欠かせないといえるでしょう。
多様なビジネススキルを習得できる
商社での仕事では、多くの取引先との関係構築や新たな事業への投資、原材料の仕入れ交渉など、幅広い経験が得られます。
特に総合商社ではビジネスのスケールが大きく、他の業界では経験できない仕事に携わる機会もあります。
第一線で働くことで、コミュニケーション能力や交渉力、リーダーシップなど多様なビジネススキルを磨くことができます。
こういった能力を備えておくことは、その後のキャリアプランにも大きな影響を与えることになるでしょう。
商社に向いている人とは?
ここでは、商社に向いている人の条件を2つ紹介します。
商社は人気の職業であるため、向いている人であるかどうかを見極めることも重要になるでしょう。
以下のポイントに自分が当てはまっているかどうか確認し、就職活動の軸をより明確なものにすることをおすすめします。
積極的に行動できる人
商社では、前例のない事業を取り扱うことも少なくないため、何事にも積極的に行動できる人が向いています。
総合商社では、海外出張や駐在のように、行ったことのない国で仕事を行う場合も少なくありません。
言語力はもちろん、初めての環境でも物怖じしない姿勢でいる必要があるでしょう。
また、専門商社の場合も、特定の業界や市場で新しい取引先を開拓したり、新しい製品やサービスを導入するなど、積極的に行動する必要があります。
ハングリー精神がある人
商社では、常に売上を向上させることが求められるため、ハングリー精神がある人が向いています。
総合商社は扱う商材の範囲が広く、携わる業務範囲も多岐に渡ります。
多くのタスクが課せられることも少なくないため、何事にも貪欲に取り組む姿勢が必要です。
専門商社においても、特定の分野での専門知識を深めるために、絶えず学び続ける姿勢が求められます。
技術や市場の情勢は日々変わるため、新しい情報やニーズを利益に変えようというハングリー精神がある人が成功しやすいと言えるでしょう。
五大商社とは?年収も高い?
本章では、商社業界の中でも特に人気の高い五大商社について、各社の強みや社風などを解説していきます。
なお、各商社の平均年収の出典は2018年度有価証券報告書になります。
五大商社
- 三菱商事
- 伊藤忠商事
- 丸紅
- 三井物産
- 住友商事
三菱商事
三菱商事はバランスの取れた優等生と表現できます。
というのも、三菱商事は非常にバランスの取れた事業経営を行っているからです。
中でも食品や生活消費財、衣料などを扱う「生活産業」に強みを持っています。
社風としてもバランス感が取れていると言われることが多く、人間的に魅力のある社員が多いように感じた内定者もいるようです。
日本でも有数の総合力を持っている企業に就職し、幅広い分野で活躍したい場合は、三菱商事を志望してみることをおすすめします。
三菱商事について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてチェックしてみましょう。
伊藤忠商事
伊藤忠商事は「非資源商社No. 1」です。
財閥関係商社と比べて資産が少ない傾向があるため、伊藤忠商事は非資源分野に強みを持っています。
加えて、SDGsへの貢献や取り組み強化をしており、化石燃料事業・権益からGHG排出量を大幅に削減するなど、環境への高い配慮も有名です。
社風としては、三菱商事が優等生の集団であれば、伊藤忠商事は1つの物事に取り組んできたエネルギッシュな人間が集まると言われます。
ハングリー精神を活かしたい、資源分野と非資源分野の事業両方に取り組みたいと考えている人は、伊藤忠商事を志望してみることをおすすめします。
以下の記事では、伊藤忠商事のエントリーシートの対策法を紹介しています。
今後、エントリーを考えている方は、チェックしてみてください。
丸紅
丸紅は、伊藤忠商事と同じく、非財閥系総合商社です。
事業内容は電力と穀物の2本柱で、特に電力分野では他社の追随を許しません。
特に、穀物の取扱量は国内No. 1であり、それに派生した飼料・肥料のビジネスでも堅実な利益を挙げていると言えるでしょう。
社風としては、他の総合商社と比べると年功序列の風潮が比較的弱いということもあり、親しみ易さを感じると言われます。
安定感と親しみやすい職場を両立させたい、電気や穀物などの分野に興味がある人は丸紅を志望してみることをおすすめします。
以下の記事では、丸紅のエントリーシートの対策法を紹介しています。
今後、エントリーを考えている方は、チェックしてみてください。
三井物産
三井物産は伊藤忠商事とは異なり、資源分野に大きな強みを持っています。
しかし、資源分野は資源価格によって利益が安定しないデメリットがあります。
そのため、経営方針を切り替え始め、急速にポートフォリオ総合商社の側面を持つようになってきました。
その中でも特に医療関連商品やサービスを使うヘルスケア事業や、交通インフラに深くかかわっているモビリティ・インフラ事業に強みがあるといえます。
社風としては、個が尊重され、自由闊達であるといわれています。
その自由な社風はインターンにおいても確認でき、三井物産の人を押すようなテーマのプログラムが多いようです。
個人のスキルアップに重きを置いている人や、新規事業領域で力を発揮したい人は、三井物産を志望してみることをおすすめします。
三井物産の企業研究をしたい方におすすめの記事を紹介しています。
具体的な選考フローなども解説していますので、参考にしてください。
住友商事
住友商事はメディアと不動産に強みがあります。
「石橋をたたいて渡らない」ほどリスクに慎重だといわれていますが、近年は事業投資に積極的な姿勢を見せています。
そのため、メディア事業ではDXやAIなどの新技術へのビジネスにシフトをするなど先端技術への適応力が高水準です。
メディア事業における事業規模はトップクラスであると言えるでしょう。
「自利利他公私一如」「浮利を追わず」などを理念に掲げていることから、社風としては堅実な風潮が強いです。
メディアや不動産など、他の大手商社とは異なる事業領域で活躍したい人や、堅実にスキルを磨きたい人は、住友商事を志望してみることをおすすめします。
これから住友商事の選考対策をしていきたいという方は、以下の記事を参考にしてみましょう。
より理解を深めるために必要な情報を公開しています。
商社の業界研究をしたい人におすすめの本3選
本章では本記事を読んで、「もう少し商社の業界研究をしたい!」とか「もう少し商社について知りたい!」という人に向けて本を紹介しています。
商社の業界研究をする際の参考にしていただけると幸いです。
総合商社未来図鑑(未来をつくる仕事がここにある)
総合商社の図解と謳っているだけあって、イラストと図解を使うことで総合商社のプロジェクトをわかりやすく解説しています。
取り上げている事例も生活に身近なものが多く、総合商社の仕事とはどのようなものか理解できるような構成であるといえるでしょう。
総合商社と普段の生活との関わりがよくわかる一冊となっています。
図解入門業界研究 最新総合商社の動向とカラクリがよーくわかる本
出典:AMAZON
総合商社についての歴史や、7大商社のビジネスモデルなどが詳しく述べられています。
そのため、総合商社への就職を考えている人にとっては、まさに入門書といえるでしょう。
総合商社にしかできない、スケールの大きな仕事の素晴らしさなどを、客観的な視点で解説しています。
総合商社が、日本の中でどのような機能を果たしているのか、という理解にもつながるので、総合商社以外の就職希望者も読んでおいて損はない一冊といえます。
総合商社プロフェッショナル 15人の三菱商事マン ビジネスの最前線からのレポート
出典:AMAZON
三菱商事株式会社の協力のもとに作られた、インタビューが中心の一冊となっています。
15人の商社マンが商社の仕事はもちろん、仕事の本質的な部分やライフスタイルなど、幅広いトピックについて語ります。
商社で働くとはどういうことなのかを知りたい商社志望の学生には、おすすめの一冊です。
商社業界の現状と将来性
商社業界は厳しい状況を幾度も乗り越え、そのたびに事業体制を見直して生き残ってきました。
時代に合わせて柔軟に変化してきた点は商社の強みです。
そんな商社業界の現状や今後の展望はどのようなことになっているのでしょうか。
商社業界を理解する上で、商社業界の現状と将来性を把握することは重要です。
商社業界の現状
現在、商社業界は資源分野から非資源分野に方向転換しています。
石油や天然ガスなどの資源分野は取引額が大きい点が特徴です。
そのため、従来は海外の資源ビジネスに投資することで巨額な利益を上げてきた経緯があります。
しかし、資源分野は、資源価格のアップダウンの影響を大きく受けるため、収益性の安定感に欠けていたために、
そこで、現在は食料品や住宅、情報通信といった非資源分野が注目されています。
また、M&Aによる販路拡大にも積極的に取り組んでいます。
取扱商品によっては、人口減少が進む国内市場において、飽和状態が起こっているためが大きな理由です。
これらのことから、「事業拡大」「新規顧客の獲得」「ブランド力の強化」等を目的とした、M&Aが活発化しています。
商社業界の将来性
今後、商社業界は他業界同様に、デジタル技術を活用して競争力を高めるDX戦略を強化していく必要があります。
近年はECサイトなどの影響を受け、商社を介さずとも顧客がメーカーと直接取引できるようになってきました。
こうした状況に対応するため、DXを推進することが重要課題となっています。
DX推進により品質や顧客満足度の向上、また取引先と情報共有することによって関係性の強化が期待できるとされています。
さいごに
本記事では商社業界について解説してきました。
単に商社業界といっても総合商社や専門商社があり、企業ごとのカラーも異なっています。
また、商社業界には優秀な人も多く、正直なところ狭き門です。
しかし、本記事を読んで「商社業界に興味を持った」あるいは「商社業界に行きたい」と感じたのであれば、紹介した本を読むなどして商社業界についてもう少し調べてみてください。
その業界研究を通じて、自分が商社に向いているのか、向いていないのかが分かってくるはずです。
本記事が、商社業界に興味がある人や商社業界についてまんべんなく知りたい人の参考になれば幸いです。