5s大学は学歴フィルターに引っかかるのか?
2024年8月15日更新
この記事の監修者
杉崎 聖輝(キャリアアドバイザー リーダー)
東京学芸大学卒業後、6年間中学教員として勤務。2000人以上の生徒との関わりで人の良さを見出す力を磨く。ソフトテニス部顧問として部活指導も経験。現在は株式会社ナイモノに転職し、キャリアアドバイザーとして活躍。教育現場での経験を活かし、自己分析から選考対策まで、1人1人の価値観を大切にした就活サポートを提供。適性のある業界・業種の発見や差別化されたガクチカ作りが得意。就活初心者や不安を抱える学生・チャレンジ精神旺盛な20代向けのサポートに力を入れている。
東京学芸大学卒業後、6年間中学教員として勤務。2000人以上の生徒との関わりで人の良さを見出す力を磨く。ソフトテニス部顧問として部活指導も経験。現在は株式会社ナイモノに転職し、キャリアアドバイザーとして活躍。教育現場での経験を活かし、自己分析から選考対策まで、1人1人の価値観を大切にした就活サポートを提供。適性のある業界・業種の発見や差別化されたガクチカ作りが得意。就活初心者や不安を抱える学生・チャレンジ精神旺盛な20代向けのサポートに力を入れている。
はじめに
5s大学はランクが金岡千広より下、STASより上の位置の中堅大学に該当します。
就職活動をする5s大学の学生の中には、大手企業に応募をしても学歴フィルターに引っかかり、落ちてしまうかもしれない、という不安を持っている人もいるでしょう。
学歴フィルターはグレーゾーンにあり、絶対にないと断言はできませんが、あると仮定して就活をした方がいいでしょう。
しかし、5s大学の学生が学歴フィルターで落とされる機会は少ないと思われますので、そこまで恐れずに自信を持って大手企業の就職を目指した方がいいです。
そして5s大学の学生が大手企業の就職を目指すには、金岡千広やGMARCH、関関同立の学生よりも就活対策を練って行動をすることが必須です。
この記事では5s大学と学歴フィルターについて解説します。
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5s大学について
5s大学は、中堅国立大学で構成されています。
以下に詳細について解説します。
5s大学の定義
5s大学は以下の5大学を指します。
- 埼玉大学
- 信州大学
- 静岡大学
- 滋賀大学
- 新潟大学
各大学の頭文字の「s」をとって5sと呼ばれます。
※新潟大学は新大(しんだい)の略称の頭文字からとっています。
ランクは金岡千広の準難関大学や準難関私立のGMARCHの下に位置し、STARSよりも上です。
認知度はこれらの大学に比べると少し低めにはなりますが、地方国立大学の中ではランクが上位になります。
埼玉大学
埼玉大学には、教養学部があることが特徴です。
教養学部では人文学部や社会科学などを学べるため、哲学系を学びたい学生に人気があります。
教員養成にも力を入れており、教員や地方公務員を目指す学生が多いため、文系は大手企業への就職率が低めです。
対して理系は大手企業へ就職する割合が大きいです。
首都圏に近い、という立地の良さも影響しています。
静岡大学
静岡大学は東海地方にあるため、トヨタ関連の企業への就職が多いです。
そのため、企業への就職に関しては5sの中ではトップクラスの実力があります。
静岡県にもスズキやヤマハ、ヤマハ発動機などの企業があり製造業が盛んなことも、就職率を高める要因のひとつです。
信州大学
信州大学は偏差値は新潟県と同等ですが、有名企業への就職率は静岡大学に負けない実績があります。
繊維学部という国内ではこの大学だけの学部があり、繊維や素材関係の教育を行っていることも特徴です。
長野県にはセイコーエプソンやミネベアミツミなどの機械系の企業もあり、理系の就職に特に強い大学です。
滋賀大学
滋賀大学は文系が強い大学で、特に経済学部には優れたゼミがあり、そこから伊藤忠や双日などの大手企業に就職する学生がいます。
データサイエンス部という最近できた学部からも、有名企業へ就職をする学生が出ており、勢いに乗っています。
5sの中では唯一関西の大学になり、同じ地域の関関同立にも負けない実力がある大学です。
新潟大学
新潟大学は旧六医学部だったこともあり、医療系に強いことが特徴です。
医療系の資格である医師・歯科医師・看護師・歯科衛生士の合格率もとても高いです。
大手企業への就職は少し難しいかもしれませんが、公務員試験の実績が高いことや、地元の企業の受け皿も広く、就職に関してはかなり優れている大学になります。
参照ページ
学歴フィルターとは
学歴フィルターは、就職活動をしている学生を企業が学歴だけでふるい落とすことを指します。
詳細について解説しますね。
明言している企業はない
学歴フィルターがあると明言している企業はありません。
ですが実際に大手企業へ就職した学生の学歴を見ると、選考に通過する条件に学歴は関係していないとは残念ながら確証はできないと言えます。
大手企業は人気があるため、数え切れないほどの学生が応募します。
そのため一定以上の学歴の基準を作り、選考をスムーズに進めようとしているのでしょう。
また偏差値が高い大学へ進学する学生は、目標に向かい努力ができ、かつ良い結果を出す能力も持っています。
5s大学の学生が大手企業への就職を目指すためには、そんなレベルの高い学生と張り合う力を持つことが必要です。
どのような企業にあるのか
大手企業には学歴フィルターに近い判断基準があるようです。
メジャーな書類選考以外にも、ランクの高い学校しか登録ができない大手企業のサイトがあったり、セミナーの申し込みを大学を見て出席を判断するという手法もあるという噂もあります。
気にしすぎず就活をしよう
学歴フィルターは存在しないとは言い切れませんが、5s大学はランクの高い大学であるため、努力次第では大手企業に就職することは十分可能です。
実際に5s大学から大手企業に就職している学生もたくさんいるため、学歴フィルターはそこまで気にしずぎず就活をしましょう。
5s大学の主な就職先
実際に5s大学の生徒の就職先はどこなのでしょうか。
以下に令和三年度の卒業生の就職先一覧をご紹介しますので、ご確認ください。
埼玉大学
- 教養学部
さいたま市役所、埼玉県庁、公立中学校教員、キヤノンITソリューションズ
- 経済学部
さいたま市役所、埼玉県庁、りそなホールディングス、関東甲信越国税局他
- 教育学部
公立小学校教員、公立中学校教員、公立高等学校教員、特別支援学校教員他
- 理学部
公立高等学校教員、日研トータルソーシング、しまむら、大和証券、砂防エンジニアリング他
- 工学部
東京都庁、KSK、さいたま市役所、埼玉県庁、大和ハウス工業、メイテック他
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新潟大学
- 人文学部
国税庁関東信越国税局,、国土交通省北陸地方整備局、農林水産省東北農政局他
- 教育学部
小学校教員
中学校・高等学校教員
特別支援学校教員
- 法学部
裁判所事務官、国税専門官、厚生労働省、原子力規制庁、厚生労働省関東信越厚生局他
- 経済学部
新潟県、山形県、新潟市、秋田県、群馬県、八十二銀行他
- 理学部
教員(公立)、林野庁、京セラコミュニケーションシステム、セイコーエプソン他
- 工学部
キヤノンイメージングシステムズ、シャープ、TDK、東北電力、中日本高速道路他
- 農学部
農林水産省、林野庁、新潟県、柏崎農業協同組合、キユーピー、ハウス食品他
- 医学部保健学科
日本赤十字社秋田赤十字病院、慶應義塾大学病院、東北大学病院他
歯学部口腔生命福祉学科
新潟県、富山大学附属病院、新潟大学医歯学総合病院、富山市立富山市民病院他
- 創生学部
新潟県、国立大学法人等職員、農林水産省関東農政局、秋田市、酒田市他
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静岡大学
- 人文社会科学部
清水銀行、静岡銀行、国立大学法人静岡大学、静銀ビジネスクリエイト他
- 教育学部
社会福祉法人アパティア福祉会、ウエルシア薬局、エイエイピー他
- 情報学部
アイホン、アウトソーシングテクノロジー、伊藤忠テクノソリューションズ他
- 理学部
アイエイアイ、いなば食品、イハラニッケイ化学工業、イビデン他
- 工学部
愛三工業、アイシン、アイシンソフトウェア、朝日インテック、朝日電装他
- 農学部
いなば食品、アイエイアイ、アイエイアイ、フジイチ、アダストリア他
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信州大学
- 人文学部
長野朝日放送、信濃毎日新聞社、新潟日報社、テレビ松本ケーブルテレビジョン他
- 教育学部
教員(小中高他)、地方公務員(市区町村)、地方公務員(都道府県)他
- 経法学部
北野建設、伊藤ハムグループ、井村屋グループ、キッセイ薬品工業他
- 理学部
教員(小中高他)、地方公務員(都道府県)、ジャステック、国家公務員他
- 医学部
信州大学医学部附属病院、地方公務員(市区町村)、地方公務員(都道府県)他
- 工学部
地方公務員(都道府県)、地方公務員(市区町村)、国家公務員他
- 農学部
地方公務員(都道府県)、国家公務員、地方公務員(市区町村)他
- 繊維学部
エプソンアヴァシス、LIXIL、アイリスオーヤマ、セイコーエプソン、資生堂他
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滋賀大学
- 教育学部
滋賀県教育委員会、京都府教育委員会、兵庫県教育委員会、滋賀県庁他
- 経済学部
三井住友銀行、京都銀行、北陸銀行、十六銀行、商工組合中央金庫他
- データサイエンス学部
NTTドコモ、SCSK、電通国際情報サービス、日本ソフト開発、ソフトバンク他
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学歴フィルターに関係のない5s大学の強み
5s大学は全体的に教育水準が高く、学歴フィルターに関係のない強みもあります。
実際に信州大学は繊維学部、滋賀大学はデータサイエンス部といった独自の学部を作り、実績をあげています。
5s大学の強みを他にも解説していきます。
地元の企業に強い
5s大学は埼玉大学以外は地方にあり、残りの4大学は地元では実力のある大学として認識されていて、地元の企業からは引く手あまたです。
地元の企業や公共施設へ就職したり公務員として働くことを希望する生徒も多いです。
埼玉大学も教育関係が強いため、地元で教員などの公務員として働く卒業生を多く輩出しています。
首都圏まで出なくても、地元で安定した仕事に就ける可能性が高いことも5s大学の強みです。
世間では認知度が高い
5s大学の世間の認知度は、旧帝大や早慶には劣りますが高いでしょう。
全国の大学のランクでは上位30%に入る中堅国立大学ですし、特に理系学部の教育水準が高いことで有名です。
5s大学を評価し信頼をおいて内定を出す大手企業も多いため、学歴フィルターについて不安を持っている5s大学の方は安心してください。
5s大学から大手企業へ就職するための対策
5s大学が学歴フィルターに引っかかる機会は少ないと思われます。
しかし大手企業への就職を希望する場合は、さらにレベルの高い旧帝大や金岡千広などの生徒たちと競わなければなりません。
5s大学の生徒が大手企業へ就職するための対策について解説します。
自分の将来像を明確にする
まずは、自分が将来どのような仕事をしたいのかを明確にしましょう。
自己分析を徹底的に行って自分の強みを発見したり、業界研究や企業研究を早い時期から開始するなどをして自分が希望する企業に対してどのようにアピールすべきか対策をします。
レベルが高い大学の就活生に負けない様に頑張りましょう。
企業のインターンへの参加やOB・OG訪問を実施する
興味がある企業のインターンに参加をしたり、OB・OG訪問を行い企業の人と実際に会うことも大手企業への就職には有用です。
事実として、インターンに参加した就活生の内定率は7割もあります。
OB・OG訪問も企業で実際に働いている人と顔を合わせて好印象を残せた場合は、就活にはとても有利に働きます。
Webや面接で初めて会う就活生よりも、インターンやOB・OG訪問を通して事前に面識がある就活生の方が、企業も安心して評価してくれるはずです。
試験対策をする
筆記試験や適性検査で少しでも上位大学に差をつけられるように、5s大学生には試験対策が必須になります。
筆記試験の時事問題などをはじめ、適性検査のSPI、玉手箱、GAB、CABも問題集や参考書で勉強しましょう。
一問でも多く正解し、他の就活生との差をつけることが大切です。
学歴フィルターに関係なく、大手企業へ就職しやすい学部は?
学歴フィルターの関係がなく大手企業に就職をしやすい学部について解説いたします。
全体的には文系よりも理系の方が専門性のある職業に就けるため、大手企業に就職がしやすい傾向です。
文系学部
文系学部の中で大手企業へ就職しやすい学部は、法学部になります。
法学部で裁判官や弁護士、司法書士などの専門性の高い士業の国家資格を取得できれば、大手企業に活躍を見込まれやすいでしょう。
経済学部も税理士、行政書士、公認会計士などの国家資格を取得することにより、金融やコンサル業関連などの大手企業に就職がしやすくなるはずです。
理系学部
理学部と工学部は大手企業へ就職がしやすい傾向にあります。
理学部は自分が勉強や研究をした分野に応じて、エネルギーメーカー、化学メーカー、電機メーカーなどの大手企業への就職が可能です。
プログラミングやデータ解析などを学んでいる場合は、IT業界の大手も狙えるでしょう。
工学部はものづくりに特化した技術を学べる、就職には有利な学部です。
建築士や電気主任技術者などの資格の取得も良いでしょう。
他にも薬学部は薬剤師の資格を活かして、大手製薬メーカーや治験メーカーへの就職を目指せます。
学歴フィルターに強い資格とは
学歴フィルターを突破して大手企業に就職するために、大手企業で求められやすい資格を紹介します。
以下の2つは、どの企業でも必要とされる傾向にあります。
TOEIC
TOEICは大手企業への就職にはほぼ必須と言えます。
大手企業が求める最低ラインは730点以上です。
さらに外資系企業の場合は、800点以上になります。
英語が必要に見えない企業でもTOEICを必要とする場合が多いため、TOEIC対策はしっかり行いましょう。
日商簿記
日商簿記は経理職以外にも、営業やコンサルタント業にも必要な資格です。
仕事で活躍するのは、2級以上になります。
大手企業への就職を目指す場合は、難関ではありますが1級まで取得できるとかなりの強みになるでしょう。
学歴フィルターがあまり関係の無い業界はある?
5s大学は学歴フィルターには引っかかりにくいとは説明をしていますが、それでも就職活動にはまだ不安がある方もいるでしょう。
学歴フィルターにかかる傾向が少ない業界についてご紹介しますね。
IT業界
IT業界は発展中の業界であることと、専門性が高い業務を行わなければならないため人手不足の企業が多いです。
そのため、学歴フィルターに関係なく新卒生を採用している大手企業もあります。
年収も低くなく将来性もある業界のため、IT業界の大手企業は穴場である可能性が高いです。
小売業界
小売業界は、学歴フィルターのかからない大手企業が多いです。
仕事がとても忙しく、給料も低いイメージがあるため就活生からの人気が高くないことも一因と考えられます。
ですが、小売業界で働くことはメリットも多いですよ。
- 営業スキルが身につく
- 役職が多いため昇進しやすい
- キャリアの選択肢が多い
入社したては大変かもしれません。
しかし10年、20年後の将来も考えたときのキャリアを考えると、小売業界への就職は悪くはないと考えられます。
サービス業界
サービス業界も学歴フィルターのない大手企業が多いですが、厳しい労働環境で低賃金のイメージが先行して、就活生からの人気は高くありません。
サービス業界の最大のメリットは、コミュニケーション能力のスキルが上がることです。
コミュニケーションスキルは、どのような仕事でも必須になりますよ。
またサービス業界は実力主義な面もあるため、自分の力でのし上がっていきたいという人にも適しているでしょう。
建設業界
建設業界も学歴フィルターに関係のない大手企業が多いです。
こちらも重労働のイメージを持っている方もいるかもしれません。
しかし以前よりも労働環境はかなり改善されていますし、仕事に対して達成感ややりがいを感じられるという声が多いです。
街や人々を災害から守るなど、社会貢献に役立つ業界でもあります。
まとめ
5s大学は一般的に教育水準の高い大学と認識されているため、基本的に学歴フィルターで選考を落とされることはないでしょう。
ただ、企業によっては学歴フィルターに引っかかるかどうかの境界線にいます。
地元の企業や公共機関については、5s大学に対して評価と信頼があります。
地元で働くことを考えている方には5s大学は有利に動くはずです。
5s大学が実際にどのような企業へ就職しているか気になる人は、この記事の主な就職先を参照してください。
大手企業への就職を希望している場合は、上位ランクの大学の就活生と競うことになるため、しっかりとした対策が必要になります。
自己分析や業界研究、企業研究などを早めに開始し、自分はどの様な仕事を希望するのか、その職種の企業ではどのようにアピールしていくのが良いのかを明確にしましょう。
インターンやOB・OG訪問で企業に自分の顔を売り、印象を残すことも就活には有利に働きます。
筆記試験や適性試験もしっかりと対策をして、他の人と差をつけましょう。
5s大学の学歴フィルターについて気になっている方は、ぜひ参考にしてください。