【業界研究】土木業界について徹底解説!特徴や向き不向きは?

2023年11月24日更新

はじめに

就活を成功させるためには業界研究をしなければなりません。業界独自の業務や特徴を知っていないと入社後にギャップを感じて長く続かない可能性があります。また、長く続けるためには、業界全体の将来も考えることが必要です。

 

そこで、この記事では土木業界について基本概要から業務内容、向いている人・向いていない人をご紹介します。土木業界に興味があり、業界研究があまり進んでいない方は、ぜひご確認ください。

土木業界とは?

土木業界とは、自然災害を防ぎ被害を受けた箇所を修復したり、公共の建造物を工事する業務を担う業界です。建築と土木を総称したものを建設と言います。ビルやマンションなどの建物を建てる工事を建築工事と言い、道路や橋などのインフラ新設、整備、維持、復旧工事を土木工事といいます。土木工事は主に国や県など自治体や地方公共団体から依頼され、総合建設業者であるゼネコンが発注を請け負い、下請け業者に仕事を依頼します。

元請け業者が工事を作業別に分け、それぞれ下請けの各工事業者に割り当てて全体の工事を完成させていきます。

土木業界の種類

土木業界といってもその中でも複数の種類があります。次に、土木業界の各種類の概要についてご紹介します。

 

種類①大手土木企業

大手土木企業は鹿島建設、大林組、清水建設などの企業が該当します。特徴は下記のとおりです。

・業界最大手であり、複数の事業を有している

・全国に営業拠点がある

・海外事業も積極的に参入している

また、就職活動においては下記のような方がおすすめです。

・国内最大規模のプロジェクトに挑戦したい人

・業界トップのフィールドで活躍したい人

・日本全国や海外に活躍の場を広げたい人

 

種類②中堅土木企業

中堅土木企業は、前田建設工業株式会社、株式会社ジャスト、五洋建設株式会社などの企業が該当します。それぞれの特徴は下記のとおりです。

・歴史と豊富な実績を有している

・独自の強みや特徴を持ち新しいサービスの開発に意欲的

・グローバルな視点で幅広い事業展開をしている

 

就職活動の際のポイントは、下記のような方がマッチします。

・国内/国外問わず活動の場を広げたい人

・新しいプロジェクトや活動に積極的に取り組める人

・独自の強みや特徴を活かし邁進できる人

土木業界の主な業務内容

土木業界の主な職種と業務内容は下記のとおりです。

 

業務内容①現場の調査

建物を建てるとき、まず初めに現場の調査を行います。施工前に写真撮影をして記録を残したり、現場の周辺状況や立地状況を確認し、把握するのが現場調査の仕事です。

 

業務内容②設計

土木業界での設計の仕事は道路や橋、トンネルなどの設計です。

地形や現地踏査結果などをもとに設計を行う概略設計と、概略設計をもとに詳細の図面作成などを行う詳細設計の2つに分かれます。

建物が沈んだり傾いたりすることを防ぐため、建物の重みを地盤に支える基礎となる土台を築く仕事です。

 

業務内容③工事着工

詳細の設計が決定し、工事を着工する際に依頼主の希望通りとなるよう、実際の工事を進める仕事です。

 

業務内容④建築設計

建物の設計について設計士と発注者が話し合い、イメージに合うように図面を使って、建築の際に大きな役割を担う仕事です。

 

業務内容⑤施工管理

資材を手配したり、図面通りに進んでいるかを管理したり、天候を考慮したりと施工における全体を統括する仕事です。

 

業務内容⑥建物の施工

設計図をもとに建設作業を進める仕事です。施工管理の指示にならい、スケジュールや設計に沿って建設を行います。

 

業務内容⑦電気設備等の工事

電気設備等の工事は建物が完成して実際に使用する際に、送電線網の整備や設置、監視を担う電気関連に携わる仕事です。

土木業界のメリット・デメリット

土木業界のメリット・デメリットには下記のようなものがあります。メリット・デメリットを確認して業界の特徴を掴んでみましょう。

 

メリット①社会に大きく貢献できる

土木業界は道路や橋、ダム、河川改修など、人々の暮らしや産業の発展に欠かせないインフラ整備を担う仕事を請け負うため、社会に大きく貢献できます。

関わりや手掛けたプロジェクトが社会に貢献していると実感できたときは、喜びややりがいを感じることができます。

 

メリット②長期的な仕事が多く安定している

インフラ整備は、建物の建設と比べて作業期間が長く工程が複雑ですが、工事期間中は1つの現場で長期的に仕事を続けることができます。

近年、土木業界は人材不足が課題とされているため、需要は今後も見込め、長期的で安定的な仕事を続けることができるといえます。

さらに土木業界の仕事は、道路工事や上下水道工事、鉄道工事など幅広く、定期的なメンテナンスが必要なため需要も安定していて、将来仕事がなくなるといった心配がありません。

 

メリット③スキル・キャリアアップにつながる

土木業界は、自分のスキルや能力を活かし、研磨しながら活躍の場を広げることが可能です。

自然環境や地形など、さまざまな過酷な環境下で工事を行うため、ハイレベルな技術が必要とされます。そのため、技術力を磨くことができる環境が整備されており、スキルやキャリアアップの機会も豊富です。

技術が日々進歩する土木業界は、 まず技術者としてのスキルアップが必要となります。

 

デメリット①体力がいる

主に屋外で行う仕事が多い土木業界の業務は、体力が必要です。特に夏や冬は気温などの面でも耐え抜く根気が必要です。

そのため、体力の消耗が激しい仕事といえます。働きながら資格取得に向けて勉強をしたり、新しい技術を学んだりすることも必要なため、目標を明確にしておくことが大切です。

 

デメリット②ケガをする可能性が高い

現場の仕事は安全面に気を付けていても事故の可能性が高くなります。大きな怪我を負ってしまえば、働けなくなる可能性もあります。時には、回復や改善が難しい怪我や不調もあります。常に安全管理に気を配り、高台での作業など一部の作業にはどうしても危険が伴ってしまいます。

 

デメリット③1人でできない仕事が多い

危険が伴い、力が必要な土木工事は、複数人で作業するのが一般的です。仕事を請け負う際は、複数人の作業員がいる、または人数が足りない場合は作業員を雇用して仕事を請け負うことになります。チームで協力し合いながら業務を進めていくことが求められます。

土木業界に向いている人・求められるスキル

土木業界には以下のスキルが求められます。つまり、下記のようなスキルをすでに所持し、身に着ける意欲がある方が土木業界に向いています。土木業界に向いている方を解説します。

 

・体力に自信がある人

土木業界で働くとなると、体力は必要不可欠です。日頃から体を動かすことが好きで、体力に自信のある方は、向いている業界といえます。

 

・集中力があり丁寧な作業ができる人

土木業界は、細かい作業をこなすことも多いため、丁寧な作業が求められます。なぜなら集中力が切れると大きな事故につながる可能性があるからです。集中力が高く、地道な作業が得意なら最適です。

 

・リーダーシップを発揮できる人

作業するにあたり、現場リーダーとして職人たちを統括する力が必要なため、リーダーシップが求められます。

土木業界への就活に活かせる資格

土木業界において、就活に活かすことができる資格には以下のようなものがあります。持っていると有利・活用できます。

 

・土木施工管理技士

土木施工管理技士は国家資格であり、主任技術者や監理技術者などの土木工事の施工管理を行うのに必要な資格です。

施工計画の作成や工程管理、品質管理、予算や原価管理、安全管理などの土木工事に関する監督業務や、役所への申請手続き、周辺住民に対して騒音の説明など多岐にわたります。

土木施工管理技士には1級は「監理技術者」に、2級は作業工程ごとの責任者である「主任技術者」として名乗ることができます。

 

・測量士

測量士は業務独占資格であり、測量法及び測量法施行令に基づいて行われる国家試験です。測量士となるのに必要な専門的学識、応用能力を有するかどうかや、測量士補となるのに必要な専門的技術を有するかどうかを判定します。

測量士の試験・合格率・傾向を詳しく知りたい方は、「手続きの道しるべ」の記事も参考にしてください。

・建築士

建築士の資格は建築士法に定められた資格で、1級建築士、2級建築士、木造建築士の3つの資格があります。

これは建物の規模や用途、構造に応じて取り扱うことのできる業務範囲が定められています。

建物の設計や施工、工事監理の業務を担うため、建築業界において最重要となる国家資格です。

 

・電気工事士

電気工事士は国家資格であり、第一種と第二種に分かれています。

 

第一種は最大電力500kw未満の施設にも携われ、第二種は一般住宅や小規模な店舗で電気工事ができます。

ビルや工場、商店、一般住宅などのさまざまな電気設備の安全を守るために務めます。

土木業界の大手企業5選

土木業界の大手企業には下記のような企業があります。もちろん、これら以外にも多数の企業があるため、ぜひお調べください。

 

会社名 売上高 平均年収 企業理念 社風
鹿島建設 1兆862億円 1,164万円 全社一体となって、科学的合理主義と人道主義に基づく創造的な進歩と発展を図り、社業の発展を通じて社会に貢献する 堅実な事業運営をしており誇りを持って業務に取り組む社風
大林組 1兆3,481億円 1,024万円 「地球に優しい」リーディングカンパニー

・優れた技術による誠実なものづくりを通じて、空間に新たな価値を創造する。

・地球環境に配慮し、良き企業市民として社会の課題解決に取り組む。

・事業に関わるすべての人々を大切に。

・転勤や部署移動が多い

・落ち着いた競争心はない社風

大成建設 1兆5,432億円 993万円 人がいきいきとする環境を創造する 常に新しいものに挑戦していく
清水建設 1兆9,450億円 801万円 真摯な姿勢と絶えざる革新志向により

社会の期待を超える価値を創造し

持続可能な未来づくりに貢献する

昔ながらの風習を大事にして真面目で堅実な社風
竹中工務店 1兆428億円 1,007万円 ・最良の作品を世に遺し、社会に貢献する

・正道を履み、信義を重んじ堅実なるべし

・勤勉業に従い職責を全うすべし

・研鑽進歩を計り斯道に貢献すべし

・上下和親し共存共栄を期すべし

人とのつながりやコミュニケーションを大切にする社風

 

下記の会社については詳しい解説記事があるため、こちらもぜひご確認ください。

 

【企業研究】鹿島建設の就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説

 

【企業研究】大林組の就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説

 

【企業研究】大成建設の就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説

 

【企業研究】清水建設の就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説

 

【企業研究】竹中工務店の就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説

土木業界への就活を成功させるためには

まずは、土木業界の業界研究を行ってから、ESのブラッシュアップや面接対策を徹底的に行いましょう。それに加え、土木業界への就活を成功させるためには下記のような書籍がおすすめです。

図解入門業界研究 最新土木業界の動向とカラクリがよ~くわかる本

 

土木業界の志望動機を書く際の注意点は下記の通りです。

・なぜ土木業界なのかを明確に

・なぜその企業を志望するのか(その会社がどんな建築物や構造物をつくっているのか、社会への貢献性なども踏まえて)

・仕事を通して学びたい・身につけたい技術を記載

 

土木業界によくある志望動機よくある志望動機は以下の通りです。

・これまで全国各地でトンネルや道路といった、社会インフラの築造に携わってきました。今後は自身の地元でもある○○県の発展に自身の経験を活かして役に立ちたいと貴社を志望しました。 特に貴社は○○川の堤防や△△橋の築造を行なったとのことで、自身にとって幼少時代に慣れ親しんだ場所にも貴社の仕事の成果があったことを知り、より一層貴社を志望する気持ちが強くなりました。

 

・貴社の求人内容を拝見し、設計者自身の裁量が大きく、建物の構造や意匠なども顧客とのすり合わせの上で自由に設定できる点を魅力に感じました。また、資格取得支援制度も充実しており、スキルアップを目指す自分にとっては、非常に理想的な環境です。

 

引用:建設業界(建築、土木)の志望動機の書き方【例文付き】

まとめ

今回は土木業界について解説しました。就活を行なっていく上で業界研究は必須です。企業理念や業務内容について調べるだけではなく、本当に自分に向いているのかを確認しながら進めていきましょう。

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