【業界研究】ショッピングセンター業界とは?志望動機・ビジネスモデル・職種を徹底解説

【業界研究】ショッピングセンター業界とは?志望動機・ビジネスモデル・職種を徹底解説

2023年10月29日更新

はじめに

ショッピングセンター業界といって、どのような事業内容なのかあまり知らない就活生もいるのではないでしょうか。

 

実際どんな仕事をするのか職種やビジネスモデルなどを知っていないと、思っている仕事ではない、といったギャップがあるかもしれないので、しっかりと業界研究をしておくことが大切です。

 

そのため、本記事ではショッピングセンター業界について詳しく紹介しているので、どのような業界なのか学んでいきましょう。

ショッピングセンター業界とは

一つの単位として計画、開発、所有、管理運営される商業・サービス施設の集合体かつ駐車場を備えているものをショッピングセンターといい、その事業をしている業界をショッピングセンター業界といいます。

 

ショッピングセンターは、利便性、快適性、娯楽性、選択の多様性などを、立地や規模、構成に応じて提供し、生活者のニーズに応えるコミュニティ施設として重要な役割を担っています。

 

ショッピングセンターには定義が決まっているため見ていきましょう。

 

<ショッピングセンターの定義>

1.小売業の店舗面積は、1,500㎡ 以上であること。

2.キーテナントを除くテナントが10店舗以上含まれていること。

3.キーテナントがある場合、その面積がショッピングセンター面積の80%程度を超えないこと。但し、その他テナントのうち小売業の店舗面積が1,500㎡以上である場合には、この限りではない。

4.テナント会(商店会)等があり、広告宣伝、共同催事等の共同活動を行っていること。

引用元:SCの定義 一般社団法人 日本ショッピングセンター協会

ショッピングセンター業界のビジネスモデル

ショッピングセンター業界のビジネスモデルは、「不動産価値×テナント売上高」で表されます。ショッピングセンターの不動産価値は、立地・規模・ブランド・商業施設にふさわしい建物構造であるか、という点を見て判断します。

 

しかし、どんなに優れた物件を見つけてきたとしても、その中にテナントが一つもなければ収益を出すことができません。わかりやすい例でいえば、スマホの中にアプリがなければただの電話機ですし、Switchを持っていてもカセットがなければただの機械です。

 

そのため、ショッピングセンター事業では、「テナント」こそが商売のカギとなります。テナントが重要であるため、企業によってはテナント開発部、テナントリーシング部、テナント営業部など、専門の部門や担当者を配属しているところも多いです。

 

ショッピングセンター事業は、「賃料ビジネス」に依存しており、テナントと役割分担することによって強さを発揮してきました。

 

ショッピングセンターが、不動産リスク、空室リスクを持つ代わりに、テナント側は、商品・在庫・雇用・賃料支払いなどのリスクを持つのが、ショッピングセンタービジネスです。

 

不動産から商品や販売員まで全てのリスクを持つ百貨店ビジネスとは違い、役割分担しているのがショッピングセンタービジネスの特徴です。

 

これらのビジネスモデルは、新型コロナウイルスの影響により変わりつつあります。新型コロナウイルスの影響によって、本来テナント側が負うべきリスクも、テナントがカバーしきれなくなり、空室が増えてきたのです。

 

そこでショッピングセンタービジネスは、新たなビジネスモデルとして、これまでテナントの内装投資に拠出していた資金を、内装設備では無くテナント企業そのものに投資することに変更しました。

 

これにより、テナントの企業成長による「配当収入」と将来の「上場益」を狙うことが目的です。従来のような、人気のあるテナントを勧誘し、内装投資や商品リスクをテナントに課し、出展からのリスクをテナントに負担させるようなやり方ではなくなりました。

 

テナントを見つけ、育成し、企業成長を促し、配当と上場益によって収益を伸ばすテナントリーシング業務に変えることが重要です。そのため、テナントリーシング担当者に必要なノウハウは、目利き、金融、証券、人物評価、企業診断など広範囲な知識と見識が必要となります。

 

テナントが「売れる・売れない」ではなく、「成長できる・できない」という考え方に変わっていくのです。

ショッピングセンター業界の職種

ショッピングセンターの職種は、「企画」、「事業」、「営業」、「運営」、「事務」の5つにわけることができます。それぞれの特徴を簡単に見ていきましょう。

 

企画【用地取得】

ショッピングセンター事業のすべての始まりは、土地の取得からスタートします。土地の歴史、立地条件、法令上の規制、競合調査などを調べ、マーケティング調査・分析を行う仕事です。その土地の潜在価値を最大限生かすような開発プランのシナリオを立案します。

 

土地の取得はショッピングセンターがどう転ぶか重要な項目のひとつです。例えば、市内の駅チカに建設すれば、駅を利用した顧客を獲得することができます。自動車よりも駅や徒歩での来店が増えるので、大量買いには適しません。

 

簡単に言えば「量より質」という考え方になるので、ブランド品などに特化した戦略が向いています。

 

一方、郊外に建設すれば、広い土地があるので大きな駐車場を用いて、家族連れをターゲットに戦略を練ることができます。こちらは「質より量」という考え方になるので、まとめ買いなどに特化した戦略が有効です。

 

どのようなショッピングセンターにするか、事業収支・採算を綿密にシミュレーションした上で、土地の所有者に対して売買(賃借)の提案を行います。

 

事業【商品企画・事業推進】

土地の取得後は、その土地においてどのような空間や演出にするのかコンセプトを考えます。「大型スーパーや専門店が揃った複合商業施設」や「高層のオフィスビル」、あるいは「緑あふれる憩いの空間」など、作るべきものはなにかをプランニングするのが仕事です。

 

営業【テナントリーシング】

ビジネスモデルでも説明しましたが、ショッピングセンター事業において最も重要ともいえる仕事が営業(テナントリーシング)です。完成した物件にどのようなテナントを入れるのか、リーシングの方針やテナントの勧誘を行う仕事です。

 

ショッピングセンター業界のビジネスモデルは、「不動産価値×テナント売上高」であるため、【テナント売上高】を決める役割を担っています。ちなみに上記二つ(企画・事業)が【不動産価値】を決める役割です。

 

どれだけ優れた物件を用意しても、中に入っているテナントが貧弱であれば収益を伸ばすことができます。多様化する消費者のニーズに応えられるようなテナントを選ぶ必要があります。

 

また、テナントリーシングだけではなく、事業部門とともに物件開発時に、コンセプトやターゲットを考案することも仕事の一つです。

 

運営【施設運営・管理】

不動産やテナントが決まり、実際に経営し始めてから何年、何十年と持続的に輝かせることができるように施設を運営・管理する仕事です。時とともに劣化していくのではなく、時の経過とともに価値が高くなるようなマネジメントを行います。

 

事務【本部の方針策定】

事務は、企画・事業・営業・運営の4部門を取りまとめる仕事です。会社全体の人事や収支などを管理するとともに、商品企画の実現可能性の精査、プロジェクト推進の後方支援などを行います。

 

大手企業紹介

今回はショッピングセンター業界に属する、売上トップ企業4社の売上や社風などを比較していきます。

 

なお、就職偏差値や難易度を詳しく知りたい方は、【24卒・25卒最新版】文系・理系・公務員別就職偏差値・難易度ランキングを参考にしてください。

 

会社名売上高平均年収就職難易度社風
イオンモール3,982億円

(2023年3月)

681万円60若い時でも積極的に挑戦しやすい社風う
ルミネ3,274億円

(2022年度)

483万円不明比較的のんびりゆったりとした自由度の高い社風
三井不動産3,054億円

(2022年度)

1269万円79若手であっても手をあげれば挑戦させてもらいやすい社風
丸井3兆9,572億円

(2023年3月)

641万円58自分から手を挙げられて、積極的に色々な取り組みができる

※丸井はグループ全体の売上高となっています。

ショッピングセンター業界の動向

ショッピングセンター業界の動向を見ていきましょう。

 

ショッピングセンター業界の現状

ショッピングセンター業界は、新型コロナウイルスの感染が広がった2020年に大きな打撃を受けました。多くの企業で売上が減収となりましたが、そこから2021年、2022年と徐々に回復傾向にあるのが現状です。

 

2022年の既存ショッピングセンター売上高(総合)は、2021年比で+ 8.6%の伸長率となっています。テナントは前年比伸長率+ 10.3%です。2022年は、営業時間短縮やアルコール提供の制限がなくなったこともあり、飲食業種の売上が高まりました。

 

またコロナウイルスの影響が緩和されたこともあり、外出する人が増え、靴や鞄、スーツケースなどのファッション雑貨が好調でした。

 

近年では、新規出店する立地が減っていることもあり、ショッピングセンター業界の業績が頭打ちになっています。

 

ショッピングセンター業界の今後

日本で新規出店する土地が減っていることもあり、海外(東南アジア)への進出が増えつつあります。例えばイオンモールであれば、ベトナムやインドネシア、三井不動産であれば台湾などです。

 

海外進出を進めると同時に、日本では市内にこだわらず郊外への進出を積極的に行っており、今後は、地方の第二都市など大型ショッピングモールの未開の地への出店が増えることが見込まれます。

志望動機

志望動機を作る上で大切なポイントが3つあります。それぞれの特徴とショッピングセンター業界でよくある志望動機を見ていきましょう。

 

なぜショッピングセンター業界なのか

一つ目の大切なポイントは、「なぜショッピングセンター業界を選んだのか」という点です。採用担当者は、就活生がしっかりと業界研究ができているか、この業界に対する知識量、本気度を確認するために質問します。他の業界にはない魅力をアピールすることが重要です。

 

ショッピングセンター業界と似ている業界に百貨店業界があります。ビジネスモデルなど、違いがあるので、この二つが混ざらないように注意しましょう。

 

なぜその企業なのか

業界大手企業としてイオンや、丸井などがありますが、それぞれ企業に特性があります。他の企業にはない、「ここに惹かれた」という部分をしっかり明記し、なぜこの企業でなければいけないのか、という点に応えられるようにしましょう。

 

その企業にどうやって貢献するのか

採用担当は、採用後にどのような働きを見せてくれるのかを想定して採用します。会社の考え方にあっているか、プラスに働く要因はあるのか、といったことをチェックしているので、まずは企業研究を深め、会社の考え方を学びましょう。

 

そして、自己分析を深め、会社と自分がマッチしているか、入社後にどうやって貢献するか、という点をアピールしましょう。

 

ショッピングセンター業界によくある志望動機

ショッピングセンター業界によくある志望動機は以下の通りです。

 

・(イオンモールであれば)イオンモールで働く社員さんにあこがれをもっていたから

・リーシング業務をおこなってみたいから

・接客のプロフェッショナルとしてお客様一人一人を幸せにする仕事がしたいから

・人の生活をより豊かにしたいと思ったから

・多くの地方の地域を活性化したいと考えているため

・お客様目線に立った接客を行いたいから

・子供のころから利用していることが多く魅力感じたから

まとめ

ショッピングセンター業界は、人々の暮らしを支える業界であるため、やりがいをもって働ける業界です。一つのプロジェクトの規模も大きく、責任感と達成感を味わえるため、おすすめの業界です。

 

ショッピングセンターが出来上がるまでの間にも、さまざまな工程をこなしていかなければいけないので、しっかりと事業内容も理解しておかなければいけません。本記事をきっかけに業界研究を深めるとともに、企業研究や自己分析も進めていきましょう。

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監修者情報

印出実生

キャリアアドバイザー

株式会社Bboにカスタマーサクセスとして二年所属したのち株式会社ナイモノに入社。
現在キャリアアドバイザーとして勤務。 学生と直接向き合い、心おきなく相談できるアドバイザーとして日々奮闘中。 ただの「エージェント」ではなく、自分でしか出来ないことは何かを見つめなおし、 学生の将来に対して献身的に取り組んでいる。