【業界研究】タクシー業界とは?志望動機・ビジネスモデル・職種を徹底解説

2023年10月29日更新

はじめに

車を運転することが好きな人や、人と話すことが好きな人は、タクシー業界に興味を持っている人もいるのではないでしょうか。

 

タクシーといえば、人を乗せて運転するだけだと思っているかもしれませんが、実際どんな仕事をするのか職種やビジネスモデルなどを知っていないと、思っている仕事ではない、といったギャップがある可能性もあります。

 

そのため、本記事ではタクシー業界について詳しく紹介しているので、どのような業界なのか学んでいきましょう。

タクシー業界とは

タクシー業界とは、乗客を目的地まで送迎する交通・運輸業界の一つです。同じ交通・運輸業界にあるバスと似ていますが、区間ごとに料金が決まっているバスに対し、タクシーは距離によって料金が変わります。

 

またバスと違い24時間いつでも営業しているので、好きな時に好きなタイミングで利用することができます。

 

タクシー業界を大きく分けると「個人」と「法人」に分けることができ、2019年の総事業者数は47,904社です。このうち法人が192,497両、個人が31,150両と法人と個人とでは、およそ6倍の差があります。

 

タクシー業界は主に、「大手タクシー」、「準大手タクシー」、「協同組合」の3つに分かれています。その中でも、「大手タクシー」4社の台数シェアは都内だけで大半を占めているのが特徴です。

タクシー業界のビジネスモデル

タクシー業界のビジネスモデルは、タクシー事業が始まった100年以上も前から変わることなく同じビジネスモデルを続けています。

 

タクシードライバーが稼いだ収益の数%が会社に入り、成り立っているビジネスモデルからどのように変化するのか、今後のビジネスモデルについて紹介していきます。

 

IT化の成長

タクシー業界はIT化が遅れている業界です。ドライバーの平均年齢が60歳ということもあり、難しいIT技術を使うことが難しいのが現状です。しかし、若い人材を積極的に採用するなど、時代の流れに沿ってスマホを使ったビジネスを展開していくことが予想されます。

 

例えば、タクシー配車アプリの導入です。タクシー業界の現状を変えるためにIT業界から積極的にサポートがきており、タクシーの配車アプリ事業が多く参入してきています。

 

配車アプリを導入することにより、顧客側の「タクシーが捕まらない悩み」と企業側の「お客さんが見つからない悩み」をどちらも同時に解消することができます。海外に比べると普及は遅れていますが、少しずつ認知度が上がっているのが現状です。

 

今後、アプリを使った配車が主流となることが見込まれますが、いかにお客さんを待たせず、配車できるかがカギとなっていきます。

 

自動運転タクシーの開発

日本では、自動運転タクシーの開発は遅れていますが、海外では導入し始めている企業もあり、徐々に増えていくことが見込まれます。

 

日本では、自動車メーカーとして人気の高いホンダが、2026年に自動運転タクシーサービスを都内の一部で開始することを発表するなど、少しずつ開発が進んでいるのが現状です。

 

最終的には無人タクシーを目標としていますが、無人タクシーまでの道のりは険しく課題もたくさんあります。

AI機能の搭載

AI機能を搭載することで、過去の走行データから需要の高いエリアを分析し、予測することができます。AIデータは随時更新されているので、リアルタイムの情報から判断することが可能です。

 

例えば、交通事故による渋滞、イベントや電車の遅延など、突発的な出来事にも対応できるため、効率よく売上を伸ばすことができます。

 

今後はより一層、AIの導入が主流となり、お客さんにも乗務員にもどちらにもプラスに働く役目を果たすと予想されます。

タクシー業界の職種

タクシー業界の職種は6つあるので、その特徴を見ていきましょう。

タクシードライバー

タクシー業界のイメージで一番思い浮かばれやすいのが、タクシードライバーです。実際、従業員のうち7割~8割はタクシードライバーです。タクシードライバーは、一般的なサラリーマンとは違う勤務形態で働いています。勤務形態は以下の3つです。

 

・昼日勤(早朝から夕方まで)

・夜日勤(夕方から明け方まで)

・隔日勤務(昼日勤と夜日勤をあわせて20時間前後働くスタイル)

 

空車時間を作らず、効率よくどの時間帯でも配車できれば、高収入が見込めます。

 

ハイヤードライバー

ハイヤードライバーはタクシードライバーと違い、公共性が低く、主に「役員車」として企業の役員などを配車することが多い乗り物です。そのため、タクシードライバーよりも、かしこまった印象が強くなります。

 

企業の役員や経営者は、分刻みのスケジュールを送っていることもあるため、いかに安心で効率よく快適に送迎できるかが大切です。時間通りに送迎できるように、高い運転技術や土地情報を熟知している必要があります。

 

また運転技術以外にも、レベルの高い接客サービスも必要です。一流のホテルマンのような、高水準のサービスを提供できれば、最高の信頼が返ってくるため、売上増加にもつながります。

 

運行管理者

タクシー業界は、ドライバーだけが職種ではありません。運行管理者は、タクシー乗務員の健康状態、勤務状態などを把握し、安全に業務ができるようにサポートする仕事です。

 

一般企業でいう「事務」のような役割を担い、売上金の管理・クレームの対処、事故の対応など、仕事の種類はさまざまで、タクシー業界の縁の下の力持ちとして必要不可欠な存在です。運行管理者は国家資格であるため、誰でもなれるわけではありません。

 

国家資格なので、取得すれば自分のキャリアアップにもつながる仕事です。

 

本社職員

本社社員は、営業・総務・人事・経理・経営企画・研修センターなど、タクシー業に関わるさまざまな業務に携わっています。本社職員としてキャリアアップを目指すには、豊富な現場経験も必要です。

整備士

タクシードライバーになくてはならない、タクシー車両の整備を行う仕事です。タクシー会社に勤める整備士は、ブレーキパッドやランプなど消耗品の交換作業が多くなります。タクシーは圧倒的に走行距離が長くなるので、すぐに劣化してしまいます。

 

メーターやオートドアのようなタクシーならではの機能を熟知し、整備できることが大切です。また、一般的な整備では、車のパーツごとに分かれることが多いですが、タクシー整備士は、一人ですべての工程をこなすことが多いので、幅広い知識量が必要です。

 

無線センター

無線センターでは、お客さんからの電話対応や、お客さん・乗務員の問い合わせ対応、データ入力などを行う仕事です。タクシーがすぐに必要な人、複数台欲しい人などお客さんによって要望はさまざまあるので、タクシー状況を把握し、臨機応変に対応できる力が求められています。

 

ディスパッチャー

ディスパッチャーとは、専門の乗り場でお客さんを誘導する仕事です。タクシーのドアサービスや近くの施設への配車などを行います。高い接客力の求められる仕事です。

大手企業紹介

大手タクシー会社と呼ばれる「大和自動車交通」、「日本交通」、「帝都自動車」、「国際自動車」の4社を紹介します。それぞれの売上高や就職偏差値の違いを比較していきましょう。

 

なお、就職偏差値や難易度を詳しく知りたい方は、【24卒・25卒最新版】文系・理系・公務員別就職偏差値・難易度ランキングを参考にしてください。

 

会社名 売上高 平均年収 就職偏差値 社風
大和自動車交通 177億円

(2023年3月)

472万円 不明 従業員同士が分け隔てなく互いに協調しあえる和やかな雰囲気
日本交通 1,193億円

(2023年3月)

438万円 不明 業界トップの会社でありながら成長を怠らない社風
帝都自動車 17億円

(2020年6月)

381万円 不明 昭和の雰囲気があり年功序列のある社風
国際自動車 470億円

(2023年3月)

414万円 不明 誰とでも気軽に話せる風通しのいい社風

※日本交通の売上は、業務提携会社を含む売上です。連結のみであれば、814億円(2023年5月)です。

タクシー業界の動向

タクシー業界の動向を見ていきましょう。

 

タクシー業界の現状

タクシー業界は新型コロナウイルスの影響などによって利用者が減少し、2020~2021年の間に大幅な減収減益を記録する企業が多く見られました。

 

昭和45年から令和元年までの、タクシー業界の車両数、総事業者数、輸送人員を見ていきましょう。

年度 車両数 総事業者数 輸送員人数
昭和45年 217,774両 30,892 人 42.89億人
昭和55年 250,594両 54,438人 34.27億人
平成元年 256,792両 54,425 人 33.01億人
平成10年 257,780両 53,764人 25.15億人
平成20年 271,327両 57,055人 20.24億人
平成30年 227,451両 49,010人 13.97億人
令和元年 223,647両 47,904 人 13.09億人

引用元:統計情報 国土交通省

 

車両数、総事業者数はともに昭和45年から増えていきますが、平成20年を境に減少しています。輸送員人数は、昭和45年をピークに令和元年まで下がり続け、約1/4まで少なくなっています。

 

タクシー業界が衰退している背景として、乗務員の不足や、燃料費などのコストの高騰、低収入などが原因です。タクシー乗務員が不足しているのは、平均年収の低さが関わっています。

 

タクシー業界の平均年収は300万円前後と、日本の平均年収よりも約150万円も低いです。タクシー業界は歩合制なので、実力のある人は1,000万円近く稼ぐ人もいますが、平均年収の低さから働きたいと思う若者が減っているのが現状です。

 

多くのタクシーの燃料は、ガソリンよりも安いLPガス(液化石油ガス)を使用していますが、物価高やウクライナとロシアの戦争により、燃料費であるLPガスの価格が高騰しています。

タクシー業界の今後

ビジネスモデルでも説明しているので、簡単に紹介しますが、タクシー業界は今後、人材とIT・AI技術を取り入れ新たなビジネスモデルを展開していくことが重要です。

 

コロナウイルスの影響などにより、利用者が減っている中、利便性・効率性に優れた役割を果たさなくてはいけません。タクシー配車アプリなど、顧客側と企業側のどちらにもメリットがある技術が成長し、収益を回復させていく見込みです。

 

また人材不足や低収入の課題も解決しなければ業績を伸ばすことが難しいです。若い人材の採用だけでなく、働き方も改善できる画期的な取り組みが業界を盛り上げる秘策になるでしょう。

志望動機

志望動機を作る上で大切なポイントが3つあります。それぞれの特徴とタクシー業界でよくある志望動機を見ていきましょう。

 

なぜタクシー業界なのか

一つ目の大切なポイントは、「なぜタクシー業界を選んだのか」という点です。採用担当者は、就活生がしっかりと業界研究ができているか、この業界に対する知識量、本気度を確認するために質問します。

 

タクシー業界のどこに惹かれたのか、他の業界にはない良さなどが伝えられるようにしましょう。またタクシー業界が抱える課題を解決するために、自分ならどうできるか、といった点も大切です。

 

なぜその企業なのか

タクシー業界にはさまざまな企業がありますが、なぜその企業を選んだのかが重要です。ビジネスモデルはどの企業も変わらないため、その企業ならではの強みや取り組みについて詳しく知っておく必要があります。

 

そのため、企業研究をしっかり行い他企業にはない魅力を伝えられるようにしましょう。

 

どのようにその企業に貢献できるか

タクシー業界は、どの企業も似た悩みを抱えています。そんな中、自分ならどう貢献できるのか、アピールしましょう。企業が抱える課題を分析し、その課題を解消できる取り組みをアピールできれば、好印象を与えることができます。

 

タクシー業界によくある志望動機

タクシー業界によくある志望動機は以下の通りです。

 

・人と関わることが好きだから

・地元への愛着や理解を深めたいから

・運転が好きだから

・自由な働き方に魅力を感じたから

 

まとめ

タクシー業界は乗務員の年齢層も高く、若者の定着ができていない課題があります。そのため、若者は積極的に採用しているため、これから就職を考えている方はチャンスです。

 

低収入、長時間労働など懸念すべき点もありますが、業界研究を深め、自分にあった仕事であるか見極めましょう。

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