【企業研究】三菱製鋼の就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説

2023年10月24日更新

はじめに

三菱製鋼(三菱製鋼株式会社)は、三菱グループに属する大手鉄鋼メーカーです。設立からは70年余り、日本の中でも特に古いばねメーカーや特殊鋼メーカーの流れも組んでおり、日本の鉄鋼業界の根本を支えてきた企業と言っても過言ではありません。

 

今回は、そんな歴史ある三菱製鋼の企業研究記事です。鉄鋼業界の概要や企業の事業内容、業界でのポジションなど企業の基本的な情報を解説します。また、選考対策の材料として、新卒選考フローや就職難易度、採用大学なども見ていきましょう。

鉄鋼業界

三菱製鋼の属する鉄鋼業界とは、鉄を加工し素材を作るメーカーと、その素材を各種業界に卸売りする事業者などによって構成される業界です。メーカーはさらに、製造に高炉を使う「高炉メーカー」、電気炉を使う「電炉メーカー」、電気炉によって特殊鋼鋼材を作る「特殊鋼メーカー」の3種類に区別されます。三菱製鋼は特殊鋼メーカーです。

 

 鉄鋼業界とリンクする部分もある「金属製品製造業界」についても知りたい場合は、こちらの記事も参考にしてみてください。

【業界研究】金属製品製造業界とは?志望動機・ビジネスモデル・職種を徹底解説

 

鉄鋼業界以外の業界については、以下の記事で概観しているので、ぜひ読んでください!

【業界研究ガイド】業界一覧

事業内容

三菱製鋼の主な事業内容は次の通りです。

 

特殊鋼鋼材事業

 

特殊鋼鋼材(炭素鋼、低合金鋼、ばね鋼、非調質鋼、軸受鋼など)を製造する事業です。国内は北海道、海外はインドネシアと、国内外に生産拠点を有しています。製造した鋼材は、建設機械・自動車・産業機械・工作機械などに用いられ、各産業を支えています。二次精錬のプロセスの1つであるLF(炉外精錬)による構造用鋼製造を、世界に先駆けて行ったのは三菱製鋼です。

 

ばね事業

 

さまざまな種類のばねを製造する事業です。ばねは、自動車・鉄道車輌・建設機器など、多様な機械の乗り心地に関わる重要な部品。また、情報通信機器などの部品の一部としても使われています。三菱製鋼では、巻ばね、スタビライザ、板ばね、トーションバー、コイルドウェーブスプリング、精密ばね、各種ヒンジ製品など、幅広いばね製品について、国内で唯一素材から製造まで一貫して行っています。生産拠点は国内では千葉、海外では欧米やアジアなどにあり、こちらもグローバルな事業です。

 

素材形事業

 

多様な分野で使用される素材形製品を製造する事業です。具体的な製造品には、鋳鋼品、精密鋳造品、精密機械加工品、一般鍛造品、特殊合金素材及び同加工品などがあります。鋳鍛造メーカーとしても長年蓄えてきた技術やノウハウを駆使し、自動車・建設機器・産業機械など幅広い機械の生産を支えています。生産拠点は国内は福島県、海外はタイにあります。

 

機器装置事業

 

鍛圧機械、一般産業機械、鉄構品などの機器装置を製造する事業です。基幹産業を支える高品質な機器装置の製造を担っており、国内はもちろん海外にも数多く納入しています。

 

参考:BUSINESS 事業紹介 三菱製鋼株式会社 新卒採用サイト5分でわかる三菱製鋼 三菱製鋼株式会社

新卒選考フロー

三菱製鋼の新卒選考は基本的に次の流れで行われます(ただし、募集年度や職種などにより変更の可能性はあります)。

 

エントリー・会社説明会への参加

 

まずは三菱製鋼のサイトからエントリーします(三菱製鋼の公式サイトや就職支援サイトなどで可能です)。エントリー後はマイページで採用関連情報などをチェックしながら、会社説明会に参加します。説明会の形式はオンラインです。説明会では会社・業界に関する説明や、工場見学などが行われます。なお、説明会は職種などにより分けて開催されることもあります。

 

履歴書提出・WEBテスト実施

 

次に履歴書(エントリーシート)の提出です。自分の強み・弱み、希望する職種とその理由、大学時代に取り組んだ研究テーマなどを尋ねられるようです。なお、履歴書の提出後はWEBテスト(形式はSPI)も受検します。

 

面接・適性検査実施

 

書類選考を通過したら面接が行われます。面接は一次・最終と複数回です。一次はオンライン、最終は対面形式です。過去の自己PRや学生時代に力を入れたこと、就活の状況などの質問がありました。最終面接とともに適性検査(TAL)も実施されます。

 

参考:三菱製鋼株式会社

社風

続いて、三菱製鋼の社風で特徴的なものを見ていきます。

 

真面目で面倒見の良い職場環境

 

三菱製鋼の社風の特徴として大きいのは、仕事に真面目かつ堅実であることです。保守的な風土など、昔ながらの日系企業の文化もありますが、自分達の仕事に真摯に向き合う、誠実な社員が多いとの声が多く聞かれます。また、部下や後輩社員の面倒を見たり、失敗をしても頭ごなしに責めず過程を見てくれたり、人を育てる環境・雰囲気も整っているようです。

 

年功序列的だが多様な業務を経験可能

 

年功序列の文化で、若いうちから目覚ましいほどの出世などは難しくはあります。ただし、年代にかかわらずさまざまな仕事を任せてもらえるようです。多様な業務で経験を積みながらキャリアアップを目指したい人にはマッチしやすいかもしれません。

 

福利厚生が整っており家庭と両立した働き方ができる

 

一般的な福利厚生は網羅されていて、制度も整っているとポジティブな感想も多く見られます。現在三菱製鋼の女性社員の割合は約1割と少なめです。鉄鋼業界は男性の現場というイメージが根強いため、この女性社員の少なさにつながっていると考えられます。ただし、産休育休などライフステージの変化に対応できるだけのしっかりした福利厚生が整備されており、また職場も協力的な雰囲気があるようです。三菱製鋼も積極的な女性採用を目指しており、実際に職場の制度を利用しながら活躍している女性社員も複数いると紹介しています。

 

参考:FAQ RECRUIT 採用情報 三菱製鋼株式会社 新卒採用サイト

求める人材

三菱製鋼は募集要項において、「課題を様々な角度から解決できるような柔軟な発想、失敗を恐れない積極さ、何事にも興味を持って取り組める方」を求める旨を記載してます。

三菱製鋼は単に製鋼を行うだけの企業ではなく、これまでにない事業の開拓なども常に見据えています。この企業の姿勢や求める人材像を理解し、主体的に行動できる人が企業のニーズに適する人だと考えられます。

参考:募集要項 RECRUIT 採用情報 三菱製鋼株式会社 新卒採用サイト

就職偏差値・難易度および業界での立ち位置

ここからは、三菱製鋼と同じ業界内の他社を比較しつつ、三菱製鋼の立ち位置や就職偏差値などを分析します。

 

会社名 売上高 平均年収 就職偏差値・難易度 社風
三菱製鋼 1,705億円 697万円 59 社員の面倒見が良い
日本製鉄 7兆9,755億円 824万円 66 堅実で熱意にあふれる
JFEHD 5兆2,687億円 1,241万円 64 保守的・長く勤続しやすい
神戸製鋼所 2兆4,725億円 605万円 61 風通しが良い

 

財務情報の比較(売上)

 

三菱製鋼との比較に挙げた3社は鉄鋼業界の売上高トップ3です。日本製鉄が国内最大手、次いで2社という図式で、売上高は業界で群を抜いている状態です。三菱製鋼はこの3社に絡むほどの売上高ではないものの、業界の中では有数の大手企業と言えます。

 

なお、日本製鉄は上場企業の中で2023年3月期の平均給与の伸び率が53.9%とトップです。そして日本製鉄も同じランキングで11位、伸び率は21.6%となっています。

 

参考:給与の伸びが大きい上場企業ランキング 首位は日本製鉄(日経転職版)

 

社風の比較

 

三菱製鋼と比較対象の3社の社風に関し共通するのは、多くの社員が働きやすいと感じるであろう環境が整っていることです。業務のフォロー、社員の育成、福利厚生の充実、熱意に満ちた雰囲気、風通しの良さなど、各社内容は異なれど社員が気持ち良く働ける魅力が多々あります。先に触れた通り、鉄鋼業界は男性の職場というイメージが根強くありますが、実際は女性も長く働きやすい社風や条件が揃っています。

 

就職偏差値

 

こちらに挙げた4社はどこも就職偏差値が高めです。業界最大手の日本製鉄を始めトップクラスの企業は軒並み採用獲得が難しいと考えてください。三菱製鋼以外の3社の新卒採用人数は、例年50~150人ほどであり、事業規模を考えると決して多い人数ではありません。三菱製鋼はさらに新卒採用人数が少なく、例年10~20人ほどです。学歴フィルターの有無は各社で異なりますが、隙のない選考対策は欠かせないでしょう。なお、募集年度によって、採用人数に大きな変動が見られるため、情報収集も必須です。

 

比較対象に取り上げた日本製鉄について、より詳しく知りたい方は次の記事もチェックしてみてください。

【企業研究】日本製鉄の就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説

 

また、業界のほかの企業の就職偏差値なども調べたい場合は、こちらの記事をぜひどうぞ。

【24卒・25卒最新版】文系・理系・公務員別就職偏差値・難易度ランキング

 

採用大学

三菱製鋼で採用実績のある大学例は次の通りです。

 

青山学院大学、秋田大学、亜細亜大学、茨城大学、岩手大学、愛媛大学、大阪市立大学、大阪大学、岡山大学、金沢工業大学、金沢大学、関西外国語大学、関西大学、関西学院大学、神田外語大学、北九州市立大学、九州大学、京都外国語大学、近畿大学、熊本大学、慶應義塾大学、県立広島大学、工学院大学、甲南大学、神戸学院大学、神戸市外国語大学、神戸女学院大学、神戸大学、国学院大学、滋賀大学、芝浦工業大学、島根大学、昭和女子大学、白百合女子大学、実践女子大学、駿河台大学、成蹊大学、聖心女子大学、西南学院大学、摂南大学、専修大学、玉川大学、千葉工業大学、千葉大学、中央大学、電気通信大学、東海大学、東京経済大学、東京大学、東京電機大学、東京都市大学、東京理科大学、東北大学、東洋大学、同志社女子大学、同志社大学、獨協大学、名古屋工業大学、日本大学、一橋大学、兵庫県立大学、広島工業大学、広島大学、フェリス女学院大学、法政大学、北海道大学、室蘭工業大学、明治学院大学、明治大学、山口大学、横浜国立大学、立教大学、立命館アジア太平洋大学、立命館大学、龍谷大学、和歌山大学、早稲田大学 など(五十音順)

 

この採用大学の例を見ると、全国各地の幅広い大学から採用を募っていることがわかります。難関大学や有名私大だけでなく、工業や外国語など分野に特化した大学やや中堅レベルの大学などからも多く採用者が出ています。これらの状況から、三菱製鋼には学歴フィルターは存在しない可能性が高いと言えるでしょう。

平均給料

平均給与の伸び率が大きく話題となりました。社員にとって給与はモチベーションを左右する重要なポイントであり、平均給与が著しく上がったことで、社員の働きやすさや満足度もさらにアップしていると考えられます。

 

また、電気自動車の部品として使用可能なEVベアリング用の特殊鋼への新たな参入、洋上風力の部品材料生産など、環境にやさしいエネルギーに関連する事業も積極的に展開しています。エネルギー問題は今後さらに注目を集めるであろう事柄です。こうした社会課題にも取り組むことで、三菱製鋼は今後の社会でもさらに存在感を放っていくでしょう。

 

参考:給与の伸びが大きい上場企業ランキング 首位は日本製鉄(日経転職版)三菱製鋼の室蘭製作所 洋上風力の部品材料生産(日本経済新聞)三菱製鋼室蘭特殊鋼 EVベアリング用に参入(日本経済新聞)

まとめ

三菱製鋼は製鋼業界を牽引する大手企業のひとつです。これまで培ってきた特殊鋼メーカーとしての技術や実績を活かしながら、現在の事業はもちろん、社会課題などこれからの世界に大きく影響する問題にも積極的に関わっていくことでしょう。面倒見の良い社風もあるようなので、働きやすい職場だと感じる人も数多くいるはずです。また、平均給与の伸び率も好調だったため、これからさらに就活生の人気が高まるとも予想されます。ぜひ今回の記事を参考に、三菱製鋼についてさらに深堀で研究を進めてみてはいかがでしょうか。

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