
不適正検査スカウターとは?受験方法や対策方法を詳しく伝授!
2023年9月30日更新
はじめに
就活が始まると、面接やESなど、取り組む内容が多く日々疲弊している人は多いのではないでしょうか?
中でも就活生を苦しめがちなのが、「Web検査」です。
世の中に対策方法は色々あるものの、当日までどのような問題が出るのか分からないほか、全ての企業が同じWeb検査を実施しているとは限らないため、苦手意識を持つ就活生が多いのが実情です。
その中でも、最近就活に登場する機会が増えた「不適正検査スカウター」は、名称から想像すると「難しい検査なのでは?」と気になっている就活生が多いようです。
そこで本記事ではそもそも「不適正検査スカウター」とは何か、また、どのような対策を行っておくと安心なのかなどを詳しくご紹介します。
すでに「不適正検査スカウター」の受験経験がある人はもちろん、「全く耳にしたことがなかった」という人も、ぜひ最後までお読みくださいね。
不適正検査スカウターとは?
「不適正検査スカウター」とは、株式会社スカウターが提供する「不適正」を見極める検査です。
この検査を実施する企業の意図として、自社に「定着しない」人材や、「頑張らない」人材、「成長しない」人材をあらかじめ見極めることで、採用を防ぐことが目的となっています。
就活生目線に立つと、「とは言え一旦人材を採用できれば問題ないんじゃないの?」と思う人がいるかもしれません。
就活中は気付きにくいかもしれませんが、「新入社員が一人前の社員として機能するまで、1,000万円以上掛かる」という一説があります。
採用費や教育費はもちろんのこと、入社してすぐ新入社員にも給与が支払われますが、給与に見合った仕事をするまでには誰でも時間が掛かるでしょう。
そう考えると、企業は新入社員一人当たりに対して莫大な投資を行っていることが分かるのではないでしょうか。
そう考えると、企業はできるだけ長く働いてくれる就活生を採用したいと考えるのが一般的で、このような「不適正」を見極める検査にニーズがあるのです。
適性検査との違いとは
では、多くの人が受験した経験がある「適性検査」とはどのような違いがあるのでしょうか。
適性検査は、優秀な人の見極めを目的として利用されます。
面接でどれだけ評価が高かったとしても、就活中は面接の回数を重ねていくうちに、「面接のプロ」のようになる就活生もいます。したがって、ここで言う「優秀」とは、地頭がどれだけ優秀かという点を指し、それを見極めるために用いられることが多いです。
また、適性検査の結果から思考や行動の傾向を見ることができるため、それらの結果によってどのような部署に配属するのが適切かという判断をすることにも活用されます。
一方で、不適正検査は優秀な人の見極めではなく、自社に見合わない人を見極めるための検査です。入社後の早期離職や、早めの退社を防ぐために行われるものです。
このように、目的が全く異なるため、全く異なる検査であると理解しておくのが良いでしょう。
業界唯一の検査
なお、適性検査はSPIをはじめ様々な種類があります。
現在は日本国内で展開されているものだけでも30種類以上あるとされており、企業がどのような「適性」を見極めたいかによって選ぶ内容が変わっています。
一方で、「不適正」を見極めるための検査は、現状「不適正検査スカウター」しかありません。そのため、「不適正」を見極めるための検査対策という観点では、「不適正検査スカウター」について把握できていれば問題ないでしょう。
不適正検査スカウターの検査項目は?
不適正検査スカウターには、下記4つの検査項目があります。
- 検査NR(能力検査)
- 検査SS(資質検査)
- 検査SB(精神分析)
- 検査TT(定着検査)
なお、企業側はこれらの検査を単独でも利用することができるため、全ての項目を受験する必要があるとは限りません。
なお、最も「不適正」を判断しやすいとされている検査SS(資質検査)は、ほぼ全ての企業で受験する必要があると思っておいて間違いないでしょう。
では、各項目の詳細も見ておきましょう。
検査NR(能力検査)
能力検査は、別名学力検査とも言えます。
言語、計数・図形の基礎学力を測定する内容になっており、語句理解や計算基礎、統計や図形認識、法則理解や文脈理解、論理思考といった7つの項目が数値化されます。
これらの内容は能力別に評価され、標準得点でアウトプットされた内容を全国得点と比較することで、個々人の能力水準を判定します。
業務を行う上で、事務処理能力や理解力は非常に重要です。これらは「言語」や「計数・図形」の基礎学力と比例するとされていることから、企業側としては非常に重要な指標となるでしょう。
なお、企業側は能力検査利用だけであれば無料なため、企業によっては能力検査のみを就活生に課す場合もあるでしょう。また、その他の検査を行う場合であっても、能力検査は必ず受検するものと理解しておくのが良いでしょう。
検査SS(資質検査)
資質検査は、「不適正」を見極めるための神髄の検査とも言えます。
9カテゴリー41項目におよぶ検査項目を備えていることから、候補者自身が意識的に活動に反映している内容はもちろん、無意識的な性格面も暴くことが可能です。
無意識面の検査では、活動性、社交性、慎重性、新奇性、固執性、主体性、独善性といった7つの観点から、とっさの反応や無意識の行動に現れやすい特徴を見極めていきます。
これは「いい性格」「悪い性格」と分けたいのではなく、企業で働く以上、企業文化や風土をはじめ、業務特性に馴染めるか、馴染めないかといった観点を見るもので、個性を否定するものではありません。
この他にも、働く上での価値観やマイナスとなる要因分析、ポテンシャル分析などを行うことができるため、企業としては「自社に向いている人材か」という点はもちろん、「成長意欲があるか」「ストレス耐性はどの程度あるか」など、入社以降マネジメントする上でも重要となる指標を確認することができるのです。
検査SB(精神分析)
精神分析も資質検査同様、多くの検査項目を備えています。6カテゴリー21項目におよぶ検査項目によって、メンタル面の潜在的な負の傾向を測定することが可能です。不適正検査スカウターでは、「入社前の心の健康診断」と呼んでいます。
リモートワークが急速に定着した今、若い年次の社員の精神状態を適切に保つことは、どの企業でも喫緊の課題です。入社後にメンタル不調が生じると、企業・候補者の双方にメリットはありません。
したがって精神分析では、うつ傾向などを見出すことができる精神状態の傾向調査をはじめ、ストレス要因の確認や、ストレスに対する打たれ弱さなどを確認することができるのです。
検査TT(定着検査)
定着検査もこれまでの検査同様、7カテゴリー27項目にもおよぶ項目を備えています。
なぜ離職をしてしまうのか、離職の要因となるストレスの原因は何だったのかということをはじめ、対話スキルなどを確認することが可能です。
「この時代に、そんなに長く同じ企業で働くと思っているの?」という人がいるかもしれません。しかし、先にもご紹介した通り、新人を一人前に育て上げるためには、莫大な時間と労力が掛かっています。
このことを踏まえると、企業としてはそれらの投資分を回収できる程度には活躍してほしいというのが本音ではないでしょうか。
したがって、「定着」という指標は非常に重要になるため、企業側は検査をしたいと考えるのです。
不適正検査スカウターの検査概要
では、ここからは検査概要を見ていきましょう。
検査NR(能力検査)概要
出題範囲:言語(11問)、非言語(15問)、論理問題(4問)
検査項目:語句理解、計算基礎、統計、図形認識、法則理解、文脈理解、論理的思考
回答形式:5問択一式
回答制限時間:30分
設問数:30問
設問ごとの制限時間:なし
解いた後に前の問題を振り返ることができるという特徴があるため、一度最後まで解いてみた上で、改めて最初に戻るということも可能です。
難易度が高いというよりは、1問を1分程度で解く必要があるため、時間との戦いになります。
なお、これらの問題はSPIの出題範囲と大きな差はありません。
したがって、問題の具体的なイメージはSPIの出題内容を思い浮かべるのが良いでしょう。
また、検査中は電卓使用が可能なため、計算問題などは時間を短縮しながら取り組むことが可能です。
その他の検査概要
資質検査や精神分析については、いわゆる「性格診断テスト」のようなイメージを持っておけば相違ありません。「16Personalities」や「ストレングスファインダー」などの受験を通し、事前に検査のイメージを膨らませておきましょう。
不適正検査スカウターの受験方法
不適正検査スカウターは、3つの方法で受験が可能です。
- WEB受験
- 紙冊子受験/画面入力
- 紙冊子受験/マークシート
どの受験方法が採用されているのかは、企業によって異なるため、検査の案内を待ちましょう。
なお、紙冊子を利用する場合は指定会場に出向く必要があります。替え玉受験対策として多くの企業が採用していることから、紙冊子受験の可能性が高いことは理解しておきましょう。
ただし、不適正検査スカウターは性格の診断が割合としては多い検査になるため、「リラックスして受験してもらうためにWEB受験を採用しよう」と考える企業も多いようです。
受験方法に関わらず、内容は変わらないことを理解しておきましょう。
不適正検査スカウターの対策方法
不適正検査スカウターを対策するためには、検査ごとに分けて考える必要があります。
検査NR(能力検査)の場合、SPIとほぼ出題範囲が変わらないため、SPIの対策本などから問題を解く練習をするのがおすすめです。また、1問あたりを解くことができる時間が非常に短いことから、早いテンポで問題を解くことにも演習を通じて慣れておく必要があるでしょう。
また、言い換えれば「不適正検査スカウター」用の対策本などは世の中にあまり存在しておらず、専用の対策を行うことはほぼ困難とも言えます。そのため、「不適正検査スカウター」の対策ということにこだわりすぎず、たくさんの対策本が出ているSPIの問題などを活用しましょう。
検査SS(資質検査)、検査SB(精神分析)、検査TT(定着検査)は、個々人の性格を見るものなので、特に対策は必要ありません。企業が求める人材に適応したいと考える人がいるかもしれませんが、あまり現実的ではありません。
自分の気持ちに素直に解答することで、本当に自分に合う会社を見つける意識を持ちましょう。
よくある質問
では最後に、よくある質問に回答します。
「不適正検査スカウター」を利用している企業は多い?
公式サイトによると、約12,000社が利用していると記載があります(2023年9月時点)。企業によってはSPIと合わせて活用している企業なども存在するため、就活を進めていくと、数社は「不適正検査スカウター」を採用している企業に出会うのではないでしょうか。
なお、企業としては「不適正」を見極めたいという思いから、検査SS(資質検査)を利用する傾向があるようです。
不適正検査スカウターを通じて自分の特性を見つめなおそう!
「不適正」という言葉を聞くと、万が一「不適正検査スカウター」を取り入れている企業の選考で落ちてしまったら、自分自身を否定されたような気持ちになってしまうのではないでしょうか。
しかし実際は、全くそんなことはありません。なぜなら「不適正検査スカウター」の結果を通じて縁がなかった会社は、自分の性格や志向的に合わない企業であることが明確だからです。
自分自身を偽って働くことは、とても苦しく大変です。可能であれば、多くの人が自分らしく働きたいと思うのではないでしょうか。「不適正検査スカウター」はそのような思いを助けてくれる一つのツールに過ぎず、何も怖がることはありません。
特段の対策をすることはもちろん大切ですが、そうではなく素直な気持ちで検査を受けることで、「素の自分」に合う企業が見つかると捉えてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。