【業界研究】商社業界の仕事内容は?さらに就職試験対策を徹底解説!
2023年9月30日更新
はじめに
商社業界は、国際ビジネスの舞台裏で重要な役割を果たす業界で、就活生には花形の人気業界です。
その商社業界のビジネスモデルや仕事内容、職種から求められる人物像などについて徹底解説しています。
商社業界への就職を目指す学生やキャリアアップを考える社会人へ役立つ情報を提供し、成功への第一歩を踏み出すお手伝いができれば幸いです。
商社業界の舞台裏を垣間見て、その魅力を探求しに行きましょう。
商社業界とは?
国内だけではなく海外を含めてあらゆる企業を対象に自社の商品やサービスを販売したい企業と、それらの商品やサービスを購入したい企業とを仲介して取引を成立させるのが商社の仕事です。
そんな商社は、大きく分けて総合商社と専門商社に分けられます。
総合商社は、幅広い産業分野で、原料や加工品、サービスなどあらゆる商材を扱って、販売したい企業と購入したい企業を結び付け、取引の仲介をします。
また、商品やサービスを販売するために、販売チャネルの開拓や新たな物流ネットワークづくりや保険機能を構築したり、国際的なプロジェクトを手がけたりします。
その一方で、特定分野の商品やサービスを手がけるのが専門商社です。商品は、食品や鉄鋼、機械から繊維など大手メーカーや総合商社の一部門が独立した特定分野の商品を取り扱う卸売業者から拡大・発展した企業まで幅広く多数存在しています。
特定分野における高い専門知識や豊富なノウハウを持ち、豊富な品ぞろえと、きめ細やかな対応が特徴です。
商社業界のビジネスモデルとは?
商社業界のビジネスモデルは、おもに「トレーディング」と「事業投資」の2つに分けられ、それぞれの組み合わせによって収益を得ている事になります。
トレーディングについて
トレーディングとは、商品や原料、サービスなどを扱って仲介業者として手数料収入(コミッション)と需要者への売値と供給者からの買値の差額(マージン)で収益をあげる商社の伝統的なビジネスのことを言います。
事業投資について
事業投資とは、各企業が持っているノウハウやシステム、ネットワークを活用して、原料の生産や調達から製造、流通・販売まで一連の流れである「バリューチェーン」を新たに構築したり、強化することでより大きな利益を得ようとすることを言います。
商社業界の上位企業
どの業界にもトップ企業がありますが、総合商社を代表する企業は、三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅の5社を総称して「五大商社」と言われています。
その「五大商社」の一覧が下表の通りですので、先ずは規模感を掴んでください。
三菱商事株式会社
三菱商事株式会社は、日本の大手総合商社の一つで、三菱グループの一員です。
三菱グループの中でも三菱商事は、「御三家」とも呼ばれ、揺るぎない地位を誇っています。
1954年に三菱グループ内の商社を統合して設立され、エネルギー、金属、機械、食品、化学、不動産、金融、情報通信など幅広い分野でビジネスを展開しています。
また、世界中で幅広くビジネス展開を行い、海外にも多くの関連会社を有し、国際市場でも大きな存在感を示しています。
三井物産株式会社
三井物産株式会社は、1876年に創業され日本で最も歴史のある商社の一つであり、三井グループの一員です。
三井物産は資源分野が強く、特に金属資源に強みを持っています。
しかし、資源分野は資源価格の影響をダイレクトに受けてしまうというデメリットがあります。
そのため、安定感および競争力のある事業へとポートフォリオの組替えや事業再編成を積極的に行ない、経営方針の転換を図っています。
伊藤忠商事株式会社
伊藤忠商事株式会社は、資源価格の変動に大きく影響を受ける資源ビジネスに頼らず、景気変動に耐性がある生活消費関連事業をメインにしているため、安定的な収益基盤を構築しています。
伊藤忠商事は、初代伊藤忠兵衛が1858年に創業しました。
その伊藤忠兵衛から生まれた「三方よし」(「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」)という言葉を企業理念に掲げ、創業の精神を現在まで受け継ぎ、未来においても受け継いでいこうとしています。
住友商事株式会社
住友商事株式会社は、1919年に大阪北港株式会社を前身として創業し、1970年代に総合商社としての経営基盤を確立した100年以上の歴史を持つ大企業です。
住友商事は、非資源分野において、「メディア・デジタル」事業に強みを持っています
近年では、第5世代移動通信システム(5G)関連事業やデジタルメディア関連事業に取り組み、収益基盤の強化を進めると共に、デジタルビジネス事業において、DXセンターには社内外のデジタル人材を集結し、住友商事グループのDXを加速させています。
丸紅株式会社
丸紅株式会社は、伊藤忠商事と同じく、1858年に初代伊藤忠兵衛により創業されました。
「正・新・和」の精神を社是として掲げ、経済・社会の発展と地球環境の保全に貢献する企業グループを目指しています。
丸紅を代表する事業として、資源分野では「金属事業」、非資源分野では「食料事業」があります。
全国に穀物サイロを多数所有して、大量の穀物を海外から輸入している丸紅の穀物取扱量は、国内No. 1を誇っています。
商社業界の動向と今後について
商社業界は、これまでにも何度となく厳しい時代に直面してきましたが、その都度柔軟に事業内容を変えて生き残ってきました。激動の今、さらに進化しようとしている商社業界の動向と今後について見ていきましょう。
資源分野から非資源分野へ
資源分野では、主にエネルギーや金属などが取引され、総合商社は大規模な投資を行い、これらの資源を世界市場に供給することで巨額の利益を得てきました。
しかし、資源価格の大幅な変動により、収益の不安定性が顕著であることから、資源分野への依存度が高い商社は収益の急激な減少に見舞われる可能性が高いため、資源分野からの脱却を図り、非資源分野を強化しています。
非資源分野とは、食料品、機械、住宅、繊維、情報通信など、資源分野に含まれない多様なビジネス領域を指し、これに焦点を当てることで収益の安定性を高め、リスクを分散させる戦略を進めています。
事業投資から事業経営へ
近年総合商社は、事業投資だけでなく事業経営まで力を入れ始めています。
事業経営とは、投資先である企業に「経営」を行なう『人』を派遣し、投資先の企業の運営・管理を行なうことを言います。
各商社ともこの経営人材の輩出には力を入れており、特に三菱商事は、経営人材の育成に積極的に取り組む新たな人事制度を盛り込んだ、中期経営戦略を発表しています。
DX化の促進
働き方改革でDX化が求められていましたが、中々進まなかったDX化も、新型コロナウィルス感染拡大で一気に広がり、浸透しました。
商談や会議の方法もオンラインになり、出勤しなくてもいいリモートワーク、各社は競ってECサイトを立ち上げ、運営しており、専門商社業界でも新たにECサイトの立ち上げを検討している企業が急増しています。
企業としては、ECサイトを構築・運営することで、多数の商品アイテムを取り扱う専門商社の強みを生かすと共に、個人事業者や小口の新規取引先を増やすことができ、受注・取引を拡大させることに繋がっています。
M&A
専門商社は、専門知識に特化し、その得意分野においては最強の存在です。しかし、現在の日本の商社業界では、一部の製品やサービスにおいては国内市場が飽和状態に達しており、市場の競争が激化しています。また、ECサイトの普及により、小売業者とメーカーが直接取引する機会が増え、商社のトレーディング需要が減少しています。
このような状況から、商社は事業拡大、新規顧客獲得、ブランド強化、経営基盤の強化などを目指し、M&A(合併・買収)を積極的に活用しています。M&Aにより、自社の規模や事業領域を拡大し、メーカーとの交渉力を高め、新製品の提案、海外展開などが実現可能となります。このため、今後も業界再編の動きが続くと予想されています。
商社業界の最新の動向を知ることは、商社業界への入社を検討して、その選考を突破するために最低限必要な情報を得ることに直結しているのです。
商社業界の職種と仕事内容について
商社では様々な仕事があり、職種も複数あります。詳しく見ていきましょう。
営業職
営業職は、自社の製品を売りたい企業と買いたい企業を結びつけるだけでなく、適正な価格設定や仕入れ数量の調整から流通経路の確保まで行います。
グローバルで活躍するため、語学力だけでなく行動力や体力も必要になります。
貿易事務・海外事務職
貿易事務・海外事務職は、営業職と連携しながら、スムーズな輸出入業務をサポートします。関係官庁への書類の作成・提出はもちろん、船便・航空便の手配や国内運送に関する業務も行ないます。
システムエンジニア(SE)職
システムエンジニア職は、商社の物流、輸出入、経理などのシステムを構築し、管理・運営します。また、ECサイトの決済や配送システムの構築・管理・運用を行ないます。
物流・在庫管理職
物流・在庫管理職は、商品の仕入れから在庫管理、出荷まで商品の流れを総合的に管理します。関連する業務のコストダウンや効率化が常に求められ、日々改善・改良を目指し、戦略的なシステム策定・実行が求められます。
カスタマーサポート職
カスタマーサポート職は、テレビやカタログなどによる通信販売や、ECサイトでの販売・問合せ先に対応しています。苦情、要望を活用することでお客様に寄り添い、品質・サービスの向上・改善に繋げます。
商社業界で求められる人材とは?
このように様々な職種がある商社ですが、「五大商社」で「求められる人材」とはどのようなものなのでしょうか?
各社の採用ホームページなどをみれば「求める人材」がそれぞれ掲載されています。
また、筆記や面接試験の回数や就職偏差値などをまとめた表を作成しましたので、自分の性格や思考、行動特性などを照らし合わせて、どの商社で活躍できるのかチェックしてみましょう。
※就職偏差値については、以下の記事から引用しました
就職試験対策について
「五大商社」の筆記試験の内容や面接試験の回数、求められる人物像をまとめましたが、各社ともに会社独自の筆記試験および面接試験を用意しています。
商社業界を目指すうえで必要な「筆記試験」および「面接試験」の対策についてまとめましたので、それぞれ見ていきましょう。
筆記試験
総合商社に限らず、ほとんどの企業の筆記試験は、事前対策を充分に行なえば、合格基準を達成することができます。
筆記試験をなかなか通過できない場合は、合格できる能力・可能性があるにも関わらず、真剣に取り組まなかったために、第一志望の企業を諦めることになってしまうのは非常にもったいないです。面接に進む前段階ですから、絶対に通過するぞという意識をもって取り組みましょう。
GABの勉強は、他業種の筆記試験対策にもなりますので、早めに準備をしておいて損はありません。入念な対策をして、面接への切符を勝ち取りましょう!
面接試験
商社は人気企業の1つであり、ライバルも多く、面接試験も厳しい選考が行われます。
グローバルにビジネスを行う人材を採用するため、各商社の採用基準に基づき厳しい目線で実施する面接試験を突破するにはどうすればいいのでしょうか。
基本的な応対としては、論理的な回答をすることです。
具体的には、PREP法を用いて回答しましょう。
PREP法とは、「Point(結論)」「Reason(理由)」「Example(具体例)」「Point(結論)」の頭文字をとったもので、相手に内容を分かりやすく伝えるための手法です。
面接試験の時間は限られていますので、どの項目でも基本この「PREP法」に基づき、短く簡潔に話すことで、相手の質問主旨に的確に回答し、面接官に納得してもらうことで面接試験の通過率がグッと上げることができます。
まとめ
商社業界は、国際的なビジネスに魅力的なキャリア機会を提供し、幅広い職種で活躍できる人気業界です。
その中でも「五大商社」(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅)は、業界のリーダーとして知られ、それぞれが独特の強みと戦略を持っています。資源分野から非資源分野へのシフト、事業投資から事業経営への移行、DX化の促進、そして積極的なM&A戦略などです。
これらの商社で求められる人材もそれぞれの企業の特徴が表れており、あなたに合う商社もキッと見つかるはずです。
いくつもの難関が待ち受ける就職試験がありますが、事前対策をシッカリ行ない、筆記試験と面接試験をクリアすることで、夢の実現に向けて確実に一歩ずつ前進しましょう!!
この記事を通して、あなたの夢が叶うことを願っています。