【業界研究】金属製品製造業界とは?志望動機・ビジネスモデル・職種を徹底解説

【業界研究】金属製品製造業界とは?志望動機・ビジネスモデル・職種を徹底解説

2023年9月25日更新

はじめに

金属製品製造業界は、日本のものづくり産業を支える大きな存在です。しかしながら、現状や動向を詳しく知る学生は多くはありません。ここでは金属製品製造業界について、概要、ビジネスモデル、職種、大手企業比較、動向、ニュースを紹介しています。とっつきにくいというイメージがある人にとっても基礎から分かりやすい説明です。この記事を読むことで、金属製品製造業界がどのような業界なのか、どんな仕事があるのかを知ることができます。志望動機を作成する手助けになるので、ぜひ参考にしてください。

金属製品製造業界とは?

まずは金属製品製造業の概要を捉えておきましょう。この業界では、鉄鋼・非鉄金属などの金属精錬製品を原材料としています。これを金属部品や最終製品に加工して、販売する流れです。金属製品には、機械部品と最終製品が挙げられます。たとえば、食缶・金属プレス製品・機械刃物・作業工具・鉄骨・橋梁・鉄塔・サッシ・シャッター・金網・バネ・ねじなどです。このように、この業界で製造される製品は多種多様です。また、販売先のニーズにあった製品を製造する、受注生産型主体の製造業です。

そのためそれぞれの業績は、それぞれの最終消費業界の動向に左右されやすいでしょう。たとえば販売先には、自動車・建設・住宅メーカーなどが挙げられます。金属製品製造業は、特定製品のみを製造する中小企業や零細企業が多い業界です。高い技術力が伴うこれらの企業は、日本のものづくり産業を支える存在であるといえるでしょう。

業界のビジネスモデル

金属製品製造業界のビジネスモデルは、原材料を仕入れて加工し、販売するというものです。いかに仕入れ値を安くするか、高付加価値商品を製作するかが重要です。また、顧客のニーズを汲み取り、これに対応する力が必要です。顧客のニーズはたとえば、多品種小ロット対応型なのか、施策・開発型なのか、高付加価値製品なのか、短納期製品なのかなどを、見極める必要があります。対応する力はたとえば、技術力、生産システム、マーケティング、周辺業種とのコラボレーションなどが挙げられます。特に技術力に関しては、継承が難しく課題となっています。なぜなら、個々の技術者の経験や勘に支えられてきた部分が大きいからです。

当該業界の職種

金属製品製造業界では、技術、営業、事務の主に3職種の募集があります。それぞれについて、どのような業務内容なのかを確認していきましょう。

技術

技術職は主に、開発、設計、製造管理、システム技術の4つの業務があります。企業によっては、業務内容によって部門が細分化されているでしょう。4つの業務について、以下に詳細を見ていきます。

開発は、新商品の開発を行います。テーマは、営業員や工場からもらうことが多いようです。設計を行うのは、商品です。素材、強度、納まりなど、3D CADや強度計算ソフトを用いて行います。設計を行ったら性能を確認し、他の人が分かるように説明用紙なども作成する必要があります。性能確認をしてはじめて発覚する課題などもあるでしょう。上手くいったら、つづいて製造管理です。製造管理は、生産管理、品質管理、資材管理、物流管理などを行います。発売時期や目標性能といった要件を満たせるよう、日々試行錯誤する必要があります。最後にシステム技術は、社内システムツール企画運用、情報セキュリティ関連の業務を行う職業です。

以上のように、ひとくちに研究と言ってもその業務内容は多岐に渡ります。企業によって、一貫して業務を行う所や、業務が細分化されていることがあるでしょう。自分がどんなことをしたいかを把握しておくことが重要です。

営業

営業の仕事には、商品の営業とメンテナンスの営業の2種類が挙げられます。商品の営業について、流れを見ていきましょう。

まずは現場に赴いて打ち合わせを行う所から始まります。その内容を踏まえて、見積書を作成、受注を行っていきます。受注ができたら、再度現場で打ち合わせをし、時には設計部門へ依頼を行うことがあるでしょう。依頼書ができたら、工場に受け渡します。それから顧客と折衝を行い、金額や工事の段取りを決定します。その後は、職人や工事の業者に取り付け方を説明するといった業務が発生するでしょう。また、工事完了後のお金の回収業務を忘れてはなりません。以上のように、営業の仕事は多岐に渡ります。メインの顧客は、工務店など地場の業者であることが多いでしょう。

事務

事務職は、管理部門の事務系業務全般を担います。たとえば、総務課の仕事が挙げられるでしょう。総務課では、社員の社会保険手続き、給与計算、借上げ住宅の契約手続きなどの業務があります。

大手企業紹介

金属製品製造業界に属する大手企業を確認しましょう。売上高順に、4社を紹介しています。なお、就職偏差値については、「【24卒・25卒最新版】文系・理系・公務員別就職偏差値・難易度ランキング」もぜひ参考にしてください。

 

会社名売上高平均年収就職偏差値・難易度社風
LIXIL1兆4959億8700万円694万4757円53挑戦できる雰囲気
東洋製罐グループHD9060億2500万円742万3111円56コミュニケーションが活発
日本発条6932億4600万円725万683円57アットホームな雰囲気
三和HD5881億5900万円960万9396円52頑張れば評価されやすい

(引用:LIXIL決算短信東洋製罐グループHD決算短信日本発条株式会社決算短信三和ホールディングス株式会社決算短信LIXIL有価証券報告書東洋製罐グループHD有価証券報告書日本発条株式会社有価証券報告書三和ホールディングス株式会社有価証券報告書【最新版】鉄鋼/非鉄金属業界の就職偏差値ランキング | 大手3社,学歴,難易度も

株式会社LIXILは、主に水まわり製品と建材製品の製造を手掛ける大手企業です。(引用:LIXILについて)製品には、トイレ、お風呂、キッチン、窓、ドア、インテリア、エクステリアなどが挙げられます。2011年に5社が統合して誕生した大企業であり、日本国内のみならず海外にも進出を成し遂げている企業でもあります。

東洋製罐グループホールディングス株式会社は、世界的な包装容器製造会社です。たとえば、金属、プラスチック、紙やガラスなどの素材を使用した容器を製造しています。

日本発条株式会社は、懸架ばね、自動車用シート、精密ばね、HDD用サスペンション、HDD用機構部品、産業機器(半導体プロセス部品、セラミック製品、配管支持装置、セキュリティ製品、ポリウレタン製品、金属基板、駐車装置)などの、製造販売を行う企業です。(引用:会社概要)海外にもグループの拠点があります。

三和ホールディングス株式会社は、シャッターとスチールドアで国内1位の売上を誇る企業です。国内外にグループ拠点があります。競合他社と比較して平均年収が高く、業績や活躍に応じて、それ相応の収入が見込めるでしょう。

当該業界の動向

金属製品業界の動向について見ていきましょう。ここでは、市場規模、課題、事業内容の変化という3つの観点から、分析していきます。

市場規模

経済産業省の発表した「2020年工業統計表産業別統計表データ」を見ていきましょう。(引用:2020年確報 産業別統計表)金属製品業界の市場規模(製造品出荷額)は、15兆9,652億円でした。微増ではありますが、成長傾向が続いています。

金属製品業界は国内の経済動向に比例する傾向が強いとされています。たとえば、飲料缶などの生活費術品に関しては影響を受けにくいですが、プレス部品やアルミサッシ・シャッターなどは自動車業界や住宅業界・建設業界の影響を受けてしまいます。

課題

現状の課題を把握していきましょう。課題は、市場規模の縮小、世界情勢の変化、ニーズの変化の3つが挙げられます。

1つ目は、市場規模の縮小です。たとえば飲料用缶では、素材が金属から樹脂へ変化しつつあります。また、金属製品の加工では、切削・板金・プレス・ダイキャストなどの方法が、3Dプリンターに置き換わりつつあります。

2つ目は、世界情勢の変化です。近年ではウクライナ問題などの影響で、アルミニウムなどの金属の価格が高騰しています。これにより、値上げ、納期ずれなどは避けられません。

3つ目は、ニーズの変化です。近年では、低コスト化などのニーズ変化が見られます。なぜなら、顧客である自動車や建設業界において、中国を中心としたアジア地域へのシフトが急速に進んでいるからです。そのため、コスト面を考慮して、現地調達の割合が増加しています。

事業内容の変化

金属製品業界では、ソフトウェアの進化が顕著です。CAD/CAMの進歩によりプログラミング作成支援環境が良くなっているからです。今後は、対話式プログラミングや自動プログラミングでの支援が求められるでしょう。ソフトウェアの進化により、技術者の技術の蓄積と生産性の向上が益々測れるでしょう。また、AIによる加工プログラム自動作成システムの利用など、技術革新が進んでいます。

志望動機

金属製品製造業界の志望動機でよくあるものは何なのでしょうか。捉えておくことで、自分の志望動機を作りあげる時の参考になるでしょう。

1点目は、ものづくりの企業であることです。特に金属製品製造業界の企業は、身の回りにある見慣れた製品を製造していることが多く、親近感を感じる学生が多いようです。志望動機では、ものづくりに携わりたい動機や熱意を、エピソードと共に紹介することが多いでしょう。

2点目は、グローバルに展開している企業であることです。金属製品製造業界に属する大手企業は、基本的に国内だけでなく海外にも拠点を持っています。グローバルに活躍したいという動機や熱意を、エピソードと共に紹介することが多いでしょう。

以上のように、金属製品製造業界に属する企業は、グローバルに展開するものづくり企業であることが特徴です。これに加えて、各社が持つ強みや特徴を捉え、「なぜその企業なのか」という観点で志望動機を作ることが大切です。

ホットニュース

つづいて、金属製品製造業界に関する新しいニュースを確認していきましょう。実際のニュースを追うことで、業界の最新動向が追えます。結果、業界の将来を予測することができるでしょう。この力は、面接における志望動機の質問や、将来像に関する質問に有効です。

1つ目の記事は、「金属曲げ加工、緻密な生産管理を支えるロボットの実力値」というものです。生産現場にロボットを導入することについて、メリットや課題が述べられています。メリットは、従業員の安全性が上がったことです。危険な作業をロボットに任せることによって、業務がスムーズになるでしょう。一方で、経営にロボット導入の効果が表れるのはまだ先のようです。今後、ますます人とロボットの協業が増え、その過程でロボットが人間の業務時間や効率を上回る瞬間が出てくるでしょう。

2つ目の記事は、「なぜ「金属3Dプリンタは産業構造を変える可能性がある」のか?」です。金属3Dプリンタの導入は、この業界の多くの企業で進んでいます。課題は、従来のやり方との特性の融合にあります。金属製品製造業界では、高い技術力を持つ職人が多く在籍することで、商品の高い質を保ってきました。このような構造の中で、今後、どのようにして金属3Dプリンタを使いこなしていくかが問題となってくるでしょう。最新の技術をいかに扱うかが焦点となってきます。

以上のように、最新のニュースを追うことは、その業界を志望するにあたって大事なことです。ぜひこの記事を参考に、常に新しい情報を追うようにしてください。

まとめ

ここまで金属製品製造業界について、概要、ビジネスモデル、職種、大手企業比較、動向、ニュースを紹介してきました。金属製品行製造業界は一見、難しそうな業界かもしれませんが、基本的な情報を網羅することで比較的容易に状況を把握することができます。とはいえその商品は多岐に渡るため、ぜひ個別企業について調べるようにしてください。この記事を参考にすることで、業界研究や企業研究をスムーズに進めることができるでしょう。

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