【企業研究】アーサー・D・リトルの就職偏差値・採用大学・選考フローを徹底解説
2023年7月28日更新
はじめに
アーサー・D・リトルの会社概要や就活事情を知りたくないですか?
アーサー・D・リトル(以下、ADL)は、マサチューセッツ工科大学のアーサー・デュホン・リトル博士により、世界最初の経営コンサルティングファームとして1886年に設立された企業です。
日本法人であるADLジャパンは1978年に設立されて以来、一貫して企業における「経営と技術の融合」を目指し、多くのメーカーやIT企業、官公庁などの経営課題解決に携わってきました。
本記事では、そんな歴史のあるADLに関して企業研究の段階で必要な情報を網羅してまとめました。
10分ぐらいでADLの全貌を一通り見渡せますので、最後まで一気にお読みくださいね。
外資系コンサルティング業界
外資系コンサルティング業界は、本社や親会社の拠点が海外にあり、グローバルなスケールと専門的知識を活かし、幅広い業界や企業に対して経営コンサルティングなど複数の分野の課題を解決する業界です。
グローバルな展望を持ちながら、クライアントの課題解決や競争力向上を目指し、データ分析、戦略策定、プロセス最適化などの手法を用いて、ビジネスの変革や成長に向けた具体的なアドバイスと戦略を提供し、クライアントの持続的な成果に貢献しています。
なお、ジョーカツキャンパスでは「【業界研究】コンサル業界について解説します。」と題してコンサル業界について詳しく解説していますので、ご参照ください。
また、コンサル以外の業界については、以下の記事で概観しているので、ぜひ読んでくださいね!
事業内容
ADLの事業内容は幅広いですが、主な事業領域は以下のとおりです。
戦略コンサルティング
企業の成長戦略、市場展開、競争戦略、M&A戦略などの領域で戦略的なアドバイスを提供しています。
テクノロジーコンサルティング
デジタルトランスフォーメーション、イノベーション戦略、テクノロジーアーキテクチャの設計など、テクノロジーに関連する課題に対して助言しています。
イノベーションマネジメント
新製品・サービスの開発、新規事業創出、イノベーション戦略の策定と実装において企業を支援しています。
オペレーションコンサルティング
生産性向上、サプライチェーン最適化、プロセス改善などの分野で業績向上を目指す企業をサポートしています。
産業・セクターエキスパート
特定の産業やセクターにおいて、専門知識を持つコンサルタントが業界のトレンドや課題に対するアドバイスを行っています。
以上のように、ADLはクライアント企業のニーズに合わせ、カスタマイズされたコンサルティングサービスを提供し、組織の成長と競争力の向上を支援しています。
新卒選考フロー
ADLは「新卒採用=インターン採用」を公言しています。
まずはインターンを通過しないとその先はありません。(インターンの概要はこちら)
いずれにしても、コンサルファーム特有のケース面接がありますので、下記の新卒選考フローを参考にして全体像を掴んでおいてください。
選考ステップ | 内 容 |
①エントリーシート | 【質問例】 ・学生時代に一番力を入れて取り組んだことと、そこから学んだことは何かを記述ください。(300字以下) ・自分が世の中でいちばん詳しいと思うことについて教えてください。(例えば、「自分の家族について」など、個人的なことは除きます)(400字以下) |
②グループディスカッション | ・人数:学生6~8人、面接官2名 ・所要時間:1時間 ・場所:東京オフィス ・具体的内容 →1人1分で自己紹介後に、課題が発表され、5分間の個人ワークの時間が設けられます。 個人ワークで考えたことを1人1分で発表した後に、20分間ディスカッションの時間がとられます。 ディスカッションのアウトプットを代表の学生が3分程度で発表し、最後には面接官からのフィードバックや逆質問の時間が設けられます。 【テーマ例】 ・日本サッカー協会がクライアントだと仮定し、FIFAワールドカップで日本代表がベスト4に入るための施策を考えよ。 ・厚生労働省がクライアントだと仮定し、中高年の引きこもりを減らす施策を考えよ。 |
③インターン | 一般的なビジネスケース問題が与えられ、1グループ2〜3人に対してグループごとに社員がメンターにつきます。 簡単な講義がある以外は基本的にワークの時間となり、中間発表、最終発表の時間がとられます。 毎日グループの担当の社員とディスカッションする時間が設けられ、社員とのランチや最終発表の後には懇親会もあるなど、社員と交流する機会も多く設けられます。 |
④1次面接 | ・形式:ケース面接、一般面接 ・人数:学生1人、面接官1人×2回 ・所要時間:1時間×2回 ・実施場所:東京オフィス ・使用言語:日本語 |
⑤2次面接 | ・形式:ケース面接、一般面接 ・人数:学生1人、面接官:1人×2回 ・所要時間:1時間×2回 ・実施場所:東京オフィス ・使用言語:日本語 |
⑥3次面接 | ・形式:一般面接 ・人数:学生1人、面接官:1人×2回 ・所要時間:1時間×2回 ・実施場所:東京オフィス ・使用言語:日本語 |
⑦内定 |
参照:FactLogic
なお、各面接の過去の質問内容は下記のとおりです。
1・2次面接 | 3次面接 |
・志望動機 ・研究内容 ・学生時代に一番力を入れて取り組んだこと ・大学以外で頑張ったこと ・挫折経験とその立ち直り方法 ・将来自分がどうありたいか ・その他一般的な質問 ・携帯会社の売上を5年間で2倍にする戦略立案(ケース面接) ・世界が今後どのように変化していくか、およびその中で製造業はどうあるべきか(ケース面接) ・ESの内容に沿ったフェルミ推定、ケース問題 | ・志望動機 ・学生時代に一番力を入れて取り組んだこと ・その他ESに沿った質問 ・逆質問 |
社風
ADLは、「Side-by-Side(常に顧客とともにあること)」をコンセプトに、「経営と技術の融合」をめざし、製造業を中心にIT・通信関係や官公庁まで幅広い業界の経営課題の解決やイノベーションに携わっています。
製造系の技術経営戦略に強みをもつADLの社風は、「理系出身者が多く、研究室のような雰囲気」という口コミが多く寄せられています。
社員数は100名未満と少数精鋭で、外資系企業にありがちなシビアな競争意識はなく、個々をリスペクトし合ってチームワークを大切にする風土が根付いているようです。
また、若手にも大きな裁量権が与えられ、業界トップのクライアントと一緒に経営課題を解決していくチャレンジングな環境があることも、やりがいにつながっているそうです。
「お金儲けというより、新しい価値を生み出せるかが重視される」という社員の声も多く、小手先のコスト削減や効率化ではなく、クライアントの課題を本質を捉えて考え抜いた上で戦略を構築し、イノベーションを追求していきたい人には最適なフィールドがあると言えるでしょう。
以上のことから、クライアントに寄り添って技術への知見を活かしながら粘り強く考え、新しい価値を生み出していく社風にフィットする人材かどうかを、採用面接では見極められます。
また、あなた自身、自分との価値観と相性がいいのかどうかもよく考えておく必要がありますね。
求める人材
ADLの求める人材は同社の採用情報にも記載のとおり、
自らの卓越した「ディファレンス」を発揮するです。
そのための新しいコンサルタント像として、下記の6点を明示しています。
両利きの思考 | 右脳と左脳の両側を駆使し、創造性とのバランスを取り、これまでにない新しい解決策を生み出すことができます。 |
現状を打開する創造者 | エネルギーにあふれ、現実のインパクトを生み出すことによって積極的に永続的価値を追求します。 |
ネットワークの媒介者 | ネットワーク作りに長け、さまざまな視点を組み合わせて最良の解決策を見つけ出すことができます。 |
サイド・バイ・サイドの伴走者 | 常に学び、刺激を与え、他者が最良の仕事をできるように支援します。 |
アントレプレナー | チーム環境の中でオーナーシップを持ちながらスタートアップ的な思考を適用します。 |
サステナビリティ・アンバサダー | 前向きな解決策を見出し、意識的な取り組みを推進します。 |
このような新しいコンサルタント像を提示したうえで、創造性と好奇心に満ちた新卒者が、築き上げられた産業、新たな技術、大胆なアイデアの交点で働き、将来の問題を解決するコンサルタントに変わる機会をADLは提供してくれます。
したがって、そんな恵まれた環境を存分に活用して「ディファレンス」を発揮する人材が求められているということですね。
就職偏差値および業界での立ち位置
次に、ADLの就職偏差値や業界での立ち位置を相対的に確認しておきましょう。
会社名 | 売上高 (mil USD) | 平均年収 (万円) | 就職偏差値 | 残業時間 | 有給消化率 |
ADL | 239 | 1,200 | 70 | 130 | 55.0% |
マッキンゼー・アンド・カンパニー | 8,800 | 1,500 | 77 | 101 | 73.4% |
ボストン・コンサルティング・グループ | 6,300 | 1,400 | 76 | 104 | 36.8% |
ベイン・アンド・カンパニー | 3,870 | 1,200 | 75 | 107 | 66.7% |
PwC | 12,253 | 1,500 | 68 | 82 | 42.3% |
※売上は【2023年最新版】コンサルティング会社ランキングを現役コンサルが徹底解説 (consul-career.com)のデータを使用
※平均年収はヒューマンデザイン総合研究所のデータを使用
※就職偏差値、残業時間、有給消化率は、就職偏差値ランキング委員会の数値を使用
採用大学および学歴フィルターの有無
最後に気になるADLの採用大学と学歴フィルターの有無を解説して本記事を締めくくります。
採用大学
ADLは採用実績大学・学歴に関しては非公開ですが、ヒューマン総合研究所が在籍コンサルタントの経歴を基に考察した結果、主に東京大学や京都大学、東京工業大学、慶應義塾大学、早稲田大学、東北大学、海外有名大学の出身者が下記のとおり大半を占めているようです。
・東京大学・大学院(工学部/工学系研究科/新領域創成科学研究科)
・京都大学(工学部/工学研究科)
・慶應義塾大学・大学院(総合政策学部/理工学部/理工学研究科)
・早稲田大学・大学院(政治経済学部)
・東京工業大学・大学院(工学部/理工学研究科/総合理工学研究科)
・東北大学(農学部/工学部/理学部/工学研究科/理学研究科)
・マサチューセッツ工科大学スローン大学経営大学院(MBA)、シカゴ大学大学院(MBA)、コーネル大学大学院(MBA)等の海外有名大学
特に、東京大学と東北大学の理系出身者が非常に多い印象だと言うことです。
また、他のコンサルティングファームと比較して、技術を重要視したコンサルティングを実施していることから理系出身者が多く在籍しており、ヒューマンデザイン総合研究所の独自調査の結果によると、理系出身者がADL全社員の約8割を占めると言われています
新卒の採用人数も一桁と言われており、入社難易度が難関な企業の1つですね。
学歴フィルターの有無
学歴フィルターの有無に関しても、ADLは公表していません。
ただ、大手コンサルティング会社の仕事のレベルは極めて高いです。
よって、最低限の学力が必要であること、過去の採用大学から類推すると、学歴フィルターを利用している可能性は十分に考えられますね。
まとめ
以上、ADLの会社概要や就活事情について紹介しました。
ADLは学歴フィルターを利用している可能性が高く、中堅大学以下の学生にとっては敷居が高過ぎると言えます。
また、高学歴であっても、エントリーしてくる学生の質が高く、要求レベルも高いので一筋縄ではいきません。
特に、ケース面接では地頭の良さや論理的思考力が求められますので、対策は必須です。
そのために、ケース面接で必要な「フレームワーク」というツールの学習や論理的思考力を普段から養っておく必要がありますね。
本記事があなたの就活のお役に立てば、幸いです。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。