【企業研究】キリンの就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説

【企業研究】キリンの就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説

2023年6月28日更新

はじめに

もし就職活動中の学生が、キリンホールディングス株式会社(以下、キリン)のことをビールのみの会社と思っていたら、その認識はあらためたほうがよいかもしれません。同社は長期経営構想、キリングループ・ビジョン2027のなかで、食から医にわたる領域で価値を想像していく、と宣言しているからです。

もちろんビールを含む酒類はキリンの主力製品ではありますが、医薬事業にも相当の経営資源を振りわけています。

この記事では、キリンへの入社を希望している就活生の企業研究に役立つ情報を余すところなく提供していきます。



キリンが属する業界の特徴

キリンはどの業界に所属しているのか。この質問の答えは、キリンの事業系統にあります。キリンは、国内ビール・スピリッツ、国内飲料、オセアニア酒類、医薬、その他、の計5つの事業系統を持っています。このことから少なくとも、キリンはアルコール業界、飲料業界、医薬業界に所属している、といえそうです。この3つの業界の特徴を紹介します。

 

アルコール業界の特徴

 

アルコールは多種多様で、ビールだけでなく、ウイスキーや日本酒、焼酎、ワインなども大きな市場を持っています。そのなかでキリンは、アサヒ、サントリー、サッポロとともにビール大手4社をつくっています。そして数多(あまた)あるアルコール関連企業のなかで、この4社の企業規模の大きさは突出しています。

したがってアルコール業界は、「アルコール事業は中小零細企業によって営まれていることが多いのだが、ビール事業だけは例外的に大手4社が市場をほぼ独占している」とまとめることができます。

 

参考:

ビール大手4社、安定の中の変化と違い(あさがくナビ、朝日学情ナビ)

 

飲料業界の特徴

 

飲料業界はアルコール以外の飲料を開発、製造、販売している業界ですが、ここでもビール大手4社が活躍しています。キリンだけでなく、他の3社も飲料を数多く手がけていて市場で大きな存在感を示しています。

飲料業界にはさらに、コカ・コーラ、ヤクルト、大塚、伊藤園、ダイドー、カゴメ、キーコーヒーと、著名な企業が多数存在しています。

また飲料業界は商品ラインナップが多いという特徴があります。炭酸飲料、コーヒー、茶、健康系飲料、ミネラルウォーターなどのジャンルがあり、ジャンルのなかにも多種多様な商品があります。

 

医薬業界の特徴

 

医薬業界は医療用医薬品や一般用医薬品などを開発、製造、販売している医薬品メーカーで構成されています。アルコール業界や飲料業界と決定的に異なる点は、人の健康と命をコントロールする医学と薬学がベースになっているところです。そのため医薬業界は、一般的なビジネスよりも法律の規制が強かったり、監督省庁である厚生労働省の厳格な管理下に置かれているといった特徴があります。

こうしたことから医薬業界は、アルコール業界や飲料業界とはまったくの別ジャンルといえるのですが、意外な共通点があります。それは研究開発体制が似ていることです。医薬品メーカーもアルコール大手企業も、大学や研究機関と同レベルかそれ以上の研究部門を持っています。ベースとなる研究能力を持つキリンのようなアルコール大手企業は、ある意味で医薬業界に進出しやすかったといえます。

 

また経営の視点からみると、医薬品の開発には多額の資金が必要なので簡単に参入することができず、参入できればライバルが少なく安定的に経営できるという魅力があります。ビール大手4社の1つであるキリンには大型投資に耐えうる資金があります。キリンだけでなくサントリーも医薬事業を展開しているのはこのような事情があるからでしょう。



キリンの基本データ

キリンの基本データとして、会社概要、企業理念、経営状況、給与・福利厚生について紹介します。

 

会社概要、企業理念

 

キリンの会社概要は以下のとおり。

 

■キリンの会社概要

  • 商号:キリンホールディングス株式会社
  • 設立:1907年(明治40年)223

200771日持株会社化にともない麒麟麦酒株式会社から商号変更)

  • 資本金:102,045,793,357
  • 従業員数(連結):30,538
  • 本社所在地:東京都中野区中野四丁目102号中野セントラルパークサウス

 

キリンは企業理念の代わりにパーパス(目的)を掲げていて、その基本コンセプトは「よろこびがつなぐ世界へ」です。詳細は次のとおり。

 

■キリンのパーパス「よろこびがつなぐ世界へ」の詳細

社会課題の解決に取り組むことで社会と共に成長する

自社の営利だけを追求する企業はその存在意義を問われ、持続的に成長することが難しい時代となっています。また、企業による社会課題解決への期待が国際的にも急速に高まっています。企業としての成長と、社会が抱える課題の解決を同時に実現するためには、事業活動そのものが社会課題解決となるCSVCreating Shared Value)を実践することが重要です。

私たちは、このCSVを経営の根幹に据えて、社会に良いインパクトをもたらし、持続的な成長の実現を目指しています。

 

CSVはキリンの理念の重要ワードになっていて、直訳すると共有価値の創造となるでしょうか。ではキリンは、CSVパーパスをどのように実現していこうとしているのか。

 

CSVパーパスのなかに「酒類メーカーとしての責任」「健康」「コミュニティ」「環境」の4つの重点課題が設定されています。

注目したいのは「酒類メーカーとしての責任」です。アルコールでビジネスをしている企業であれば「アルコールで人々を楽しませる」といってもよさそうなところですが、キリンはそういわず、自分たちにはアルコールに対して責任があるといっているのです。

キリンはこの責任の内容を「すべての事業展開国で、アルコールの有害摂取の根絶に向けた取り組みを着実に進展させる」こと、と説明しています。アルコールという飲み物に有害摂取のリスクがあることは周知の事実ですが、しかし大企業が理念のなかにこれほどネガティブな要素を盛り込むのは異例であり、そこにキリンの覚悟のようなものがみえます。

そしてもう1つのCSVパーパスである「健康」については、「健康な人を増やし、疾病に至る人を減らし、治療に関わる人に貢献する」こと、と説明しています。これはまるで医薬品メーカーの理念のようです。ここからはキリンの医薬事業にかける覚悟が読み取れます。

 

参考:CSVパーパス(キリン)

 

経営状況

 

キリン(連結)の直近5年間の売上収益と当期利益をみていきましょう。202112月期と202212月期は営業利益も紹介します。

 

連結、単位:百万円2018年12月期2019年12月期2020年12月期2021年12月期2022年12月期
売上収益1,930,5221,941,3051,849,5451,821,5701,989,468
営業利益68,084116,019
親会社の所有者に帰属する当期利益164,20259,64271,93559,790111,007

 

売上収益ですが、コロナ禍の影響を受けた202012月期と202112月期こそ1.8兆円台になりましたが、そのほかの年はコンスタントに1.9兆円台にのせています。202212月期は1.989兆円と、2兆円の大台に迫りました。

一方、当期利益は乱高下しています。コロナ禍の影響を受けていない201912月期は59,642百万円で、201812月期の164,202百万円のほぼ3分の1まで落ち込みました。コロナ禍の影響を受けた202112月期も59,790百万円と低迷し、翌期の202212月期は111,007百万円と回復したものの、201812月期と比べると見劣りします。

 

営業利益は2カ年のみの紹介となりますが、20211268,084百万円から202212月期116,019百万円へと1.7になっています。本業ではしっかりとポスト・コロナ経済の波に乗ることができている模様です。

 

参考:有価証券報告書(2022年12月期)(キリン)

 

給与や福利厚生

 

キリン(単体)の従業員の平均年齢は42.49歳で、平均勤続年数は15.0年、平均年間給与(≒年収)は9,426,260です。「40代前半で900万円をゆうに超える」レベルは、日本を代表する大手企業の名に恥じない内容といえそうです。

 

福利厚生では、キリンは出産・育児・介護のサポートに力を入れています。その内容は以下のとおり。

 

■キリンの出産・育児・介護の支援策

妊娠出産育児介護
●産前休業

●妊娠中の措置

1:時間外勤務、休日出勤、深夜業の免除

2:勤務時間の変更、勤務の軽減等

3:保健指導や健康審査受診のための欠務

●休業前情報提供

●休業中の社内情報提供

●産後休業

●所定外労働の免除

●短時間勤務制度

●休業中の社内情報提供

●育児休業

子が2歳に達するまで取得可能

 

●子どもの看護休暇

●所定外労働の免除

●短時間勤務制度

●休業中の社内情報提供

●復職前確認

●復職前面談

●職場向け説明

●出産祝金

●ベビー/キッズシッター割引サービス

●介護休業

対象となる家族1人について要介護状態になるごとに通算1年まで取得可能

 

●家族の介護・看護休暇

●所定外労働の免除

●短時間勤務制度

●休業前情報提供

●休業中の社内情報提供

●復職前確認

●復職前面談

●職場向け説明

●介護サポートサービス(ライフサポート倶楽部)

●キャリア・リターン制度

●ワークライフ・バランスサポート制度

●転勤回避措置

●別居手当

●在宅勤務制度

●家事代行割引サービス

 

子供が2歳になるまで取得できる育児休業と、家族1人が要介護状態になったら通算1年取得できる介護休業は、従業員に「働きやすい」という印象を与えるはずです。

キャリア・リターンは、自己都合退職後の再入社を可能にする制度です。つまり育児や介護で退職せざるを得なかった人が社員として復帰できる道をつくったのです。

これだけサービス・メニューが充実していることから、キリンが、本気で従業員のライフイベントをサポートしていくマインドを持っていることがわかります。

 

 

事業内容~何をして稼いでいる会社なのか

「もはやビールだけの会社ではない」というのであれば、キリンは何をしている会社なのでしょうか。キリンの2022年の事業系統別の売上高は以下のとおり。

 

事業系統売上高(2022年12月期)

単位:億円

シェア連結従業員数

単位:人

シェア
国内ビール・スピリッツ事業6,63533%4,27514%
国内飲料事業2,43312%3,46711%
オセアニア酒類事業2,55913%4,04913%
医薬事業3,97920%5,98220%
その他事業4,28922%11,44637%
全社(共通)1,3194%
19,895100%30,538100%

 

国内ビール・スピリッツ事業の売上高は6,635億円で、全売上高19,895億円の33%を占めます。これだけをみると「ビールのキリンは健在」という印象がありますが、連結従業員数でみると、その他事業を除く事業系統で最も多いのは医薬事業の5,982人で、全従業員の20%を占めます。国内ビール・スピリッツ事業は4,27514%で、キリンが人的資源の多くを医薬事業に振りわけていることがわかります。

 

キリンが医薬事業を重視する戦略を取るのは、もちろん健康事業で社会に貢献していく狙いもあると思いますが、利益率の高さも理由の1つと推測できます。各事業統計の全利益に対するシェアは以下のとおり。

 

事業系統利益シェア

(2022年12月期)

国内ビール・スピリッツ事業33.5%
国内飲料事業10.0%
オセアニア酒類事業12.6%
医薬事業29.0%
その他事業14.9%
100.0%

 

医薬事業の利益シェアは29.0%で、国内ビール・スピリッツ事業の33.5%と遜色ない水準まできています。ここから医薬事業が利益に貢献する効率は、国内ビール・スピリッツ事業のそれより高いことがわかります。

つまり、効率よく利益を上げていくには、国内ビール・スピリッツ事業に投資するより医薬事業に投資したほうがよい、といった経営判断も可能であるということです。

 

参考:セグメント情報(キリン)

 

社風~どのような雰囲気の会社なのか

就職支援のエン・サービスがキリンの社風に関する調査を行っているので、その一部を紹介します。キリンの社員たちは、自分たちの会社のことを次のように思っています。

 

■キリンの社風に関する社員たちの声

  • 若手でも手を挙げればチャレンジしやすい
  • 上司はどの立場の社員の声であっても耳を傾けてくれる
  • 誠実でまじめな人が多い。他人を否定するような人はあまりいない
  • 和気あいあいとしているが、社員に甘いともいえる
  • 古い体制が目立つ

 

若手がチャレンジしやすい、上司が部下の意見に耳を傾ける、他人を否定しない――これらの要素は働きやすさにつながりそうです。

その一方で、社員に甘い、古い体制といったネガティブな意見もみられます。問題や課題は存在するものの、それに気がついている社員がきちんといるところはポジティブにとらえてよいでしょう。

 

キリンの公式サイトにも社員の声が載っているので、そこから社風を推測してみます。

埼玉支店の営業担当者は、「(キリンでは)徹底してお客様の視点に立った提案ができる」と話しています。この営業担当者は、顧客である飲食店から「新しい店を出したいのだが、物件の心当たりはないか」「売り上げを伸ばすには何をしたらいいのか」といった相談を受けることがあります。その相談にのることも、アドバイスすることも、リサーチに動くことも、すぐにはビールの発注増や売上増にはつながるわけではありませんが、この営業担当者は動きます。それはキリンには、社内のリソースを活用して顧客をサポートする習慣が根づいているからです。この営業担当者は、飲食店からドレッシングの相談を受け、当然キリンにはドレッシングのノウハウはないのですが、外部の企業を飲食店に紹介しました。

顧客に尽くす社風が、キリンにはあります。

 

マーチャンダイザーはキリン製品を販売する量販店に対し、新商品を案内したりして発注を促す仕事を担っています。その上位職であるエキスパート・マーチャンダイザーのある契約社員は、15店の量販店を受け持っていて、キリンの社風を「現場からアクションを起こせば会社を変えることができる」ととらえています。この人は、キリンでは、本社が決めた方針であっても、顧客を取り巻く環境や顧客層に合わせて業務内容をアレンジすることが許されている、と指摘しています。

 

参考:

キリンホールディングス株式会社の社風・企業カルチャー・組織体制(エン・ジャパン)

社員インタビュー(キリン)

働くスタッフの声(キリン)



求人情報、募集職種

キリンの新卒採用の特徴はコース別採用であることです。事務系、技術系、デジタルICT3つの系があり、それぞれにコースがあります。就活生はコースを選んで選考を受けることになります。それぞれのコースは以下のとおり。

 

事務系技術系ICT
●営業コース

SCM(需給・物流)コース

●法務コース

●経理コース

●人事コース

●基礎研究コース

●応用研究コース(培養、精製)

●生産・品質保証・技術開発コース

●エンジニアリングコース

●薬事コース

●デジタルICT戦略コース

 

このなかから、営業コース、薬事コース、デジタルICT戦略コースの新卒採用について紹介します。

 

営業コースに応募できるのは大卒以上で、全学部全学科の学生が対象になります。ここで採用されると、酒類・飲料事業の営業、営業企画、得意先の課題解決といった仕事に従事することになります。全国転勤が可能であることと、普通自動車免許の保有が条件にあります。

 

薬事コースに応募できるのは大卒以上かつ薬学部(薬学科)の学生です。つまり薬剤師の免許の取得を予定していることが条件になります。

ここで採用されるとキリングループのヘルスサイエンス事業に配属になり、医薬品原料(原薬)の品質保証や薬事業務に携わります。職場は工場の製造管理者や販売の管理薬剤師。また、英語を使って外国で技術情報や製品情報を登録する仕事もあります。全国転勤可という条件もあります。

 

デジタルICT戦略コースに応募できるのは大卒以上で、全学部全学科が対象になります。ここで採用されると、キリングループの全領域において、デジタルテクノロジーやICT、データを使ってDXを推進する仕事に従事します。つまりキリンのすべての職場にITDXを浸透させていく役割を担います。

 

初任給(月額)はすべてのコースで同じで、学部卒242,000円、修士卒262,000円、博士卒311,000円となっています(2023年実績)。

 

参考:新卒採用募集要項(キリン)



新卒者の選考はこのように進む

新卒者の選考は以下のように進みます。

 

  • マイページに登録する:キリンの採用ホームページでエントリーする
  • 会社説明会に参加する
  • 応募する:エントリーシートを提出し、適性検査を受検する
  • 書類選考
  • 面接:書類選考をパスした人に対して面接を複数回行う
  • 内定

 

エントリーシートでは、大学での研究テーマやキリンの価値観に対する考え、自分の強み、卒業までの目標などを尋ねられるでしょう。これらの設問はキリンの企業研究を進めたり、これまでの大学生活を振り返ったりすることで記述することができます。

適性検査では言語分野の設問と非言語分野の設問が出題されるはずです。言語分野の設問では文章の要旨を正確に把握したり、物事の背後にある複数の要素の関係性の理解などが問われます。非言語分野は数学的思考や論理的思考がチェックされます。



インターンシップの概要

キリンはインターンシップを実施しています。

キリンのインターンシップ・サイトから応募すると、選考を経て参加者が決まります。

インターンシップにはマーケティングコースと基礎研究コースなどがあります。

 

マーケティングコースに応募できるのは、全学部全学科の対象年の学生です。ここでは顧客理解やブランドビジネス、新規事業創造、チームでの取り組みなどを学ぶことができます。

5日間開催されます。

 

基礎研究コースに応募できるのは、生命科学、細胞工学、化学、情報科学、統計学、感性工学、環境科学などの研究開発に携わっている、対象年の学生です。ここではキリンの基礎研究を学ぶことができ、研究職体験やキリンの研究者との交流があります。

3日間開催されます。

 

なお参加者には交通費と宿泊費が支給されます。

 

参考:KIRIN INTERNSHIP/WORKSHOP 2025SUMMER~(キリン)

 

 



キリンが求める人材

 キリンは人材のことを人財と呼び、求める人財像を次のように提示しています。

  • 「熱意・誠意・多様性」を共通の価値観として、リーダーシップを発揮し、成長・発展し続けられる人財

注目したいのは冒頭の3つの単語です。熱意・誠意・多様性とありますが、企業がこのように似た概念の言葉を並べる場合、より重要なものを先に記載します。したがってキリンは就活生の熱意を強く知りたがっていると解釈すべきでしょう。ESや履歴書、採用面接では、自分の熱意をキリンのどの事業に向けたいのか伝えてみてください。

そしてキリンの新卒採用のコンセプトは「自分が未来だ」です。自分の市場価値を自ら高めていける人を求めていることがわかります。またコース別採用を行っていることから「その道のプロ」になることが求められていることがわかります。



同業他社との比較

 

キリンの市場でのポジションを確認するために、同業他社であるサントリーホールディングス株式会社(以下、サントリー)とアサヒグループホールディングス株式会社(以下、アサヒ)と比較してみます。データはいずれも202212月期。

 

会社名売上高(百万円)平均年収(平均年齢)
キリン1,989,4689,426,260円(42.49歳)
サントリー2,970,13811,400,117円(45.0歳)
アサヒ2,511,10812,297,579円(41.3歳)

 

売上高が最も大きいのはサントリーで、3兆円に迫る勢いです。キリンとは約1兆円の差があります。アサヒは両者の中間という位置づけ。

平均年収はアサヒが突出している印象があり、41.3歳で約1,200万円なので、アサヒの社員は、キリンの社員より若くして高い年収を得ることができることがわかります。

サントリーの平均年収も1,000万円を超えていますが、平均年齢も45.0歳と高めなので順当といえそうです。

 

続いて社風を比較してみましょう。サントリーとアサヒの社風もエン・ジャパンの調べによるものです。

 

会社名就職偏差値社風
キリン62若手でも手を挙げればチャレンジしやすい

●上司はどの立場の社員の声であっても耳を傾けてくれる

●和気あいあいとしているが、社員に甘いともいえる

サントリー63●挑戦は自由だが、普段の業務をこなせていないとその限りではない

●体育会系、テンション高め

●オーナー企業の特徴を持っている

アサヒ61●挑戦の機会は多いが、基本的に保守的

●自由闊達、臨機応変な組織変更

●体育会系で人情味ある人が多い

 

3社ともチャレンジ・挑戦がキーワードになっています。またサントリーとアサヒはどちらも体育会系色が指摘されています。

 

就職偏差値は、キリン62、サントリー63、アサヒ61となりましたが、どれも難易度は高いと考えてよいでしょう。

知名度が高い人気企業であることに加えて、年収も高く、会社の雰囲気もよさそうなので、優秀な学生が多数応募するはずです。

この3社を狙っている就活生は、より一層企業研究に力を入れてみてください。

 

就職偏差値や難易度を詳しく知りたい方は、【24卒・25卒最新版】文系・理系・公務員別就職偏差値・難易度ランキングを参考にしてください。

 

 

参考:

有価証券報告書(2022年12月期)(サントリー)

サントリーホールディングス株式会社の社風・企業カルチャー・組織体制

有価証券報告書(2022年12月期)(アサヒ)

アサヒビール株式会社の社風・企業カルチャー・組織体制



採用大学

 

経済誌ダイヤモンドによると、キリンの採用大学は以下のとおり。

慶応義塾大学、同志社大学、京都大学、九州大学、明治大学、立命館大学、関西学院大学、神戸大学、立教大学、関西大学など

西の有名大学が多い印象があります。



ホットニュース

キリン関連のホットニュースとして紹介したいのは、iMUSE(プラズマ乳酸菌)の開発とそのマーケティングです。

キリンはiMUSEを「世界初の免疫の司令塔であるpDCを活性化する乳酸菌」とPRしています。乳酸菌が一部の免疫細胞を活性化させることは知られていますが、iMUSEは免疫の司令塔である免疫細胞を活性化するので、体内にある外敵防御システムをより機能させることができるそうです。

キリンはiMUSEを飲料やヨーグルトに入れて機能性表示食品として販売しているほか、免疫ケアサプリも販売しています。

 

この製品のマーケティングで画期的なのは、ライバル企業にもiMUSEを提供し、これを含む商品をつくってもらっているところです。コカ・コーラは、主力商品であるアクエリアス、ジョージア、いろはすにプラズマ乳酸菌バージョンをつくって販売しています。

そのほかにも、カンロのピュレグミや森永製菓のココア、小岩井乳業のヨーグルトにも、キリンのプラズマ乳酸菌入り商品がラインナップに加わっています。

 

iMUSEという他社との差別化が図れる原材料をあえて他社に提供することで、この原材料の効果の高さを証明できます。なぜなら他社は、iMUSEを高く評価しなければあえてキリンから購入しないからです。

キリンはさらに、原材料を提供するビジネスを展開することもできます。キリンは2021年に、プラズマ乳酸菌の菌体の生産能力を2023年に2倍にすると発表しています。

「健康事業のキリン」のイメージ構築にも貢献していくはずです。

 

参考:

iMUSE(キリン)

おいしくて、毎日つづく。免疫ケアシリーズ(日本コカ・コーラ)

キリンHD、プラズマ乳酸菌の生産能力倍増(日本経済新聞)



まとめ~挑戦して結果を出している

 

キリンといえばビール、キリンビールといえば定番、という時代がありました。ところがビールではNo.1ブランドの座をアサヒのスーパードライに奪われたままで、キリンは打開策をなかなか打ち出せないでいます。

しかしキリンの現在のビジネスにおいて、ビールは主力製品ではあるもののone of themになっています。そしてとうとう医薬事業を軌道にのせて、経営の柱にまで成長させることに成功しました。

挑戦する企業に魅力を感じる就活生は、キリンをターゲットの1つにしてもよいかもしれません。

 

監修者情報

岩本美帆

キャリアアドバイザー リーダー

株式会社ネオキャリアに新卒入社。
法人営業や採用コンサルティング業務を中心に、転職支援業務のプロジェクトにアサイン。 2年後に自己成長と新しい挑戦を求めてナイモノに転職。 現在は入社3年目のキャリアアドバイザーのリーダーとして、 「人の挑戦を言葉で支援することで成長し続ける」をモットーに活躍している。