【業界研究】鉄道業界とは?志望動機・ビジネスモデル・職種・就職偏差値を徹底解説

【業界研究】鉄道業界とは?志望動機・ビジネスモデル・職種・就職偏差値を徹底解説

2023年6月14日更新

はじめに

2020年のコロナウイルスで大きな打撃を受けやすい鉄道業界ですが、近年では鉄道以外の事業に力を入れていることが多いです。自分が想像している鉄道業界とギャップがないように、業界研究をしましょう。

 

鉄道業界に就職しようと考えている人は、志望動機やビジネスモデル、職種などを理解し自己分析と共に就活に活用してください。

 

鉄道業界とは?

鉄道業界は、人や物を運ぶための移動手段として用いられ、鉄道の運営や維持を業務としている企業です。鉄道業界と言えば、鉄道関係をイメージする人が多いと思いますが、実際は鉄道以外にも、不動産、ホテル、レジャーといった事業も行っています。

 

鉄道業界は「JR」、「私鉄」、「第三セクター」の3つに分類できるので、説明します。

 

JR

JRは「JR北海道・東日本・東海・西日本・四国・九州」の6つの旅客鉄道会社と日本貨物鉄道からなる7つのグループで構成された総称を言います。JR北海道とJR四国は民間会社が保有しているのではなく、国が保有しているので「特殊会社」に分類されます。

 

もともとは「日本固有鉄道(国鉄)」として政府が管理する「公社」でした。しかし時代の流れと共に赤字が増加し、経営ができなくなってしまったため、民営化され現在のJRグループが誕生しました。

 

JRの特徴としては、収益の8割以上が鉄道事業であることです。みなさんがイメージしている在来線や新幹線による収益で成り立っています。

 

私鉄

全国展開をしていた国鉄を引き継いだJRと反して、私鉄は地域密着型の私企業のみで運営を行っている鉄道会社です。

 

私鉄の代表例として「東急電鉄」、「東京地下鉄」、「近畿日本鉄道」、「京阪電鉄」、「京阪電鉄」、「西日本鉄道」など多様に存在します。

 

特徴としては、JRと違い収益のほとんどが非鉄道事業です。レジャーや不動産、ホテルなどを活用して集客を狙い、会社の利益増加はもちろんですが、地域社会の貢献にも力を注いでいます。

 

地域密着型の鉄道であることから、地域の特徴にあった事業を展開し、エリアごとに合った経営をするのも特徴のひとつです。中長距離のJRに対し、私鉄は短距離輸送であるため、輸送距離に違いもあります。

 

第三セクター

第三セクターとは、国と民間企業の両方が協力して作られた事業体のことを言います。第三セクターとして活用される多くは「ローカル線」です。

 

地方の鉄道は人口の減少などにより経営が難しくなり、廃線を余儀なくされる場合があります。しかし廃線してしまうと地元住民の方に不便がかかってしまうこと以外にも、街が衰退化してしまう恐れもあるため。第三セクターとして活用されます。

 

第三セクターとしてよく知られているものは、「三陸鉄道」、「渓谷鉄道」、「長良川鉄道」などが有名です。

 

鉄道業界のビジネスモデル

鉄道業界のビジネスモデルとして「運輸事業」、「流通事業」、「不動産事業」の3つに分類されます。それぞれ説明しますので見ていきましょう。

 

運輸事業

鉄道業界のイメージで最も浮かばれやすいのが運輸事業です。通勤・通学、観光や買物など様々な用途で在来線や新幹線などを利用し、その運賃を収入にしています。

 

人を運ぶことはもちろん、貨物輸送も運輸事業のひとつです。鉄道を介して、人やモノを運び、運賃から収入を得ることが鉄道会社の主となるビジネスモデルとなります。

 

運輸事業はさまざまな職種によって成り立っています。表舞台に立っている車掌、駅員、運転士といった現業職や、車両のメンテナンスや保線など裏方作業の多い技術職などです。特に現業職は多く命を預かる職種になるため、厳しい試験に合格しなければいけません。

 

流通事業

流通事業は、自社運営しているコンビニエンスストアや構内に設置された商業施設などがあります。近年では、ショッピングモールや駅ビルなど、多彩な事業に積極的に取り組む会社が増えています。

 

駅ビルやショッピングモールの運営により収益を得ることはもちろんですが、大型商業施設を建設することにより、人を呼び込み、アクセスするために鉄道を利用してもらうのも目的の一つです。

 

不動産事業

鉄道業界が不動産事業を行っているイメージがあまりない人も多いと思います。私鉄である東急電鉄や阪急電鉄は、不動産事業に力を入れている会社です。自社の所有している不動産を貸し出し、家賃を得ること以外に沿線開発をする狙いがあります。

 

鉄道会社が沿線開発に力を入れる理由としては、沿線人口を増やし鉄道の利用者を増やすことです。そのため高級感溢れる住宅やおしゃれなデザインに長けたブランディングができることも特徴です。

 

不動産事業と運輸事業は、深い関係性があるため不動産事業を成功させることにより、運輸事業も自ずと収益が増える確率が高くなります。

 

 

鉄道業界の職種

鉄道業界には様々な職種があるため、今回は運輸事業に関する職種を中心に説明します。運輸事業では、「運輸」、「事務」、「システム・電気」、「機械・車両」の4つに分類できるため、各々見ていきましょう。

運輸

鉄道事業の表舞台で活躍する人たちで、運転士、車掌、駅員など乗客の安全を守り、サービスを提供する業務です。

 

直接人と関わる業務だけでなく、ダイヤの改正や運行の計画、管理など円滑に運輸ができるようにマネジメントする業務も担当しています。

 

命に係わる仕事柄のため責任感のある人や、接客が多いことからコミュニケーション能力が高い人がおすすめです。

事務

一般企業と同じで、総務や財務、人事、広報、など事務作業を行うことが多いです。事業全体を運営していく役割を担い、さまざまな業務を経験することにより管理職になれる場合もあります。

 

多彩な業務内容をこなすため、臨機応変に対応できる人がおすすめです。

システム・電気

鉄道が安全に走行できるように、電気設備や信号などシステムに関する仕事を行います。技術開発やシステムメンテナンスなど専門的な業務が多いので、電気工学や情報システムなどを専攻してきた方におすすめです。

 

機械・車両

車両の設計や開発からメンテナンスといった、機械に関する仕事です。車両が安全に運行できるために、部品間違えなど些細なミスは許されません。専門的な知識を要するため、電気工学や機械工学、宇宙工学などを専攻している人におすすめです。

 

鉄道業界の大手企業紹介

鉄道業界の大手企業について、企業理念や、就職偏差値・難易度を紹介します。私鉄からは「小田急電鉄」と「近鉄グループホールディングス」、JRからは「JR東日本」と「JR西日本」の計4つの主な鉄道会社について記載します。就職偏差値・難易度について、詳しく知りたい方は、以下の記事を読んでみてください。

【24卒・25卒最新版】文系・理系・公務員別就職偏差値・難易度ランキング

 

企業名小田急電鉄
企業理念お客様の「かけがえのない時間」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献します
行動指針私たちは、安全・安心を基本にすべての事業を誠実に推進します

私たちは、前例や慣習にとらわれず、よりよいサービスの追及に挑戦します

私たちは、グループ内に留まらない外部との連携、社会・環境との強制に取り組みます

平均年収697万円
就職偏差値64
就職難易度4.6/5

引用元:小田急電鉄

 

企業名近鉄グループホールディングス
企業理念わたしたちは、誠実な企業活動により、暮らしの安心を支えます。

わたしたちは、果敢な挑戦により、新たな価値を創出します。

わたしたちは、多様な人々との協働により、社会に貢献します。

行動指針グループ各社の事業を通じて、お客様の満足度を高めます

グループ各社の自立と連携により、企業価値の増大を図ります

良き企業市民として地域社会の発展に貢献します

環境保全に真摯に取り組みます

法令を遵守し、高い倫理を保ちます

的確な情報開示を行い、経営の透明性を確保します

人権を尊重し、労使が協調する職場を作ります

反社会的勢力・団体とは一切の関係を持ちません

平均年収640万円
就職偏差値63
就職難易度3.9/5

引用元:近鉄グループホールディングス

 

企業名JR東日本
企業理念私たちは「究極の安全」を第一に行動し、グループ一体でお客さまの信頼に応えます。

技術と情報を中心にネットワークの力を高め、すべての人の心豊かな生活を実現します。

行動指針安全追及、地域密着、グループの発展、自主自立、お客さま志向
平均年収674万円
就職偏差値68
就職難易度3.1/5

引用元:JR東日本

 

企業名JR西日本
企業理念・私たちは、お客様のかけがえのない尊い命をお預かりしている責任を自覚し、安全第一を積み重ね、お客様から安心、信頼していただける鉄道を築き上げます。

・私たちは、鉄道事業を核に、お客様の暮らしをサポートし、将来にわたり持続的な発展を図ることにより、お客様、株主、社員とその家族の期待に応えます。

・私たちは、お客様との出会いを大切にし、お客様の視点で考え、お客様に満足いただける快適なサービスを提供します。

・私たちは、グループ会社とともに、日々の研鑽により技術・技能を高め、常に品質の向上を図ります。

・私たちは、相互に理解を深めるとともに、一人ひとりを尊重し、働きがいと誇りの持てる企業づくりを進めます。

・私たちは、法令の精神に則り、誠実かつ公正に行動するとともに、企業倫理の向上に努めることにより、地域、社会から信頼される企業となることを目指します。

行動指針人、まち、社会のつながりを進化させ、心を動かす。未来を動かす。
平均年収669万円
就職偏差値64
就職難易度3/5

引用元:JR西日本

 

鉄道業界に就職するためには

鉄道業界に就職するためには、「志望動機」や「向いている人の特徴」などを把握しておく必要があります。鉄道業界に受かりやすくなるために、抑えておきたいポイントなのでしっかり見ておきましょう。

 

志望動機

「安全で快適なインフラ整備に貢献したい」、「沿線のまちづくりに魅力を感じた」といった業務内容や企業の経営理念に沿った志望動機が好ましいです。

 

単純な志望動機として、「昔から鉄道が好き」という理由がありますが、これだけでは志望動機としては不十分であるため、面接では印象に残せません。また電車マニアのように車両や車掌の特徴に詳しい人も好印象ではありません。

 

電車マニアの人は、自我が強すぎるため客観的に鉄道について判断することが、難しくなります。知識があって有利かと思われがちですが、意外とあまり知識のない人ほど受かることが多いです。

 

志望動機で重要なことは「自分を採用すればどんなメリットがあるか」を主張することです。仕事に対する熱意も大事ですが、会社に入ってどれだけ戦力になれるか、というほうが重要視されます。

 

会社にどれだけ貢献できるかを主張しましょう。

 

鉄道業界で必要とされる人物像

多様な職種があるため企業が求める人物像を把握し、自分と照らし合わせアピールポイントがないか確かめましょう。鉄道業界で必要なスキルを紹介します。

コミュニケーション能力

職種により求められるスキルが異なりますが、全体を通して必要なことはコミュニケーション能力です。従業員との会話はもちろん、お客さまとのやり取りもあるため、丁寧で親切な対応ができなければいけません。

責任感・正確性

運輸事業は正確な時間にお客様を次の駅まで届けなくてはいけません。そのため、時間にルーズな人や遅刻をする人は、受かる可能性が極端に低くなります。また多くの命を預かることから、責任感の強い人が必要とされています。

 

専門的なスキル

就職する際に、特別必要な資格やスキルは要りませんが、職種によって入社後に必要になります。システムや機械に携わる職種を希望する場合は、理工学や機械工学を専攻している人ほど有利です。

 

技術職に就きたい人は、数字や計算に強くなくてはいけないため、専門学校や理工学部で学んでいる人におすすめです。

 

 

鉄道業界の今後の動向

新型コロナウイルスにより大きな打撃を受けた鉄道業界ですが、「Go To トラベル」や「コロナウイルスの緩和」により少しずつ、回復傾向にあります。

 

2022年を終えて大手私鉄15社が初の「全社黒字」を成し遂げました。コロナウイルスの脅威が終わっても、人口減少など対策を講じる必要がある課題が残っているのが現状です。

 

運輸事業に重きを置いているJRは、不動産事業や流通事業など新たに事業拡大を図る必要があります。新規導入の心配のない業界ですが、油断のできない状態がまだ続きそうです。

 

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