有効求人倍率って何?言葉の意味と求職者にとっての影響を解説

有効求人倍率って何?言葉の意味と求職者にとっての影響を解説

2023年4月16日更新

「有効求人倍率」という言葉は聞いたことがあるものの、詳しい意味を知らない人もいるのではないでしょうか。

 

この記事では

 

  • 有効求人倍率の言葉の意味
  • 地域や業種による有効求人倍率の違い
  • 有効求人倍率を踏まえた就活の方法

 

以上の3点について詳しく解説します。

有効求人倍率とは何か

有効求人倍率とは、求人広告の数と失業者数の比率によって算出される、労働市場の需給バランスを表す指標となる数字です。

有効求人倍率の基本的な事柄について紹介します。

有効求人倍率の算出方法

有効求人倍率は、企業がハローワークにエントリーする仕事の数(有効求人数)÷働きたい人の数(有効求職者数)で算出されます。

 

求職者が希望する職種や地域ごとに求人数と求職者数が異なるため、有効求人倍率も職種や地域ごとに異なります。

たとえば、都市部においては、IT関連の求人が多く、有効求人倍率が高い傾向にあります。

有効求人倍率の数字の見方

有効求人倍率の数字の見方を知っておくことで、現在どのような労働市場状況なのか把握することができ、就活を有利に進めていけます。

 

有効求人倍率が1.0以上であれば、求職者数に対して求人数が多い状況です。

つまり、求職者にとっては比較的就職しやすい状況であることがわかります。

一方、有効求人倍率が1.0未満であれば、求職者数に対して求人数が少ない状況なので、求職者にとっては、求職活動が困難になる可能性が高いといえます。

また、有効求人倍率の数字が低いほど一つの求人に対する競争率が高くなるため、求職者にとってはより厳しい求職活動になると予想されます。

有効求人倍率が示す経済状況

有効求人倍率は、数字が高ければ求人数が多く、低ければ求職者数の方が多い状況を表します。

このため、有効求人倍率が高い場合は景気が良いとされ、低い場合は景気が悪いと考えられるでしょう。

しかし、注意が必要なのは有効求人倍率と失業率は異なる指標であることです。

有効求人倍率が高いからといって、必ずしも失業率が低いとは限らないため、経済状況を判断する際には両方の数字を見る必要があります。

 

新規求人倍率との違い

新規求人倍率と有効求人倍率は、どちらも求職者1人あたりの求人数を示す指標ですが、算出期間が異なる点が大きな違いです。

新規求人倍率は、当月のみの求人数と求職者数から算出されるため、より直近の景気や雇用状況を把握できます。

一方、有効求人倍率は、有効期限内(2か月間)の求人数と求職者数から算出されます。

新規求人倍率と有効求人倍率の両方を見ることで、より詳細な労働市場の動向を把握することができるでしょう。

有効求人倍率が伸びる背景

有効求人倍率が伸びる背景には、様々な要因があります。

まず、景気の状況が好転し、企業が積極的に新たな人材を募集することで求人数が増えることがあります。

また、労働人口が減少したことで有効求人倍率が上昇することもあります。

景気動向による影響

有効求人倍率が伸びる背景の一つに、景気動向による影響が挙げられます。

景気が上向くと、企業の業績が向上し、需要が増えることで求人数が増加する傾向があります。

一方、景気後退時には企業の業績が悪化し、需要が低下することで求人数が減少することが多いです。

 

そのため、有効求人倍率が伸びる場合は、景気の好調が背景にあることが多いといえます。ただし、景気が上向いても、個々の企業や業界によっては求人数が増えない場合があるため、有効求人倍率だけを見て景気の良し悪しは判断できません。

 

労働人口の変化による影響

労働人口の変化は、有効求人倍率に重要な影響を与えます。

労働人口が増えると、求職者数が増加し、有効求人倍率が低下する可能性があるからです。

 

一方、労働人口が減少すると、求職者数が減少し、有効求人倍率が上昇する可能性があります。また、少子高齢化が進むと、労働人口の減少が進み、有効求人倍率の上昇につながると考えられます。

 

産業構造の変化による影響

産業構造の変化は、有効求人倍率にも影響を与えます。

新しい産業が出現すると、それに関連する求人数が増えるため、有効求人倍率が上がることがあります。

例えば、近年ではITやデジタル分野が急速に発展し、新しい職種や業界が生まれ、それに伴い求人数が増加しています。

既存産業の変化も有効求人倍率に影響を与えます。

しかし、産業構造の変化が有効求人倍率に必ずしもプラスの影響を与えるわけではありません。

例えば、海外に生産拠点を移転するなど、産業が海外に移行することにより求人数が減少することもあります。

有効求人倍率が高い職種・地域

有効求人倍率は職種や地域ごとに異なるため就活の際は注意が必要です。

職種や地域による違いを詳しく解説します。

 

有効求人倍率が高い職種

2022年1月の数字によると建築・土木・測量技術者の有効求人倍率は「6.63」でした。

建設業界が活況を呈しており、土木や建築技術者の需要が高まっているためと考えられます。

介護サービスの有効求人倍率は「3.15」倍となっています。

高齢化が進む中、介護職員不足が深刻化しているため、需要が増加しているということが背景にあります。

また、輸送・機械運転に関する職種も人手不足が問題視されており、有効求人倍率は「2.00」倍となっています。

物流業界の成長に伴い、需要が増加していると考えられます。

これらの職種は、将来的にも需要が高まることが予想される分野であるため、就職希望者にとっては注目すべき職種だといえます。

 

有効求人倍率が高い地域

有効求人倍率が高い地域について紹介します。

2022年1月の数字によると、福井県が1.83倍、島根県が1.6倍、東京都が1.26倍となっています。

 

これらの地域は、それぞれの産業や経済構造によって有効求人倍率が高くなっています。

例えば、福井県は製造業が盛んで、特に電子部品・デバイス、化学工業、 繊維工業の出荷額が多くなっています。

一方、島根県は農林業や漁業が主要産業であり、観光業も盛んです。

東京都は、大手企業や金融機関などが多く、多様な業種が集積しています。

これらの地域では、求人が多いので、就活の際にはチェックしておくと良いでしょう。

有効求人倍率が低い職種・地域

続いて有効求人倍率が低い職種・地域について詳しく解説します。

有効求人倍率が低い職種

有効求人倍率が低い職種には、一般事務、美術家やデザイナー、事務用機器操作などが挙げられます。

2019年11月の数字によると、一般事務の有効求人倍率は0.36倍、美術家やデザイナー等の有効求人倍率は0.39倍、事務用機器操作の有効求人倍率は0.49倍でした。

 

これらの職種は、技術や知識が必要なものの、すでに熟練している人材が多く、求人が少ない傾向があります。

特に事務職は男女問わず職を求める人が多く、採用されるのが難しい職種の一つです。

有効求人倍率が低い地域

有効求人倍率が低い地域について見てみましょう。

2022年1月のデータによると、神奈川県が0.77倍、沖縄県が0.78倍、千葉県が0.85倍となっています。

 

これらの地域の有効求人倍率が低い原因としては、地域内の産業構造や人口構成が関係していると考えられます。

例えば、神奈川県や千葉県は、多くの企業が集積しており、求人数も多い反面、求職者の数も多いため、バランスが取れない状況が続いている可能性があると思われます。

有効求人倍率を考慮した就活の方法

有効求人倍率は就活の際に参考となる数字ですが、単純に低いから厳しいと決めつけてはいけません。

ここでは、有効求人倍率と上手く付き合う方法を解説します。

 

有効求人倍率を調べる方法

有効求人倍率を知ることは、転職活動やキャリアアップのためには非常に重要です。

以下では、有効求人倍率を調べる方法について解説します。

 

まずは、厚生労働省や公共職業安定所が公開している統計データを確認する方法があります。

これらのデータから、全国や地域別の有効求人倍率を確認することができます。

また、各種求人情報サイトでも有効求人倍率を確認することが可能です。

例えば、マイナビやリクナビなどの有名求人情報サイトの中に有効求人倍率が掲載されていることがあります。

さらに、人材紹介会社に相談する方法もあります。

人材紹介会社には、企業の求人ニーズに詳しい担当者がおり、有効求人倍率の高い業界や職種について詳細を教えてくれるでしょう。

 

有効求人倍率から読み取る市場のニーズ

有効求人倍率は、企業が求人募集をしているものの、応募者が少ないため未だ埋まっていない求人数と、実際にその職種・地域で働いている人数の比率を表します。

 

そのため、有効求人倍率が高い職種・地域は、その業界や地域で需要が高まっていることを示しているといえるでしょう。

一方、求人倍率が高い職種・地域には、将来性の高い仕事やキャリアアップの可能性がある職種が多く含まれています。

有効求人倍率を理解することで、就職活動において、需要が高まっている職種や地域を把握できるでしょう。

 

有効求人倍率の数字だけでは採用の難易度は分からない

有効求人倍率は、一定期間内に募集された求人数と求職者数の比率を示す統計データですが、採用の難易度を正確に把握するためには、他の要素も考慮しなければいけません。

例えば、企業の採用方針や選考基準は、有効求人倍率だけでは分からない採用基準に影響します。

 

また、業種や地域の需要・供給状況も重要であり、求人倍率が低くても、採用の難易度が高い企業もあります。

そのため、有効求人倍率は一つの指標であり、企業の採用方針や業界動向、求職者のスキルや志向性など様々な要素を考慮することが大切です。

 

有効求人倍率を参考にした就職活動の進め方

有効求人倍率を参考にした上で就職活動の進め方について考えましょう。

有効求人倍率が高い職種や地域を中心に就職活動を進めることが有効ですが、それと同じくらいに自分自身の能力や適性を考慮することも大切です。

 

自己分析やキャリアカウンセリングを受けることで、自分自身に適した就職活動の進め方を見つけることができます。

自分自身の適性や希望を踏まえ、有効求人倍率を参考にしながら就職活動を進めることが大切です。

有効求人倍率の数字だけにとらわれず、自分に合った働き方を探す方法

現代は様々な働き方があり、会社員ではなくフリーランスなど色々な形態で働く人が増加しています。

自分に合った働き方を見つける方法を紹介します。

 

自分の希望に合った働き方を探す

有効求人倍率の数字だけにとらわれず、自分に合った働き方を探すことが重要です。

自分の性格やライフスタイルに合った働き方を選ぶことで、仕事に対するモチベーションが高まり、生産性が向上します。

 

転職エージェントや求人情報サイトを利用することで、自分に合った求人情報を収集することができます。

また、企業の研究や自己分析を行うことで、自分に向いている職種や企業を見つけることができるでしょう。

自分が将来どのような働き方を望むのか、自分の能力や適性は何かを見つめ直し、自分に合った働き方を見つけてください。

 

フリーランスとしての働き方を選択する

フリーランスとして働くという方法が合っている人もいるでしょう。

フリーランスになるメリットは、自分で仕事を選ぶことができる、時間や場所に縛られない自由な働き方ができる、スキルアップの機会が多いことなどです。

 

一方で、不安定な収入や社会保障の面で不利になることがあるため、注意しましょう。

フリーランスになるためには、必要なスキルを習得することが重要です。

また、フリーランスとして働くための情報収集方法も大切です。

フリーランス専門の求人サイトやコミュニティ、SNSなどを利用して、情報を収集しましょう。

有効求人倍率を理解して就職活動を有利に進めよう

有効求人倍率は、就職活動において重要な指標の一つですが、必ずしも数字だけで判断することはできません。

有効求人倍率が高い職種や地域に注目することは大切ですが、自分自身の能力や適性に合った職種や企業を見つけることも同じくらい重要だといえます。

 

また、自己分析やキャリアカウンセリングを受けることで、自分に適した就職活動の進め方を見つけることができるでしょう。

有効求人倍率を参考にしながらも、自分の希望に合った働き方を見つけることが就職活動を有利に進めるためのポイントとなります。

 

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