
「フレキシブルタイム」とは?フレックスとの違いも解説!
2023年4月15日更新
はじめに
就活を進めていくと、企業ごとに働き方が異なることが見えてくるのではないでしょうか。
似たような雰囲気の企業でも、働き方に関する感覚は異なることも多く、驚く人は多いかもしれません。
そのように色々な働き方に触れる中で、「フレキシブルタイム」という言葉を耳にしたことはありませんか?
「フレキシブルタイムってそもそも何?」
「よく聞くフレックスとは何が違うんだろう?」
耳慣れない言葉のため、たくさんの疑問が生じているかもしれません。
そこで本記事では、そもそも「フレキシブルタイム」とは何か、また「フレックスタイム制」とはどのような関係があるのかなどを詳しくご紹介します。
「フレキシブルタイム」について理解を深めたい人は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
フレキシブルタイムとは?
フレキシブルタイムとは、フレックスタイム制の中で用いられる時間帯のことです。
フレックスタイム制の中で、始業や終業を自由に選べる時間をフレキシブルタイムと呼んでいます。
フレックスタイム制の細かなルールによって、フレキシブルタイムがない場合もありますが、一般的にフレックスタイム制と呼ばれる制度の中ではフレキシブルタイムが設けられています。
フレキシブルタイムとフレックスタイム制の関係性
ではここで、フレキシブルタイムとフレックスタイム制の関係を見ていきましょう。
まず、フレックスタイム制とは、一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が⽇々の始業・終業時刻、労働時間を⾃ら決めることのできる制度です。
(参照:厚⽣労働省・都道府県労働局・労働基準監督署 働き方改革関連法解説(労働基準法/フレックスタイム制の改正関係 https://www.mhlw.go.jp/content/000476042.pdf)
「勤務時間は全て自由に決められるのでは?」と思う人がいるかもしれませんが、それは誤りです。
フレックスタイム制は多くの場合、コアタイムと呼ばれる必ず勤務しなければならない時間帯が設けられています。コアタイムを除き、労働者が自由に働くことができる時間をフレキシブルタイムと呼んでおり、言い換えれば実際にフレックスタイム制が適用されている時間だと言うことができるでしょう。
フレックスタイム制には、スーパーフレックス制と呼ばれる、コアタイム・フレキシブルタイムの概念がない制度もあります。
しかし実際のところ、日本企業の多くで導入されている「フレックスタイム制」は、完全に勤務時間が自由にならないことがほとんどなのです。
フレキシブルタイムが導入される理由
では、なぜフレックスタイム制にはフレキシブルタイムが設けられているのでしょうか。
フレキシブルタイムが導入される理由を3点程ご紹介します。
①勤務時間を自由に選択できるようにするため
フレキシブルタイムがあることで、労働者は自由に勤務時間を調整することができます。
一般的にフレキシブルタイムは、始業時・終業時のそれぞれに設けられており、日中のコアタイムとして設定された数時間を除き、勤務時間を自由に調整できます。
フレキシブルタイム内であれば、始業時間を極力遅くしたり、終業時間を他の人より早めることも可能です。
ただし、1ヵ月の総労働時間が基準を満たすように、業務を自らがコントロールする必要があることを理解しておきましょう。
②MTGなどに支障が出ないようにするため
フレキシブルタイムが設定されているということは、コアタイムも設定されています。
フレックスタイム制において、なぜこのように時間が分けられているかというと、部署やチーム、顧客とのコミュニケーションを円滑に行えるようにすることを目的としているのです。
スーパーフレックスタイム制のように、あらゆる勤務時間を選択できる場合、労働者にとっては自由度が高くメリットが大きいかもしれません。
しかし、メンバーを集めて開催するMTGなどの時間コントロールが難しくなり、結果的にコミュニケーションに不都合が生じる可能性があります。
このような可能性を回避するために、必ず業務をしなければならないコアタイム、そして自由に勤務時間を選択できるフレキシブルタイムと分けることで、勤務時間の自由を保証しながら組織としての動きが維持できるように工夫しているのです。
働き方の違い
ここまで、フレキシブルタイムについて詳しくご紹介してきました。
では、フレキシブルタイムのあり・なしによってどのように働き方が変わるのでしょうか。
具体例とともに違いを見ていきましょう。
フレックスタイム制を導入していない場合
フレックスタイム制ではない企業の場合、フレキシブルタイムという概念はないことから、全ての従業員が同じ時間に始業することが求められます。
終業時間も明確に定められており、終業時間以降の勤務は残業として扱われます。
全員が同じ時間帯で勤務をしているため、コミュニケーションに掛かる負荷や気遣いを最小限にすることが可能です。
このような勤務形態の場合、1日の勤務時間は7.5時間から8時間であることが一般的です。
決められた時間は勤務に集中することが求められるため、休憩時間も12時から13時などに固定されている場合がほとんどでしょう。
勤務時間が決められていると、毎日の生活リズムを一定に保つことができるというメリットがあります。新入社員の場合は、決められた時間で働く方が社会人としてのリズムを早く掴めるかもしれません。
また、管理者となる上司の手間は最小限にすることができます。
基本的には部下が全員同じ時間帯で働いているため、必要以上に労働時間をコントロールする必要がないのです。
スーパーフレックスタイム制の場合
スーパーフレックスタイム制の場合、勤務時間の全てがフレキシブルタイムだと言い換えることができます。そのため、自分が働きたいと思う時間に働く自由があります。
言い換えると、コアタイムという概念がないため、人によって働く時間が全く異なることが想定されます。1日の勤務時間を最低限に抑える日と長時間働く日をつくってバランスを取る人や、フレックスタイム制には見えないような一定の勤務時間で毎日働く人もいるでしょう。
そのため、「全員を同じ時間に集めて会議をする」ことが難しくなる可能性があります。
全員が働いている時間が揃うように、コミュニケーションの負荷が高くなる可能性があることを理解しておきましょう。
また、管理者となる上司は部下の勤務時間をコントロールしにくいため、人によって細かな業務報告を求める場合があります。自由に責任は付き物であることを理解し、どのような制度が自分に向いているのかを見極めることが大切です。
フレキシブルタイムを導入している企業の特徴
では、フレキシブルタイムを導入している企業にはどのような特徴があるのでしょうか。
ポイントとなる点を3点ご紹介します。
①柔軟な姿勢で働き方を変化させている
フレキシブルタイムがある、すなわちフレックスタイム制を導入している企業は、働き方に対して柔軟である場合が多いです。
企業として従業員が働きやすい環境を真剣に考え、良さそうな制度は積極的に制度化しているなどの特徴があります。
「そんな姿勢は、どうやって判断するの?」と思うかもしれませんが、企業説明や募集要項を確認してみるのがおすすめです。
働き方に関する制度に留まらず、福利厚生や各種手当などが充実している企業の場合、フレキシブルタイムを取り入れている場合が多いでしょう。
②リモートワークがしやすい
積極的にリモートワークを行っている企業も、フレキシブルタイムを導入している可能性が高いと言えます。
フレキシブルタイムは、出社が多い企業では通勤ラッシュを避けるなどのメリットがあるものの、リモートワークと掛け合わせることでより勤務時間の自由が広がります。
リモートワークではいつもより長めに家事をしてから勤務を開始するなど、多様な働き方が可能となります。
したがって、リモートワークを行っている企業はフレキシブルタイムを導入している可能性が高いでしょう。
ただし、近年では新型コロナウイルス感染症の影響を受け、リモートワークだけはあらゆる企業で導入されたという実態もあります。リモートワークの有無だけに捉われず、本当にフレキシブルタイムが導入されているかはきちんと確認しましょう。
管理職とメンバーの信頼関係がある
従業員側にはメリットが大きいフレキシブルタイムですが、勤務時間を管理する管理者にとっては、部下を管理する負担が大きくなります。
また、リモートワークと併用する場合は特に、勤務の様子を全て見ることができないため、管理職とメンバーの間に一定の信頼関係が求められます。
「勤務中ずっと目を光らせていなくても、しっかり働いてくれている」
「自分で時間をコントロールして、きちんとした成果物を出してくれる」
このような安心感がなければ、フレックスタイム制は機能しません。
管理職とメンバーの関係性がフラットであったり、成果にこだわって評価をしている企業の場合、フレックスタイム制を導入している可能性が高いと言えます。
よくある質問
では最後に、フレキシブルタイムについてよくある質問を見ていきましょう。
フレキシブルタイムは企業によって異なる?
フレキシブルタイムと一言に言っても、企業によって設定されている時間は異なります。
例を見てみましょう。
・A社の場合
フレキシブルタイム:7:00~10:00、15:00~20:00
コアタイム:10:00~15:00
・B社の場合
フレキシブルタイム:7:00~11:00、14:00~20:00
コアタイム:11:00~14:00
A社とB社では、フレキシブルタイムとして設定されている時間の幅が大きく異なることが分かります。
この時間設定は、企業規模や特定の職種に就く人の数などによって異なります。
エンジニアなど、夜分にかけて業務が必要になることが多い企業の場合、遅めの始業時間を許可していたり、コアタイムが短いなどの傾向があります。
「コアタイムは長い方が良いの?」と思う人がいるかもしれませんが、コアタイム周辺の時間は働いている人が多いため、実際の勤務時間にはそこまで影響しない場合がほとんどです。
重要な点はコアタイムやフレキシブルタイムの有無だと捉え、制度を判断するのが良いでしょう。
新入社員でもフレキシブルタイムを駆使できる?
制度としてフレキシブルタイムが存在していても、入社直後の新入社員が120%活用するのはハードルが高いと言えるのではないでしょうか。
先にもお伝えしたように、フレックスタイム制は企業と従業員、さらには上司と部下の間に信頼関係があるからこそ成り立つ制度です。新入社員は仕事を任せてもらうといった立場になく、信頼関係は徐々に築いていくものだと言えます。
そのため、入社直後にフレックスタイム制を駆使することを考えるのではなく、「自分の業務はどれだけ時間があれば終えられるのか」「求められた成果に対して適切なものになっているか」という基準で勤務時間を判断するのが良いでしょう。
業務に慣れてくると、「自分が心地よい勤務時間」を理解できるようになるはずです。
焦らず、まずは成果を出すことに重点を置いて社会人生活をスタートしましょう。
働き方を起点に会社選びを行ってみては?
いかがでしたか?
本記事では、そもそも「フレキシブルタイム」とは何か、また「フレックスタイム制」とはどのような関係があるのかなどを詳しくご紹介してきました。
フレキシブルタイムが導入されている企業は、働き方に対して自由度が高いことをご理解いただけたのではないでしょうか。
企業を選ぶ際、もちろん働き方だけで決めることはできません。
しかし、自身が働きやすいイメージを元に理想の企業を選んでみるのも良いかもしれません。
フレキシブルタイムは働きやすい理由の一つにしかなりませんが、会社選びの一要素にしていただけると嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。