物流業界ランキングTOP10|企業の詳細をご紹介
2023年3月20日更新
はじめに
みなさんは物流業界を詳しく知っているでしょうか。
物流業界は経済を支えるうえでも重要な役割を担っている業界です。
具体的な業務として、倉庫または配達センターへの荷物運搬や宅配以外に、商品の整理・検品作業などといった出荷にともなう準備全般が挙げられます。
陸運と海運の事業を行っており、前者では顧客や地域によって国内外法人向け、国内個人に向けられたサービスを行い、後者では船舶を活用して旅客や貨物を運ぶサービスを行っています。
物流業界というと単に商品の運搬と考える方がいると思いますが、幅広い業務を行っていることが分かりますね。
幅広く、経済において重要な役割を担っている物流業界ですが、市場規模はどれくらいか、ご存じでしょうか。
物流業界の市場規模は、約120兆円であり、市場調査会社の調査によると2016年から2021年見込みまでの市場規模を分析したところ、毎年上がり下がりはしていますが、年平均成長率は+0.5%程度とされています。
さらに、同業界では「2024年問題」というものが最近注目されています。
「2024年問題」とは、働き方改革によりドライバーの年間時間外労働の上限が960時間に制限されることで発生する問題のことを指します。
「2024年問題」が近年取り上げられている要因は、少子高齢や同業界の若手不足が顕著になっている状況下で、EC市場の急成長によって物流の需要が増加して同業界では労働者の長時間労働が常態化していることでしょう。
では、そのような物流業界のランキング、そしてその企業について一緒に見ていきましょう。
●物流業界のランキング
物流業界とは、何なのか、市場動向を確認したところでみなさんが気になっていると思われる物流業界のランキングも下記の表を参考に把握しておきましょう。
今回は、物流業界の売上ランキングと平均年収ランキングの2観点に着目して紹介していきます。
売上ランキング
順位 | 企業名 | 売上高 |
1 | 日本郵船 | 2兆1,832億円 |
2 | 日本通運 | 1兆9,953億円 |
3 | ヤマトホールディングス | 1兆5,388億円 |
4 | SGホールディングス | 1兆450億円 |
5 | アルプスアルパイン | 8,583億円 |
6 | 日立物流 | 7,003億円 |
7 | 日本水産 | 6,830億円 |
8 | セイノーホールディングス | 5,691億円 |
9 | ニチレイ | 5,680億円 |
10 | 山丸 | 5,319億円 |
平均年収ランキング
順位 | 企業名 | 平均年収 |
1 | 日本郵船 | 1,082万円 |
2 | ヤマトホールディングス | 1,018万円 |
3 | 阪急阪神ホールディングス | 819万円 |
4 | 日立物流 | 818万円 |
5 | 近鉄エクスプレス | 810万円 |
6 | 日本郵政 | 798万円 |
7 | カンダホールディングス | 739万円 |
8 | SGホールディングス | 728万円 |
9 | セイノーホールディングス | 720万円 |
10 | センコーグループホールディングス | 705万円 |
物流業界の売上と平均年収をランキングでまとめました。
物流業界に興味を持っている方あるいは物流業界に就職をしたいと考えている方などにとって、上記の表が指標になるのではないでしょうか。
企業の売り上げを重視する方、平均収入を重視する方はそれぞれいるでしょう。
どちらの考え方が正解・不正解とはありません。あなた自身の考え方を尊重して就職活動に臨みましょう。
資金重視でお金を確保することでやりたいことができるという考え方ある一方で、売上高が高い企業は業界で活躍していると解釈できるため、物流業界において詳しい知識やノウハウを身に付けられるという考え方もあるからです。
それぞれのランキングを確認したところで、それぞれの企業がどのような特徴があるのかについても確認しておきましょう。
物流業界という大きな枠だけでなく、具体的に気になる企業が見つかるかもしれませんね。
●企業紹介
①日本郵船
日本郵船は、国際的な海上運送業を中心とした総合物流事業、客船事業などを主に運営しており、表を確認すると分かるように物流業界において、売上ランキングと平均年収が共にトップです。
そのほかにも、航空運送事業、不動産事業なども展開しています。
貨物船の中では最速であり、電気製品や衣類といった生活雑貨から危険品までの多岐にわたる貨物を国際規格のコンテナに収容して運搬しています。
強みは日系荷主からの信頼と実績がある点であり、弱みは強みの裏返しで顧客が日経企業中心であるために日系の輸送需要が縮小した場合に売り上げが落ちてしまう可能性がある点です。
②日本通運
日本通運は、国内トップクラスの物流企業であり、トラック運送を中心に事業をし、売上ランキングでは2位です。
自動車運送、鉄道利用運用から海上輸送、利用航空輸送まで幅広いジャンルの事業を展開しています。
物流以外にも、倉庫、旅行、情報処理・解析などの物流事業の全般を担っています。
さらに、国債輸送にも手掛けています。
幅広い事業プランから、陸、海、空の全てのモードを自由に組み合わせて適切なロジスティックスを実現し、あらゆる輸送を活用して顧客のニーズを満たすことが強みと言えるでしょう。
同社のロジスティックスを活用したビジネスで、海外対象にもより活躍する機会が期待できるかもしれませんね。
③ヤマトホールディングス
ヤマトホールディングスは、シンボルとも言えるクロネコが有名で、知っている方が多いのではないでしょうか。
同社は、日本初である路線物流事業や個人間荷物から始まり取り寄せ、通販、企業間荷物までに広がった宅急便の開発など、時代の最先端ニーズに応えるイノベーションを創出してきており、売上ランキングでは3位です。
宅急便サービス国内シェアでは42%で第1位に輝き、国内宅急便ネットワークカバー率は100%、宅急便の年間取り扱い量は約21億個、クロネコメンバーズ会員数は5,000万人超、ヤマトビジネスメンバーズ会員数は約130万社という実績があります。
また、同社は法人部門とリテール部門に分かれており、より顧客のニーズに適したサービスをできるような組織作りを行っています。
「全員経営」を掲げ、その企業風土が強みとされている一方で、デリバリー事業度の依存度が高い傾向があり、それ以外の事業があまり長けていない点が弱みとして挙げられるでしょう。
④SGホールディングス
SGホールディングスは、佐川急便グループの純粋持株会社で、佐川急便の飛脚宅配便を中心に、大型家具や家電などの組み立て、設置などの輸送に関係する様々なサービスを展開しており、売上ランキングでは4位です。
デリバリー事業以外にも、ロジスティクス事業や不動産事業を展開しています。
ロジスティクス事業では、流通加工サービス、物流センター・倉庫運営などを一括で請け負う3PLを提供しています。倉庫と佐川急便の営業所を一体化した佐川流通センターによって、リードタイムの短縮を実現させています。
さらに、SDGsにも取り組んでおり、脱炭素ビジョンを掲げています。
ヤマトホールディングスに次ぐ、宅配ではNo.2のポジションで利益の見込みがあることが強みである一方、海外相手に強くないことが弱みとして挙げられるでしょう。
⑤アルプスアルパイン
アルプスアルパインは、家電・モバイル・ゲームなどを多くの市場で顧客に応える製品とサービスを提供し、産業機械やIoTをはじめとし、新たな領域へビジネス展開しており、売上ランキングでは第5位です。
同社は、IoTデバイスである「物流トラッカー」の小型タイプのラインナップを追加し、量産対応を開始しています。
さらに、ASEANソリューション、中国ソリューション、北米・欧米ソリューション、インドソリューション、韓国ソリューションといった海外にも拠点を展開しています。
ASEAN域内の主要都市やその周辺に同社の拠点を構えることで、顧客の多様なニーズに柔軟で幅広く応えられるようにしています。
⑥日立物流
日立物流は、倉庫管理・輸送のみならず、小売業・製造業に不可欠な物流システム全体を構築し、運営を請け負う事業を主に行っており、売上ランキングでは第6位になっています。
同社は法人向け物流サービスに特化しています。
最大の強みとして、システム物流事業にて、資材調達から生産、販売、そしてリサイクルに至る一連の物流に関して様々な業界の物流を支援していることが挙げられるでしょう。
支援する事業については、日本におけるパイオニアとも言われています。
もう1つの強みとしては、サプライチェーン全般にわたり、高度な技術と次代を見据えた物流システムをワンストップで届けられることです。
さらに、専門輸送では、貴重品・ブランド、生産・精密設備機器、情報・通信機器などの様々な業界におけるニーズに対応しています。
⑦日本水産
日本水産は、①水産事業、②商品事業、③ファインケミカル事業、④物流事業の4つを柱の事業としており、物流業界の売上ランキングでは第4位です。
物量事業に関しては、全国に冷凍・冷蔵保管倉庫を保有しており、通関から保管輸送まで低温一貫物流サービスを行っています。
-50℃の超低温から冷蔵そして冷凍に加えて、常温までの幅広い温度に対応した日水物流の全国17カ所の物流センターを核として構成されています。
この低温一貫物流サービスを提供によって、食品流通の高度化または多様化に対応しています。
また、大阪港に「大阪舞洲物流センター」を開設したことで、冷蔵物流インフラを強化しました。
⑧セイノーホールディングス
セイノーホールディングスは、輸送事業、自動車販売事業、物販販売事業、不動産賃貸事業を主な事業としている純粋持株会社であり、物流業界における売上ランキングでは第8位です。
輸送事業は、小口商業貨物を主力として、宅配や引越、貸し切りなどの運送を行う貨物自動車運送事業や、航空・鉄道・会場などの各種交通機関を活用して貨物の運送を行う貨物利用運送事業や、貨物運送による付帯業務として倉庫業、航空運送代理店、損害保険代理店や、その他にも国際相互輸送および通関業といった幅の広い業務を行っています。
多種多様の業務を行っている中でも、陸運業でB to B物流の企業間物流の業界最大手を中核としています。
⑨ニチレイ
ニチレイは、加工食品事業と低温物流事業を中心に、畜産事業・水産事業、バイオサイエンス事業、不動産事業など幅の広い事業を展開し、物流事業の売上ランキングでは第9位です。
「売上高と構成比率」と「営業利益と構成比率」を見てみると、加工食品事業と低温物流事業の割合が多く、それらの事業が同社にとって強みの事業であると考えられます。
低温物流事業では、全国に物流拠点や輸配送ネットワークを網羅し、商品の預かりからお届けまで一貫した物流品質で低温物流サービスを提供しています。
物流品質の維持、それのみならず向上するために、温度管理の徹底以外に庫内業務で使用するフォークリフトの運転技術向上や、輸配送ドライバーの教育にも徹底しています。
顧客から預かった商品は最適な状態で保管するため、冷蔵倉庫内の温度はすべて自動管理されており、輸送する際にもリアカーテンをするなどして最適な温度を保ち続けています。
また、同社はグリーン経営承認取得やモーダルシフトの推進、車載システムの導入、安全運転講習やエコドライブの推進などを通して、環境負荷の低減かつ安全の向上を目指しています。
⑩山丸
山丸は、大手船舶を相手に船舶貸渡業で発展してきた海運業者であり、物流業界の売上ランキングでは第10位になっています。
工務部門では、自社保有船舶の保守管理や新造船建造の企画から竣工にわたる業務や新造・修繕ドックの監督業務から価格交渉にわたる業務を行い、国内のみならず海外でも活躍をしています。
船舶が安全に目的地へ到着するように、あらゆる面からサポート体制を構築し、船舶の安全運航と海難事故防止を目的とした「国際安全コード」を早い段階から取り入れ、安全面に対する高い意識を持った船舶管理会社として知られています。
●おわりに
いかがでしたでしょうか。
これまで、物流業界とは何なのか、同業界の動向を確認したのちに売上ランキングと平均年収を見て、それぞれの企業の特徴を紹介してきました。
物流業界には想像以上に多くの事業があったことが分かりましたね。
自動車を活用するものもあれば、船や飛行機、鉄道を活用するものもありました。
また、国内を市場としている場合や国外を対象としている場合もありました。
このように、物流業界に属している企業は、各々の企業のビジネスプランに適した物流事業を展開していることが明らかだったと思います。
インターネットの普及に伴って、従来の”B to C”から、それと”C to C”のビジネスがこれからも増えていくことでしょう。
これにより、物流業界にもより動きが生まれ、注目される業界にもなるかもしれませんね。
物流業界に興味ある方でしたら、対象としている業界のランキング・動向と企業の特徴は把握しておきましょう。
そうすることで、より関心を持てることがあるかもしれないからです。
本記事を参考にしていただけたら幸いです。