クレペリン検査って何?受検前に知っておきたいポイントとは?

クレペリン検査って何?受検前に知っておきたいポイントとは?

2023年1月24日更新

はじめに

就活を進めていくと、SPIなどに代表される適性検査を受検する機会が増えてきます。

 

そんな中で、クレペリン検査の受検を求められている就活生はいませんか?

 

「聞いたことがない検査で不安…」

 

「何を見られる検査なの?」

 

「そもそも対策は可能?」

 

など、耳馴染みがない検査に不安を感じているのではないでしょうか?

 

クレペリン検査は、年間70万人もの人が受検する日本を代表する心理検査です。

官公庁や大手企業を中心に多くの企業で導入されており、日本で開発された心理検査としては最も古いものとして知られています。

 

そこで本記事では、そもそもクレペリン検査とは何なのか、どのような点が見られる検査なのか、また、人事はどのような点を見るためにクレペリン検査を実施するのかなどを詳しく解説します。

 

この記事を読むことで、クレペリン検査を受検する前に押さえるべきポイントが網羅できるので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

そもそもクレペリン検査って何?

クレペリン検査は、これまで90年近くにわたり利用されている日本を代表する心理検査です。ペーパーテスト形式で実施され、受検者の能力や性格を把握するために用いられます。

 

正式名称は「内田クレペリン検査」で、日本・精神技術研究所によって行われています。

「内田」と名称に付いている理由として、ドイツのエミール・クレペリンの作業心理の実験的研究を受け、日本の心理学者である内田勇三郎氏が、心理検査として確立したことが挙げられます。

現在では日本のみならずアジア各国で利用されており、年間約70万人が受験する検査となっています。

 

就活生にとっては耳馴染みがない検査かもしれませんが、入社時検査として多くの企業で導入されています。

クレペリン検査は、受験者の能力や性格を鑑みて仕事の適性や配属検討などに結果を利用するのに対し、就活でよく利用されているSPIは、あくまでも受検者の基礎知識を測るという違いがあります。

 

では、クレペリン検査の概要を理解したところで、詳しい内容を見ていきましょう。

 

クレペリン検査の内容とは?

クレペリン検査は内容に加え、所要時間にも特徴があります。

そこで、それぞれの項目に分けて詳しくご紹介していきましょう。

内容

内容は非常にシンプルで、一列に並んだ一桁の数字を隣同士でひたすら足し算をしていきます。これだけ聞くと簡単そうに感じますが、一列の数字は116個となっており、115個の回答が求められます。

 

クレペリン検査では、回答に必要となるのは下一桁の数字のみです。答えが一桁となる場合は、その数字をそのまま回答として問題ありません。

 

これをひたすら、制限時間内に繰り返していきます。

所要時間

内容だけではなく、所要時間も特徴的です。

 

クレペリン検査では、一行60秒という回答の制限時間が設けられています。

また、15行回答すると5分間の休憩時間が取られ、その後後半の15行を回答していきます。

そのため、テスト自体は35分ほどで終了する形となります。

クレペリン検査の検査方法

クレペリン検査の内容は理解いただけたでしょうか?

ここまで読むと、「クレペリン検査は全ての行の計算を正しくできたらOKなの?」と感じている人がいるかもしれません。

 

しかし、現実的に考えて60秒で116個の数字を計算することは不可能です。もちろん全て計算できることが理想的ですが、クレペリン検査では計算途中の作業曲線と、全体の計算量、そして誤答の量で能力や性格を見ていきます。

全体の計算量

全体の計算量は、60秒にどれだけ計算ができているかを見ていきます。

この計算量はすなわち作業量として捉えられ、能力面の特徴を洗い出す要素として活用されます。

 

平均的な作業量は60個の計算を解くこととされており、この作業量から効率性や作業を実施する際の速度などを見ています。

誤答の量

計算量に加え、誤答についても見られます。

誤答の数や発生箇所は、作業をする際のクセを見るために利用されます。

 

誤答の数は少ない方が良く、特定の行や箇所での連続誤答は評価が低くなる可能性があるため注意が必要です。

作業曲線

作業曲線とは、60秒間毎に生じる計算量の変化を見る曲線です。

一行の計算が60秒間で区切られていることから、それぞれの行で計算できる量に差が生じます。この差を線で繋いでいくことで、作業をする際に発揮される持ち味やクセを確認します。

 

作業曲線は、均一な線になることが望ましいわけではありません。定型曲線と呼ばれる、一般的な曲線に照らし合わせて判断されることが多くなっています。

 

定型曲線には、大きく3つの特徴があります。

 

①一行あたり60個の計算量がある

②前半は、下に進むにつれて作業量が減少するが、途中から再び増える(U字曲線を描く)

③後半は、前半より計算量が増えるが徐々に減少する

 

必ずしもあらゆる企業が定型曲線に合わせて判断をするわけではありませんが、一般的な合格ラインとして定型曲線を理解しておいて損はないでしょう。

 

クレペリン検査で分かること

作業量や作業曲線を通じて、その人の能力や性格が分かることは理解いただけたかと思います。

では、「その人の性格や能力」を具体化した際にはどのようなことが分かるのか、クレペリン検査で見えてくる3つの側面をご紹介しましょう。

①発動性

1つ目は「発動性」です。分かりやすく言い換えると、物事への取り掛かりや滑り出しの良し悪しとなります。

発動性が高い場合、低い場合の特徴はそれぞれ以下になります。

 

発動性が高い:

慣れが早く素直であるといった特徴がある一方で、先走りや気疲れが見られる可能性がある

発動性が低い:

芯が強く手堅く作業する一方で、我が強かったり作業を選り好みする可能性がある

 

②可変性

2つ目は「可変性」です。分かりやすく言い換えると、物事を進めるにあたっての気分や行動の変化の大小となります。
可変性が高い場合、低い場合の特徴はそれぞれ以下になります。

可変性が高い:
柔軟性が高く機転が利く一方で、動揺しやすかったり感情的になりやすい可能性がある
可変性が低い:
粘り強く地道に取り組むことができる一方で、むきになったり無理をしがちな可能性がある

③亢進性

3つ目は「亢進性」です。聞き慣れない言葉かもしれませんが「こうしん」と読み、分かりやすく言い換えると物事を進めていく上での勢いや強弱となります。

亢進性が高い場合、低い場合の特徴はそれぞれ以下になります。

 

亢進性が高い:

強気で行動的、頑張りがきく一方で、強引になったりむきになりやすい可能性がある

亢進性が低い:

温和で穏やか、控えめな一方で、受動的であったり呪医級力に乏しい可能性がある

 

なぜ企業はクレペリン検査を実施するの?

ここまで、クレペリン検査で分かることをご紹介してきました。

検査で分かる内容も踏まえて、なぜ企業がクレペリン検査を実施するのかを理解しておきましょう。

こちらでは、大きな理由となる3点をご紹介します。

①面接では見えない特性が見えるため

面接は、世の中に対策するためのコンテンツが溢れています。

また、数をこなすほどに就活生側も面接に慣れてくるため、いわゆる模範回答を話しがちです。その結果、企業としては100点の回答だったとしても、就活生の本質的な能力や性格を見ることができないという難点があります。

 

その点においてクレペリン検査は、作業にフォーカスした検査です。そのため、就活生が自身でコントロールできないような特徴やクセが明らかになる傾向があります。

 

企業の立場に立つと、入社後に活躍してもらうために、選考の過程でいかに就活生の本質を見抜くかが問われています。そのため、本質を見やすいクレペリン検査が利用されているのです。

 

②入社後の配属を検討するため

クレペリン検査では、就活生が自ら記入する履歴書やエントリーシートとは異なり、客観的な検査結果を知ることができます。客観的な検査結果は就活生のより本質を突いているという点において、入社後の配属検討の材料として非常に有効です。

 

クレペリン検査を通じて把握した作業特徴は、仕事の仕方に通じるものがあります。

検査結果を活かして、より就活生が活躍しやすい部署への配属を検討するためにクレペリン検査の結果が利用されているのです。

③ストレス耐性を見るため

近年、リモートワークの増加などからメンタルヘルスに対する危機感が各企業で高まっています。企業側が制度や仕組みによって従業員をフォローすることはもちろん大切ですが、従業員それぞれがどの程度のストレス耐性を持っているのかを理解することも非常に重要です。

 

クレペリン検査は、元々精神医療の現場から生まれた検査ということもあり、ストレス耐性を把握することに非常に長けている検査です。他の検査との組み合わせも行いやすいことから、クレペリン検査が企業で重宝されているのです。

クレペリン検査を乗り越えるポイント

企業がクレペリン検査を取り入れる理由が分かったところで、クレペリン検査を乗り越えるポイントを見ておきましょう。

今回は受験前に参考になる3つのポイントをご紹介します。

①計算問題に慣れておく

最も大切なことは、計算問題に慣れておくことです。

クレペリン検査は、SPIのように複雑な問題ではありません。あくまでも単純な数字の計算となるため、自ら対策を行うことが可能です。

 

対策本なども発売されていますが、最も手軽なのは自ら適当な数字を116個一列にし、印刷して何度か解いてみることでしょう。

計算自体は難しくありませんが、受検日当日に初めて問題と対峙すると、焦りなどからケアレスミスが増えてしまう可能性があります。

 

自分が落ち着いて問題を解けるように、クレペリン検査の形式に慣れておくのがおすすめです。

②とにかく計算量を増やす

先にご紹介したように、クレペリン検査には一行60秒という制限があります。

ここで大切になるのは、60秒間の計算量をとにかく増やすことです。

 

問題への慣れはもちろん大切ですが、消しゴムを使わないというポイントもあります。

数字を消すことは時間のロスに繋がってしまうため、間違えた数字はバツ印などを用いて示すようにしましょう。

 

クレペリン検査では誤答の量も問われるため、スピード感を大切にしながら正しい回答を行うことが重要です。

③リラックスして臨む

最も大切なのは、リラックスして本番に臨むことです。

焦ってしまうと、些細な計算ミスや回答の段ズレなどが起きかねません。

自分にとって最高のパフォーマンスを発揮できるよう、深呼吸などをしてリラックスして臨みましょう。

クレペリン検査の受検方法

クレペリン検査はWebでの受検ができません。そのため、企業から指定された場所などに出向き受検することになります。

 

この時代に珍しいと思うかもしれませんが、クレペリン検査は身体的なストレスを含む「作業負荷」をかけることを前提に設計された検査です。

そのため、現在も紙と鉛筆を用いた形式で実施されているのです。

合格ラインはどのくらい?

クレペリン検査には、明確な合格ラインはありません。

あくまでも個々人の能力や性格を見るものであるため、企業によって判断軸が異なります。

 

しかし、あまりにも誤答が多かったり、定型曲線と異なる傾向がある場合には注意が必要です。発動性・可変性・亢進性がそれぞれ低いと理解される可能性が高く、クレペリン検査の結果によって企業に落ちてしまう可能性もあるでしょう。

サイコパス検定という噂は本当?

クレペリン検査と検索すると、「サイコパス」という言葉を見つけて焦っている人はいませんか?結論からお伝えすると、クレペリン検査はサイコパスを洗い出すための検査ではないため安心してください。

 

なぜこのような話が出るかというと、クレペリン検査の結果から分かる発動性・可変性・亢進性がそれぞれ高すぎる場合に、冷静さの欠如や感情の欠如などの傾向が見て取れるためです。

 

サイコパスの傾向が見える可能性はありますが、サイコパスを調べるための検査ではないため、安心して受検してくださいね。

 

受検前に傾向を掴んで落ち着いて本番を乗り切ろう!

いかがでしたか?

 

本記事では、そもそもクレペリン検査とは何なのか、どのような点が見られる検査なのか、また、人事はどのような点を見るためにクレペリン検査を実施するのかなどを詳しく解説してきました。

 

受験前にクレペリン検査をイメージできるようになると、安心して検査当日も臨めるのではないでしょうか。

 

良い結果を出そうと意気込むことも大切ですが、現在では珍しくなったWebではない試験では、いかに落ち着いて取り組むことができるのかが結果を左右します。

 

変に気負いすぎずに、リラックスして本番に臨むことで良い結果を目指してくださいね。

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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