【元人事の例文添削】自己PRで「負けず嫌い」のアピール方法
2022年12月19日更新
はじめに
「負けず嫌いを自己PRで使っても大丈夫なの?」
「企業側からどう評価されるの?」
「どのようにアピールするのがいいの?」
など、「負けず嫌い」を自己PRに使いたい人にとって、何かと敏感になる部分ですよね。
どんな性格の特徴も同じですが、負けず嫌いにも「ポジティブな側面」と「ネガティブな側面」の両面があります。
言い換えると、同じ「負けず嫌い」でも、「企業側から受け入れられる面」と「受け入れられない面」があるということです。
本記事では、そもそも「負けず嫌い」をアピールするのはアリなのか、どのような切り口でアピールすればいいのかをポイントを4つ紹介したうえで、NG例→添削例をお見せしながらイメージできるように解説しました。
10分後には「負けず嫌い」をモチーフにした人事受けする自己PRテクニックをすべて入手できますので、最後まで一気に拾い読みしてくださいね。
負けず嫌いをアピるのはアリ?
「負けず嫌い」を自己PRで使うのは、正直言うと中身を聞いてみないと判断できないといったところです。
「私の強みは負けず嫌いです」
と言われても、まだ中立的な感覚です。
そのあとのエピソードを踏まえて、企業側が評価する「負けず嫌い」か、評価できない「負けず嫌い」に分かれていくわけです。
なので、負けず嫌いを自己PRで使うことは直ちにダメとはなりませんし、OKとも言えないわけです。
要は、その「負けず嫌い」をどのような角度で伝えるかが評価の分水嶺になるわけですね。
「言っていることは分からなくもないですが、どうやって負けず嫌いをアピールすれば、企業側に評価されるんですか?」
わかりました。
それでは、企業側が見ている「負けず嫌い」のポジティブな側面とネガティブな側面を次のセクションで紹介していきましょう。
「負けず嫌い」を人事はどう見てる?
光が射すと、必ず影ができますよね。
「長所と短所はコインの裏表」と言われるように、もちろん「負けず嫌い」という特徴もポジティブな側面とネガティブな側面を有する諸刃の剣なのです。
企業側から評価される「負けず嫌い」と、評価されない「負けず嫌い」を整理すると、下記のとおりです。
【企業側から評価される負けず嫌い】
・最後まで諦めない
・失敗を必ず次に活かす
・失敗要因を冷静に分析できる
・目標に向かって地道に努力を続けられる
・チームの士気を高められる
・結果にこだわる
・自分を精神的・技術的に高められる
・常に高い理想を求める
・困難な場面でも努力し続けられる
・無謀な負け戦をしない
・信念を貫き通せる など
【企業側から評価されない負けず嫌い】
・人から指示されるのを嫌う
・他人にライバル心を抱きやすい
・ライバルを蹴落としてでも勝とうとする
・目標を高くしすぎる
・完璧主義
・頑固
・柔軟性がない
・協調性に欠ける
・他人より優れていると感じたい
・許容度が低い
・嫉妬心が強い
・勝ち負けにこだわり過ぎる など
このように「負けず嫌い」という特徴は、向上心を高く持ち、粘り強く努力できる企業側が求めるポジティブな側面がある一方で、他人の話に素直に耳を傾けるのが苦手だったり、協調性に欠けるネガティブな側面があるというわけですね。
なので、「負けず嫌い」をアピールする場合は、ポジティブに捉えられる特徴を前面に押し出して、ネガティブに捉えられる特徴がないことをさりげなく見せることがポイントです。
「負けず嫌い」を上手く自己PRするコツ
これは「負けず嫌い」に限った話ではないですが、自己PRを上手にアピールするときのポイントを4つお伝えします。
この4つがそのまま自己PRのテンプレートに化けますので、期待して読んでくださいね。
①結論は「端的に興味深く」
まず結論は、端的に興味深く伝えましょう。
結論を長々と3行もかけて熱弁されても、ほとんどの面接官は途中から馬耳東風です。
1行でバシッと相手の脳にインストールするように心掛けましょう。
それから、誰もが使うワードを使っても、面接官は退屈です。
面接官が前のめりになって聞いてくるような、興味深いワードを繰り出すことがコツです。
実は、「負けず嫌い」を自己PRのテーマに持ってくる学生は結構います。
なので、「負けず嫌い」という単語を見ると、聞くと、人事は「またか」といった印象を持つのが1点。
加えて、先ほども説明したとおり、「負けず嫌い」はネガティブな特徴として捉えられる危険性を孕んでいます。
なので、そんなリスクの高いワードをわざわざ使わなくても、同じような意味でポジティブに捉えられやすい言葉を使った方が賢明です。
たとえば、「負けず嫌い」という言葉を使うよりも、
「私の強みは常に向上心を持って、貪欲にスキルを高められるところです」
とアピールしたほうがオリジナル性があるし、ポジティブに捉えられますね。
したがって、先ほどの「企業側に評価される負けず嫌い」の例示のような言葉を使う方が無難だし、賢いということですね。
➁具体性で結論を下支えする
次に、結論に説得性を持たせるために具体的なエピソードを挿入していきます。
ここで入社してからの活躍イメージを面接官に想起させることができれば、成功です。
5W1Hや数値、第3者や権威の声、たとえ話、比喩、固有名詞などを使って、ビジュアルで相手が想像できるレベルまで具体化しましょう。
➂反省点や改善点を示す
エピソードで結論の信憑性を高めている間に面接官の脳は、
「この子の言っていることは良いことばかりだけど、それで返って災いしたことはなかったの?」
といった反発心が生まれてきます。
特に「負けず嫌い」という特徴は、先ほど説明したようにネガティブな要素を多分に含んでいるため、予め火消しを行っておかなければいけません。
あるいは、ネガティブな要素が出てトラブルがあったが、そこから反省して改善し、今ではプラスの特徴になったという論法で切り返す方法もあります。
後ほど、例文でそのあたりの具体的なイメージをお見せしますので、今の段階では
・ネガティブ要素を予め火消して予防線を張っておく
・反省→改善のサイクルで今ではポジティブな特徴に変わった
という演出が必要だということを覚えておいてください。
➃最後は「ベネフィット」でフィニッシュする
「ベネフィットって何ですか?」ということなんですが、端的に言うと「あなたを雇う理由」です。
もっと言うと、「相手の求める未来像」や「得たい結果」を指します。
たとえば、スマホ自体は単なる電化製品ですよね。
実は、あなたは「スマホという機器」が欲しいのではなく、そこから得られる「色んな情報」が欲しいわけです。
なかには、iPhoneのデザインが好きだからという人がいるかもしれませんが、情報が得られなかったら単なる物体ですよね。
情報が得られないiPhoneを絶対に欲しいとは思わないはずです。
これと同じで、あなたの強みがどう会社に貢献できるのか、その強みを使ってどう活躍できるのかを最後に示さないといけないわけです。
その「ベネフィット」で相手の背中を押すことに成功すれば、晴れて「内定」という称号が得られるわけですね。
なので、最後は必ずベネフィットで締めくくってください。
これまで自己PRで大切な4つのポイントを解説してきましたが、実はこれがそのまま自己PRのテンプレートになります。
①結論:「私の強みは~です」 ➁具体性:「具体的には~です」 ➂反省→改善:「一方で、この強みには~といった(ネガティブな)面もあります。しか し~で克服しました」 ➃ベネフイット:「御社ではこの強みを活かして~で貢献します」 |
この構成、この順番で説明していけば、一端の自己PRが完成するわけです。
とはいえ、まだイメージが湧かないというあなたは、次の「NG例文」からの添削過程を見れば、頭がスッキリすると思いますので、引き続きお読みください。
元人事の負けず嫌いNG例文添削
それでは「負けず嫌い」をテーマにした自己PRのNG例文からまず見ていきましょう。
【NG例文】
私は負けず嫌いです。 些細なことでも誰にも負けたくないと思うので、今まで何度も友人と言い争い、ぶつかってきました。 納得できないときに自分の意見を言うことは必要なので、ぶつかることもコミュニケーションのひとつだと考えています。 御社に入社後も、意見をぶつけ合いながら成長していきたいと思います。 |
この例文はまさしく企業側が恐れている「負けず嫌い」の典型ですね。
やはり、企業は組織で仕事を行っていますので、組織力を最大化していく必要があります。
そんな中で組織の和や秩序を乱す行為は嫌悪感を抱かれます。
このように同僚や上司、顧客とぶつかってもめる印象を与えるような自己PRは百害あって一利なしですね。
それでは、このNG文を添削してみたいと思います。
【添削例】
私の強みは「自分の意見を主張しながら相手の意見にも耳を傾け、第3の解を見出す力」です。 高校生までは私の負けず嫌いな性格が災いして、何度も友達とぶつかってきた経験があります。 納得できないときに自分の意見を言うことは必要なので、ぶつかることもコミュニケーションのひとつだと考えていたからです。 しかしながら、大学のゼミのグループ討論を通じて、この性格を改善することを決意しました。 具体的には、私の意見を押し通すことで周りの雰囲気が険悪になり、場を乱していたことに気付いたからです。 今までは個人間の問題で済んでいたのですが、組織となるとこの特徴が秩序や場をかき乱し、かなりの悪影響を及ぼすことを認識しました。 それからは、他人の意見を傾聴し、自分の意見と統合して昇華させる第3の解を見出すことで今までにない洗練された意見に集約できることを発見し、単に競い合うことよりも脳が快になりました。 御社では反省と改善で培ったこの強みを存分に活かし、チームで協働しながら組織力の最大化に努めたいと考えています。 |
この添削例から同じことを言っているのに、見せ方で雲泥の差になることが理解できると思います。
この例文はテンプレートを若干アレンジして、「具体性」のパートでは「ネガティブ情報」を先に出した後に「反省→改善」を挟んだ上で、「ポジティブ情報」を見せながら「ベネフィット」でフィニッシュしています。
このように「ネガティブ→ポジティブ」という展開でもいいですし、テンプレートのように「ポジティブ→ネガティブ」のどちらのアプローチでも応用可能です。
もう1つ添削例を見ておきましょう。
【NG例文】
私の強みは負けず嫌いなところです。 学生時代はテニス部に所属し、試合に勝つために寝る間を惜しんで日々練習を行ってきました。 部の誰よりも強くなりたかったので、全員をライバル視していました。 全員で練習メニューを考えるミーティングがあったのですが、自分で決めたやり方にこだわっていたので、敢えて出席を避けました。 その結果、市の大会では個人戦でベスト4に入ることができました。 部で一番強くなることで、優秀な成績を残せるという結果を証明できて、感無量でした。 御社に入社後も、誰よりも売り上げを叩き出せるナンバーワン営業マンとして活躍したいです。 |
まさしく、「天上天下唯我独尊」的な負けず嫌いで、1人で暴走し組織の和を乱すプライドの高い人間に見えてしまいますね。
この自己PRだと、確かに優秀かも知れませんが、それよりもマイナス要素が目立ち過ぎて、とても仲間に入れて一緒に仕事をしたいとは思いませんよね。
たとえ、本音がそうであっても、それをダイレクトに見せると難がありますので、少し見せ方を工夫する必要がありますね。
それでは添削例を見ていきましょう。
【添削例】
私の強みは、陰の地道な努力でレベルを向上させる力です。 学生時代はテニス部に所属し、「市の大会の個人戦で優勝する」という目標を自分に課し、部で決められた練習メニューをこなしながらも、帰宅後、毎日夜9時まで素振りでイメージトレーニングを行うなどレベルの向上に励みました。 もちろん、同校のライバルA君には負けたくないというプライドはありましたが、2人の関係は張り合うというよりも、高め合うといった関係に近く、部活が休みの土日も2人で近くの練習場を借りて自主練を行うなど切磋琢磨の日々を過ごしました。 その結果、市の大会では個人戦で決勝まで進みましたが、残念ながらライバルのA君に敗北を期し、準優勝という結果に甘んじました。 この結果を受けて努力不足を痛感すると共に、自分に足りない部分を精神・技術の両面で分析した過程が、その後のさらなるレベル向上に繋がったと自負しています。 御社に入社後も、負けず嫌いを原動力として、地道な努力を一歩一歩積み上げ、1日も早く会社に貢献できる営業マンとして邁進します。 |
いかがだったでしょうか?
少し脚色を入れていますが、言っていることはそんなに変わらないはずです。
見せ方・伝え方を変えるだけで、同じ内容がこれだけ変わるという例を示しました。
ぜひ、今回の添削例を参考にされて、自分なりの「負けず嫌い」をモチーフにした自己PR文を今すぐ作ってみてくださいね。
おわりに
以上、「負けず嫌い」をテーマに自己PRする際のポイントや例文を公開してきました。
八重もすると、面接官によっては、「負けず嫌い」をネガティブに捉える人もいます。
したがって、「負けず嫌い」の使い方には注意が必要なのですが、記事内で説明したとおり、ネガティブな要素を予め打ち消したうえで予防線を張っておくことが賢明です。
加えて、「負けず嫌い」というワードをダイレクトに使うのではなく、ポジティブに受け取られやすい表現に言い換えてアピールする方法も伝授してきました。
いずれにしても、切り取り方や角度によって同じことでも全く違うものに見えますので、本記事のNG例→添削例の激変ぶりを参考にして、魅力ある自己PR文を完成させて欲しいと思います。
そのために本記事がお役に立てば、幸いです。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。