
【人事直伝】面接「周りからどう思われていますか?」への秀逸な答え方
2022年12月12日更新
はじめに
面接の定番質問として、「あなたは周りからどう思われていますか?」という質問があります。
とは言われても、
「そもそも、どうやって答えればいいのか、皆目見当がつかない…」
「言って良いことと悪いことの見分けが付かない…」
「高評価をもらうには、どう答えたらいいの?」
など、色々な疑問が頭をよぎると思います。
かく言う私も人事責任者として、この質問を学生によく投げかけていました。
ですが、何も意地悪をしているわけではなく、質問するには質問するだけの理由があるわけです。
本記事では、この質問を通じて人事が何を考えているのか、3つの理由を詳らかにした上で、賢く見える答え方を5段論法という型と例文を使って公開していきますね。
10分後には「周りからどう思われているか」の答え方マスターになっていますので、最後まで一気にお読みくださいね。
もくじ
1.人事が「周りからどう思われているか」を聞く3つのワケ
「周囲の人から、どんな人と言われますか?」
「友人から、どう評価されていると思いますか?」
「他人から、どう見られていると思いますか?」
「どのような印象を他の人から持たれていますか?」
など、質問の仕方は異なれど、質問の趣旨はすべて同じです。
なぜ、人事はこのような質問をしたがるのでしょうか?
それには3つの理由がありますので、今から解説していきましょう。
①学生の実像に迫りたいから
人事は面接で質問を投げかけながら、
「この子は入社後、活躍してくれるだろうか?」
「ガンバってくれそうか?」
「入って、すぐに辞めないか?」
「会社に馴染めるか?」
「内定を出しても他社に逃げないか?」
といった疑問がいつも頭の中を駆け巡っています。
面接のどんな質問も根っこ部分は、この答え探しに終始しています。
そのうえで、「周りからどう思われているか?」を聞く理由ですが、ズバリその学生の実像を知りたいからです。
実像を知って、頭の中の疑問に対する答えの精度を高めたいわけです。
たとえば、学生は十分に対策準備して自己PRなどを練ってきますので、なかには脚色したり、盛ったりする学生を散見します。
あるいは、緊張して思った自分をアピールできずに、素の自分を出せないでいる学生もいます。
そんな場合、面接官は「虚像」を見て、誤った判断をしてしまうケースもあるわけです。
なので、「実像」を浮かび上がらせて正確な判断をしたいという思いが本能的にあり、このような質問を投げかけることで自己PRとの矛盾点がないかなど、情報の確度を高めようとしています。
➁求める人物像とのマッチング度を探りたいから
現在は色々な就活情報が蔓延していて、最初から求める人物像に寄せた自己PRを意図的に行ってくる学生もいます。
それが本人の素性と真に合致していればいいのですが、ズレている場合は入社してから本人も会社も不幸になるケースをよく見てきました。
加えて、主観的な強みや独善的なアピールを行ってくる学生も中にはいます。
この場合、面接官としては、それが本当なのかどうかといった妥当性を掴むために、客観的な情報が欲しいわけです。
第3者の客観的な情報も加えて、「本当に求める人物像とマッチングしているのか」を確かめたいという観点でも、この手の質問をよく行いますね。
➂自分では気づけない特徴を把握したいから
最後の理由は、本人では気づけない特徴を把握したいからです。
「いやいや、自分のことは自分が1番知っているので、気づけない特徴なんてありませんよ」
と言いたいかもしれません。
しかし、残念ながら、人間には自分には見えないけど、他人には見える領域があります。
車でも「死角」と言って、ミラーでは見えない領域がありますが、それと同じです。
このことは、1955年にサンフランシスコ州立大学の心理学者ジョセフ・ルフト とハリ・インガム が、「ジョハリの窓」という理論で見事に証明しています。
「ジョハリの窓」では自分の特性や自分に対する理解を、下記の4つの窓に分けています。
通常、自己PRする場合は「開放の窓」あるいは「秘密の窓」といった「自分が分かっている領域」の中にある要素を取り上げて、アピールするはずです。
しかしながら、「他人には分かっているけど、自分では分かっていない領域=盲点の窓」が必ず発生するので、情報が欠けているわけです。
なので、「周りからどう思われているか?」といった質問を投げかけて、「盲点の窓」の欠落したピースをパズルに埋め合わせながら、実像の解像度を上げているわけですね。
2.「周りからどう思われているか」を上手く伝える3つのコツ
それでは「周りからどう思われているか」を上手く答えるコツを3つお伝えします。
仕事に関係のある特徴を答える
仕事に関係のない特徴をあげつらっても、人事には興味がありません。
あくまでも、この質問は「仕事に関係のある特徴」を答えてください。
たとえば、「面白い」とか、「かっこいいと言われる」など仕事とは関係のない特徴を言われても、それは企業側として知りたい情報ではないわけです。
ここを勘違いされると、「空気の読めない子なのかなぁ」「理解力が不足している学生だなぁ」「仕事でも、きっとこうなんだろうなぁ」など、ネガティブな印象に受け取られる可能性が大です。
「努力家」とか、「聞き上手」など実際の仕事の場面で活かせる特徴を伝えるようにしましょう。
マイナス部分も伝えてバランスを取る
「周りからどう思われているか」という質問に対して、「人柄がいい」だの、「チャレンジ精神がある」など、ポジティブ情報だらけでは胡散臭さを感じます。
良いこと尽くめで答えられると、逆に人事は「欠点なないの?」といった猜疑心を持たれます。
長所と短所はコインの裏表で例えられるように、スポットの当て方で見方が変わりますので、マイナス部分も同時に伝えてバランスを取る必要があるわけです。
ただし、「短所を短所で終わらせない」といった意識を持つことが大切です。
それは、なぜか?
心理学・行動経済学者のダニエル・カーネマン氏が「ピーク・エンドの法則」でこう提唱しています。
「人はある出来事に対し、感情が最も高まった(ピーク)の印象と、最後の印象(エンド)だけで全体的な印象を判断する」
これは私の面接経験からも明らかですが、どうしても評価する際に「ピーク」と「最後」の印象に引っ張られます。
1日に何人もの学生と面接を行っているので、その印象しか記憶に残っていないと言っても過言ではないくらいです。
なので、ネガティブ情報を流すときは、必ず反省点や改善点を盛り込んで、「マイナス」から「プラス」に見えるように演出してください。
この辺りは、後ほど5段論法のセクションで解説していきますので、安心してくださいね。
人柄が伝わるエピソードを盛り込む
ただ、結論を述べるだけでは相手に伝わりません。
それを象徴するエピソードだったり、原体験を交えることで映像が浮かび上がり、面接官に「なるほど」と首を縦に振ってもらうことができるわけです。
エピソードを入れ込む時のテクニックとして、「第3者や権威の声を借りる」というワザがあります。
たとえば、
「~さんのおかげで、ゼミの議論が大いに盛り上がったよ」と教授に褒められた
とか、
「お客様から~さんの対応がすごく良かったと賞賛されてたよ」と店長から言われた
などの行を入れることで、実際に脳がその場面に飛び、ビジュアルで映し出されます。
その他、5W1Hや数値、比喩、固有名詞などを組み込むと、エピソードに臨場感が出てきますので、意図的に取り入れてみてください。
3.「周りからどう思われているか」の秀逸な答え方:5段論法
それでは、「周りからどう思われているか」に対する人事受けする答え方を公開します。
まずは、テンプレートから押さえていきましょう。
回答テンプレート
以下が、「周りからどう思われているか」の5段論法です。
【周りからどう思われているかテンプレート】
①結論(ポジティブ情報) ↓ ➁具体例(エピソード) ↓ ➂反論への理解(ネガティブ情報) ↓ ➃反省点 or 改善点 ↓ ➄ベネフィット(相手が求める未来像) |
少し解説を加えていきますね。
①結論は端的にポジティブ情報を伝えていきます。
その上で、面接官が結論をイメージできるように、エピソードや原体験を交えながら結論を下支えしていきます。
次の➂反論への理解が通常とは違うパターンですが、先ほど説明したとおりポジティブ情報だけだと穿った見方をされますので、ここでネガティブ情報を入れていきます。
ただし、短所を短所のままで終わらせないように、➃で反省点や改善点を加えながら、最後の➄ベネフィットでは「あなたを採用する理由」まで持って行きます。
これだけだと、皆目見当がつかないと思いますので、次のセクションで例文を見ながら解像度を上げていきましょう。
例文
それでは、早速テンプレートを使った例文を見ていきましょう。
【妥協しない性格編】
私は友人から妥協しない性格だと言われます。【①結論】 たとえば、野球部の練習で、その日のバッティングに違和感を感じた場合は、練習終了後にチームメイトにお願いしてトスバッティングで手ごたえを感じるまで帰らないなど、完成度を高めることにこだわる特徴があります。【➁具体例】 一方で、この妥協しない性格が災いして、周りのことが見えなくなる場面もあります。 たとえば、飲食店のアルバイトの皿洗いで、汚れを落としてピカピカにしてやろうと集中して洗うあまり、お客様のグラスの水がないことに気づかずクレームを受けたことがあります。【➂反論への理解】 今後は周囲の状況や言動から相手の心理を洞察しつつ、物事に集中するように改善していきます。【➃改善点】 御社では、課題に対して妥協することなく完遂すると同時に、周りにも気を配りながら、組織力の最大化に努めて参りたいと考えています。【➄ベネフィット】 |
いかがですか?
テンプレートを使うと、短所が短所にも見えず、逆にアピールになっていて、上手くまとまっているように感じませんか?
それでは、もう1つだけ例文をお見せして、理解を深めてもらいましょう。
【まじめ編】
私は周囲から、真面目だと言われます。【①結論】 たとえば、授業は無欠席で毎回授業の15分前には着席完了し、授業中も小まめにノートテーキングする姿を見て、周囲がそう感じているようです。【➁具体例】 一方で、スケジュール帳もビッシリ埋まっていないと気が済まなかったり、不真面目な人を見ると立腹してしまう性格が私の欠点のようです。【➂反論への理解】 生真面目すぎるきらいもありますので、今後はもう少し柔軟性を持って多様性を容認する意識を持ちたいと考えています。【➃改善点】 御社では、この真面目さを活かしつつ、持ち前の継続力でビジネススキルを磨き、1日でも早く戦力として加われるように精進していきます。【➄ベネフィット】 |
4.「周りからどう思われているか」を答えるときの注意点3選
最後に「周りからどう思われているか」を答えるときの注意点を3つ紹介して、本記事を締めくくりますね。
社会人として致命的な欠点はNG
いくら「周囲からどう思われているか」と言っても、馬鹿正直に社会人としての致命的な欠点をあげつらうと、そこで万事休すです。
たとえば、
「よく遅刻する」
「自分に甘い」
「約束を守らない」
といった見方は本当に本人を言い当てているのかもしれませんが、それを披露してしまうと今までのアピールが水の泡と化します。
なので、明らかに業務に支障をきたすような特徴は言わないようにしてください。
ただし、同じ内容でも「マイペース→行動力がある」など、言い方を変えればマイナスな印象を免れるケースもありますので、付け加えておきますね。
過度な良評価は胡散臭く見られる
これまでもお伝えしてきたとおり、完璧な人間はいないので、余りにも美辞麗句を並べられると、
「この学生の言っていることは本当か?」
という猜疑心が突如として生まれます。
5段論法のテンプレートに入っているマイナス情報を盛り込みながら、飾り過ぎず、自慢話に聞こえないように気を付けましょうね。
嘘をついたり、盛ったりしない
嘘が見破られると、いままでの努力がすべて徒労に終わります。
仮にそれまで高評価だったとしても、マイナス評価→不合格へと急転直下します。
「嘘をついてもバレないだろう」「多少盛っても大丈夫だろう」と思われるかもしれませんが、突っ込まれたときの表情や目の動き、声のトーンなどで分かってしまうものです。
仮にバレなかったとしても、嘘で入社できた会社に入って、本人が苦労することになるかもしれません。
嘘や脚色は、百害あって一利なしです。
真正面から正々堂々と面接に臨みましょう。
5.おわりに:対策をして人事に刺さる回答を
以上、本記事では「周りからどう思われていますか?」という定番質問に対する質問の意図や答え方を5段論法を使って解説してきました。
なかには、「友達がいない」とか、「聞ける人がいない」といった聞きたくても聞けない状況もあるかもしれません。
そんな場合は、自己分析ツールを利用するという手もあります。
世の中にはたくさんの自己分析ツールが出回っており、データーベースも豊富で、それなりに精度も高く有能なので、聞ける人がいなくて悩んでいる人は、ぜひ利用してみてくださいね。
本記事があなたの就活のお役に立てば、幸いです。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。