
【決定版】就活に必須の8業界総覧と志望業界を決める際のポイント3つ
2022年12月8日更新
はじめに
就活を始めると「業界研究」という言葉を毎日のように見たり聞いたりすると思いますが、
「業界とか知っておく意味があるの?」
「どんな業界があるのか分からない…」
「情報が多すぎて、頭がパニック…」
など、思考停止になりそうですよね。
でも、大丈夫です。
本記事では業界の意味、分類を分かりやすく整理した上で、業界を知るメリットや志望する業界を決める際のポイントまで踏み込んで解説しています。
これさえ学べば、「業界」に関する情報は網羅できますので、最後まで一気にお読みくださいね。
1 そもそも,業界って何?
業界とは「業種や取り扱い商品を同じくする仲間やそういう人々の社会」を指します。
つまり、「同じ仕事をしている人や、企業群」のことですね。
就職活動における「業界」は、業種を取り扱う事業やサービスによって、より細かく分類したものです。
これでもイマイチわからないと思いますが、総務省統計局が公表している「業種」との違いが分かれば理解しやすいと思います。
たとえば、世界有数の広告代理店・電通株式会社を例にすると、業種は「サービス業」ですが、「広告業界」と呼ばれています。
一方でトヨタは業種でいうと「輸送用機器」ですが、「自動車メーカー」というグループで語られることが多いです。
2 業界の分類
業界の分類も切り口によって色々な分け方がありますが、今回は代表的な分類法を紹介します。
それは何かと言うと「扱う商品」×「活動形態」の組み合わせで区分するやり方です。
この方法では、下記の8つの業界に分類できます。
業 界 | 扱う商品 | 活動形態 | 業界分類 |
メーカー | モノ | 作る | 食品、医療品、化学、鉄鋼、 機械、医療機器、自動車 |
商社 | モノ | 動かす | 総合商社、専門商社 |
小売 | モノ | 売る | 百貨店、スーパーマーケット、 コンビニ、専門店 |
金融 | お金 | 動かす | 銀行、証券、信販・リース、 クレジット、生命保険、損害保険 |
サービス | 形のないもの | 売る | 電力・ガス・エネルギー、鉄道・航空、不動産、医療・福祉、コンサルティング、教育、人材、ホテル・旅行、飲食 |
マスコミ | 情報 | 売る | 放送、広告、新聞、出版 |
IT | 情報技術 | 売る | ソフトウェア、ハードウェア、 インターネット・WEB、情報処理サービス、通信 |
官公庁・公社・団体 | 公共サービス | 提供する | 官公庁・公社・団体 |
3 各業界の特徴
①メーカー
メーカーとは原材料などを加工することで製品を開発・生産し、提供する業界です。
メーカーは主に、
- 自動車や家電など長年使用する製品を開発・製造する「耐久消費財メーカー」
- 食品や医薬品など日常生活で使用する商品を開発・製造する「生活用品メーカー」
- 鉄鋼や繊維、自動車・電子部品、半導体などの素材を開発・製造する「原料・部品メーカー」
- OA機器や医療機器、プラント設備などを開発・製造する「機器・機械メーカー」
など、さまざまなメーカーが存在します。
➁商社
商社は輸出入貿易でメーカーから仕入れた商品を小売店などに販売し、その仲介料で収益を上げる業界です。
主にあらゆる分野の商品やサービスを取り扱う「総合商社」と、特定の分野の商材を取り扱う「専門商社」に分かれます。
③小売
小売はメーカーや卸売業者から仕入れた商品を消費者に販売する業界です。
小売には、「百貨店」、「スーパーマーケット」、「コンビニエンスストア」、特定の商品を取り扱う「専門店」などがあります。
最近は店舗だけでなく、インターネットやイベントなど、あらゆる場所で消費者とつながる多面的販売アプローチ法が導入されていますね。
➃金融
金融はさまざまな業界と密接な関わりを持ちながら経済を支える業界です。
主に、
- 金の取り扱い、資金の貸し出しなどの融資を行う「銀行」
- 株券売買や新株発行のサポート、企業買収・合併の仲介などを行う「証券」
- 生命保険や損保保険などで個人・企業の保険料などを運用する「保険」
などがあります。
➄サービス
サービス業は個人や企業が求めているサービスを提供することで対価を得て利益を上げる業界です。
主に、
- 旅行やフード、教育などを提供する「B2Cサービス(個人にサービスを提供)」
- 建設・土木、人材などを提供する「B2Bサービス(企業にサービスを提供)」
- 運輸などを提供する「B2B2Cサービス(個人と企業にサービスを提供)」
などのビジネスモデルで分類するサービスで構成されています。
⑥マスコミ
マスコミ(マスコミュニケーション)は世の中にあるあらゆる情報を多くの人に伝える業界です。
主に、
- 電波などを利用してさまざまな音声、映像、文字などの情報を伝える「放送」
- ニュース情報などを紙面を通じて伝える「新聞」、書籍や雑誌などを発行し、書店やネット通販で販売する「出版」
- 商品やサービスなどのメッセージをメディアを通じて伝える「広告」
などがあります。
➆IT
ITは情報の伝達や処理・加工に関わるサービスを提供する業界です。
- 企業経営に関わるシステムなどを開発する「ソフトウエア」
- 利用者にとって有益なコンテンツやニュースを提供する「インターネット」
- 通信ツールを開発・提供する「通信」
などがあります。
⑧官公庁・公社・団体
公社・団体は地方公共団体や学校、病院など、社会の中で民間ではできない公的な事業を行う団体です。
官公庁は国と地方公共団体の役所を指し、中央省庁や裁判所、国会、日本銀行などを含みます。
公社とは国家的な事業経営のために設けられた特殊な企業形態の1つで、土地開発公社、地方住宅供給公社、地方道路公社、日本交通公社などがそれにあたります。
団体とは共通的な目的をもった意識的に結合した集団を指しますが、医師会などの職能団体をはじめ、経団連などの業界団体、宗教団体、政治団体など、さまざまな団体があります。
4 業界を知っておくメリット
「なるほど、色々な業界が世の中にはあるんですね。でも、これらの業界を知っておくメリットって、何かあるんですか?」
大いにあります。
当然、知らなくても就活はできますが、知っておいた方がこの先いいことがあるので、今回はそのメリットを5つ取り上げて解説しておきます。
①業界の全体像を俯瞰しながら就活できる
まず、業界を知らないで就活することをイメージして欲しいのですが、その場合、どのように志望企業を選択するようになるでしょう?
「なんか、友達がこの企業はいいと言っているから…」
「YouTubeのCMで、好きなタレントが起用されていたから…」
「私が使っている好きなシャンプーを作っている会社だから…」
といった安易な理由で決めつける可能性があります。
もちろん、本人が満足しているのであれば、それもアリですが、少し勿体なく感じます。
「木を見て森を見ず」の状態で就活を行っているからです。
安易な理由で決め込んだ企業がたまたまあなたの適性とマッチングしていれば、問題ないですが、逆の場合は悲惨です。
「ああ、あの時もう少し業界研究をしておけばよかった…」
と嘆いても、後の祭りですね。
特に就活は人生の一大イベントなので、狭い視野の中で選択するのではなく、全体像を俯瞰して活動することが何にも増して重要です。
なので、業界の全体図を把握した上で、就活を進めてほしいですね。
➁業界を比較検討できる
メリット2つ目は、業界同士を比較検討できる点です。
各業界の特徴やメリット・デメリット、自分との相性を知っておくと、業界同士を相対的に比較することが可能になりますね。
たとえば、炊飯器を買うとして、
「この炊飯器はご飯が美味しく炊けるようだ」
「この炊飯器は価格が安くてコスパがいい」
「この炊飯器は頑丈で長持ちするようだ」
というように色々な記事や口コミを見て、自分が何を優先しているかを軸に購入を決定しますよね。
アレと同じです。
業界研究で色々調べて、これは自分の就活軸と一致しているとか、理想に1番近いなどを判断するためには、業界そのものを知らないと判断できないですよね。
なので、業界を予め知っておくことが大切なのです。
➂他業界とのリンクが理解できる
3つ目のメリットが、業界間のつながりを理解できるからです。
各業界がどのような仕事を行っているのかを知ることで、志望している業界が他の業界とどのように関わっているのかを可視化することができます。
たとえば、A商品をメーカーで作って、商社で中継ぎしてスーパーに卸し、スーパーで消費者に販売するといった各業界間のつながりをイメージできるわけです。
他の業界との関わりを知ることで、あなたが志望している企業の立ち位置がわかるので、そのピースを業界パズルに埋めることができます。
あるいは、「もしかしたら、こっちの業界もアリかも?」というように業界間のつながりを知っておくことで、就活の選択の幅が広がる可能性もありますね。
➃企業説明会の理解に役立つ
③のメリットとも関連しますが、業界間のつながりが頭の中に入っていれば、何かの会社説明会の説明を聞いても、「あっ、これはアソこの、アノ部分を説明している」という風に、理解を促進することに役立ちます。
逆に、業界知識がないと「何のことを言っているのかしら?」と予備知識がないため、同じ説明を聞いたとしても理解度にかなり差が出てくるわけです。
そのために、業界リテラシーは持っておいたほうが何かと役に立ちますね。
➄自分との相性の距離感がはかれる
実は最後のメリットが1番大きいかも知れませんが、業界を知ることで自分とのマッチング度を測れるというメリットがあります。
- 業態なのか?
- 利益率なのか?
- 成長性なのか?
- 自分が成長できる環境なのか?
- 年収なのか?
- 福利厚生なのか?
- 年間休日なのか?
- 育児休暇の取りやすさなのか?
- ワークライフバランスなのか?
- 女性が活躍できるのか?
など、色んな要素を勘案して優先順位をつけながら、志望先を決定できるわけです。
そんな中で、
「この業界は土日に休みが取りずらい」
「この業界は利益が出ずらいので給与が上がらない」
「この業界はブラック」
というように、それぞれの業界に特性がありますので、業界を知ることで自分が志望先を決める時に必要な要素を比較考量できるわけです。
また、それが分かれば、「なぜこの業界?」という定番質問にも答えられますよね。
あとで「こんな会社だとは思わなかった…」と後悔しないように、まずは業界の特性を知ってから、企業研究を行うという順番で就活を行って欲しいですね。
5 志望業界を決める際のポイント3つ
「業界を知っておくことのメリットについては理解できました。その上で、志望業界を決める際のポイントとかあるんですか?」
大きく3つありますので、今から説明しますね。
①志望業界は早期に決めておくのが吉
ここまで業界を知ることの大切さを強調しておきながら、水を差すようで恐縮ですが、あまり業界研究に時間を費やすのも良くないです。
就活の準備は業界研究だけでなく、その業界の中で企業研究も行わなければなりませんし、志望動機の準備などに時間を費やす必要があります。
加えて、適性検査の学習やES作成、面接対策など、やることが目白押しです。
なので、早めに志望業界を決めることをオススメします。
早めに志望業界を決めることで、あとから違う志望業界に興味が湧いたとしても軌道修正しやすいというメリットもあります。
別に焦らせるつもりは毛頭もありませんが、早めに志望業界を絞り込む意識を持つことが大切だということですね。
➁安易に絞り込み過ぎない
先ほど、「志望業界は早めに決めろ」と言っておきながら、逆説的なことを言うようですが、あまり業界を絞り過ぎるのも良くないです。
あまり志望業界を狭め過ぎると、就活が上手く行かなかった時に”詰む”からです。
その時に「A業界がダメでも、B業界があるから大丈夫」と思えると気持ちが楽になりますし、リスクが最小限に抑えられます。
そのような保険をかけておくと安心ですね。
また、1つしかない業界の就活が”詰む”と、別の業界研究やら企業研究やらを1から始める必要が出てきて、時間的にも労力的にも多大なエネルギーを要します。
もちろん、精神的にも疲労度が蓄積した中での再出発となるため、かなりの負荷がかかるわけです。
自分が志望する業界に専念してエネルギーを投下することも大切ですが、もしものために選択の幅を少しでも広げておくことも戦略として大切だということですね。
③「業界」×「職種」の発想が大切
就活を進める場合、「業界」だけでなく「職種」もセットで見ておく必要があります。
昨今は、企業側にも欧米並みのJOB型雇用を志向したインターンシップや採用活動が展開されつつあります。
要は、「この分野の開発」で採用しますといった採用の仕方です。
つまり、これまでの「総合職」や「一般職」という括りではなく、「職種」といった概念で採用する形態に変わりつつあります。
職種とは何かというと、営業、人事、経理、開発など仕事の種類を指します。
なので、学生側としてはこの採用環境の変化を捉えて、業界だけでなく職種についても意識しておく必要があるわけです。
また、
「この会社で定年まで勤める」
と考えている学生はこのご時世、かなり稀有(レア)だと思います。
やはり、転職をキャリアプランの中に入れて考えている学生が多いと思われます。
転職では必ずこれまでの経験やスキルといった「キャリア」が査定されます。
なので、「業界経験」で売り込むのか、「職種」でアピールするのか、どちらかを軸に転職活動を行う必要が出てくるわけです。
したがって、そこから逆算して自分のキャリアプランを考えておく必要がありますが、就活の段階からある程度、それらを見据えて線を引いておくことが賢明です。
そのために「業界」と「職種」という両面を意識して、就活を進めたいですね。
6 おわりに
以上、本記事では8つの業界を紹介するとともに、業界を知るメリットや志望業界を決める際のポイントを3つ解説してきました。
記事内でも説明してきましたが、業界を絞り込むときは、自身の先入観や思い込みだけで狭く絞り込むのではなく、業界の全体像を把握した上で絞り込むことがポイントになります。
たとえば、「業界地図」という書籍では、業界全体を網羅したうえで、集約的にポイントを押さえてまとめられているので、効率の良い業界研究が可能になります。
「広く捉えて、深く掘る」、志望する業界が決まったら、深く掘って欲しいと思います。
本記事を起点として、業界研究の足掛かりになれば、幸いです。
今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました。