【業界研究】人気IT業界SIer解説!特徴や向き不向きは?

【業界研究】人気IT業界SIer解説!特徴や向き不向きは?

2022年11月29日更新

はじめに

就活をしていると「sier」という言葉を耳にすることもあると思います。しかし、いまいちどのような業界なのか分からないという方も多いのではないでしょうか。

 

「sierはどんな仕事なの?」

「sierは何の略なの?」

「sierで働くにはどんな人が向いているの?」

 

今回はsierに関して色々な疑問を持っている方向けに記事を書きました。sierとは何か、sierの業務内容は何か、どんな人に向いているか等を紹介していきます。この記事を読むとsierがどのような業界なのか分かるようになります。

1.SIer業界とは何?

sier(エスアイヤー)とは、システムインテグレーター(system integrator)の略称になります。

 

医療機関や金融機関、官公庁などの非IT企業のITシステムの設計、開発、運用、ハードウェアの選定、コンサルティングなどを一括で請け負う事業です。

 

企業などが新たなシステム開発をする際や既に運用中のシステムを改修する際、自社のエンジニアだけで対応するのが難しいため、そのような企業にsierが入り込んでシステム導入等のお手伝いをします。

 

簡単に言うと、ITシステムを使って顧客の要望を解決するサービス、システム開発や運用などを請け負うサービスになります。

sierは非IT企業のITシステムをたくさん受託し、子会社や下請け会社に業務を委託するのが特徴です。

2.SIer業界の種類

sierは「メーカー系」「ユーザー系」「独立系」「外資系」「コンサル系」の5つに分類することができます。

 

メーカー系sier

メーカー系のsierとは、パソコンやネットワーク機器を製造する親会社のハードウェアメーカーから情報システム部が独立した企業のことです。

 

メーカーの情報システム部が基盤となり、自社開発や様々な提案などハードウェアからソフトウェアまで一括でサポートしています。

 

親会社から案件受注ができるため経営面は安定していますが、一括サポートとなるため、幅広い知識が必要となります。

 

<会社名>

日立製作所、NEC、東芝、富士通

 

 

ユーザー系sier

ユーザー系のsierとは、親会社の情報システム部が独立して生まれた企業です。

親会社はハードウェア関連ではなく、商社、製造、金融系などの企業となります。

 

特徴としては、親会社の業績や方針に左右されますが、経営基盤は安定しています。

また、親会社によってシステム開発で必要な知識が違うこともあるので、様々な知識を身につけておかなければなりません。

 

<会社名>

NTTデータ、ソフトバンク・テクノロジー、野村総合研究所、みずほ情報総研、三菱総合研究所、大和総研、ニッセイ情報テクノロジー、伊藤忠テクノソリューションズ、日鉄ソリューションズ、ネットワンシステムズ、電通国際情報サービス

 

独立系sier

独立系のsierとは、メーカー系・ユーザー系のどちらにも属さず、親会社を持たずに独自の経営でシステム開発やソリューション提案をする企業です。

 

特定の親会社を持っていないことが特徴で、分野を問わず、様々な顧客に合わせて課題解決が可能です。

 

デメリットとしては経営が安定しにくい点です。

また、知名度が低いため、メーカー系やユーザー系と比べると給与水準が低いかもしれません。

 

<会社名>

大塚商会、ITホールディングス、トランスコスモス、富士ソフト、オービック

 

外資系sier

外資系sierとは、日本で事業展開をしている海外企業のsierのことです。

 

事業はグローバル展開しているため、業務規模は大きいです。また、外資系企業であるため、実力勝負となります。

 

コンサル系sier

コンサル系sierとは、システム開発ではなくコンサルティングの業務を行っているsierです。

 

クライアント企業が抱えている問題や課題を解決するためのシステム構築を具体的に提案することが仕事となります。

そのため、クライアント企業の事業内容や業界についての理解が必要となり、各企業のコンサルティングをするためには様々な知識が求められます。

3.SIer業界の主な業務内容

sier業界での主な業務内容について紹介していきます。

 

sier業界では、企業が求めるシステムの構築や導入、運用を主な業務として行っており、範囲も広範囲になります。提供する相手が親会社やグループ会社であれば「内販」と言い、それ以外の外部の企業であれば「外販」と言います。

 

また、業務は幅広く多岐にわたります。具体的には「クライアント企業へのヒアリング」「システムの要件定義」「設計」「開発」「運用サポート」「メンテナンス」です。

 

<官公庁のシステム開発、運用>

  • 日本年金機構の年金システムの開発、運用
  • 特許庁の特許管理システム
  • 防衛庁の防衛システム

 

<銀行>

  • 各銀行の合併時のシステム統合
  • ネットバンキング
  • 顧客や講座情報管理システム

 

<コンビニ・スーパー>

  • レジの無人販売
  • 商品配送システム

 

<医療>

  • 電子カルテ
  • 医療画像処理

 

<社内システム>

  • 人事給与システム
  • 顧客管理システム
  • 会計処理システム
  • 生産・在庫管理システム
  • 人事データベース

 

企画案の作成

クライアントの企業でシステムに関する企画が上がってきた段階でsierに仕事を依頼すると、クライアント企業の希望や要望などをヒアリングし、具体的な企画案まで落とし込んでもらえます。

 

システム設計

大体の企画案に対する予算が承認されたら、具体的なシステム設計を行います。

初期段階の基本設計で決まった内容は実際にプログラマーが設計を見て開発できる詳細設計のレベルまで落とし込みます。

 

システム構築

詳細設計が終わると、システムの構築が始まります。

システム構築に必要なプログラム開発を行っていきます。

 

システムの運用・保守

システム構築が完了し、納品をした後は、しっかりと運用ができるか、保守、メンテナンスなどの作業を行うことになります。

 

4.SIerエンジニアのメリット・デメリット

次に、sierで働くエンジニアとしてのメリット・デメリットを紹介します。

 

sierで働くエンジニアとしてのメリット

 

多くの技術に触れることができる

様々なクライアント企業の要望に合わせてサービスを提供していくことになるため、自社開発しているメーカーよりも多くの技術に触れることができるというメリットがあります。

また、基本的にプロジェクト単位で配属されるため、年数を重ねると様々なプロジェクトを経験することができます。

 

安定した企業が多い

メーカー系やユーザー系のsierは親会社が大手企業であることが多いため、経営が安定しています。

また、親会社やグループ会社がクライアントになるため、プロジェクトを安定的に受注することができます。

 

福利厚生が良い

メーカー系やユーザー系のsierは大手メーカーなどの福利厚生がそのまま使えることもあります。

よって、働きやすい環境が整っていることが多いです。

 

IT以外のスキルを身につけられる

sierはシステム開発を一括して行うため、クライアント企業へのヒアリングや保守メンテナンスまで多くの折衝業務が必要となります。

 

そのため、システム開発の業務の一連でコミュニケーション能力や資料作成能力などのスキルが身に付きます。

いずれ転職を考えているという人にも、転職しやすいスキルが身につくでしょう。

 

大規模なプロジェクトに携われる

sierで働くと、官公庁、金融、医療機関などのシステム開発を行う機会も多く、規模の大きいプロジェクトに携わることができます。

やりがいを感じやすい仕事となるでしょう。

 

sierで働くエンジニアとしてのデメリット

 

実務スキルが身につきにくい

大手sierなどでは上流工程のみを対応し、その他の下流工程は下請け会社や協力会社などに外注してしまう企業もあります。

そのため、プログラミングなどの実務をこなす機会が少なく、スキルが身に付きにくいというデメリットもあります。

 

最先端の技術を学ぶ機会は少ない可能性がある

sierは大きなプロジェクトに携わることができるというメリットもありますが、規模の大きいシステムほど最先端ではなく古い技術を使いシステム開発をするという傾向があります。

 

よって、中小企業やベンチャー企業の方が、最新技術を学ぶチャンスが多く、面白さを感じる方もいるでしょう。

5.SIerエンジニアに向いている人・向いていない人は?

sierに向いている人・向いていない人の特徴について紹介をしていきます。エンジニアの中には、sierに向いている人、中小企業やベンチャー企業に向いている人など様々な人がいます。

 

sierに向いている人

IT知識が事前にある人

sierは未経験者でも採用していることが多いため、IT知識がなくても就職、転職できますが、IT知識がない人よりある人の方が呑み込みが速く、sierエンジニアに向いているでしょう。

特に、メーカー系など大手sierのエンジニアとして働くことになると、幅広い知識が必要となるのでIT知識がある人は重宝されると思います。

 

マネジメントができる人

IT企業はシステム開発を行うことが多いですが、sierはマネジメント業務がメイン業務となることが多いです。

そのため、sierはプロジェクトの管理などマネジメントができる人が向いているでしょう。

 

論理的思考力がある人

sierのエンジニアには論理的に考えられる力が必要となります。

システム構築をする上で必要な力となってきます。

 

コミュニケーション力がある人

sierはクライアント企業から要望や困りごとをヒアリングし、システム開発などを行っていきます。

クライアント企業はシステムやITについてよくわからないためsierに依頼をしているので、漠然としたクライアントの要望を正しく理解し、相手にわかる言葉で自分の考えをしっかりと伝えられるコミュニケーション能力が必要となります。

 

sierに向いていない人

 

新サービスを世に出したい人

sierでは世の中にすでに存在している商品やサービスを複数組み合わせてクライアントに提案することが多いため、新しい商品やサービスを世の中に出したいと考えている方には向いていないでしょう。

 

コミュニケーションが苦手な人

コミュニケーションを取るのが苦手な人もsierには向いていません。

sierではクライアント企業との打ち合わせが多く、仕様の説明やメンテナンスなども業務内容に含むためクライアントとコミュニケーションをとる場が多いです。

 

自社サービスを取り扱いたい人

ハードウェアメーカーやソフトウェアメーカー側で働きたいと思っている方など自社サービスを取り扱いたい場合はsierには向いていないでしょう。

 

マネジメントに興味がない人

sierで働くには、マネジメント・管理能力が必要です。

お客様との打ち合わせ、仕様書の作成から始まり、予算・スケジュールの調整、メンバーの管理、資料作成、お客様との打ち合わせという仕事内容をこなすためにはマネジメント力がなければ厳しいでしょう。

実務的な仕事をしっかりとしていきたいという方はsierには向いていないかもしれません。

 

プログラミングがしたい人

sierの仕事はプログラミングなどの実務作業ではなく、要件定義や設計工程などの上流工程がメインの仕事になります。

よって、プログラミングをする機会はほとんどないと思った方が良いでしょう。

また、大規模なsierほどプログラミング作業は下請け会社に依頼してしまうことが多いため、プログラミングをメインに仕事をしたいと考えている方は、sierには向いていないかもしれません。

 

6.SIer業界の将来はどうなる?

sier業界は、現在IoTやAIなどが普及しているため、需要がなくなるのではないかという意見もあると思いますが、実際sier業界の将来はどのようになっていくのでしょうか。

 

確かに、デジタル系の新技術が近年普及しており、サーバーやソフトウェアサービスの需要は少しずつ下がるかもしれません。

 

しかし、新技術の活用やITとの融合が求められ、情報やサービス全体の市場は大きくなるとも言えます。

 

7.おわりに:事前に業界研究をしっかりしよう!

今回はsier業界について具体的な仕事内容や役割、メリットデメリットなどについて紹介しました。

sier業界に就職するかどうか迷っている就活生は、事前にしっかりと業界の内容を理解しておくことが重要になります。

 

入社後こんなはずではなかったと思わないように、就活の段階でしっかりと自分に向いている業界や職種を探しておきましょう。

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