
【ES対策】エントリーシートの提出は何社が妥当?
2022年6月30日更新
はじめに
エントリー画面を前にして
「エントリーシート(ES)って、何社くらい出せばいいの?」
「みんな平均で何社くらいESを提出してるのだろう?」
「ESを1枚書くのに相当な時間と労力がかかるけど、何か効率よく書く方法はないですか?」
という就活生の声をよく聞きます。
やはり、大体の目安や基準がないと、自分が行おうとしていることが適切なのかどうか不安になりますよね。
一方で、「もともと行きたい業界があるので絞って就活する学生」と「わからないので取り合えずエントリーしておいて話を聞きながら業界や職種を絞っていく学生」に分かれます。
いずれにしても最初からあまり絞りすぎるのもリスクがありますし、過度に広げすぎるのも就活が煩雑になり限られたエネルギーが枯渇します。
本記事では性別と文系・理系別にエントリー数やESを提出した社数、内々定の出た社数を就活メディアが公表しているデータに基づき紹介したうえで、エントリーするときの注意点やESを効率的に量産する方法を解説していきます。
10分ぐらいで全貌が明らかになりますので、最後までジックリとお読みくださいね。
1.就活生の平均エントリー社数
それではさっそく就活生がどれくらいの会社にエントリーしているのかを見ていきましょう。
データはマイナビ2022年卒 学生就職モニター調査 8月の活動状況の結果を使用しますが、性別および文理別に区分した数値は下記のとおりです。
文系男子 | 理系男子 | 文系女子 | 理系女子 | |
エントリーした社数 | 31.4 | 17.1 | 32.7 | 21.2 |
エントリーシート提出社数 | 20.3(100) | 12.3(100) | 20.9(100) | 15.0(100) |
エントリーシート通過社数 | 13.6(67) | 8.4(68) | 13.2(63) | 9.4(63) |
面接受験社数(WEB含む) | 11.5(57) | 7.1(58) | 11.4(55) | 8.0(53) |
内々定の数 | 2.4(12) | 2.1(17) | 2.4(11) | 2.3(15) |
引用:マイナビ2022年卒 学生就職モニター調査8月の活動状況
※( )内の数値はエントリーシート提出社数を100とした場合の数値
この数字を見る限り、文系学生のエントリー数が多いですが、学業が比較的忙しい理系よりも就活を活発におこない、内定後も活動を継続する人が多いことがうかがわれます。
また、理系の学生は一般応募だけでなく、学校推薦や教授推薦を通じて就職するケースもあり、文系よりもエントリー数が少なくなっている事態も考慮する必要があります。
内々定の数字をみるとESを仮に10社提出すれば、1〜2社から内々定をもらえると計算できます。
つまり、10社未満のエントリー数では内々定をゲットできないリスクが高まることが、このデータから推定できるわけです。
2.エントリーが多い・少ないのメリット・デメリット
ここでエントリーが多い場合のメリットとデメリット、少ない場合のメリット・デメリットを事前に知っておいたほうがいいと思うので紹介しておきます。
下表がそれぞれのケースのザックリとしたメリット・デメリットです。
メリット | デメリット | |
エントリーが多い場合 | ・視野が広がりやすい ・落ちても手持ち駒があるので安心できる ・想定していなかった企業とマッチングする可能性がある | ・スケジュールが煩雑になる ・1社ごとの対策時間が減る |
エントリーが少ない場合 | 1社にかけられるエネルギー量が大きい | ・自分の可能性を狭める確率が高くなる ・手持ち駒がなくなった場合に焦る |
簡単に説明しておくと、エントリー社数が多い場合は当然のごとく視野が広がりますよね。
学生までは高々、両親の職業やアルバイト先の業態ぐらいしかわからないはずです。
そんな中でインターンや会社説明会などの就活イベントに積極的に参加すれば、「こんな業界があるとは思わなかった」「自分には向いてないと思ってたけど、案外この仕事に興味がある…」といった新たな出会いに遭遇する確率も高まります。
加えて、1社落ちてもまだ残りの駒があるので大丈夫といった安心感を得られるのもメリットの1つですね。
一方で、あまりにもエントリー数が多いと、会社説明会がダブルブッキングになったり、過密スケジュールで心身困憊の状態に陥り、集中力も失われるかもしれません。
就活は新しいことばかりで疲れやすいイベントでもあるため、自分に適したエントリー数を見定めることが肝心です。
次にエントリー数が少ない場合はどうでしょう?
当然、自分に向いているかもしれない適職に出会えるチャンスが少なくなりますし、仮に不合格の連続で手持ちがなくなった場合、焦ってエントリーし直さないといけないので精神衛生的に良くないですね。
ただし、選考のための企業分析やES作成、面接練習など1社に充当できるエネルギーが大きいので、内定確度がより高まるのがメリットだと言えますね。
いま述べたようなメリット・デメリットを参考にして、自分がプレッシャーに強いのか弱いのかなどのメンタル要素を加味したうえで、精神的に居心地のいいエントリー社数を決めたほうがいいですね。
3.エントリーすべきかどうか迷ったときの基準
エントリーをどの企業にするか決めるときに、自分の中に基準がなければ、やたらと迷いが生じます。
逆に一定の基準さえあれば、効率的に取捨選択ができるものです。
ここでは取捨選択するためのヒントを3つ紹介しますので、エントリーするさいの参考にしてくださいね。
①プレエントリーする企業数を決める
まずプレエントリーする企業の数をあらかじめ決めておくことです。
アレもコレもと手を広げ過ぎて無制限にエントリーすると、「気付けば100社」なんてこともあります。
仮に100社エントリーしてもすべての企業にESを提出するのは骨が折れますし、説明会のスケジュールを管理するのも煩雑すぎます。
目安としては、先ほどのデータでもありましたが文系であれば30社、理系であれば20社程度エントリーしておけば、平均的に2〜3社から内々定をもらえる計算になります。
なので、その前後の社数にエントリーしておけば大丈夫です。
1度に入社できるのは1社だけなので、5社や10社から内定をもらっても意味がありません。
「内定がもらえなかったらどうしよう」といった不安は理解できますが、自分のキャパを超えたエントリーは逆に集中力が散漫になり、エネルギーが分散しますので感心しません。
「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」ということわざも鉄砲という道具があっての話なので、生身の人間である私達には限界があることを心に留めて、予めプリエントリーする社数を決めておきたいものです。
➁エントリーしない業種を予め決めておく
次にエントリーしない業種を決め込んでおくというのも手です。
通常の場合、どこの業種にエントリーしようかというポジティブな視点でエントリーする会社を決めがちですが、会社情報やデータが少ない段階では判断に苦慮しますし、情報不足のためどうしても精度が落ちてしまいます。
逆に「この業種だけはイヤ」を明確にして、予め選択肢の中から排除しておくと、残りが可能性のある業種なのでスッキリします。
経験があると思うので理解してもらえるとは思いますが、「あれがイヤ」「これは嫌い」とネガティブに判断するのは結構イージーです。
この作業でかなり選択肢の幅が狭まりますし、その残りの業種が自分に向いている業種になりますので、むやみやたらと検索する手間が省けます。
「でも、業種ってどうやって絞ればいいんですか?」
業種一覧表(日本標準産業分類)という日本の業種が漏れなくダブりなく掲載されている資料があります。
この資料を使って「この業種は絶対にない」という業種を消し込んでいくわけです。
そうすると、あなたが興味のある業種群が自動的に浮き彫りになってきます。
あるいは、どうしても決められないという人は「〇、△、✖」という記号を付けておいて、「〇」の業種から優先的にエントリーするのもアリですね。
ポイントは比較的決めやすいネガティブな判断要素で業種を絞り込んでおくということです。
③エントリーしない職種を決めておく
最近、ちらほらジョブ型採用も耳にするようになりましたが、先ほどと同じように「嫌な職種」「絶対にやりたくない仕事」といった具合にネガティブな判断要素で決めておくことも一手です。
たとえば、「営業は絶対にやりたくない」とか、「1日中、部屋の中にいる事務は向いてない」など人によって色々嫌悪感を抱く職種があると思います。
これも厚生労働省が公表している職業分類表というデータを使って、これはあり得ないという職業を消し込んでいってください。
それ以外の職種があなたに向いている可能性があり、一気に職種を絞り込んでいくことができます。
日本の採用ではまだまだ「総合職」「一般職」のように大括りで採用しておいて入社後に配属するパターンが多いので、その場合は通用しませんが、この作業を完了させておくことで自分のやりたい仕事がおぼろげながら見えてくるので有益です。
4.ESを効率よく量産するためのコツ
複数社のESの提出期限が同じ日程で重なった場合、「そんなの無理、ムリ」とカオス状態になりますよね。
そのときに「えー、やっ!」とやっつけ仕事でESを提出すると、文章を読んだ人事に刺さらず見事に落選という悪循環を繰り返します。
そうならないためには、何と言っても「事前準備」が大切です。
何が起きても、どんなトラブルに巻き込まれても、既に準備さえしていれば落ち着いて物事に対処することができますね。
ことESに関してはだいたい出てくる設問は決まっていますので、予め文章を作成しておけば、ねじり鉢巻きで突貫工事をしなくても、涼しい顔で加筆訂正すればいいだけの話です。
たとえば、ESでよく出てくる設問は下記のとおりです。
【ESでよく出てくる設問例】
・自己PR ・学生時代に力を入れてきたこと ・あなたの強み・弱み ・学生時代の成功体験・挫折体験 ・志望動機 ・企業選びの軸・ポイント ・業界の現状への意見 ・将来のキャリア ・最近気になったニュース ・最近読んだ本と感想 |
これぐらいの設問の回答文章を準備しておけば、ESの8割はカバーできます。
あとは、その企業特有の設問の回答を考えればいいだけなので、非常に楽ですね。
ただし、気を付けなければいけない点が1つあります。
それは何かというと、ESの文章を準備したからといって、どの企業にも同じES文章を使いまわしてはいけないということです。
なぜなら、企業によって求める人物像が異なりますので同じES文章だと、ある企業には響くけど、他の企業には1ミリも刺さらないという現象が起きるからです。
したがって、求める人物像というのはだいたい数種類ですから、何パターンかの文章を作っておけば対応できるわけです。
各社が求める人物像は大きく下記の5つに分けられます。
①チャレンジ系(受け身でなく自ら考えチャレンジする力)
②柔軟系(状況に応じて柔軟に思考・行動する力)
③外向系(外に目を向け、新しいマーケットやビジネスを発見する力)
④チームワーク系(組織のアウトプットを最大化する力)
⑤アイディア系(従来の枠にとらわれず独自の発想ができる力)
この5つのパターンと先ほどの「ESによく出る設問例」をかけ合わせた文章を準備しておけば事足りるということですね。
作る際の注意点としては、それぞれの題材を変えるのもアリだし、そこまでエピソードがない場合でもそのエピソードの中にたとえば、チャレンジ要素はないか、アイディア要素はないかを探っていって、それにスポットを当て拡大させてアピールできると悩まなくて済みます。
何事も一気に作ろうとすると骨が折れるので、お尻に火がつくと動き出すタイプの人はエントリーの際に1つずつ作っていって貯めていき、徐々に転用可能な状態を作るほうが気が楽かもしれませんね。
5.エントリーの3つ注意点
最後にエントリーする前に注意してほしいことが3つありますので、それを解説して本記事を締めくくりたいと思います。
①エントリー数をあまり気にし過ぎない
まず1つ目はエントリー数にあまり神経質にならないということです。
エントリーはあくまでも手段です。
就活の目的は「あなたにピッタリの会社から内定をゲットすること」ですよね。
なので、入口のところでムダに労力を費やすのではなく、企業分析や自己分析、ES作成、面接練習など就活に必須の本質的なスキルにそのエネルギーを充ててほしいと思います。
先述のとおり、10社で大丈夫と思える人もいますし、50社エントリーしてもまだ心配というようにメンタルに個人差があることも否めません。
平均データをある程度目安にしながら、自分の居心地のいいエントリー社数を決めてほしいと思います。
②迷ったらエントリーしておく
迷うぐらいだったらエントリーしておくことをおすすめします。
なぜなら、エントリーさえしておけば、その会社の経営状況や採用情報が説明会などで入手でき、知識量が多くなると判断しやすくなるからです。
もちろん、企業情報が入れば、その会社の志望度が下がることもあります。
そうすれば、「早く知っててよかった」とESを出さなければいいだけなので、手間が省けてかなりレバレッジが高いですよね。
③大手ばかりを選び過ぎない
就活生のなかには大手や有名企業ばかりにエントリーする学生もいます。
ご存じのとおり、そのような企業は人気がありますので、競争倍率もかなり高くなります。
そうなると当然、不合格になる確率も高くなるわけです。
結果として、持ち駒がすべてなくなって振出しに戻るという恐れがありますので、大手ばかりでなく、リスク分散という形で中小企業にもエントリーしておいたほうがいいでしょう。
日本では知名度はないけど、世界に誇る独自技術を保有していたり、世界でトップシェアを誇る中小企業もあります。
このあたりの具体的な見つけ方は【就活生必見】就活で優良中小企業を発見する10個の方法で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
以上がエントリーの際に気を付けてほしい3つの注意点です。
本記事があなたの就活のお役に立てれば幸いです。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。