【語学資格】HSK・中国語検定を就活に活かすなら何級?

【語学資格】HSK・中国語検定を就活に活かすなら何級?

2022年6月25日更新

はじめに

「中国語検定とHSKって、どっちが就活に有利なの?」

 

「HSKは何級を取得すれば履歴書に書けるの?」

 

「そもそもHSKは就活でアピール材料になるの?」

 

など、中国語を就活のウリにしたい学生にとってはHSKの企業側の評価度を知りたいですよね。

 

本記事では以下のようなことが学べます。

 

・中国語検定とHSKはどちらが就活に有利なのか?

・中国語検定とHSKの違いは?

・中国語検定とHSKは何級を取得すれば履歴書に書けるのか?

・就職活動の書類選考後はスピーキングが重要

・中国語の資格が活かせる業種とは

 

10分ほどであなたの頭の中の疑問がクリアになりますので、最後までジックリとお読みくださいね。

1.なぜ中国語に需要があるの?

まず中国語検定か、HSKかを議論する前になぜ中国語が堪能な人材に需要があるのかを知っておくことが中国語の資格を取得する意味につながるので、確認しておきましょう。

 

理由は大きく2つあって、

 

①中国の市場規模が世界最大級だから

 

②中国語を話せる日本人材が少ないから

 

に集約できます。

 

1つずつ簡単に深堀り解説します。

 

①中国の市場規模が世界最大級だから

 

GDPが中国に抜かれ、日本が世界第3位に転落したと聞いて久しいです。

 

下記がIMFのデータに基づいた中国と日本のGDPの推移ですが、2010年を境に中国に逆転され、その後ドンドン差をつけられ、2022年現在は中国は日本のGDPの約4倍になると想定されています。

(出典)IMF – World Economic Outlook Databases (2022年4月版)

 

中国に進出している企業は帝国データバンクの調べでは2020年1月現在で1万3,646社で2012年の1万4 ,394社)からはコロナ禍の業績低迷や現地ローカルの賃金上昇により748社減少しています。

 

一方で、2021年のJETROの調査結果では今後1〜2年後の中国における事業展開の方向性は「拡大」と答えた企業が40.9%と前年(36.6%)から4.3%上昇するなど復調の兆しを見せています。

 

中国の市場経済は頭打ちと言われていますが、景気や経済成長の指標となるGDP世界第2位の中国はまだまだ魅力のある市場です。

 

そのため、中国市場に参入する目的で中国語人材を求めている企業が数多くあるというわけです。

 

②中国語を話せる日本人材が少ないから

 

日本社会全体で人材不足が叫ばれるなか、中国語スキルのある人材についてはもっと不足しています。

 

これは「英語」を中心とした学校教育の弊害でもありますが、急増する中国語需要に対応するために、社内で中国語講座を開いている企業も多くなっているほどです。

 

いずれにしても、中国に進出している日系企業は会社のトップに日本本社とツーカーの日本人を据えたいので、マネジメントを行う上で中国語ができる日本人の需要は大きいと言えます。

 

したがって、中国語でビジネスを行っている企業では「できることなら、入社時点で中国語を話せる人材を確保しておきたい」という思惑があるわけです。

2.中国語検定とHSKの違い

就活で中国検定とHSK(汉语水平考试:Hanyu Shuiping Kaoshiの略)はどちらが有利かを話す前に、まずはそれらの違いについて押さえておきましょう。

 

HSKは中国政府認定の資格試験で、世界118国と地域で実施され、世界的に認知度が高いので公的証明として活用できるのが特徴です。

 

一方で、中検(日本中国語検定)は日本独自の検定試験で、日本中国語検定協会という民間団体が実施している語学試験です。

 

HSKの試験は1〜6級(6級が最高レベル)まであり、リスニング、読解、作文の3つのパートに分かれてます。

 

HSKは中国語を用いたコミュニケーション能力の測定に特化しているため、実用的な中国語能力が求められます。

 

それに対して、中検は中国語の正確な知識を問う問題が多く出題され、日本語と中国語の相互能力が求められる試験です。

 

このように両者の試験で求められる能力が異なるため、一概に難易度を比較できませんが、日本中国語検定協会のホームページでは下図のような対比表が紹介されていますので、参考にしてみてください。

画像引用:日本中国語検定協会ホームページ

3.中検とHSKはどちらが就活で有利?

どちらの資格が就活に有利なのかですが、結論からいうと、

 

HSKの場合は中国圏の日系企業や外資系企業に、中検は日本にある日系企業の就職活動に有利です。

 

要は中国語圏で就職するならHSK、日本で就職するなら中検とすみ分けを行う必要があります。

 

なぜなら、中検は日本独自の試験で、日本人には馴染みが深いですが海外ではほとんど認知されていません。

 

逆にHSKは中国で作られた試験であるがゆえに、世界中で知られていますが日本ではほとんど馴染みがない資格といえます。

 

HSKに関しては日本の採用担当者でさえも知らない人が結構います。

 

なかにはHSKという言葉自体は聞いたことはあるけど、1級のほうがレベルが高いなんて勘違いをしている採用担当者もいるぐらいです。

 

なので、あなたが志望する企業の拠点によって中検のほうが有利に働くのか、HSKのほうが評価されるのかが変わってきますので、資格勉強を始める前に必ずおさえておきましょう。

4.HSKは何級を取得すれば履歴書に書ける?

次にHSKを履歴書に書くのであれば何級から書けるのか、要は何級以上であれば企業側から評価されるのかということなんですが、4級以上で一定の評価がもらえるレベルですね。

 

先ほどの対比表を見てほしいのですが、中検で履歴書に書けるとしたら、英検と同じように3級以上ですよね。

 

したがって、中検3級以上のレベルに匹敵するHSK4級以上は欲しいところですね。

 

以下がHSKの公式ホームページに記載されている筆記試験のレベルを表す図ですが、この図をみてもビジネスで使えるレベルとなると4級以上が企業側として評価できるレベルということが理解できます。

 

レベル語彙量の目安
1級中国語の非常に簡単な単語とフレーズを理解、使用することができる。大学の第二外国語における第一年度前期履修程度。150語程度の基礎常用中国語及びそれに相応する文法知識
2級中国語を用いた簡単な日常会話を行うことができ、初級中国語優秀レベルに到達している。大学の第二外国語における第一年度履修程度。300語程度の基礎常用中国語及びそれに相応する文法知識
3級生活・学習・仕事などの場面で基本的なコミュニケーションをとることができ、中国旅行の際にも大部分のことに対応できる。600語程度の基礎常用中国語及びそれに相応する文法知識
4級中国語を用いて広範囲の話題について会話ができ、中国語を母国語とする相手と比較的流暢にコミュニケーションをとることができる。1200語程度の

常用中国語単語

5級中国語の新聞・雑誌を読んだり、中国語のテレビや映画を鑑賞することができ、中国語を用いて比較的整ったスピーチを行うことができる。2500語程度の

常用中国語単語

6級中国語の情報をスムーズに読んだり聞いたりすることができ、会話や文章により、自分の見解を流暢に表現することができる。5000語以上の

常用中国語単語

5.HSKの勉強法

これまでの情報を頭に入れたうえで、それでも「よしっ!! HSKの試験を受けるぞ」と考えたあなたにHSKの勉強方法を少し解説します。

 

まずHSKの1〜2級は「聞き取り」と「読解」の2パートで各100点満点の計200点満点の試験です。

 

また、3〜6級はこれに「作文」を含めた3パート構成で計300満点の配点になっています。

 

1〜4級の合格基準はいずれも得点率60%で、5〜6級は合格/不合格の判定がなく、成績証明書にTOEICのように点数のみが表記されます。

 

そんな中でHSKを効率的に攻略する方法はズバリ、過去問を解くことです。

 

読解のパートは日本人にとって傾向と対策が分かっていれば、点数が稼げるパートと言えるでしょう。

 

問題はリスニングと作文のパートをどう攻略するか?

 

まずリスニングについては傾向と対策に慣れること、単語量を増やすこと、そして過去問をたくさん解き、解いたあとは放置しないことがポイントです。

 

放置しないというのは、解いた後に聞き取れなかったところや間違っていた原因を探り、「なぜ聞き取れなかったのか?」「なぜ間違っていたのか?」を明確にすることで同じ過ちを繰り返さないということです。

 

それを疎かにすると、漠然と聞き取れた、なんとなくこんな意味じゃないかなと曖昧なまま当てずっぽうで進んでいくことになり、再現性が極めて低くなります。

 

さらに、HSKのリスニングは問題量も多いため、時間内に解けなかったとしても割り切って次の問題に進むといったように、できるだけ時間内に解けるようにしていくことも大事ですね。

 

一方、作文については文法(語順)と単語力が必要になります。

 

入れ替え問題であれば、答えや解説がありますが、級が上がるにつれて文章を作ったり、字数制限があるなかで文章を作ったりする必要も出てきます。

 

できるだけネイティブの先生にチェックしてもらいながら、添削指導をしてもらえたら最高ですね。

 

正しい語順で中国語を書く練習は日本人学習者にとって最もトレーニングが必要な分野ですからね。

6.就活では書類選考後、スピーキングも超重要

就職活動では書類選考を突破すると必ず面接があります。

 

特に中国語を話せる学生が欲しい会社では中国語の筆記試験もあるかもしれませんが、面接で突然、

 

「あなたの志望動機を中国語で話してください」

 

と言われる場面も想定しておかなくちゃいけません。

 

いきなりのリクエストで頭がパニくって、シドロモドロになることがないように事前の練習と心構えが大切ですね。

 

企業が中国語のスキルにニーズがあるということは、中国語を使う業務があるということです。

 

翻訳はもちろんのこと、時には通訳する場面に出くわすこともあるでしょう、

 

「読み書きはできるけど、話す聞くは難しい」という人は、筆記試験を勉強するのと同時に実際に話したり、聞いたりすることができるように準備しておきましょう。

 

特に就活では資格に目が行きがちですが、HSKの試験内容にないスピーキングについても注視しておくことが大切です。

7.中国語の資格はどんな業種で活かせる?

最後に中国語の資格はどんな業種で活かせるのかですが、

 

・商社

・海外インフラ系

・海外にシステム構築を受発注しているIT会社

・中国からの輸入を取り扱う貿易会社

・輸入にかかわる物流会社

・旅行会社やツアーガイド

・大学などでの留学生対応窓口

・海外に拠点を持っているリサーチ会社

 

などがパッと思いつく業界ですね。

 

でも、意外と会話する仕事って多くはありません。

 

日本では中国語の文章を読み書きする仕事のほうが圧倒的に多く、書類など中国語を読めればOKというケースもあります。

 

でも、「読む、書く、聞く、話す」のスキルをその会社が一体どのレベルを求めているのかって、わからないですよね。

 

そういう場合は、求人票で確認したり、会社説明会やOB・OG訪問などで直接質問して求めるレベルをリサーチしておくとよいでしょう。

おわりに

こういうことを言って幻滅させると申し訳ないのですが、これが現実なので最後に申し添えておきます。

 

実は中国圏の会社の仕事では中国語ができる日本人より、日本語ができる中国人のほうが有益なんですよ。

 

中国人のほうが特殊な商習慣や文化を知っていますので、言葉以外に重宝する場面が多々あります。

 

私が中国の工場立ち上げで現地採用を行った際にも日本に留学したことのある中国人を通訳として雇っていました。

 

その時に採用で日本では聞きなれない被面接者の受け答えがあった場合には必ずその通訳の中国人にその真意について確認していたほどです。

 

なぜなら、中国語がいくら話せても、中国のバックグラウンドがない日本人では到底知りえないブラックボックスの部分があるからです。

 

したがって、企業が新卒を採用する際は中国語に関して完璧を求める企業はありません。

 

これから伸びそうだとか、将来的に会社の屋台骨を支えてくれそうな人材を採用するわけです。

 

もちろん、語学力に対する評価もありますが、「HSK4級を取得」という資格習得を行った努力自体がやる気と行動力を示す裏付けになり、そこが評価されている部分もあります。

 

逆をいうと、中国語ができるから採用するというわけでもないのです。

 

そういう意味では、中国語+αがアピールできると鬼に金棒で内定確度が高まります。

 

たとえば、中国語以外にITリテラシーが高いとか、人をまとめる力があるとか、デュアル・スキルをアピールできれば付加価値がさらに高くなります。

 

中国語だけだとライバルはたくさんいますが、その他の自分のパーソナルスキルと組み合わされば唯一無二の存在になれますので、自分の中国語以外のスキルを棚卸しして加点要素を増やしていきましょう。

 

この記事があなたの就活のお役に立てれば幸いです。

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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監修者情報

近藤明弘

キャリアアドバイザー

株式会社ニトリに新卒入社。
個人売率ランキングでは全国で10位に入賞するなど、多くの成果を生み出してきた。 2021年より株式会社ナイモノにジョイン。 リクルーティングアドバイザー(RA)とキャリアアドバイザー(CA)の経験を持ち、現在はCAとして急成長中。