【見本文面あり】内定承諾後の辞退を円満に受け入れてもらう方法

【見本文面あり】内定承諾後の辞退を円満に受け入れてもらう方法

2021年12月16日更新

はじめに

ある会社の内定承諾後に第1志望の企業から内定が出た、あるいは入社しようと一旦決めたんだけど納得が行かずに内定を辞退したいというケースがありますよね。

 

「マイナビ 2021年卒 企業新卒内定状況調査」では「内定辞退者が3割以上いる」と答えた会社は全体の43.8%という調査結果が報告されています。

 

つまり、4割以上の会社で内定辞退者が3割以上いるのが実態です。

 

とはいっても、内定を辞退する場合、

 

「内定承諾後の辞退って、どう伝えればいいの?」

「承諾書提出後の辞退は法的に訴えられることなどはあるの?」

「内定辞退の連絡は電話、それともメールでしたほうがいいの?」

 

といった疑問が頭に浮かぶと思います。

 

本記事では内定承諾後にどうやって辞退すればいいのかを例文付きで紹介します。

 

加えて、内定承諾後の辞退は法的に問題ないのか、辞退を伝えて問い詰められた場合などの対処法も併せて解説していきます。

1.内定承諾後の辞退は可能なのか?

結論からいうと、法的には内定承諾後の辞退は可能です。

ただし、信義則上の問題が残りますので、法的な側面と信義則の側面に分けて解説してきます。

 

 

1-1.法的な側面

法的な側面でいうと2つの法律に守られているので、内定承諾後の辞退は直ちに違法にはなりません

 

1つ目の法律が憲法です。憲法の中で職業選択の自由が謳われています。

 

「何人も公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」(憲法第22条)

 

この条文により職業選択の自由があり、企業が出した内定承諾書に学生がサインしても法的拘束力はありません。つまり、内定承諾後に辞退しても違法にはなりません。

 

 

2つ目の法律が民法です。

 

民法第627条に以下の記載があります。

 

「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者はいつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は解約の申し入れから二週間を経過することによって終了する」(民法627条)

 

民法627条では期間の定めがない雇用の場合、いつでも解約の申し入れができるとしています。解約の申し入れから2週間経つと契約が終了します。

 

この取り扱いは基本的に入社後の社員を想定していますが、内定者にも類推適用されます。

 

つまり、入社日の2週間より以前に連絡すれば、いつでも内定を辞退することが可能です。

 

したがって、遅くとも入社日の2週間以上前までには辞退の旨を相手企業へ通告して下さい。

 

以上、2つの法的根拠により内定承諾後も辞退は可能となります。

 

 

1-2.信義則の側面

次に「信義則の側面」から考えていきます。

 

信義則とは何かというと、社会は人々の「信頼」に基づいて成り立っているのだから、当事者たちは相手方のもつ「信頼」を裏切らないように行動しなければならないという精神です。

 

要は企業とあなたで内定承諾書を交わしたのだから、その信頼を裏切らない=約束したどおりに入社するということが原則になります。

 

企業側も採用に人件費や広告費を含め多大な経費をかけていますし、内定承諾書を交わした後もあなたが入社してくることを信頼して、研修や配属などの準備に多大な労力をかけています。

 

加えて、あなたに内定を出したために他の学生が不合格になっています。

 

企業側もあなたが内定を辞退した後に改めて採用活動を行うとなると、既に就活が終盤に差し掛かり、いい学生が取れないという状況も否めません。

 

あなたの行為により、それだけ企業側に迷惑をかけているという認識を持つ必要があります。

 

なので、「法的に守られてるからいいじゃん!」という態度ではなく、あくまでも相手の信頼を損ねたわけですから、辞退する際は心から謝罪するというスタンスで臨んで下さい。

 

あなたの行動1つで後輩の選考に影響が出るかもしれませんし、学校推薦などの撤廃にもなりかねません。

 

そのような事態も勘案して、内定承諾後の辞退を検討して欲しいと思います。

2.内定辞退をどのように伝えたらいいか?

ここでは企業側への内定辞退の伝え方を解説します。

 

まずどのような連絡手段で企業側に内定辞退を伝えるべきか迷うと思いますが、下記のステップに沿って下さい。

 

 

ステップ1:電話で内定辞退を伝える必須

ステップ2:メールで内定辞退を伝える必須

ステップ3:手紙で内定辞退を伝える任意

 

各ステップの目的と伝え方を例文を含め紹介していきます。

 

 

2-1.電話編

ステップ1として、まずは内定辞退を電話で連絡して下さい。

なぜかというと、少しでも早く相手に伝える手段として最適だからです。

 

悪い情報はできるだけ早く相手に伝えるというのがビジネスの鉄則です。

 

なので、電話で下記のようにまず一報を入れて下さい。

 

 

就活生:「お世話になります。私は◯◯大学◯◯学部4年の鈴木と申します。内定をいただいた件について、ご相談なのですが、採用担当の△△様はいらっしゃいますでしょうか?」

人 事:「私ですが、鈴木君お久しぶり。どうしました?」

就活生:「ただいま、お時間よろしいでしょうか?」

人 事:「はい、大丈夫ですが…」

就活生:「先日、内定承諾書を提出したのですが、今後のキャリアを今一度冷静に考えた結果、内定を辞退させていただきたくご連絡申し上げました。」

人 事:「えっ!本当に?鈴木君は当社としてもかなり評価していて、ぜひ入社してもらいたい人材だと考えていたのですが…差し支えなければ、内定を辞退する理由を伺っても良いですか?」

就活生:「はい、他に選考を受けている企業からご縁があって内定をいただくことになりました。私が本当にやりたいことや、将来について慎重に考えた結果、そちらの企業に入社したい気持ちが日増しに強くなり、そちらの会社でお世話になることを決意しました。」

人 事:「そうなんですね。後悔しませんか?」

就活生:「はい。」

人 事:「わかりました。ぜひ一緒に働きたかったので本当に残念ですけど、色々と考えた末の鈴木君の決断だと思うので尊重します。」

就活生:「ありがとうございます。本来ならば直接伺って辞退をお伝えすべきなのですが、取り急ぎお電話にてご報告させていただきました。本当に私に内定を出して頂き感謝していますし、このような決断をしたことに対して心苦しく、申し訳ない気持ちで一杯です。」

人 事:「鈴木君の思いは十分に伝わりました。上の者には私の方から報告しておきますので、お越しいただく必要はございません。他社へ就職しても頑張って下さいね。」

就活生:「ありがとうございます。改めて、内定をいただいたにも関わらず辞退する結果となり、大変申し訳ございませんでした。それでは、失礼致します。」

 

この会話のポイントとしては、

 

 

①内定辞退の旨を伝える

➁内定辞退の理由を伝える

③内定出しに対する感謝を伝える

➃内定辞退の謝罪を行う

 

の順番で、それぞれのポイントを踏み外さないことです。

 

また、電話越しでも声のトーンで相手への誠意の伝わり方は変わります。

実際に自分の目の前に人事担当者がいると思って、見えなくても電話越しで頭を下げて謝罪するようにしましょう。

 

 

2-2.メール編

電話を一報入れた後は必ずメールで同様の内容を配信して下さい。

理由は後になって「言った、言わなかった」というトラブルを避けるために送信記録が残るメールを送った方がいいからです。

 

以下が例文です。

 

 

【件名】【内定辞退のご連絡】◯◯大学◯◯学部 鈴木一郎

◯◯株式会社

新卒採用担当 田中様

お世話になります。

◯◯大学◯◯学部4年の鈴木一郎と申します。

先日、お電話でもご連絡差し上げましたとおり、先般、内定承諾書を提出致しましたが、将来の自分のキャリアを冷静に再考した結果、内定を辞退させて頂きたく考えております。

理由は他に選考を進めていた企業から内定を頂き、そちらの企業への入社を決意したためです。

本来ならば、直接お伺いしてお伝えすべきではございますが、メールでのご連絡となりましたことをご了承いただけますと幸甚です。

就職活動を通じて、貴社社員の皆様よりお伺いさせていただきましたお話は、非常に有意義なものでした。

加えて、内定を頂いたことに関しても深く感謝しています。

改めまして、御礼申し上げますとともに、内定辞退となってしまったことをお詫び申し上げます。

今後も貴社のさらなるご発展を心よりお祈り申し上げます。

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鈴木 一郎 / Ichro Suzuki

◯◯大学 ◯◯学部 ◯◯学科 4年

Tel:090-xxxx-xxxx

Mail:Ichiro-Suzuki@XXXX.com

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2-3.手紙編

最近のビジネス慣行であれば、メールが手紙の代替として使用されますので、わざわざ手紙まで書く必要はありません。

 

ただし、法的に揉めそうだと不安に感じるのであれば、「簡易書留」など配達記録が残る手紙を送っておくと証拠になるので賢明です。

 

以下が手紙の見本です。

 

 

株式会社〇〇 人事部 採用課 御中

拝啓 貴社益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。

〇〇大学の鈴木一郎と申します。

この度は、貴社の内定を頂き、誠にありがとうございました。

私にとっては誠に光栄なお話であり、内定承諾書も提出したところでございます。

しかしながら、他に受けていた会社から内定を頂き、私の将来のキャリアも含め熟考した結果、大変に非常識でありますが、今回の内定については辞退させて頂きたいと考えています。

貴社の皆様にはお時間を割いて選考を実施頂いたにも関わらず、期待に添えず、申し訳ない気持ちで一杯です。

誠に無礼だと存じますが、何卒ご容赦頂ければ幸甚です。

今後も貴社のさらなるご発展を心よりお祈り申し上げます。

                              敬 具

                   令和〇〇年〇月〇日

                   〇〇大学 経済学部4年 鈴木 一郎

 

昨今のビジネスはメールでのやりとりが主流のため、手書きの手紙はより誠意が伝わることを申し添えておきます。

3.シチュエーション別の対処法

ここでは内定辞退に関するシチュエーション別の対処法を解説していきます。

 

シチュエーションは、

 

 

1.問い詰められた場合

2.罵倒された場合

3.損害賠償をちらつかせてきた場合

 

の3パターンです。

 

 

3-1.問い詰められた場合

まずは「どこの会社から内定が出たの?内定承諾書を先に出してるのだから、その内定を断ってウチに入社して下さい。」と問い詰められた場合の対処法です。

 

まず覚えておいて欲しいことは、前述のとおり内定承諾書を出したからと言って、法的には入社する必要はないということです。

 

相手の会社名を問われても、答える義務は全くありません

 

本来であれば、辞退する旨の連絡だけでいいのですが、人事としても上長に理由を説明しないといけないことを考慮して、端的に理由だけを伝えればOKです。

 

問い詰められても毅然とした態度であなたの意思を貫き通して下さい。

 

 

3-2.罵倒された場合

次に「ふざけんな!君の内定を出すまでに、当社がいくらのお金と労力をつぎ込んだと思ってるんだよ!すぐに相手先の内定を断れ!」と罵倒された場合の対処法です。

 

罵倒された場合の対処法は権威を使うということです。

 

たとえば、大学のキャリアセンターや労働基準監督署など、権威のある組織の名前を出して下さい。

 

「わかりました。それでは、いまお聞きした内容をそのまま大学のキャリアセンターにお伝えして、どうするかを後日連絡させてもらいますがよろしいでしょうか?」

 

と切り返して下さい。

 

すると、このような人は権威に弱いですから、「これはマズい。手を引くか…」となり、「じゃ、もういいよ。」と急に応対が軟化します。

 

もし、それでも相手が引かない場合は、本当にキャリアセンターに相談してみて下さい。

 

ちなみに労働基準監督署は最後の砦という捉え方でOKです。

 

 

3-3.損害賠償をちらつかせてきた場合

次に損害賠償をちらつかせてきた場合の対処法です。

 

「君に内定出しするまで、いくらお金を使ってると思ってるの?しかも、内定承諾 書を出してるよね。もし、内定を辞退するんだったら、損害賠償してもらうけど、それでもいい?」と言われた場合、どう対処しますか?

 

過去の判例から見て損害賠償が妥当と判断されるケースは、入社を前提に社費で海外留学するといった一般的な入社準備を超える多額の損害が発生した場合や、サイレント辞退によって学生側が故意に損害を与えた場合など、非常に限定的です。

 

ちなみに、受け入れのためにコストがかかった場合でも、パソコンや机、椅子等の事務用品はあなた以外にも使用できる物であり、会社側に実損が出てはいないことになります。

また、受け入れ準備に社員が動いた場合であっても、そもそもその社員は月給制なので、同じように実損はありません

 

加えて、学生を相手取った損害賠償が世間で明るみになり、次年度以降の採用活動が不利になるような損害賠償の訴訟を企業側が起こすことはまずありません。

 

以上のような予備知識があると、毅然とした態度で臨めると思います。

 

相手にそのような言動があった場合、「判例では…」と切り出して理路整然と上述の文章を伝えて下さい。

 

そうすると相手は「知ってるのか。これ以上、突っ込めないな。」となり、必ず引きます。

 

それでも引かない場合は先述のとおり、大学のキャリアセンターなどに相談してください。

まとめ

憲法の職業選択の自由や民法第627条により、法的には内定承諾後も辞退は可能です。

 

しかし、信義則上、辞退についてまずは内定をもらったことに感謝し、あなたの決意により相手に多大な迷惑をかけているので丁寧に謝罪することが大切です。

 

世間は狭いですから、いつなんどきその相手と仕事が一緒になるかわかりません。その時に内定辞退時の印象がよければ、気持ちよく協働できますね。

 

ぜひ今回の記事を参考に内定辞退を円満に受け入れてもらえるようにしましょう!

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就活ハンドブック編集部

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