新卒採用のルールとは?採用早期化の歴史と今後のルール改定
2020年7月25日更新
はじめに
日本の「就活ルール」の歴史をご存じでしょうか。
数十年前に初めて定められた「就活協定」から、
度重なる採用活動の早期化によって、繰り返しルール改定が行われてきました。
そして、現在の社会状況の影響により、
22卒以降の新卒採用における就活ルールは新たな方向へ進んでいくことが予想されます。
本記事では、新卒採用での「就活ルール」の歴史を振り返りつつ、今後どのような変化が起こるのか、詳しく解説していきます。
1.新卒採用「就活ルール」の歴史
3月1日に行われる「クリック戦争」、
6月1日から数週間に渡り行われる怒涛の面接。
これら「解禁日」は、今から遡る事67年前、
1953年に始まった「就活協定」によって定められました。
具体的には、
・広報解禁日:大学3年次の3月
・選考解禁日:大学4年次の6月
・内定解禁日:大学4年次の10月
となっていました。
しかし、この時から既に水面下では早期選考を行う企業が複数存在。
それを食い止めるため、何度も「就活協定」の改訂が行われましたが、
効果は薄く、採用の早期化は進む一方でした。
そして、1997年卒採用を最後に、
「就職協定」は廃止が決定されました。
同時に、大学と企業の間で「正式内定日は卒業年度10月以降とする」とした「倫理憲章」が定められました。
採用活動の早期化に歯止めをかける目的でしたが、
「採用選考活動の早期開始は自粛する」など、
抽象的な記載に留まったため、
この時も特に効果が出ることはありませんでした。
しかし数年後、ついに変化が訪れます。
2003年、経団連が「倫理憲章」に
「卒業学年に達しない学生に対して、面接など実質的な選考活動を行うことは厳かに慎む」
という文を加え、
更に、この記述に賛同した企業から署名を集め、
「倫理憲章の趣旨実現を目指す共同宣言」を発表しました。
これに伴い、多くの企業が卒業年度の4月からのみ
選考を開始するようになりました。
また数年が経ち、2013年、政府から
「学生が勉強に集中できる期間を確保するために、就活時期を繰り下げるように」
という要請が発表されました。
これを受け、経団連は「採用選考に関する指針」を発表。
この指針が定める採用スケジュールは、
1953年の「就活協定」によって定められていたものと同様で、
・広報解禁日:大学3年次の3月
・選考解禁日:大学4年次の6月
・内定解禁日:大学4年次の10月
となっていました。
しかしこの就活ルールも2018年に廃止が決定し、
2021年以降は、政府が経団連に変わって新たなルールを制定することに決まりました。
現状、2021年卒/2022年卒に関して、政府は「現行ルールを適用する方針」を決めており、
拘束力は強くないものの、上記の日程が依然として新卒採用の「就活ルール」として定められています。
2.新型コロナウイルスで新卒採用ルールがどのように変化するか
現在の社会状況を受けて、
「売り手市場」だった新卒採用に変化が起こっています。
大学卒業者の求人倍率の発表が6月末に延期され、
新卒採用を中断、もしくは中止する企業が現れるなど、影響は様々です。
株式会社ディスコは、2020年3月26日から30日にかけて
全国の主要企業13,920社を対象に実施し、864社から回答を得た緊急企業調査「新型コロナウイルス感染拡大による採用活への影響」実施。
それによると、
「新型コロナウイルス感染拡大による採用活動への影響」を問う設問では、
「かなり影響がある」が46.3%、
「やや影響がある」が42.2%に上っており、
合わせて約9割の企業に影響が及んでいることが伺えます。
この状況を受け、新卒採用の早期化を食い止めようとしていた経団連が、
「採用直結型のインターンシップの容認」や
「時期を決めない通年採用を推奨する」などと発表し、
これまでの方針を改める姿勢を見せました。
また、企業側は、対面での採用活動が困難になったからと言って延期や見送りにしてしまうのではなく、
コロナウイルス感染拡大による影響の長期化を考慮し、
可能な限りオンラインでの採用活動を行う必要があると考えられます。
このように、
コロナウイルス感染拡大の影響によって、
これまでの就職活動が根本的に見直され始めています。
従来の就活ルールに捕らわれることなく、
企業側と学生側にとって最適な採用活動がどのようなものなのかを考える
きっかけになっているのではないでしょうか。
3. 学生は何を求めているのか
一方で、Nikkei Style U22が行ったアンケートによると、
学生側にとって最も望ましい採用ルールは「新卒一括採用と通年採用の併用」でした。
通年採用では、
現行の就活ルール以上に学業や学校生活への影響が懸念されるという声が目立ちました。
(引用:Nikkei Style U22『学生の4割「通年採用望まない」採用の自由化に不安』)
おわりに
現在の社会状況をきっかけに、
新卒採用における就活ルールが変化していくということが、わかって頂けたでしょうか。
従来の就活ルールから離れ、
現状に最適なルールが新しく制定される日もそう遠くはないかもしれません。
学生の意見をきちんと取り入れつつ、
企業側が納得のいく採用活動が行えるような就活ルールが制定されるよう、願っています。
監修:曽和利光(そわとしみつ)
人事コンサルティング会社、人材研究所代表。リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。
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