ジョーカツサロンで就活生の疑問に寄り添う【曽和さん質問会レポート②後半】
はじめに
こんにちは!
先日開催されたジョーカツサロンの曽和さん質問会のレポートの【後半】になります。【前半】をご覧になっていない方は、ぜひそちらも合わせてお読みください!
本記事では、「学生からの質問」と「曽和さんの返答」を合わせてお伝えいたします。
本題に先立って、まずは登壇者、曽和利光氏についてご紹介していきたいと思います!
株式会社人材研究所代表取締役社長
曽和 利光
株式会社リクルート人事部にて採用・教育・制度・組織開発等の担当、HC(Human Capital)ソリューショングループでの組織人事コンサルタントを経て、人事部採用グループのゼネラルマネジャーとして最終面接官等を担当。その後、ライフネット生命保険総務部長、オープンハウス組織開発本部長など、ベンチャー企業の人事責任者を経て、2011年に株式会社人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)を設立。現在、リクナビ、日経新聞、労政時報等で人事や採用に関する記事を連載中。
曽和さんはいわば人事のスペシャリスト。そんな曽和さんに直に質問をぶつけられる機会はなかなかありません。
早速その様子をみていきましょう!
- はじめに
- 1.学歴で切ることはない、とにかく行動量を増やす
- 2.ジョブ型採用、今後は増加傾向
- 3.一番優秀な学生は既に世に出ている
- 4.人事は一緒に働きたいという個人的観点を持たない
- 5.サイバーエージェントの採用の凄さは、本気度
- 6.早熟な人はサマーインターンで強い
- 7.自分が学生だったら
- 8.成長度合いは企業規模だけで分かれるものではない
- 9.企業選び、上司との関係も見る
- 10.今からでも情緒発達の努力を
- 11.地方は宝の山
- 12.本当に「軸」はないのか?再確認すべし
- 13.4つの質問、短く応えていきます
- 14.筆硯動画あり!入社してもらいたい人の特徴は
- 15.ポートフォリオ採用で多様性を実現
- 16.誰かの期待に応えようとすることで力の発揮を
- おわりに
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1.学歴で切ることはない、とにかく行動量を増やす
「学歴がありません(仮に偏差値50以下)。実際にリクルートには学歴がない人が入っていましたか?」
大学の偏差値による足切りはなく、適性検査の偏差値での足切りは明確にありました。
今は超人気企業であれば応募者が多過ぎて、ある一定の判断基準で足切りを設けなくてはならないという状況もあり得るかもしれません。
ただ、学歴だけで切るなんてことはほとんどないと言ってしまっていいのではないでしょうか。
いわゆる大学にブランドがないという悩みがあるならば、「その他大勢から始まる就活」をしないほうがいいと思います。つまり、OBOG訪問やインターンシップを利用して、志望企業にアプローチすることも重要だと思います。
実際には日本のトップレベルのメーカーなどでも、画一的な大学ブランドで揃えたくないとおっしゃっている人事部長の方などもお会いしたことがあるので、大学フィルターはそれほどないと思っていいのかもしれません。
2.ジョブ型採用、今後は増加傾向
「ジョブ型採用のイメージがいまいち湧きません。新卒フリーランスが増えるというようなことでしょうか?」
相対的に増えるか増えないか、と言えば、増えると思います。
個人個人でスキルベースで働くことが好まれる傾向になっていくのであれば、それに伴って需給の関係のようにジョブ型採用も増えていくでしょう。優秀な人がどういう働き方を好んでいくのかというところがポイントです。
しかし、今のメンバーシップ型採用が一気にがらりとジョブ型採用に変わることは考えにくいというのが私の意見です。
3.一番優秀な学生は既に世に出ている
「今まで曽和さんが見てきた中で、一番優秀な新卒の学生はどんな人でしょうか?」
私は膨大な数の人間を見てきているので、その中で優秀と言われると、すでに世に出ているような方です。今でも学生から見ればスーパースター的な要素を持った漫画編集者やオリンピック選手など、突出した特徴がある方だと思います。私の守備範囲がかなり広いので、学生さんに採って特殊な回答ができないかもしれません。
4.人事は一緒に働きたいという個人的観点を持たない
「曽和さんが一緒に働きたいと思う人間にはどのような特徴がありますか?」
質問にダイレクトに答えられていないのは申し訳ないのですが、人事は自分と一緒に働きたいかどうかという観点を個人的には持ちません。なぜなら、類似性効果などが影響して自分自身の再生産になってしまう懸念があったり、ダイバーシティの実現を妨げたりしまう可能性があるからです。
一つ回答をするのであれば、「いいやつ」だと思います。「いいやつ」というのは志望動機が善の人です。逆にリクルート時代絶対に会社に入れるなと言われていたのは、「めちゃくちゃ頭のいい、悪いやつ」でした。人を裏切ったりするようなことをする悪は好まれないでしょう。
5.サイバーエージェントの採用の凄さは、本気度
「サイバーエージェントの採用のすごさを言語化するとどういうところにあるのでしょうか?」
本気度だと思います。やり方は他の企業とさほど変わらないのですが、その程度がすごいのです。学生への関わり度合いやフォローの仕方に本気を感じられるという意味ではサイバーエージェントの採用活動はすごいのではないかと考えています。
6.早熟な人はサマーインターンで強い
「サマーインターンで有力な人はどのような人でしょうか?」
早熟な人だと思います。他の学生が就活をしながら3年〜4年にかけて成長していく中で、情緒発達のスピードが比較的速い人はサマーインターンの段階で目立って見えるということが事実としてあると思います。
余談ですが、私の好みとしてはサマーインターンの時期にボーっとしてるくらいの人がちょうどいいと思っています(笑)。
確かに、早熟で根回しがうまくできる人は先読みができるし、強みはあるんですが、そのような人ばかりだと、会社は立ち行かなくなることがあると思います。結局、「自分は好きだからやってる」というようなモチベーションでやってるような人が窮地で力を発揮したり、長期的にお金が手に入ったりします。
あと、私は市場価値という言葉はあまり好きではないですが、新卒の人たちはどんな人になるかということを考える時、今自分のマーケットバリューが高くなりそうなところにいくのは一つの選択肢だと思います。
しかし、市場価値というものはかなり儚いものだとも思います。2000年近くのエンジニアのお給料の高騰はすごい勢いでしたが、今では結構コモディティ化(普通の商品化)していますよね。
8.成長度合いは企業規模だけで分かれるものではない
「成長の安定性を重視するなら大手、成長のスピードを求めるならベンチャーという印象があるのですが、何か判断基準はあるのでしょうか?」
成長性を考えるなら、企業規模で二分して考えるのではなく、企業が成長中なのか、変革中なのか、停滞中なのかという3種類で考えるといいのではないかと思います。
停滞中の企業はやめておくとして、成長中の企業はどんな企業かを考えましょう。
成長中の企業というのは、ビジネスモデルがビシッと決まっていて、ファイナンスがついていて、広告がしっかり打ち出せている状態だと思います。この時のベンチャーの仕事にはクリエイティビティがあるかどうか考えるとそうではないかもしれません。この時は、よそ見せず一つのビジネスモデルをルーティンワークでとにかく広めていく時期だと思います。
変革中の会社はいろんなことを試していて、創造性が求められる仕事が多いかもしれません。とにかく成長中のステージでは会社でもシェアを広げるためにルーティンワークが多いかもしれないし、変革中であればクリエイティビティが求められるかもしれません。
そう言った観点では、企業規模は全く問題でなく、しっかりとその企業が成長中なのか、変革中なのか、というステージを見極めることが大切になってくると思います。
9.企業選び、上司との関係も見る
「企業選びで悩んでいます。適材適所なのか、できる人はどこにいてもできるのか、曽和さんのお考えを伺いたいです。父親には、できるやつはどんな企業に入ってもできると言われます。」
実は実力の発揮には仕事との相性よりも、上司との相性が大事であるということです。中小企業ではある程度一緒に働きたい上司の人のことをわかった上で入社できるかもしれませんが、大企業だと入社後の環境が読みにくいですよね。
「できるやつはどんなところでもできる」というのは正直言い切れないとも思います。四半世紀くらいを見ていれば、キャリアの中で苦しんだことのない人はいないと思います。少なくとも自分は見たことがないです。
10.今からでも情緒発達の努力を
「情緒発達の観点で成熟していないと入りたい企業に入れないのではないかと判断した場合、留年するのはありでしょうか?」
今のご時世では、留年しないほうがいいでしょう。コロナの影響は2,3年続くと予想されるので、成熟するまで待とうというような考えではなく、今からでも成熟しようとする努力をしたほうがいいと思います。
しかも、不景気のときは同期で入る人が少ないために競争が少なく、早く出世する人が多かったりします。また、不景気の時に採用活動している企業はしっかりとした強い会社であることは間違いないと思うので、今この時に就職を考えていくことが大切なのではないかと思います。
11.地方は宝の山
「地方学生と都会の学生はいい意味でも悪い意味でも何か違いを感じますか?」
感じます。求人倍率が上がり続けていて、就活生が強い時代が続いていました。このような時代では都心に早慶のようなボリュームのある大学があるので、地方にはあまり目がいかなかったのです。
しかし、今では企業側が地方学生を最後の宝の山のように捉えているのが現状です。実際に地方の採用拠点を設けている企業もあります。よく聞くキーワードとしては「地方国公立」で、新幹線の活用に着目して地方の学生に対して都心の企業が期待を寄せているという構図はしっかりと存在していると思います。
12.本当に「軸」はないのか?再確認すべし
「曽和さんは軸がなくてもよいというご意見でしょうか?企業選びの軸はどの企業にも聞かれるので用意しておいたほうが良いのでしょうか?」
軸というのは判断軸のことだと思いますが、そのような判断基準が無いと言っている人は本当に軸が無いのかということを考えてみるべきだと思います。
どのようにやればいいかといえば、何かしらの二項対立で企業を選んでいって、自分が選んだ企業にある共通点を客観的に判断するのは有効だと思います。好き嫌いのレベルで考えられているということは、そこに何かしらの判断軸があることは間違いないので、それを直感してみようとする努力をするのは必要かもしれません。
出てきた軸を、狭義でいって人や文化、成長性、自分の能力が生かせることなどに絞れるのであれば、さらに良いと思います。
13.4つの質問、短く応えていきます
実務型インターンの対策はオフィスワークのアルバイト
「実務型のインターンの練習は可能でしょうか?」
オフィスワークのアルバイトをしてみるといいのでは無いのでしょうか。学生は飲食などのアルバイトが多い気がしますが、実際にオフィスで働けるようなアルバイトをするといいと思います。
SPIの性格診断は迷わず直感で
「SPIで性格診断で迷った時の回答の仕方がわかりません。」
SPIの点数は大勢がどの問題にどのくらいの時間をかけるかという揺れまで加味して算出されるので、特に何も考えず直感で答えればいいと思います。
感覚で選んだ企業も必ず検証を
「企業を感覚で選ぶのはよくないですか?よくないのであれば理由も伺いたいです。」
よくないことはないです。しかし、感覚で選んだものには様々な心理的なバイアスがかかっていたりします。そこで勝手に本質とは違う意味づけをしてしまっている時が一番怖いし、入った後きついですから、検証はするべきだと思います。
最後まで理屈や理論に基づいて説明しないまま、検証する努力をせずに感覚で進んでしまうのはリスクがあると思います。
読書で能力を伸ばそう
「能力は変わらないということですが、能力を伸ばすためにできることはありますか?」
行動や情緒に比べれば、変わりにくいというだけで、新卒の方々の能力はまだまだ伸びます。やり方としては本読むことはおすすめしたいです。デジタルでもテキストでもいいと思いますが、個人的にはテキストの方が情報量が多い気がしています。
14.筆硯動画あり!入社してもらいたい人の特徴は
「企業から絶対入社してもらいたいと思う人の特徴はありますか?」
こちらに関しては、しゅんダイアリーさんと対談した動画があるのでぜひご覧になってください!
また、他にもアフターコロナなどのトピックについて、曽和さんとしゅんダイアリーさんが対談された動画を投稿しています!興味のある方はぜひ合わせてご覧ください!
15.ポートフォリオ採用で多様性を実現
「チームでの働き方(多様性)が重視される中で、企業側は基準を多様化しているのでしょうか?」
しています。ポートフォリオ採用と手法があり、求める人材を複数のモデルで提示し、その割合を考えて採用しているところが最前線であるといえます。まだこの手法を採用していない企業もありますが、一部あるという感じです。
しかし、実際シンプルな業務内容の企業だったりすると限られた一つの人物像を求めているということも少なくないです。
16.誰かの期待に応えようとすることで力の発揮を
「曽和さんの人生を振り返って、最善の意思決定は何でしたか?」
私は反省の日々ですが…(笑)。リクルートに入って、出て、もう一回戻ったことかもしれません。私は村井さんという方に出る時も戻る時もお世話になったんです。人は、誰かの期待に応える時に一番幸せを感じて、力を発揮すると思いますし、頑張れると思います。
村井さんがわざわざ手間を使って自分を採ってくれたことに対して、その期待に応えようと決めた瞬間から仕事をすごく頑張れたし、自分が一段レベルアップしたように感じました。誰かの期待に応えようとすることを大事にするといいのかもしれませんね。
おわりに
いかがでしたか?
【前半】に引き続き、曽和さんが質問にお応えする様子をレポートして参りました。
質問会では、人事の現状のみならず、曽和さん自身の解釈やお考え、ご自身の経歴に関する振り返りも聞くことができてかなり有意義なものとなりました。
まだ【前半】の記事をご覧になっていない方や、曽和さんとしゅんダイアリーさんが対談なさっている動画をご覧になっていない方はぜひそちらもチェックしてみてくださいね!