ジョーカツサロンで就活生の疑問に寄り添う【曽和さん質問会レポート②前半】
はじめに
こんにちは!
先日は第二回目の曽和さんの質問会が2時間にわたって開催され、今回も曽和さんには多くの質問に答えていただきました。
本記事では、就活生からの質問と曽和さんの返答を合わせてお伝えしています!
ジョーカツサロンでの質問会は今後も開催されていくので是非その予習としても活用してみてくださいね。
本題に先立って、まずは登壇者、曽和利光氏についてご紹介していきたいと思います!
株式会社人材研究所代表取締役社長
曽和 利光
株式会社リクルート人事部にて採用・教育・制度・組織開発等の担当、HC(Human Capital)ソリューショングループでの組織人事コンサルタントを経て、人事部採用グループのゼネラルマネジャーとして最終面接官等を担当。その後、ライフネット生命保険総務部長、オープンハウス組織開発本部長など、ベンチャー企業の人事責任者を経て、2011年に株式会社人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)を設立。現在、リクナビ、日経新聞、労政時報等で人事や採用に関する記事を連載中。
曽和さんはいわば人事のスペシャリスト。そんな曽和さんに直に質問をぶつけられる機会はなかなかありません。
早速その様子をみていきましょう!
1.新卒一括採用、メリットは選択肢が職種に縛られないこと
「新卒一括採用を行っているのは世界中で日本だけですが、新卒採用が学生側に与えるメリットはなんでしょう?」
まず、定義によって回答が変わってしまうので、「一括採用」の定義が大切になりますね。
一括採用を時期の観点で見ると、例えば外資のコンサルと商社って同時に受けられないですが、これは学生にとってデメリットであると言えます。
逆に、新卒のポテンシャル採用の観点からすれば、これは日本の新卒失業率を大きく下げる主要因になっているという点でメリットだということができます。
日本の企業は職種を限定して採用しない無限定採用やメンバーシップ型採用が主流ですし、大きなコストを掛けて新卒の教育に注力しています。採用したのちに組織の状況に応じた教育をしていく傾向が強いので、まだ何者でもない新卒の学生を採ることは理にかなっているのです。
2.スキルベースの採用ができるほど、職務基準が明確でない
「新卒採用に加えて、スキルベースの採用が増えていく可能性はありますか?」
可能性があるかないかでいうと、あります。
しかし、日本の企業は職種に対する職務基準(ジョブディスクリプション)が明確に定まっていなかったり、採用活動の指標として使えるまでのレベルには到達していません。
そもそも、組織内のジョブを細分化して、能力に合わせたアサインができるならいいですが、日本の企業はあまりそれが得意ではないんですよね。もしかすると、柔軟ではあるが専門性を鍛えることは少ないという日本人の特性なのかもしれません。
海外では組織図が社内外で秘密の企業もあるみたいです。特定の個人に対して、あるスコープで職務が分配されて他の人の仕事内容は全く知らないという形態。
好き嫌いで言えば、私はメンバーシップ型採用に一票です。結局、こういった議論の際には良し悪しや新旧では一概に語れない部分が多く、どちらのやり方にも見方を変えれば良し悪しがあるということは付け加えておくべきかと思います。
3.ESは、思ったよりもしっかり見ている
「ESのチェックはどのようにやっているのでしょうか?大企業では数が膨大すぎませんか?」
ESの使い方には2種類あります。
1つは本気でスクリーニングして選考している場合、もう1つは面接の参考資料程度にしている場合です。
また、選考に使っている場合もその厳格さには多少のグラデーションはありますが、ESの段階で明らかにダメそうだなという人は落としていることが多いです。
つまり、学生が思っているよりはしっかりとESを見ていると思っていた方がいいかもしれません。
ただ、目を通していることと正確さは少し違う話かもしれません。人事一人当たりに任されるESの量が異なるという段階ですでに判断の目線がバラバラになりますし、ここでは幸運、不運という確率論が介入してくるということは仕方のないことかもしれません。
また、良いES、悪いESというものは半分冗談、半分本気で2秒でわかると言います。実際に、漢字の含有量やパラグラフの構成、接続詞の使い方などで知能と相関が見られるとする研究もあるそうです。本気でそういうところだけを評価基準にしているところは見たことはないですが(笑)
4.適性検査はハイパフォーマンスを測る尺度
「各企業で行われる適正検査はどれほど重要なのでしょうか?」
学生と人事の間では、適性検査のイメージが違うと思います。
学生はSPIを国語や算数の試験と思いがちですが、実際はSPIはSynthetic Personality Inventoryの略で、主に個人の性格を測定するものです。
最近では組織のピープルアナリティクスなどの研究の延長線として採用活動にもどのような性格の人がハイパフォーマーなのか、という観点が持ち込まれることがあります。しかし、やはり一番わかりやすい判断基準としては、性格より能力の方がハイパフォーマンスとの相関が高いと見られています。
また、SPIは
行動的側面、意欲的側面、情緒的側面、社会関係的側面、能力的側面
という5つの側面に分解できます。
企業は入社後の教育や育成で変えられる側面は採用段階ではあまり見ません。
しかし逆に、この5つの中では能力的側面が入社後に変化させられない性質が強く、採用の段階でその高低をジャッジすることが多いのです。
ですから、SPIやウェブテストの対策はした方がいいです。勉強すれば点数が取れるようになっているのが現時点での適性検査の実態というのもあります。
5.面接至上主義は減退している
「適性検査や面接がありますが、選考にとって精度の高い情報を得られる試験の形態は何でしょうか?」
最も重視されるのはワークサンプルを得られるインターンシップです。
その次が、実は適性検査で、同じくらいの重要度を持つのが構造化面接ですね。
構造化面接というのはフリートークをするのではなく、質問項目や深堀するポイントが全応募者に対して同じ面接で、今の日本ではあまり一般的には取り入れられていません。
他にも学習履歴面接など、成績表や専攻の内容で個性を測る形態も見られ始めているので、一般的な面接至上主義は傾向として少なくなってきている考えてもいいかもしれませんね。
6.どんなインターンシップも全力で
「インターンの合否がのちの選考に影響する企業に後から行きたくなることを懸念しています。インターンは絞って行った方がいいのでしょうか?」
どのインターンシップでも力を抜かずにいくのがまず大切です。最初は全然やる気ではなかったのに、後からすごく行きたくなるなんてこともあります。
インターンシップは学生と企業が互いにすごくわかり合う機会ですが、一つの見方をすれば、それはできないところも分かってしまうということです。
できなさや合わなさの度合いがビシッと定まった上で、できないところをさらけ出して、ビリでもその会社に入りたい、と思うようなことがあるのもいいと思います。個人的には会社にはビリで入るよりも、勝てるところに身を置いた方がいいのではないかというのが正直なところですが。
また、インターンシップと採用の直結は世界的な潮流でも、ミスマッチを防ぐためにやるものとなっているため、本命の会社が何回かのインターンを開いているなら、なるべく早めに受けておくことをおすすめします。
なぜなら、春、夏、冬で段階的な選考直結型のインターンをしているをしている場合、それに合わせた段階的な合否出しをしていくからです。
後になればなるほど狭き門になってしまうということですね。例えば、選考のボーダーラインがあったとき、一番多い層はボーダーライン直上の層です。最後になって空席が少なくなって行ったとき、もっと席があったら入れてあげたいと思う人であっても、倍率が跳ね上がっていることで落ちてしまうことがありますので注意が必要です。
7.サマーインターンは「意識高い系」の戦い
「最終的に納得のいく内定をもらっている学生でもサマーインターンには落ちてしまう印象があるが?」
サマーインターンの内情として、就活意識高い系の戦いではあるので、人事も「ここでしか取れない人を取ろう」という気概があります。
選考の早い外資コンサルやメガベンチャーなどの併願をしている人に席を用意している可能性が高いので、一般論的に受かりにくいという原理は働いているかもしれません。
8.「軸」はファクトベースで
「サマーインターンを選ぶ軸は何か、という問いにはどう答えればいいか?」
大前提として、答えがあるなら、それを言えばいいと思います。しかし、本当に伝えなければいけないことは、過去のエピソードのうち、今の志望動機に繋がるものは何かということです。
気持ちや考え方は参考情報に過ぎない場合が多く、それよりも、どんな状況でどのようなことを考えて行動したのかということを伝えられるようにしましょう。
9.選考が進んだら、程度問題にもつれ込む
「一次、二次、最終面接の企業側の目的と学生側の対策は?」
選考は後ろに行けば行くほど、アピールの程度問題になってきます。例えば「目標達成欲があります」と行った時に、それはすでにレポートされていますが、では実際はどれぐらいの達成欲なのかというところをアピールできなければなりません。
わからないことは全て聞こう!
その疑問、ジョーカツサロンにお任せください!
10.強みと弱み、誰かと比べる必要などない
「就活における自分の強みと弱みは何と比較して定めればいいですか?」
自分の強みが社会的にどれくらいのレベル感なのか分かっていればいいかということならば、それは面接官でもわからないことです。
つまり、問題にする必要はありません。
面接官ですら、今年就活している学生の中でこの人がアピールしているポイントは全体のどのレベルなのかなどはもちろん把握はしていません。
自分の中で相対的に強い、仕事に生かしたいところをアピールしていけばいいのではないかと思います。
また、これは私の意見ですが、本質的に人に強み、弱みはないと思います。人にあるのは特徴だけで、その時の場や状況に応じて生かし方が変わるだけなのです。
誰かと比べて強み弱みを考える必要はなく、自分がどういう状況でどんな強み、弱みを持っているのかというところがわかるようにしておくのが大切ですね。
11.「当たり前水準」の評価は相対的に
「当たり前水準という言葉が印象的ですが、リクルート時代の当たり前はどのようなものだったんですか?」
全て相対評価でした。しかも、見た人の中で決めるしかないので、応募者をグルーピングして、比較していました。
枠争いは応募者の担当者同士でディベートをして、勝った方の学生が採用される形で、絶対的な基準があったかと言われるとそうではなく、完全にその時の相対的な評価でした。
学生は、自分の担当者に情報を与え、味方にすることが重要です。担当者が自分をどれだけ知っているのかということは最終的な差分に繋がり、採用となるということがあるからです。リクルートではない他の企業に対しても、このような採用活動をしている場合はよい採用をしていると言えるのではないでしょうか。
このリクルートの話はもう10年も前のことなので、今では応募者も増え、人気企業寄りの採用活動をしている可能性はあります。ですから、むしろ今では採用活動を積極的にやっている会社において、この採用手法を採っているところが多いのかもしれません。
12.「凄い採用」は定着率や業績まで見て
「スーパー人事を見てきた側として、過去、「この採用はすごい」ということが言える会社はありますか?」
サイバーエージェントは採用への注力の仕方がすごいと思います。日本の中でも新卒の定着率や、業績の上がり方がずば抜けているんじゃないでしょうか。確かに、サイバーもリクルートを参考にしている部分もありますが、リクルートに比べて新陳代謝が激しくなく、明確に終身雇用を謳っていますよね。
13.ありきたりなガクチカでもいい!大切なのは「倍率」
「学生のガクチカがありきたりにならないように差別化する方法はありますか?」
ガクチカがありきたりになることは全く問題ありません。大切なのは、インプットに対するアウトプットの大きさ、すなわち学びの倍率です。
大きなインプットに対しては大きなアウトプットが期待されるのは当たり前ですが、小さなインプットに他して大きなアウトプットがあるとその倍率、ギャップは大きなインパクトを持ちます。
「やればできるかもしれない」けれども「人があまり思いつかない」ことを「コツコツ長いこと続けた」というエピソードが最もいいと思います。長い間続けたことのモチベーション維持の方法や小さなことをどれほど意味のあるものにできたかというところが大切だと思います。
おわりに
【前半】のレポート、いかがでしたか?
季節性もあってか、サマーインターンの選考などについての質問が多かったように感じています!
このように、ジョーカツサロンでは状況に応じた情報提供もしていくので、ぜひ積極的に参加してみてくださいね!
レポートは【後半】に続いていきます!