
【例文あり】IT業界の志望動機はどう書く?ポイントと求める人物像について解説
2020年8月29日更新
近年のIT技術の発展により、
就活生の中でますます人気が高まっているIT業界。
「景気変動に強い」と言われており
新型コロナウイルス感染拡大により、対面接触を余儀なくするサービス業が軒並み大ダメージを受けたのに対し、
コロナ禍でもさほど影響を受けなかったばかりか、
オンライン化の需要急増により、右肩上がりで業績を伸ばしている企業も少なくありません。
市場規模の数字には諸説ありますが、
IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社が2020年2月29日に発表したところによると、
2019年の国内ITサービス市場は、前年比成長率3.2%の5兆8,558億円になったとされています。
設備投資が少ない産業であるため参入障壁が低く、
市場規模も拡大しているため
スタートアップやベンチャーをはじめ、
多くの企業が参入してきています。
このような影響もあって、志望者も年々拡大傾向にあり、
就職難易度もどんどん難しくなってきています。
そのため、「これから伸びる業界である」など
熱意があまり感じられない安直な志望理由だと
書類選考の段階で落とされてしまい、
そもそも面接に進むことが出来ません。
選考に順調に進むためには、
しっかりとした自己分析に基づき
IT業界でなければならない明確な理由を明記すると共に、
業界で求められている人材の素質があることをアピールする必要があります。
特に、未経験でIT業界を目指す場合には、
業界や業種への興味関心、意欲が非常に重要です。
本記事では、
IT業界を目指している就活生に向け、
志望動機のポイントや書き方、例文について解説します。
1.IT業界の志望動機の6つのポイント
年々倍率が高まっているIT業界。
足切りに遭わないためには、
ポイントを押さえた志望動機が必要不可欠です。
本項では、志望動機の6つのポイント、
・IT業界でなければならない理由
・IT業界で就きたい業種
・該当企業を志望する理由
・将来のキャリアパス
・前向きな姿勢と意欲
・実績を述べる際は要旨を簡潔に
について解説します。
1-1.IT業界でなければならない理由
まずは基本中の基本ですが、
“なぜ”IT業界を志望しているのか、
“なぜ”他の業界ではダメなのかを明確に記しましょう。
IT業界に興味を持ったきっかけをなるべく具体的に、
例えば体験談やエピソードを交えながら述べると良いでしょう。
ここのポイントは「IT業界でなければならない」理由を
明確に書けているかどうかです。
例えば、
パソコンを使って仕事をしたいからなのか、
専門的なスキルを身に付けたいからなのか、
オンラインのシステムを通じ社会貢献をしたいからなのか。
理由は様々にあるかと思いますが、
「ITという響きに憧れたから」
では、理由として不十分ですよね。
また、
「人とコミュニケーションを取りたくなかったから」
というような消極的な理由では、印象も良くありませんし、
たとえバソコンというツール利用がメインだとしても、
サービス構築にあたってはコミュニケーションが欠かせません。
たとえ本音だとしても、
自己アピールという就活の場面では、別の理由を述べた方が無難でしょう。
「なぜ」を繰り返し自己分析を深め、
IT業界でなければならない理由を深掘りしましょう。
1-2.IT業界で就きたい業種
「IT業界でなくてはならない理由」に加え、
「IT業界で就きたい業種」についてもイメージしておくことが重要です。
ITと一口に言っても様々な業界があり(後述します)、
例えば
WebデザイナーやWebディレクター、
システムエンジニアやプログラマー、
ITコンサルタントやプロジェクトマネージャーなど、
様々な業種が存在します。
そして、それぞれがプロフェッショナルであり、
必要な素質や求められるスキルや、
達成可能なことも異なってきます。
システムやアプリの設計に携わってみたいのか、
ITのスペシャリストとして浅く広く活躍してみたいのか、
UIやUXなどの要素に注力したいのか、
クライアントと折衝しながら顧客課題を解決したいのか。
自分がどの業種に興味があるのか、
その業種でどのようなことを成し遂げたいのかぐらいは、
最低限明確にしておきましょう。
1-3.該当企業を志望する理由
これはIT業界に限らず、どの業界でも同じことが言えますが、
なぜ「数あるIT業界の中でここなのか」
という理由は必要不可欠です。
担当する採用担当者も、
企業に誇りを持って働いているはずですので、
「ITだったらどこでもよかった」
というような内容が万が一伝わってしまえば、その時点でアウトです。
大手あるいはベンチャーだったからなのか、
業界のリーディングカンパニーとも呼ぶべき存在だからなのか、
事業内容が気に入ったのか、
企業風土の魅力を感じたからなのか。
こちらも先述のように、
自己分析に加えてしっかりと業界分析・企業分析を行い、
企業のポジションを確認しておくことで、
熱意と前向きな姿勢のアピールにも繋がります。
また企業分析をする際は、公式サイトだけでなく、
SNSやnote、wantedlyなどもチェックし、
企業文化や社員の様子、価値観やについて確認しておきましょう。
1-4.将来のキャリアパス
さらに、「自分がどうなりたいのか」を会社を通じて
伝えることが重要です。
ある特定分野を徹底的にものにし、プロフェッショナルを目指すのか、
様々な業界を広く浅く経験したいのか、
ゆくゆくは転職、あるいは自分のプロダクトを作ってみたいのか。
言い方によっても全く違ってきますよね。
特にIT業界は変化の早い業界のため、
そのスピードについてこられる人が生き残る傾向にあると言えます。
なんとなくIT業界に入った、では
その後スピード感についていけず息切れしてしまい、
モチベーション低下につながってしまいかねません。
OB・OGの人や、
IT業界に強いアドバイザーなどに話を聞いてみて、
業界のリアルについて把握しておきましょう。
1-5.前向きな姿勢と意欲
IT業界を志望するにあたり、
何らかの形で実績を有しているとベストですが、
未経験でも歓迎してくれる企業も多く存在します。
もちろん、元よりスキルがある人材の方が教育コストがかかりませんが、
「それだけの時間とコストを投下してでも、この人材を雇用することに意味がある」
「この人材は伸び代があって、裏切らない」
ということを伝えるためにも、
業界・業種への熱意と、
それを裏付けるだけの具体的な行動は言及必須であると言えます。
特別な行動を起こす必要はなく、
例えばIT関連の本で自己研鑽に努めている、
あるいはITの資格取得を目指して勉強している、など一言添えるだけでも、
志望理由の説得力が段違いですよね。
業界を本当に目指しているのであれば、
これぐらいの行動は日頃から意識しておくようにしましょう。
1-6.実績を述べる際は要旨を簡潔に
もし学生時代に何らかの形でポートフォリオ作成の経験があるのであれば、ぜひ積極的にアピールしましょう。
ただし、欲張って全てのプロダクトを列挙してしまうのでは、伝わるものも伝わりません。
面接官にとって重要なのは
「入社後に活躍してくれそうか」どうかですので、
企業分析をしっかりと行った上で
訴求力の高そうなものいくつかに絞り、
要旨を明確に、
企業のどの事業でどのように活かせるのかなど、
わかりやすく伝えましょう。
また、数は吟味する必要がありますが、
選定したプロダクトについては、とことん掘り下げても問題ありません。
どのようなユーザーをターゲットとし、どのような利用シーンを想定して、
どのようなシステムで動いているのかなど、
具体的に伝えましょう。
2.IT業界で求められる3つの人物像
IT業界で求められる人物像の要件について紹介していきます。
エンジニアとして求められるのは、
「クライアントのニーズを的確にとらえてシステムを作れる」ことです。
・高いコミュニケーション能力
・好奇心が旺盛
・ロジカルシンキングが得意
が挙げられます。
2-1.高いコミュニケーション能力
意外かもしれませんが、エンジニアは「コミュニケーション能力」が必要です。
なぜなら、クライアントからニーズを引き出して調整したり、
同僚のエンジニアとプロジェクトを成功させるため連携を取らなければなりません。
相手の立場に立った対話が得意なのであれば、
仕事にも活かせるはずです。
ずっとパソコンをいじっているイメージを持っていたかもしれませんが、実はかなりコミュ力を必要とするんですよね。
2-2.好奇心が旺盛
近年のIT技術の進化により、
毎日のように新たなIT技術が現れます。
そのため、新しい技術を吸収し、情報に敏感である必要があります。
また新たなプログラミング言語にも対応していかなければならないため、
新しいことに興味関心を抱き続けられる好奇心旺盛な人や、
新しいスキルをインプットするのが好きな勉強熱心な人は、
エンジニアに向いていると言えるでしょう。
2-3.ロジカルシンキングが得意
最後に、エンジニアは、
課題を的確にとらえて解決策を考えなければなりません。
そのためには、
課題から解決策まで論理的に物事を考えることができる
ロジカルシンキングの能力が必要です。
このように、
エンジニアやプログラミングなど、システム関連の業種ばかり注目されがちですが、
分野や担務によっても人物像は異なってきます。
例えば、営業やコーポレート業務などもありますし、
プログラミングを0から教えてくれるなど、研修体制の整ったIT業界の企業も存在します。
いずれにせよ、
自分の志望する業種の人物像について、しっかりと把握しておくことが重要です。
(就活中にロジカルシンキングを鍛えるにはフェルミ推定も必要!)
3.IT業界に属する代表的な4つの業界
IT業界は情報技術を活かした業界です。IT業界は大きく4つの業界に分けることができます。
・インターネット業界
・ハードウェア業界
・ソフトウェア業界
・情報処理サービス業界
3-1.インターネット業界
インターネット上のサービス、またはインターネットを利用したサービスを提供している会社を指します。
恐らく就活生が最もイメージしやすい産業ではないでしょうか。
またその中でも大きく分けると、
「企業向けの取引(B to B)」型と、
「一般消費者向け取引(B to C)」型の
2つに分類できます。
BtoBサービスだと、Webサイト制作やネットワーク構築、インターネット広告があります。
Webサイト制作であればHPやショッピングサイトの構築・運営代行業のことを指します。
ネットワーク構築であれば、通信技術やサーバーの知識を使いながら、企業内のシステム同士の連携を構築することを指します。
BtoCサービスだと、SNSやオンラインショッピング、検索ポータルサイト、ネット金融、ソーシャルゲームを指します。
SNSであれば、LINE、Facebook、Twitter。
オンラインショッピング(EC)であればAmazonや楽天、検索ポータルサイトであればyahoo!やGoogleが挙げられます。
3-2.ハードウェア業界
パソコンを始めとするコンピュータを構成する電子回路や周辺機器のような、
IT製品作る業界のことを指します。
ハードウェア業界の特徴は、その扱う商品の幅広さです。
パソコンやゲーム、家電など企業によって
扱う商品・強みが特に異なる業界です。
例えば富士通やNEC、東芝などが挙げられます。
3-3.ソフトウェア業界
大きく分けると、オペレーティングシステムと、
アプリケーションソフトに分けられます。
マイクロソフトがイメージしやすいのではないでしょうか。
また、近年の需要の高まりから自社開発であるソフトウェアプロダクトの割合も増えてきています。
3-4.情報処理サービス業界
ITの力を使い、
顧客の業務上の問題を解決する役割を担う仕事です。
また特にBtoBが多い業界としても知られます。
IBMやアクセンチュアといった企業が代表的な企業です。
またITと何かの産業をかけあわせた、
「○○tech」とよばれる産業も出てきており、
ますます目が話せない業界です。
4.IT業界の志望動機の例文
構成とポイントについてわかったところで、
続いていくつか例文を見ながらイメージを掴んでおきましょう。
4-1.「IT技術で高齢者の生活を支える」
「私は特に医療関係に強みのある御社を通じ、高齢者の方々の生活を支えたいと思っております。
私にはとある些細な出来事により入院を余儀無くされている祖父がおります。
これまでITにはあまり関心がありませんでしたが、面会も難しいこの状況下においてようやく使うようになり、離れていても連絡を取ることが可能になり、家族共々にITの素晴らしさを実感いたしました。
ネット環境があれば、物理的な接触が難しくてもいつでもどこでも繋がることが可能になり、これからの高齢化社会、およびウィズコロナ時代においては必要不可欠なサービスであると考えています。
これまでに培ってきたIT技術を生かし、社会に有益なサービスの開発に従事し、より豊かな暮らしの提供に貢献していきたいと思っております。」
どうでしょうか?
祖父のエピソードは筆者の実体験に基づくものですが、
実際に同じような体験をされた方も多いのではないでしょうか。
IT需要について、現代の社会情勢を踏まえ、マクロな視点でソーシャルグッドを目指す考えは、
面接官からも好印象として受け止めてもらえるはずです。
もちろん、実体験やエピソードについてはオリジナルティを出すことが一番ですので、
ぜひ自身の体験に基づき、深みのある志望動機にしてみてくださいね。
4-2. 「エンジニア志望」
「私は、モノづくりに貢献したいという思いからエンジニアを志望しており、「アイデア次第で新規サービスの企画にチャレンジできる」という点を、大変魅力に感じました。
学生時代のインターンでは「ゲームアプリ」や「タスク管理アプリ」などの開発を経験し、アイデアを実際にアプリとして落とし込んでいくこと、そして実際に社会で誰かの役に立つ可能性があることに、面白さをますます実感いたしました。
独善的な視点ではなく、顧客視点でのマーケティングスキルなども身につけ、世の中に広く受け入れられるサービスを提供できるよう、精進して参りたいと思います。」
こちらは、エンジニア志望の方の例文について取り上げてみました。
エンジニアの場合、制作物などの実績が非常に重要となりますので、
インターンなど何らかの形でこれまでに経験がある場合は、それについて言及すべきです。
5.IT業界の志望動機の具体例【良い例とNG例】
それでは最後に、
就活生が書くIT業界への志望理由の良い例と悪い例を紹介していきます。
なぜこの志望理由が良いのか、なぜこの志望理由が悪いのかを
考えながら読んでみてください。
・Aさん(悪い志望理由)
「私が貴社を志望した理由は、世の中に新たな価値を創造していきたいと思ったからです。
IT技術は日に日に発展しており、新たな価値を社会に創造していける点に魅力を感じています。
私は貴社が運営する〇〇というアプリケーションが好きで、使用した時に大変感動しました。
このアプリを世の中の人により知ってもらいたいと考えています。」
・Bさん(良い志望理由)
「私が貴社を志望する理由は、IT技術を使って多くの人の生活をより便利にしたいからです。
私の地元は過疎化していて、先生がいる塾がほとんどなく、都会との格差を感じていました。
しかし、遠隔で授業が受けれる塾ができ、IT技術が格差を解決していくことに感動しました。
以上のような、世の中の負を解決していこうとしている貴社で、世の中にはびこる格差を解決していきたいと思います。」
Aさんの志望理由には、悪い点が2つあります。
1点目は、全体的に内容が曖昧で、IT業界でなければならない理由が弱いです。
2点目に、IT業界の中でこの企業でなければならない理由は一応書いてはありますが、
このアプリケーションでなければならない理由もなく、
IT業界であればどの企業でも良いのではないかと感じ取られます。
どの企業を志望しても使い回しできるような文言のため、
志望理由としては薄く採用側の印象に残りません。
それに対して、Bさんは良い点が2つあります。
1点目は、Aさんが抜けていたIT技術でなければならない理由と、この企業でなければならない点が具体的な点です。
2点目は将来やりたいことと原体験のエピソードが対応していることです。
よく就活生は原体験のエピソード(きっかけ)と将来やりたいことがズレているケースと、原体験が曖昧なケースがあります。
Bさんは原体験のエピソードも具体的で、面接官がイメージしやすいです。
あくまで面接官は人なので、
どれだけ良いことを書いていたとしても伝わらないと意味がありません。
伝えるという視点を持ち、
相手にとってわかりやすく、読みやすい志望理由を書きましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回の記事では、IT業界の概要から、
IT業界志望の就活生が意識すべき志望動機について解説をしていきました。
志望動機は書類選考と面接の両方で必要なものです。
まずは、IT業界と志望企業に行きたい理由を考え、
そして、その企業を通じて自分は将来どうなりたいのかを
志望動機に具体的にいれるのがポイントです。
また、志望理由をある程度作成できれば、
「なぜ?」と「ほんとうにそうなのか?」という
2つの疑問を持って何度も推敲していくと、
より完成度の高い志望動機につながります。
自分だけの志望動機を作成し、
納得感のある内定を勝ち取りましょう!