【業界研究】不動産業界のポイントとは?理解すべき点も解説

2024年10月24日更新

はじめに

「不動産業界」と聞くとどのようなイメージが湧きますか?

土地や建物、あるいはお金やピリッとしたスーツを着用しているイメージを持っている人もいるかもしれません。

ただ案外、「何をしているか」ってはっきりと答えるのは難しいですよね。

本記事では、不動産業界の全体像を把握し、効果的な業界研究を行えるよう、分かりやすく解説していきます。

この記事は以下のような点を知りたい就活生を対象にしています。

対象
  • 不動産業界ってどんな仕事をするの?
  • 不動産業界の就活難易度は高いか気になる
  • 不動産業界の選考対策

不動産業界の実態を理解し、自身のキャリアプランに活かせる知識を得られることでしょう。

また、不動産業界以外の業界については、以下の記事で概観しているので、ぜひご覧ください。

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不動産業界とは?5つの企業と4つの役割

不動産業界の研究を進めるには、業界を構成する要素の理解が不可欠です。

一般的に、不動産業界は以下の5種類の企業から成り立っています。

企業
  • デベロッパー(開発業者):商業施設、ビル、リゾート施設の開発
  • ハウスメーカー:注文住宅や建設住宅の提供
  • 不動産仲介業社:物件の売買や賃貸の仲介
  • 住宅販売会社:マンションや一戸建ての販売
  • 管理会社:不動産物件の管理

不動産業界の基本的な流れは次のとおりです。

  1. デベロッパーによる建物の建設
  2. デベロッパー、販売会社、不動産仲介業社による建物の賃貸
  3. 管理会社による消費者所有物件の管理

従って、不動産業界における企業の役割は以下の4つに分類されます。

役割
  • 建設
  • 販売
  • 賃貸
  • 管理

上記の役割を理解することで、不動産業界の全体像を把握できるでしょう。
大手である住友不動産の企業分析をおこなう前に、こちらの記事をご覧ください。

不動産の業界研究は3分野の理解から

不動産業界の理解を深めるには、以下の3つの主要分野を把握しましょう。

不動産開発(デベロッパー)

不動産開発は、商業施設やビル、マンション、リゾート施設などの建物を建設する役割です。

単なる建設ではなく、適切な場所に最適な建物を提案する仕事です。

仕事の流れ
  • 建設用地の検討
  • 土地に適した建物の企画
  • 土地所有者への提案
  • 承認後の建物設計

不動産流通

不動産流通は、不動産市場での流通に関わる仕事です。

不動産を市場に流通させ、購入希望者とのマッチングを行います。

不動産流通は以下の2つに分類されます。

不動産仲介
  • 不動産所有者と購入検討者を結びつける
  • 両者から仲介手数料を得る
不動産売買代理事業
  • 不動産所有者から完全に販売を委託される
  • 売り手のみから手数料を得る

不動産管理

不動産管理は、不動産設備の管理から賃貸料の回収まで、幅広い管理サービスを提供します。

主な業務内容
  • 不動産設備の管理
  • テナント募集
  • 賃貸料回収
  • その他の管理サービス

民間建物だけでなく、公共建築物の管理も行います。

不動産業界の現状と将来の展望

不動産業界は、日本経済の重要な基幹産業として、私たちの生活や企業活動に密接に関わっています。

近年、社会情勢の変化や技術革新により、業界を取り巻く環境も大きく変化しています。

業界の成長と業績

財務省の最新データによると、不動産業界は堅調な成長を続けています。

2024年度第1四半期の売上高は14兆1,325億円で、前年同期比24.4%増加しました。

経常利益も1兆9,681億円と55.6%増加し、設備投資も4.8%増の1兆5,024億円を記録しています。

長期的な課題

しかし、業界は長期的な課題にも直面しています。

人口減少による需要と供給のバランス崩壊、空き家問題の深刻化が懸念事項です。

また、都市部への人口集中による不動産市場の二極化も進んでいます。

テレワークの普及によるオフィス需要の変化など、新しい生活様式への対応も求められています。

社会情勢の変化と市場ニーズ

社会情勢の変化も業界に影響を与えています。

空き家・空き地の増加、住宅・商業施設の老朽化が進む一方で、テレワークの浸透により立地価値の概念が変化してきました。

また、訪日外国人・在留外国人の増加も新たな需要を生み出しています。

市場ニーズも変化しており、消費者は「家の所有から家の利用へ」と価値観をシフトしているのが現状です。

企業は快適性・利便性の高いオフィスやテレワーク導入を求め、投資家はESGやSDGsへの配慮を重視しています。

不動産業界は、不動産物件情報の送受信や書類のやり取りに電話やFAXを使うなどアナログ方式の業務が多い業界です。

また従業員の高齢化など、オンライン業務を導入することのむずかしさが想定できます。

このような地域密着型の不動産会社がどのようにDXに対応するのか、今後のユーザーニーズの変化に対応していけるかが大きな課題となってくるでしょう。

不動産業界の目指す姿

このような状況下で、不動産業界は新たな役割を担うことが期待されています。

豊かな住生活の支援、国の持続的成長への貢献、人々の交流の「場」の提供が、業界が目指すべき姿として掲げられています。

民間企業と行政の役割

これらの目標を達成するため、民間企業はトータルサービスの提供、AIやIoTの活用による業務効率化、従事者の満足度向上と担い手の確保に取り組む必要があります。

一方、国や行政は市場環境の整備、社会ニーズの変化を踏まえた政策展開、不動産業界への適切な指導監督を行うことが求められています。

今後の展望

人口減少や少子高齢化は確かに大きな課題ですが、新技術の活用や社会ニーズの変化への対応により、不動産業界は新たな発展の機会を見出すことができるでしょう。

他業種や行政との連携を強化しながら、変化するニーズに柔軟に対応し、新たな価値を提供していくことが、業界の持続的な成長につながると考えられます。

不動産業界の研究では理解すべき特徴3選

次に不動産業界の研究で理解すべき特徴について解説します。

景気の影響を受けやすい

不動産は非常に景気に左右されやすい業界です。

景気が下がると不動産の相場も下がるというふうに連動しているのが実態です。

また「投資」の側面も持ち合わせており、

海外が絡む投資である場合は、為替の変動なども受けやすいことが考えられます。

使命感を持つ人が多い

不動産業界には使命感を持って仕事に取り組む人が多いとされます。

例えば、地図に残る仕事として誇りを持てます。

また、不動産は消費者にとって非常に高い買い物であることも

使命感につながるのかもしれません。

安定した休みが難しい時期も

不動産業界では、安定した休みを取ることが難しい時期もあります。

卒業や入学、入社など年度が変わる時期である2月から4月、5月頃は、不動産業界にとって年一番の書き入れどきであると言っても過言ではありません。

また、土日が仕事である場合も非常に多く、人付き合いが疎遠になるリスクは否めません。

不動産業界の課題

メリット・デメリットが並存する不動産業界ですが、業界全体としては以下の3つの課題を抱えています。

人口の減少

現在では日本国内の人口が減少していることが明らかであり、全国の世帯数も減少するとされています。

つまり、人口減少と少子高齢化が進む社会において、いかにして対応していくかが不動産業界における課題となります。

中小企業や地域密着型企業の減少

中小企業や地域密着型企業のような小規模な企業が減少し、大手企業やフランチャイズ企業のシェアが高くなると予想されています。

というのも、消費者のニーズに答えることのできる物件を紹介することが難しくなってきているからです。

中小企業や地域密着型企業が良い物件を紹介することができなければ、大手企業のような資本力のある企業に勝つことは難しいです。

もちろん、大手企業が進出しない地域もあるため、地域における不動産のあり方を考える必要性が出てきたともいえるでしょう。

学生向け物件の需要の低下

繰り返しになりますが、日本は少子高齢化社会で人口減少社会です。

つまり、学生の数も今後どんどん減っていくことが予想されます。

とくに学生向けの物件をメインで扱ってきたような企業は何らかの対応を求められることになるでしょう。

さいごに

本記事では、不動産業界の現状と将来の動向について包括的に解説しました。

不動産業界はさまざまな課題に直面していますが、市場規模は着実に拡大を続けており、成長の余地が十分にある魅力的な分野です。

社会情勢の変化や技術革新により、不動産業界には新たなビジネスチャンスが生まれています。

テレワークの普及やESG投資の重要性の高まりなど、時代の変化に応じた革新的なアプローチが求められていくでしょう。

最終的な進路や投資の決定は、十分な情報と自身の判断に基づいて行うことが重要です。

不動産業界は多様な可能性を秘めており、意欲的な人材にとって魅力的な選択肢となるでしょう。

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