【企業分析】日本製鋼所の就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説
2024/04/24更新
はじめに
株式会社日本製鋼所は、東京都品川区大崎に本社を置く、鋼板、鍛造品、鋳造品、プラスチックの射出成形機、鉄道車両向け製品を製造している企業です。
ほかにも戦車や艦艇の砲を作るという、他の鉄鋼系製造企業では見られない特殊な面を持っています。
日本製鋼所は三井グループに属しており、日鋼やJSWと略される通称で呼ばれることも多い企業です。
特殊な面として、株式市場には、日本セイコウという会社が日本製鋼所と日本精鉱、日本精工の3つ存在するため、沿革から採られたアームという符丁が用いられることでも知られる企業です。
今回は、日本製鋼所の企業研究のためになる基礎知識などの情報をご紹介していきます。
この記事では日本製鋼所への就職に興味がある以下のような就活生を対象に企業分析を行っています。
- 日本製鋼所の仕事内容が気になる
- 日本製鋼所の就職難易度を知りたい
- 日本製鋼所の選考対策として何をすれば良いかわからない
また、鉄鋼・機械業以外の業界については、以下の記事で概観しているので、ぜひご覧ください。
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この記事の結論
先にこの記事の結論からお伝えすると、日本製鋼所の就職難易度は、平均より少し高い位置と考えています。
以下の参照記事で詳しく解説している就職偏差値を参考にすると、ほぼ平均であり、採用数は多いものの競争率の高い企業です。
採用大学はさまざまで、短期大学や高専などからの採用もあります。
しっかりとした選考対策は必須で、内定まで進めるためには、相当な準備がいるでしょう。
選考対策として、鉄鋼業のなかでも、なぜ「日本製鋼所」を選んだのかという理由が必要になります。
「日本製鋼所」という企業を選択した理由は、企業側にとっても重要な意味があるからです。
特殊な沿革を持つだけでなく、世界から見た日本に対しても影響を与える企業であり、「軍事」という部分にもつながります。
理由をはっきり答えることは、それだけ理解していることをあらわし、はっきりとした意思表示にもつながることからも、大事な対策の1つです。
その後のビジョンにもつながりを見せるため、なぜ選んだのかを道筋として明確にしなければいけません。
将来的にどんなことに挑戦したいかも、企業を理解していなければ答えられないからです。
次の章から各内容や、そのほか就活に役立つ情報を紹介しますので、ぜひ最後まで読んでください。
日本製鋼所について
出典元:日本製鋼所
会社概要
日本製鋼所は、樹脂機械製品、プラスチック成形機などの産業機械技術を基盤としている「産業機械事業」と発電、石油精製、天然ガスなどのエネルギー産業向けを中心とする「素形材・エンジニアリング事業」を展開しています。
ITや防衛産業にもつながる事業であり、既存の分野にとらわれないのが特徴です。
特に素材とメカトロニクス総合企業とまで呼ばれており、海外への関係強化を含めた技術サービスや営業展開も広げています。
日本製鋼所は、1907年に北海道炭礦汽船株式会社と英国アームストロング・ウイットウォース社、ビッカース社の3社共同出資という形で誕生しました。
当時の本社は北海道の室蘭で、1915年に東京に移転しました。
1874年のことであり、外国資本導入だけでなく、帝国海軍との関係も非常に深い関係がありました。
アームストロング・ウイットウォース社は幅広い分野を持つ兵器製造会社です。
ビッカース社は、イギリスの重工業メーカーで、機関銃なども生産していました。
のちに、アームストロング・ウイットウォース社と合併しています。
設立に関与した人として、伊藤博文や松方正義ら元老に働きかけたことも有名です。
兵器の国産化を目指していた日本海軍は、日本製鋼所とのつながりを強めていきますが終戦となり、企業再建整備法によって社名を株式会社旧日本製鋼所と改称したうえで解散します。その後、新たに株式会社日本製鋼所を設立して現在の形になりました。
現在は室蘭では発電用蒸気タービンや原子力用部材、化学プラントで用いる鉄鋼製品などを製造し、広島では戦車や艦艇の火砲を製造しています。
電子機器機用製品は横浜で製造しているように、多岐にわたる製品を製造する企業にまで発展しています。
参照ページ
各事業別の売上規模
日本製鋼所の2023年度の9月期の売上高は2,387億円で、純利益は119億円でした。
この売上は産業機械事業、素形材・エンジニアリング事業、その他事業で構成されています。
参照ページ
各事業セグメントの解説
日本製鋼所の主な事業セグメントは以下の通りです。
事業部門 | 活動内容 |
樹脂機械事業 | 造粒機、フィルム・シート製造装置、押出機、テクニカルセンター |
成形機事業 | 汎用成型機、特殊仕様機、マグネシウム射出成形機、中空成形機、システム機器、IoT |
産業機械事業 | 電子デバイス、鉄道車両用連結器、鉄道車両用緩衝器 |
防衛関係事業 | 火砲システム |
素形材・エンジニアリング事業 | 特殊素材・構造用鋼、発電インフラ、産業機械用部材、クラッド製品、トータルエンジニアリングサービス、水素エネルギー関連製品 |
新規事業 | 人工水晶、CFRP製品における成形加工技術開発、チタン鋼生産事業 |
日本製鋼所は、鋼板や鍛造品をつくる企業というイメージがあるでしょう。
名前から見える部分もありますが、実際には、さまざまな製品を製造している事業者であり、水素エネルギーに関するような先進事業も多数抱えています。
人工水晶を使った光通信用の接合基盤や次世代半導体材料として知られるようになった窒化ガリウム基盤の開発なども行なってきています。
以下参照ページをご紹介いたしますので、ぜひ確認してみてください。
参照ページ:
日本製鋼所で働いている社員は?
平均勤続年数は?
日本製鋼所の平均勤続年数は、13.7年でした。
機械の平均勤続年数は15.5年であることからも、業界的には少し短めですが、そこまで大きな違いはないといえます。
平均年収は?
2022年度の日本製鋼所の平均年収は、659万円でした。
全国平均の年収が461万円であることを考えると、全国平均よりも高い水準です。
平均残業時間は?
日本製鋼所の従業員の平均残業時間は、1ヵ月あたり18.5時間でした。
ある調べでは19.2時間なので、かなり幅があることも分かります。
鉄鋼業、非鉄金属・金属製品製造業業界で働く従業員の平均残業時間は16.7時間であることからも、業界内では一般的な数値ともいえます。
平均ボーナス額は?
日本製鋼所の平均ボーナスは106万円でした。
日本製鋼所は7月と12月の年2回、ボーナスが支給されます。
どんな文化なの?
日本製鋼所は、非常に歴史の長い企業です。
大企業だからこそ、堅実な文化を根付かせてきました。
現在まで培った技術基盤はしっかりと形成されており、着実な形で進めています。
新規技術開発にも参入していますが、安定した技術に定評があることからも、保守的な部分があるのも確かです。
careerMine 【日本製鋼所】新卒で就職するためには?採用フローや選考対策を徹底解説!
就職偏差値・難易度および業界での立ち位置
鉄鋼・機械業界のなかでの日本製鋼所の立ち位置をご紹介しましょう。
ここまで多くの事業を多角的に展開している競合企業として大和工業が知られています。
鉄に関連したモノづくりを得意とする企業であり、鉄鋼と重工業に鉄道軌道という3つの事業を持っているのが特徴です。
グローバル化した事業展開は日本製鋼所に近いところがあります。
売上規模に大きな違いがありますが、大同特殊鋼は同じ鉄鋼業界という点で競合になるでしょう。
- 安定成長企業:日本製鋼所は、最先端技術で社会発展に寄与してきた企業です。
プラスチック製造・加工装置を主力としており、さまざまな製品をリリースしてきたことで、多くのラインナップを抱えています。
最先端の技術にもこたえられる技術力を持っており、国内外で評価されてきました。 - 受注生産の強み:日本製鋼所では、製品のほとんどが受注生産であり、ニーズを落とし込んだ製品づくりを得意としています。
納得してもらえる製品を作れるだけの力を持っており、他社との競争力にも影響を与えてきました。 - 最先端技術に対する技術力:日本製鋼所は最先端の技術にもこたえられる技術力を持っており、国内外で評価されてきました。
早期にグローバル化してきた企業の強みを生かしています。
以上の要素により、日本製鋼所は鉄鋼・機械業界で高い競争力を持つ企業だといえます。
参考までに競合3社との情報もまとめました。
会社名 | 売上高(2022年) | 平均年収 | 就職偏差値・難易度 | 社風 |
日本製鋼所 | 2,387億円 | 659万円 | 55 | 自発的行動を優遇する社風 |
大和工業 | 1,804億円 | 681万円 | 53 | 良くも悪くも昭和の雰囲気が残る社風 |
大同特殊鋼 | 5,785億円 | 761万円 | 58 | 風通しのいい社風 |
参考ページ
就活の教科書|【最新版】鉄鋼/非鉄金属業界の就職偏差値ランキング|大手3社,学歴,難易度も
日本製鋼所の新卒募集要項について
以下に日本製鋼所の新卒募集要項についてまとめました。
採用倍率は6倍程度であると予測されていますが、数年の実績を見ても男性が30名以上採用されている状況に対し、女性は10名以下にとどまっています。
採用大学は多岐にわたり、専門学校なども含まれることから学歴フィルターはないといわれてきました。
歴史の長い企業だからこそ、研修制度もしっかり整備されています。
転勤については、かなり少ないことが採用情報サイトに記載されていますが、ゼロではありません。
職種 | 本社採用・一般職 本社採用・情報システム職 事務系総合職 広島製作所採用(技術職・製造技術職) 広島製作所採用(管理系職種) 名機製作所採用(技術職・製造技術職) 室蘭製作所採用(管理系職種) |
給与(2023年4月入社初任給実績) | 本社採用・一般職、大卒(月給)211,200円 本社採用・情報システム職、大卒(月給)211,200円本社採用・情報システム職、専門学校卒(月給)191,900円技術系総合職、博士卒(月給)263,500円技術系総合職、修士卒(月給)246,500円技術系総合職、大卒(月給)227,300円 技術系総合職、高専卒(月給)206,300円 事務系総合職、修士卒(月給)246,500円 事務系総合職、大卒(月給)227,300円 事業所採用、広島製作所採用(技術職・製造技術職)、大卒(月給)211,200円 事業所採用、広島製作所採用(技術職・製造技術職)、高専卒(月給)194,400円 事業所採用、広島製作所採用(技術職・製造技術職)、専門学校卒(月給)191,900円
|
賞与 | 年2回(7月、12月) |
研修制度 | 新入社員研修、2年目・3年目・5年目研修、新入社員製品・現場理解教育、ものづくり研修、海外語学留学研修、グローバル力向上研修、語学研修、部門別研修、階層別研修 他 |
福利厚生 | 制度=各種社会保険、カフェテリアプラン、持株制度、共済会、住宅財形貯蓄制度、産前産後休暇、育児休暇、時間短縮勤務制度、配偶者転勤休職制度、キャリアリターン登録制度、等 施設=寮・社宅有り |
参考ページ
求める人材
日本製鋼所では、下記のような人材を求めています。
多様性受容力
世の中にはさまざまな人々がおり、多様性に満ち溢れているなか、グローバル企業として受容できる能力が求められる。
課題創出力
仕事は与えられるのではなく、みずから何が必要なのか、その課題を創出する能力が求められる。
自律的学習力
学習とは必要だからと指示されるのではなく、自分で見つけ挑戦し、つかみ取ることが必要です。
以上の3つは、日本製鋼所のJSWが求める人材ということで書かれている内容です。
グローバル企業としての多様性の受容力、自分で問題を見つけ行動できる量戦力、課題を創出して自律的に学べる人材がほしいことが読み取れます。
このような内容に関して、エントリーシートや面接中にも問われるため、明確な意識をもって選考に臨まなければいけません。
新卒採用のフロー
日本製鋼所の選考は、下記の通りの選考フローとなっています。
本社採用一般職のパターンであり、希望コースによってフローが変わりますが、基本的なところは変わりません。
特に面接やエントリーシートの対策は同様と考えていいでしょう。
①エントリー
日本製鋼所公式サイトの新卒エントリーボタンより必要事項を入力し登録します。
②会社説明会
日本製鋼所を具体的に知るための会社説明会です。
WEBで実施されます。
③適性検査
日本製鋼所の適性検査は、明確にされていません。
ですが、基本的な対策はできるでしょう。
一般的には「能力検査」と「性格検査」です。
性格、言語、非言語ともに実施された実績がある以上、有名どころの試験対策をしておけば、特殊なことは出ない可能性が高いといえます。
④小論文
日本製鋼所ではオンラインで小論文テストを行なってきています。
問題は2つ、または1問ですが2つの内容が包括されているパターンが過去にありました。
WEB提出となるため時間に余裕がありそうですが、期限ぎりぎりにいわれることもあり油断はできません。
⑤書類選考
これまで提出された情報をもとに選考が進められます。
⑥面接
日本製鋼所では、個別で2回面接を予定しています。
1次面接はZoomで行われるのが特徴です。
人事社員との面接であり、基本的なことを聞かれます。
- 自己紹介
- 志望動機
- 日本製鋼所でやりたい仕事
- ガクチカ
- 入社後にどんなふうに貢献できるか
- 逆質問
このような質問は基本的なことです。
例えばガクチカのように、学生時代にどのようなことに力を入れたかを知ることで、どのような努力をする人か、背景まで見えてきます。
行動原則や価値観なども見て取れるでしょう。
もう1つ基本的な質問として、なぜ日本製鋼所を選んだのか、同じ業界内で他の企業を選ばなかった理由も明確にしなければいけません。
日本製鋼所は、他の企業にはない沿革を持っています。
現在ではプラスチック整形機などの分野で強みを発揮していますが、防衛産業にも関わる業務を持っています。
このような企業を志望した理由は必ず大きな注目を集めるでしょう。
2回目の面接が最終面接になります。
相手は志望している部署や人事の役員です。
今度は会場での面接になりますが、基本的なところは変わりません。
ですが、掘り下げていく内容に違いがあります。
特にポイントになるのは、防衛事業関連です。
あいまいな理由ではなく、明確な答えを持って臨まなければいけない部分といえます。
以下のコンテンツも面接対策に役立ててみてください。
⑦内々定
最終面接をクリアできれば、内々定に進みます。
フローに含まれていませんが、コースによっていろいろなパターンがあるため注意しなければいけません。
現地採用技術職などでも違いがありますし、現在募集が出ていないコースもあったりするため、注意が必要です。
採用大学
日本製鋼所の採用大学の実績を以下に掲載しますが、最難関大学から標準的なレベルの大学まで幅広く採用されており、中途採用や専門学校も含まれているため、学歴フィルターはないと考えます。
<大学院> 関西大学、北見工業大学、九州大学、九州工業大学、慶應義塾大学、埼玉大学、東海大学、東京工業大学、東京理科大学、同志社大学、東北大学、早稲田大学など <大学> 青山学院大学、秋田大学、学習院大学、関西大学、関西外国語大学、慶應義塾大学、工学院大学、駒澤大学、芝浦工業大学、東京工業大学、東京理科大学、同志社大学、同志社女子大学、法政大学、早稲田大学など <短大・高専・専門学校> 旭川工業高等専門学校、呉工業高等専門学校、苫小牧工業高等専門学校、函館工業高等専門学校 |
上記には偏差値が高い大学もあります。
日本製鋼所は多様な学生層を積極的に採用しており、短大や専門学校、高専からの採用にも積極的です。
ここからも、学歴を理由として不採用になる可能性は低いといえます。
エントリーシートや面接対策をしっかりとして臨むことが大事なポイントになるでしょう。
就職偏差値・難易度
それでは、ここまでの内容を踏まえて、日本製鋼所の就職偏差値・難易度を見てみましょう。
結論としては、偏差値・難易度は標準的なレベルより高い企業です。
その理由として以下の3点が挙げられます。
- 採用コースの種類が多く、採用学校にも大きな幅がある
- 現地製作所採用などもあり、採用数が多い
- 防衛産業といった社会にかかわる特殊な面がある
基本的な事項の対策は必須ですが、日本製鋼所独自の考え方、経営方針、沿革も理解しなければいけません。
対策を怠らず内定を獲得するためには、しっかりと対策してください。
就職偏差値・難易度については、以下の記事も参考にしてみてください。
参照ページ
まとめ
日本製鋼所は、鉄鋼・機械業界のなかでも、非常に特殊な事業展開をしてきました。
戦中の軍備の国産化の流れを大きく受けたことは、現在でも大きなポイントになっています。
実際にはプラスチック成形などにかかわる機材、先進技術など多岐にわたりますが、違いとして明確に理解しておかなければならないでしょう。
日本製鋼所は、平均よりも少し高いレベルにありますが、それだけにしっかりとした対策をしておかないと、採用人数の多さに埋もれてしまうかもしれません。
女性比率も低いことからも、明確に対策していきましょう。