【企業分析】ダウ・ケミカル日本株式会社の就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説
2024年2月28日更新
はじめに
ダウ・ケミカル日本株式会社は、アメリカ合衆国ミシガン州ミッドランドに本拠を置く世界最大級の化学メーカーのザ・ダウ・ケミカル・カンパニー(The Dow Chemical Company)の日本会社です。
ダウ・ケミカル日本株式会社はダウ・ケミカルカンパニーの日本支社ではなく、「ダウ・ジャパン・ホールディングス」の完全子会社の別会社です。
大元のダウ・ケミカルカンパニーは、1897年に漂白剤と臭化カリウムの製造メーカーとして誕生しました。
1999年にはユニオンカーバイドを930億ドルで買収し、デュポンに代わり世界最大の化学メーカーとなります。
今回紹介する「ダウ・ケミカル日本」も、その流れを継いだ「ダウ・ジャパン・ホールディングス」の資本が注入されています。
化学製品の製造、輸入、販売などを行う会社として知られています。
「ダウ・ケミカル日本」について企業分析を行っていくので、ぜひご参考にしてください。
ダウ・ケミカル日本への就職に興味がある以下のような就活生を対象に、企業分析を行っています。
ぜひ最後までご覧ください。
- ダウ・ケミカル日本の仕事内容が気になる
- ダウ・ケミカル日本の就職難易度を知りたい
- ダウ・ケミカル日本の選考対策として何をすれば良いかわからない
また、ケミカル産業以外の業界については、以下の記事で概略を説明しているので、ぜひご覧ください。
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この記事の結論
ダウ・ケミカル(の採用は大きく分けると営業職(文系)と研究開発職・技術職(理系)、でフローが異なります。
採用予定者の大学は非公表ですが、求める人物像や採用フローを見ると、最難関、難関の国公立大学や難関私立大学がほとんどです。
特に理系職は、大学院卒も含めて高い研究開発力と専門性が求められます。
文系は英語ネイティブに近い語学力が必要で、入社時にも研修を行い徹底的に鍛えられます。
明確な志望動機だけではなく、語学力、プレゼンテーション能力などが必要で、入社後も常に目的意識を持って能動的に動くことが求められます。
自由で多様性のある働き方は、各社員の明確な目的意識に裏打ちされています。
まず、ご自身の志望動機を固め、世界的な化学製品をどのように作り出し、世に広めていけばよいのか考えてみましょう。
ダウ・ケミカルについて
出典:新生ダウ、日本における出発を発表 | Dow Japan
会社概要
ダウ・ケミカル日本はアメリカ合衆国ミシガン州ミッドランドに本拠を置く世界最大級の化学メーカーザ・ダウ・ケミカル・カンパニー(The Dow Chemical Company)の日本会社です。
1800年代末に臭素の開発からスタートしたダウ・ケミカルは、近代化に必要な化学薬品の製造で急成長を遂げています。
2つの世界大戦の弾薬に使われた化学薬品もダウ・ケミカルのものが多く、核兵器製造などにも携わります。
戦後は化学薬品の平和利用に重きを置き、1999年にはユニオンカーバイドを930億ドルで買収、2008年にはイオン交換樹脂の製造における世界トップの無機化学メーカー、ローム・アンド・ハースを188億ドルで買収しました。
これにより世界最大のケミカルカンパニーになりましたが、農業・化学・特殊化学製品に焦点を当てた三社に分割されることとなりました。
2019年に素材事業を担う新生ダウ、特殊産業材のデュポン、農薬のコルテバアグリサイエンスへ結果的に3つの会社へ分社化されました。
ダウ・ケミカル日本株式会社は、このうち化学部門を継承しています。
グループ会社に「ダウ・東レ株式会社」があります。
約850名の従業員は5カ所の主要拠点において、化学薬品や、包装材、機能材、工業中間体の研究、製造、営業等に従事しています。
参照ページ
各事業別の売上規模
ダウ・ケミカル(日本)について開示されている売上データはありません。しかし親会社のダウは、2021年で5億4968万ドルです。
2020年に新型コロナウィルスの影響を受けて売上が落ち込みましたが、その後回復し、2022年や2023年はさらに業績が回復しています。
ダウ・ケミカル(日本)についてもこの流れをたどり、ここ数年売上が好調です。
2021年の各セグメント(分野)別の事業規模は「ディールラボ」によると以下のようなシェアになっています。
(単位:%)
セグメント | 2022年度 |
ハイドロカーボン&エネ | 14.9 |
機能性プラスチック | 36.6 |
インダストリアルソリューション | 9.4 |
ポリウレタン・建築用化学品 | 21.4 |
コーティング&パフォーマンスモノマー | 7.4 |
コンシューマー・ソリューション | 10.3 |
参照ページ
各事業セグメントの解説
ダウ・ケミカルの主な事業セグメントは以下の通りです。
これはアメリカのダウ本社のものですので、日本の事業と異なる可能性があることにご留意ください。
このほかに、総務や人事、管理部門、営業部門があります。
事業部門 | 活動内容 |
ハイドロカーボン&エネルギー | エチレン、プロピレン、ベンゼン、ブタジエン、オクテン、芳香族の副産物など。 |
機能性プラスチック | アクリル、バイオベースの可塑剤共重合体、エラストマー、エチレン 共重合体樹脂、エチレン 酢酸ビニル、メタクリル酸などの化学製品。 |
インダストリアルソリューション | 界面活性剤、乳化剤、掘削および完成流体、熱伝導流体、レオロジー変性剤、スケール防止剤、特殊アミン系溶剤、水清澄剤、泡立ち防止剤、分離剤などの化学製品。 |
ポリウレタン・建築用化学品 | 苛性ソーダ、塩化ビニル、モノマー、アクリル系熱硬化性樹脂、ラテックスパウダー、アクリルエマルジョンポリマー、 セルロースエーテなどの化学製品。 |
コーティング&パフォーマンスモノマー | メタクリル酸エステル、加工助剤、アクリル樹脂、酢酸ビニルモノマー、熱可塑性材料および熱硬化性材料用コンパウンドなどの化学製品。 |
コンシューマー・ソリューション | 接着剤およびシーラント、消泡剤および界面活性剤など。 |
いずれも化学製品ですが、家庭用、工業用、プラスチック、それ以外の化学繊維、建築用など、用途や素材によってセグメントが分かれています。
参照ページ:
ダウ・ケミカルで働いている社員は?
社員の待遇などについて解説します。
平均勤続年数は?
ダウ・ケミカルの平均勤続年数は非公開です。
化学品製造業の平均勤続年数は16.4年ですが、ダウ・ケミカルは外資系企業なので中途入社が多く、人材の出入りは多いでしょう。
平均年収は?
2022年度のダウ・ケミカルの平均年収は非公開です
全国平均の年収は458万円ですが、外資系企業であり転職サイトの口コミなどを見ると1000万円を超える年収の人も珍しくありません。
平均残業時間は?
ダウ・ケミカルの従業員の平均残業時間は、転職口コミサイト等によると1ヵ月あたり20時間前後です。
外資系企業のためワークライフバランスに対する感応度が高く、1日1時間残業があるかないか、という会社になります。
ちなみに有給休暇取得率は60%程度です。
平均ボーナス額は?
ダウ・ケミカルのボーナスは年に1回3月に支給されます。
ボーナスは業績給と人事考課をもとに算定されます。
世界全体のダウ・グループで設定した目標(売り上げだけでなく事故がないなどの指標もある)を全体として達成すると、給与に対して人事考課や職位によって定められた率(10%~)のボーナスが出ます。
レベル(職位)が上がるほど報酬率が高くなり、最高で年俸の30%程をボーナスとして追加で受け取れるでしょう。
年俸1000万円の場合、×ボーナス率が加算されます。
ボーナス率20%の場合、ボーナスは200万円になります。
元々の基本給が高いので、ボーナスだけでも数百万になります。
かなりボーナスについても期待できます。
どんな文化なの?
ダウ・ケミカルは外資系企業のため自由度が高く、柔軟な対応ができます。
日本的企業文化は薄いでしょう。
在宅勤務やテレワーク、フレックスタイムなども先進的に導入されているため、皆が同じ時間に通勤しなくても会社は回ります。
直行直帰などもでき、オフィスにずっといる必要はありません。
仕事のすべてを指示・管理されるのではなく、自分で課題を見つけ、目標や計画を立てて進められます。
上司のサポートもしっかりしており、的確なアドバイスがあります。
多様性を重視しており、性別関係なく能力を発揮できます。
また、学部や研究科のバックグラウンドにとらわれない業務も理系では可能です。
典型的な外資系の社風であり、当然結果が求められます。
実力を発揮できない場合、給与、待遇、職位などに響いてきます。
就職偏差値・難易度および業界での立ち位置
ダウ・ケミカルの業界の中での立ち位置を簡単に紹介し、競合他社との差異を分かるようにします。
売上の項でも述べたように、ダウ・ケミカルの親会社は世界的な化学製品の会社です。
1800年代から化学製品を製造する先見の明、そして産業化の中で鍛えられた開発力は世界的シェアを獲得しています。
ダウ・ケミカル日本については規模が小さく、日本国内の売上高ランキングでは上位ランキング入りはしていません。
しかし世界で見ると、3社に分かれた後の「新生ダウ」は2020年売上高で世界4位になっています。
特殊産業材のデュポン、農薬のコルテバアグリサイエンスと合わせた「ダウ・グループ」で見ると、もちろん世界1位です。
下記は、世界規模の化学製品会社の売上高の比較です。
(単位:百万ドル)
会社名 | 売上高 |
ダウ・ケミカル | 38,542 |
BASF | 65,721 |
中国石油化工(シノペック) | 58,838 |
リライアンス・インダストリーズ | 43,837 |
ダウ・ケミカルの日本法人の就職偏差値は、世界的に有名な化学製品グループであることから「67」です。
ダウ・ケミカルの新卒募集要項について
以下に、ダウ・ケミカルの新卒募集要項についてまとめました。
ダウ・ケミカルの待遇、福利厚生は外資系企業の中ではオーソドックスなスタイルです。
年俸制、ボーナス年1回、フレックスタイム制や在宅勤務、テレワークの活用などでフレキシブルな働き方を実現できるでしょう。
各項目 | 詳細 |
職種 | 営業系 研究開発系 製造系 |
給与(2023年4月入社 初任給実績) | ・学部卒 基本給年額 456万円 (月額38万円) ・修⼠卒 基本給年額 480万円 (月額40万円) ・博⼠卒 基本給年額 516万円 (月給43万円) |
賞与 | 年1回(3月) |
研修制度 | 所属部門研修 ダウeラーニングシステム (英語、技術、キャリアスキルなど数千種類から選択可能) 年間を通じた各種トレーニングプログラム |
福利厚生 | 慶弔⾒舞⾦(結婚/出産/産休・育児休業からの復帰⾦、私傷病/災害⾒舞⾦等) 弔慰⾦・障害⾒舞⾦ ⻑期損害補償保険 任意医療・⻑期損害補償保険 財形貯蓄 福利厚⽣サービスプログラム 従業員持ち株制度 社内サークル |
求める人材
「これからの未来を創るために必要な素材って何だろう?あなたも私たちと一緒に未来を創る仕事をしませんか? 」
これがダウ・ケミカルの新卒採用スローガンです。
化学製品、素材という未来に不可欠な技術を、ともに作り上げてくれる人物を求めています。
新卒採用のフロー
ダウ・ケミカルの選考は、下記の通りの選考フローです。
面接では志望動機などのスタンダードな質問の他、人柄をチェックする質問も多いのが特徴です。
SPIで各自の潜在的な能力をチェックしましょう。
互いを尊重し、多様性に配慮し、個人の能力を最大限発揮できる自分らしい働き方を通して、化学製品の研究、製造、世の中へのアピールを実現できる人材を欲しています。
そのための新卒採用フローは以下のようになります。
ダウ・ケミカルの選考フローは以下のとおりで、文系(営業系)と理系(製造系、研究開発系)で若干異なります。
- 営業系職種の採用フロー
・1次⾯接 ・・・個⼈⾯接+英語試験 /@東京 またはオンライン
・2次⾯接 ・・・個⼈⾯接 /@東京 またはオンライン
・3次⾯接 ・・・個⼈⾯接(役員⾯接)/@東京
・4次⾯接 ・・・個⼈⾯接(英語)/@東京(⾯接官の⼀部は海外よりオンライン)
- 技術系職種(研究開発・製造)の採用フロー>
・1次⾯接 ・・・個⼈⾯接 /@東京 またはオンライン
・2次⾯接 ・・・個⼈⾯接(技術プレゼン含む)/@採⽤予定地 またはオンライン
・3次⾯接 ・・・個⼈⾯接(役員⾯接)/@東京 またはオンライン
・4次⾯接 ・・・個⼈⾯接(英語)/オンライン ※4次⾯接は無い場合があります。
外資系企業なので相応の英語力が求められるでしょう。
職種によって、ダウ・ケミカルが求める英語能力のレベルは異なります。
文系営業職の場合、高い英語力や英会話力が必須です。
本社や海外顧客とのやり取りも当たり前に英語で行います。
営業職の場合、⼊社後すぐに Commercial Development Program という英語力を高める研修プログラムへの参加が必須です。
それに対応できる英語力を持っている必要があるでしょう。
あるいは、面接や英語試験で試されます。
役員面接を突破しても、最終面接として英語面接が課されるでしょう。
⼀⽅、技術系の職種ではそこまで英語力は求められません。
何よりも大切なのは、研究開発力や技術力です。
相手方との交渉時は営業系の出番です。
現時点で英語能力がそれほど賛否くない⽅でも、今後積極的に伸ばしていきたいならダウ・ケミカル新卒採用にチャレンジする価値があります。
採用大学
ダウ・ケミカルの採用大学は非公開です。
しかし、英語面接、技術系のプレゼンテーションなどを突破できる人材を考えると、必然的に中堅国公立、GMARCH以上の学歴の人が採用されるでしょう。
東京工業大や東京農工大、電気通信大学などが大活躍できるフィールドです。
理系の場合は研究室で何を専攻したのか、学会での発表歴なども考慮される可能性があります。
学歴フィルターはないと聞きますが、結果的に相応の人材のみが採用されるはずです。
就職偏差値・難易度
ここまでの内容を踏まえて、ダウ・ケミカルの就職偏差値・難易度を見てみましょう。
ダウ・ケミカルの就職偏差値は67です。
偏差値・難易度はかなり高く、一定の大学以上の学生、かつ明確な目的意識を持つ学生、相当の英語力を持つことが必須です。
その理由として以下の3点が挙げられます。
・外資系超大手で海外とやり取りできる英語力
・明確な目的意識と解決策を自分で見つけ出す探索力が必須
・給与や福利厚生が優れている、特にボーナスの歩合が大きい
ダウ・ケミカルの場合、単に「給料が高い会社で働きたい」ということではダメです。
プレゼンテーション能力や英語力が必要です。
英語で何かの発表をスラスラできる人材を求めています。
文系職も日本企業によくある「コミュニケーション能力重視」とは違います。
体育会系のノリで通過できる選考ではありません。
英語力を大きく向上させたうえで、自分を表現できる能力を磨き、化学業界への動機づけをはっきりさせることが何より大切です。
就職偏差値・難易度については、以下の記事も参考にしてみてください。
参照ページ
まとめ
今回はダウ・ケミカルについて解説してきました。
この会社は世界的な化学製品企業の日本部門です。
世界的な素材、化学メーカーなので、需要が落ちることはないでしょう。
ですから、この会社でずっと働いてもいいですし、外資系企業の経験を積んで羽ばたくのもいいでしょう。
理系職は専門性がとても強いので、大学、大学院で研究したことを活かせれば最適です。
文系職も非常に高い能力が求められるでしょう。
全世界を相手に仕事ができるのは大きな魅力です。
さらなる高みへのステップになるでしょう。
求められるものが大きな分、給与や待遇などは日本企業にない高水準が期待できます。
ぜひこの記事を参考にして就活を頑張ってください!