【業界研究】ホームセンター業界とは?志望動機・ビジネスモデル・職種を徹底解説

2023年10月29日更新

はじめに

ホームセンターは多様な商品を品ぞろえしているため、誰しも一度は商品を購入しているのではないでしょうか。そんな身近な存在にあるホームセンター業界に憧れを持ち、就職したいと思っている人も多くいます。

 

就職するためには、どんな仕事をするのか職種やビジネスモデルなどをしっかり理解していないと、思っている仕事ではない、といったギャップがあるかもしれないのでしっかりと業界研究を行うことが大切です。

 

そのため、本記事では家電量販店業界について詳しく紹介しているので、どのような業界なのか学んでいきましょう。

ホームセンター業界とは

ホームセンター業界とは、DIY用品や日用雑貨、園芸用品、ペット用品などを中心に、大規模店舗をもつホームセンター事業の運営を行っている業界です。主な企業は、カインズ、コーナン、コメリ、島忠ホームズ、ビバホームなどがあります。

引用元:年間総売り上げとホームセンター数の推移 日本DIY協会

 

上記のグラフは、日本DIY協会が提供する「年間総売上高とホームセンター数の推移」です。ホームセンター業界は、1970年から右肩上がりの業績を続けていましたが、2005年を境にほぼ横ばい状態を維持しています。

 

2020年には新型コロナウイルスの影響で特需を得ますが、翌年には売上を落とし、また横ばい状態となっています。2005年を機に売上は横ばい状態を維持していますが、店舗数は引き続き右肩上がりに増えているのが特徴的です。

 

店舗数は増加していますが、企業数は減少しています。M&Aなどによって中小企業は大企業に再編される流れが続いています。売上は横ばい、店舗数は増加、企業数は減少、というのがホームセンター業界の現状です。

ホームセンター業界のビジネスモデル

ホームセンター業界のビジネスモデルは、「メーカー」、「卸売業者」、「ホームセンター業界(小売業)」で成り立っています。

引用元:就職エージェントneo

 

簡単に図で表すと上記のようになります。まずは、メーカーが卸売業者に商品を出荷し、卸売業者から消費者のニーズにあわせて商品を買い付け、店頭に並べる、というのが一連の流れです。

 

DIY用品、日用品、機械工具、園芸用品、ペット用品など、ホームセンターには売っていないものはないのでは?、と疑問に思うほどの商品量が展開されています。

 

これらの商品を消費者に販売した「販売料金」から、卸売業者から買い付けた仕入れ金を引いて求められる「粗利益率」が20%~30%であることが多いです。つまり、700円~800円で仕入れた商品を1,000円で売って儲けているのがホームセンター業界です。

 

近年では、プライベート商品に力を入れてるホームセンターも多いです。プライベート商品は自社で開発・製造・販売している商品であるため、メーカーや卸売業者を通さない分、安く仕入れることができます。

 

安く仕入れれば仕入れるほど、利益(儲け)になるため、積極的に取り組んでいる企業が多いです。またプライベート商品は、その企業でしか販売されていないため、競合との差別化を図ることもできます。

ホームセンター業界の職種

ホームセンター業界の職種は、大きく分けると「仕入れ」、「販売」、「販売支援」、「開発」の4つに分かれています。それぞれの特徴を見ていきましょう。

 

仕入れ

仕入れを行うのは主にバイヤーとマーチャンダイザーです。マーチャンダイザーは、商品の責任者として、商品管理のトップの権限を持つ存在です。マーチャンダイザーが、商品管理・販促方針・売上管理・展開運営などを行い、どの商品がほしいかをバイヤーに指示します。

 

バイヤーは卸売業者から商品を買い付ける役目です。マーチャンダイザーの指示のもと、消費者のニーズに応えられる商品を自分の目で耳で判断し買い付けます。

販売

販売は主に販売員や店長など現場スタッフです。私たちが目にすることが多いのが販売員であるため、就活生も販売のイメージが強いと思います。主に商品の補充や販売、レジ対応、売り場展開、発注など、自店舗に関わる作業が多いです。

 

店長はお店の長として、基本的な販売業務だけでなく、販売スタッフの教育や指導などのマネジメント業務を行います。ホームセンターは取り扱っている商品数が多いため、分野に分かれて販売員を割り振っています。

 

しかし店長はお店のすべてを把握していなければいけないため、キャリアアップを目指していく人は、全範囲を賄えるように豊富な知識を身につけましょう。

 

新入社員として入社すれば、まずは現場経験を積むために、販売員からスタートすることがほとんどであるため、基礎的な知識や経験を身につけましょう。

 

ちなみに、新入社員は店舗スタッフとして入社した後は、アシスタントマネージャー(副店長)、マネージャー(店長)、エリアマネージャーまたは人事・バイヤー・商品開発、といった流れでキャリアアップを目指していきます。

 

販売支援

販売支援を行うのはスーパーバイザー・エリアマネージャーと呼ばれる人たちです。スーパーバイザーは、複数の店舗を巡回しながら、店長やスタッフの教育、店舗のマネジメントを行います。

 

開発

開発は、自社で開発・製造を行うプライベート商品の開発を行うのが仕事です。また企業によっては店舗の新規レイアウトや改装計画の起案・実施などおこなう場合があります。

 

販売支援も開発も、豊富な現場経験を活かして作業にあたっているため、店舗スタッフとして働いている間に、いかに知識や経験を積むかが重要です。

大手企業紹介

今回はホームセンター業界に属する大手企業「カインズ」、「コーナン商事」、「DCMホールディングス」、「コメリ」の4社の売上や社風などを比較していきます。

 

なお、就職偏差値や難易度を詳しく知りたい方は、【24卒・25卒最新版】文系・理系・公務員別就職偏差値・難易度ランキングを参考にしてください。

 

会社名 売上高 平均年収 就職難易度 社風
カインズ 5,158億円

(2023年2月)

444万円 54 フラットで風通しの良い社風

挑戦できる環境がある

コーナン商事 4,390億円

(2023年2月)

503万円 55 個人の創意・工夫を大切にする
DCM 4,768億円

(2023年2月)

721万円 54 常に挑戦し、現状に満足しない
コメリ 3,794億円

(2022年度)

522万円 54 どんどん新人に任せていく風土

ホームセンター業界の動向

ホームセンター業界の動向を見ていきましょう。

 

ホームセンター業界の現状

引用元:業界動向リサーチ

 

上記のグラフを見てもわかるように、ホームセンター業界は長期的に横ばい状態を維持しています。コロナウイルスの影響で2020年には少し売り上げを伸ばしたものの、コロナウイルスが落ち着くとともに、ホームセンター業界の業績も落ち着きました。

 

2022年に入ると、行動制限が緩和されましたが、ロシアとウクライナの戦争により、物価が高騰し、消費者たちの節約意識が高くなったことが特徴的です。買い物を控える人が増えた一方で、省エネ対策グッズは好調な売り上げを記録しました。

 

ホームセンター業界は売り上げは横ばい状態ですが、店舗数は右肩上がりに増えています。

しかし近年では、新規出店のスピードを抑え、新規事業や既存店の再編、プロ向け事業の強化など、攻める方向にシフトしています。

 

例えば、DCMホールディングスが行った取り組みとしては、事業会社5社の統合や物流センターの新設、デジタル分野の強化などです。

 

コーナン商事は、「コーナンプロ」の拡大や新事業としてキャンプ専門店「CAMP DEPO」をオープンしました。

 

ニトリが島忠ホームズを買収したり、カインズが東急ハンズを完全子会社化したりなど、再編に向けた取り組みが積極的に行われているのが現状です。

 

ホームセンター業界の今後

ホームセンター業界は、今後も「M&A」、「新規事業」、「海外展開」、「デジタル化」の4つに注目が集まると予想されます。

 

・M&A

上記で紹介した売上上位の企業だけでなく、ア―クランドサカモトがLIXILビバを完全子会社化するなど業界全体でM&Aが増えています。業界自体が業績が伸び悩んでいるため、今後も企業同士が力を合わせて業界を盛り上げるしかありません。

 

各々の企業の強みをあわせ、より業績をあげるためにも、今後も積極的にM&Aが行われることが予想されます。

 

・新規事業

品ぞろえの豊富なホームセンターは、新たに商品数を増やすのではなく、新たな事業に挑戦していく企業が今後も増えていきます。

 

例えば、店内におしゃれなカフェを設け、飲食スペースを作ったり、家族で楽しめるDIY教室ようなイベントを開催したり、これまで扱っていないキャンプ、スポーツなど新事業に挑戦したりと、これまでにない取り組みを展開していく企業が増えるでしょう。

 

・海外展開

国内での新規出店が飽和状態になりつつあるため、海外に進出して行く企業が増えていくと予想されます。コーナン商事はベトナム、ニトリはタイなどに進出しているのが現状です。ホームセンター業界のトップ企業は、特に海外進出が積極的に行われるでしょう。

 

・デジタル化

ホームセンター業界に限らず、どの業界でもIT・AI技術が広まりつつあります。ホームセンター業界も時代の流れに取り残されないように、デジタル化を取り入れている企業が増えてきています。

 

例えば、DCMホールディングスが行った取り組みとしては、グループの共通会員サービス「マイボ」を皮切りに、電子マネーや交通系電子マネー等で買い物ができるように対応したことです。

 

実店舗だけにとどまらず、ECサイトやホームページなどを強化していく企業が増えていくでしょう。

志望動機

志望動機を作る上で大切なポイントが3つあります。それぞれの特徴とホームセンター業界でよくある志望動機を見ていきましょう。

 

なぜホームセンター業界なのか

一つ目の大切なポイントは、「なぜホームセンター業界を選んだのか」という点です。採用担当者は、就活生がしっかりと業界研究ができているか、この業界に対する知識量、本気度を確認するために質問します。他の業界にはない魅力をアピールすることが重要です。

 

ドラッグストアやスーパーマーケットなど、ホームセンター業界と似たかたちの業界は他にもあります。そんな中、ホームセンター業界のどこに惹かれたのかわかるように説明することが大切です。

なぜその企業なのか

ホームセンター業界でもたくさんの企業がありますが、事業内容は似たものが多いです。しかし、社風や求める人物像、経営理念など、その企業独自の取り組みなどがあるので、どこに魅力を感じたのかアピールしましょう。

 

アピールするためには、企業について深く知る必要があるので、企業を深めるために、会社説明会やOB訪問などを活用しましょう。

 

その企業にどうやって貢献するのか

採用担当者は、自分の企業にプラスになる人を採用しています。そのため、自分が企業に対し、どのように貢献できるかが重要です。企業の求める人物像をしっかり把握し、自分の強みをアピールしましょう。

 

ホームセンター業界によくある志望動機

ホームセンター業界によくある志望動機は以下の通りです。

 

・ユーザー目線を持ったまま、生活を豊かにする製品を取り入れたい(バイヤー志望)

・DIY用品をより身近な存在にしたい

・自社ブランド商品が看板になるようなホームセンターにしたい

・貴社の店員の方の接客が素晴らしいため

・大学時代のアルバイト経験を活かした仕事したいから

・細かい作業や工作が得意で、その能力を活かせる仕事がしたいから

 

まとめ

ホームセンター業界は、長期的に横ばい状態の業績を維持している業界です。長期的な横ばい状態を安定と取るのか、どちらに転ぶかわからないから不安定と取るのか、人によりさまざまです。

 

右肩上がりになるか下がるか、なかなか見通しのつかない業界であるため、しっかり業界研究を深めて現状を把握し、自分に合った業務内容なのかチェックしましょう。

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