【業界研究】倉庫業界とは?志望動機・ビジネスモデル・職種を徹底解説

【業界研究】倉庫業界とは?志望動機・ビジネスモデル・職種を徹底解説

2023年10月29日更新

はじめに

倉庫業界とはどんな仕事をするのか、どんな企業があるのか、といったことに興味を持っている就活生もいるのではないでしょうか。

 

実際どんな仕事をするのか職種やビジネスモデルなどを知っていないと、思っている仕事ではない、といったギャップがある可能性もあります。そのため、本記事では倉庫業界について詳しく紹介しているので、どのような業界なのか学んでいきましょう。

倉庫業界とは

倉庫業界とは、依頼者から預かった商品や物資などを倉庫に保管する業務を行っている業界のことです。倉庫業は3つの種類に分かれています。

 

普通倉庫業農業、鉱業、製造業といったさまざまな産業の貨物や、消費者の財産などを保管しています。倉庫業の大半が普通倉庫業です。
冷蔵倉庫業8類物品(食肉、水産物、冷凍食品など10℃以下で保管することが適切な貨物)を保管しています。
水面倉庫業5類物品(原木等)を河川や海などの水面で保管しています

 

倉庫業界に属している日本の代表的な企業は、「近鉄エクスプレス」、「上組」、「三井倉庫ホールディングス」などです。

 

インターネットやスマホなどの普及によって、近年ではネット通販の需要が高くなっています。その影響を受けて倉庫業界も右肩上がりの成長をしている現状です。

倉庫業界のビジネスモデル

倉庫業界のビジネスモデルは以下の図を見ながら解説していきます。

引用元:unistyle

依頼者から受け取った商品を倉庫で管理し、消費者へと届けるための中間地点としての役割を果たしています。上記の図では、依頼主から倉庫、倉庫から消費者と物流会社を通じた形になっていますが、物流から倉庫の管理まで一括して行っている企業がほとんどです。

 

倉庫業界は、名前のイメージから倉庫を営むことで経営していると思われがちですが、倉庫を専業として事業を行っている企業はほとんどおらず、総合物流企業として、倉庫の管理や物流、不動産事業など多種の事業を取り扱っています。

 

国土交通省が行った「令和4年度倉庫事業経営状況報告」をもとに作った表を見ながら見ていきましょう。

 

<会社全体における事業別営業収益構成の推移(1社平均) >

区分平成24年度平成27年度平成30年度令和3年度
普通倉庫業16.9億円

(21.6)

17.5億円

(21.0)

19.2億円

(22.2)

21.0億円

(21.8)

その他倉庫業1.6億円

(2.1)

1.3億円

(1.6)

1.7億円

(2.1)

1.7億円

(1.8)

港湾運送事業13億円

(16.7)

11,5億円

(13.8)

12.4億円

(14.4)

14.3億円

(14.9)

貨物自動車運送事業8.7億円

(11.1)

14,5億円

(17.4)

6.2億円

(7.2)

4.7億円

(4.9)

貨物利用運送事業13.1億円

(16.8)

16.4億円

(19.6)

22.3億円

(25.7)

29.0億円

(30.1)

不動産賃貸業8.6億円

(11.1)

7.4億円

(8.9)

7.8億円

(9.0)

8.2億円

(8.5)

その他事業16.1億円

(20.6)

14.8億円

(17.7)

16.8億円

(19.5)

17.3億円

(17.9)

営業収益78.2億円

(100)

83.7億円

(100)

86.7億円

(100)

96.6億円

(100)

引用元: 国土交通省「令和4年度倉庫事業経営状況報告」

※( )内は営業収益に占める割合(%)で、「その他事業」とは、内航海運業、不動産販売業、通関業等です。

 

この表から見てわかる通り、倉庫業(普通倉庫+その他倉庫)の割合は、全体の23.6%しか占めておりません。運送事業やその他事業(内航海運業、不動産販売業、通関業など)などの比率も高く、倉庫業のみで事業を行っていないことがわかります。

 

またこれは近年だけでなく、平成24年度から倉庫業の割合は20%前後を維持しているため、倉庫業だけでなく、他の事業を併用して行っているのが倉庫業界のビジネスモデルです。

 

全体のビジネスモデルを説明しましたが、倉庫事業にフォーカスして具体的にどのような業務を行っているのか見ていきましょう。倉庫事業の流れは以下の通りです。

 

・検品:貨物の入荷の際に個数があっているか、適正なものかなどを、現物と入荷伝票を見比べて確認

・入庫:貨物の特性に合わせて、決められた保管場所に入庫

・保管:常温保管、定温保管、定湿保管、冷蔵保管、サイロ、タンク、野積保管、トランクルーム、ロケーション管理、在庫管理、商品日付管理、入庫順管理、機械番号管理など、貨物の特性にあわせて保管・管理

・流通加工:包装、詰合せ、ラベル張り、検針、荷札付、値札付け、組立、マーキング等、流通に必要な加工

・ピッキング:入庫順、日付順に大口、小口など出荷指示によって商品を在庫から選び出す作業

・仕分・荷揃え:配送先別・方面別に仕分してトラック単位に荷揃えをする作業

・出庫:指定された時間に合わせて貨物を倉庫から出荷

 

倉庫業界の職種

倉庫業界の代表的な職種は「営業」、「管理」、「事務」、「現場」の4つです。それぞれの特徴を見ていきましょう。

 

営業

営業は、主に法人を相手に自社サービスの提案や、物品の保管や運搬などのアウトソーシングを検討している企業へ訪問し、顧客が抱える問題点の解決策を提案するBtoB営業です。

 

また物流センターや事務所などの関連部門と協力し、最適なソリューションをつくる企画営業という業務もあります。新規顧客獲得に向けて活動し、売上・利益などを拡大させるための大切な部門です。

 

管理

倉庫や物流センターで、検品・管理・梱包などを行う仕事です。まずは依頼者から預かった商品に、キズや破損がないか、数はあっているかなど検品作業を行います。検品作業が終わった商品は倉庫で管理されます。

 

管理は、次の目的地まで、依頼者からの大切な商品を保管しておく重要な役割です。管理された商品を、次の目的地まで運ぶために荷造りを行うのが梱包です。輸送中にキズや破損が起きないように、丁寧に作業する必要があります。

 

また、預かった商品を依頼者の要望に合わせ、商品を適切な品質、量、時期、場所、価格で届けるための手はずを整えるために、配送手段やスケジュール、人員配置なども行います。

 

事務

事務は、預かった商品に関する事務的な手続きを行う仕事です。倉庫に届いた商品の個数や種類などをコンピューターシステムを用いて管理、記録し、いつでも正確な情報を確認できるようにします。

 

倉庫内で働く人たちに、働きやすい環境を提供するのが役目であり、縁の下の力持ちのような存在です。もちろん倉庫管理以外の「支払い管理」、「契約管理」といった事務作業も行います。

 

倉庫内の管理以外にも、「契約書類の手続き」や「支払い管理」など、業務内容は多岐に渡っています。

 

現場

倉庫や配送センターから出荷された商品を、購入者・小売店・卸売企業などのもとへ運ぶ仕事です。積み込みや荷下ろしなどの作業が必要な場合もあり、日中・深夜問わず長時間運転することもあり、体力が必要です。

 

トラックドライバーは、トラックの大きさや形態に合わせて免許が必要になります。

大手企業紹介

倉庫業界に属する売上トップ企業4社を紹介します。それぞれの売上高や就職偏差値の違いを比較していきましょう。

 

なお、就職偏差値や難易度を詳しく知りたい方は、【24卒・25卒最新版】文系・理系・公務員別就職偏差値・難易度ランキングを参考にしてください。

 

会社名売上高平均年収就職偏差値社風
近鉄エクスプレス9.804億円

(2022年度)

810万円55チャレンジ精神豊富で勢いがある
三井倉庫HD3,008億円

(2023年3月)

768万円55社員同士の仲がよく上司とも気兼ねなく話せる
上組2,741億円

(2023年3月)

600万円60何年・何十年経っても横のつながりが深い
三菱倉庫3,005億円

(2023年3月)

793万円58保守的であまり変化を好まない社内雰囲気

三井倉庫について詳しく知りたい方は【企業研究】三菱倉庫の就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説 | ジョーカツキャンパス (jo-katsu.com)を参考にしてください。

倉庫業界の動向

倉庫業界の動向を見ていきましょう。

 

倉庫業界の現状

倉庫需要は増加傾向にあるのが現状です。新型コロナウイルスの影響などにより、巣ごもり需要によってインターネット通販の需要が高くなっています。これにより貨物量が増加し、物流施設の需要も増え、倉庫業界は右肩上がりの業績を推移しているのが現状です。

 

倉庫業界の大手企業である、三井倉庫HDは前年比18.7%増、三菱倉庫は20.4%増、住友倉庫は20.5%の増加と、どこも業績を伸ばしています。

倉庫業界の今後

少子高齢化社会が進む中、倉庫業界でも人手不足が問題となっています。これを受けて、倉庫業界では、物流施設の自動化、大型化の推進が必要です。今後もインターネット通販などの需要により、貨物物が増加していきますが、倉庫内の作業員が不足していくことが予想されます。

 

人手不足問題を解消すべく、各企業が設備の自動化を進めていかなければいけません。現状では、小規模クラスの倉庫では、機械の導入による費用対コストが大きく、なかなか自動化を進められていません。

 

また倉庫業界に属する多くの企業は、倉庫以外に物流や不動産などその他事業から収入を得ています。三菱倉庫の日本橋ダイヤビルディングのように、不動産事業の強化を図り、収益力を強化することも大切です。

志望動機

志望動機を作る上で大切なポイントが3つあります。それぞれの特徴と倉庫業界でよくある志望動機を見ていきましょう。

 

なぜ倉庫業界なのか

一つ目の大切なポイントは、「なぜ倉庫業界を選んだのか」という点です。採用担当者は、就活生がしっかりと業界研究ができているか、この業界に対する知識量、本気度を確認するために質問します。

 

倉庫業界は、物流の一部であるため、ヒトとモノをつなぐ運送関係にも繋がっています。運送・物流業界ではなく、倉庫業界でなくてはいけない理由を明確に伝えられるようにしましょう。

 

なぜその企業なのか

倉庫業界の中にも様々な企業があります。いくつもある企業の中からなぜその企業を選んだのか答えられることが大切です。その企業ならではの取り組み、強み、社風、福利厚生など、どこに魅力を感じたのか伝えましょう。

 

そのためには、しっかりと企業研究を深めることが大切です。採用担当者は、安定して自社に貢献できる人を求めているため、企業に対する熱意、やる気をアピールしましょう。

 

どのようにその企業に貢献できるか

いくら熱意ややる気があったとしても、その企業の戦力にならなくては採用されません。採用担当者は、この人材を採用することで自社にどのようなメリットがあるか、会社が成長できるか、という点を大切にしています。

 

そのため、自分の強みや特技などがその企業にどのようなプラスになるのかをアピールしましょう。企業の求める人物像とマッチしていれば、自ずとその企業に貢献することができるので、自己分析を深め、企業の考え方と自分の考え方があっているか確かめましょう。

 

倉庫業界によくある志望動機

倉庫業界によくある志望動機は以下の通りです。

 

・自分の強みを活かして貢献したい

責任感のある行動が強みであり、倉庫の仕事は顧客に商品を届けるために責任を持って働く仕事だから。

 

・社会インフラを支える仕事がしたい

災害時に支援物資が届いたことに感動。倉庫業界が災害時に活用できるように物資を管理、保管していることを知って、自分の社会インフラを支えたいから。

 

・倉庫管理の実務経験がある

アルバイトで倉庫管理などの実務経験があり、その経験を活かしたいから。

まとめ

倉庫業界は、今後も需要が高くなると予想されています。そのため、就職した後でも安定した収益を得ることが可能です。倉庫業界といっても物流や不動産など、他の事業での収益も多いため、しっかりと企業の業務内容を確認し、自分の求めている仕事であるかチェックしましょう。

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