【企業研究】帝人の就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説

【企業研究】帝人の就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説

2023年10月4日更新

はじめに

帝人(帝人株式会社)は主に繊維事業とヘルスケア事業を展開する日本の大手企業です。「だけじゃない。テイジン」のキャッチーなCMで名前を聞いたことがある人も多いでしょう。事業を通じて社会貢献をしていく強い信念を持っており、グローバルに事業を展開しています。

 

今回はそんな帝人の企業研究です。事業内容や社風、基本データ、業界での立ち位置など、必ず押さえておきたい内容を解説します。また、新卒選考フローや求める人材、採用大学といった、選考対策に役立つ情報も見ていきましょう。

繊維業界・医療機器業界

帝人が属する繊維業界は、紡糸、紡績、製糸、縫製、染色などで天然繊維・化学繊維を製造し、繊維製品として販売する業界です。アパレル製品などの生活必需品から、産業製品に使用する材料まで、幅広い製品を世の中に供給しています。

 

繊維業界について詳しく掘り下げたい場合は、ぜひ次の記事をチェックしてみてください。

【業界研究】繊維業界とは?志望動機・ビジネスモデル・職種を徹底解説

また、帝人は医療機器業界に関わる企業でもあります。医療機器業界は、医療行為に使用される機器の開発・製造・販売などを行う業界です。広くは医療業界を構成する一部でもあります。

 

医療機器業界での就職を希望している方には、業界研究や試験対策に関する次の記事もおすすめです。

医療機器業界へ就職したい学生必見!業界研究から試験対策を徹底解説

 

繊維業界・医療機器業界以外の業界については、以下の記事で概観しているので、ぜひ読んでください!

【業界研究ガイド】業界一覧

事業内容

次に挙げる2領域の事業が帝人の主軸です。数多くの製品の開発・製造を行ってきた帝人の技術やノウハウを活かしながら、生活に不可欠なオブジェクトを構成する素材や、健康に関わる製品の提供を通し、社会への貢献を目指しています。

 

帝人のCMでおなじみの「だけじゃない。テイジン」のフレーズには、企業経営のための商品・サービス販売だけでなく、これからの社会のための価値も提供していくという、帝人の姿勢が込められています。

 

マテリアル事業

生活に必要な物から産業用の製品まで、多彩なマテリアルを提供する事業です。「アラミド」「樹脂・難燃剤・添加剤」「炭素繊維」など、機能性の高い繊維製品を開発・製造しています。また、繊維や繊維を製造技術を活かした「複合成形材料」「フィルムシート」なども。その他にも、日常生活の中で着用する衣服、カーペット、防災用カーテン・毛布、化粧品など、さまざまなシーンを支える製品を供給しています。帝人の繊維事業が非常に幅広いニーズに応えるものであることがわかります。

 

ヘルスケア事業

保健領域に関して、医薬・医療機器を提供しています。医薬品は骨・関節や呼吸器、代謝・循環器などのさまざまな症状の治療薬などの開発・製造が主です。医療機器は、在宅酸素療法や睡眠時呼吸器障害などに関する在宅医療機器や埋込型医療機器、再生医療等製品などを取り扱っています。また、非保健領域として、プレバイオティクス・プロバイオティクスを配合した機能性食品なども展開しています。

 

参考:帝人株式会社

新卒選考フロー

それでは、帝人の新卒選考フローを見ていきましょう。基本的には次の流れで進んでいきます。ただし、帝人は選考の中で応募者との希望者のマッチング度合いを重視しており、応募者の企業理解度などによって選考フローに変更が生じることもあり得るとしています。

 

本エントリー

帝人の採用情報ページから本エントリーを行います。登録が完了したらエントリーシートの提出です。エントリーシートでは、自分の長所・短所など応募者自身に関する内容の他、帝人を知ったきっかけや帝人に対するイメージなどの質問もあるようです。なお、適性検査(SPI)の受検も必要です。

 

説明会

説明会は職種ごとに開催されます(事務系・技術系など)。会社概要や事業内容の説明、職種の紹介、職場環境の説明などがあるようです。

 

面接

選考の最後のステップは面接です。基本的には複数回行われますが、職種や個別の状況によって回数は変動することもあります。面接では志望動機、所属していたゼミや卒論テーマなど大学に関すること、企業研究の内容や入社してからやりたい仕事といった会社に関することを幅広く質問されるようです。

 

参考:FAQ 採用について 採用情報 帝人株式会社

社風

ここでは、帝人の社風の特徴を紹介します。主に、穏やかで堅実な職場で働きたい人にマッチしやすい環境です。

 

保守的ながら新しい挑戦を後押しする姿勢も

帝人の社風でまず挙げられるのは、年功序列・保守的な雰囲気です。失敗につながらないよう、非常に慎重に物事を運ぶ傾向が見られます。特に医療分野に関しては業界の特性として、シビアなルールやデリケートな部分が多く、なかなか新たな開拓が難しいところもあるでしょう。ただし、挑戦に否定的なわけではなく、チャレンジを後押ししようとする空気も存在します。アプローチの仕方を丁寧にすれば、あるいは自分の挑戦したいことを認めてもらえるかもしれません。

 

経験が少なくても責任ある仕事に携われる

年功序列ではありつつ、若手にある程度の業務の裁量を任せることも帝人の特徴です。経験がまだそこまで多くなくとも、責任ある仕事に携われるため、社員は自分の存在意義ややりがいを大きく感じられるでしょう。

 

ほど良い距離感でスムーズなコミュニケーションが可能

職場は真面目で堅実な雰囲気があり、社員にもそのまま投影されています。穏やかかつ常識的で、ほど良く距離をとりながら対応する人が多いとの声が見られます。和気あいあいとしたカジュアルな空気感ではないので、人間関係が希薄だと感じる人もいるかもしれません。しかし、冷たい対応をされるわけではなく、基本的にコミュニケーションはスムーズな環境です。

求める人材

帝人では、「変化を糧に成長できる人財」を求める人材像だと述べています。この人財は、働く中で環境の変化や課題などに突きあたっても、自分の軸を見失わず、かつその状況に柔軟に対応しながら、諦めず粘り強く対応できる人だとも説明しています。

 

帝人は、マテリアル事業とヘルスケア事業の2つの事業を展開していますが、そのどちらも社会の変化や社会課題に影響を受けやすい分野です。事業がどこまでもずっと現在と同じように進んでいくとは限りません。そのため、仕事の上で壁に当たったとき、譲れないことと状況に合わせるべきことをしっかり見極め、解決に向け力を尽くせる人を必要としているのだと考えられます。

 

なお、帝人は国内だけでなく海外でも事業を展開するグローバル企業であるため、入社時点で英語のスキルを備えている必要があるのではと心配する学生もいるようです。しかし、英語力に関しては、業務を行う上で重要なツールでありいずれ必須にはなりますが、入社の段階から必ずしも高いレベルを求められるわけではありません。

 

参考:FAQ 採用について 採用情報 帝人株式会社

就職偏差値・難易度および業界での立ち位置

会社名売上高平均年収就職偏差値・難易度社風
帝人1兆188億円744万円62保守的だが挑戦は可能
東レ2兆4,893億円756万円63挑戦を応援する姿勢あり
東洋紡3,999億円633万円60保守的で堅実
フクダ電子1,320億円848万円55保守的でアットホーム

財務情報の比較(売上)

帝人は繊維事業と医療機器事業の2段構えで事業を行っている企業ですが、同様にこの2領域の事業を行っている企業はほとんど見受けられないため、比較対象は繊維業界・医療機器業界それぞれの大手から、帝人の事業に近い事業を行っている企業をピックアップしました。

 

業績に関しては、繊維業界は近年の物価高騰を含めた社会情勢の影響などを受け、売上高自体は前年度より上昇の傾向が見られます。しかし、製造のための原料価格なども高騰しているため、利益についてはやや落ち込み気味です。また、繊維製品については世界中で中国のシェアが非常に大きくなっており、日本企業は厳しい競争の中にあります。

 

なお、医療機器業界は2020年からの世界的な感染症流行を経て、流行期間中は感染症対策優先で落ち込み気味だった機器の需要が徐々に回復し、業績が少しずつ上向きになっています。フクダ電子も2022年度と比較して売上高・利益ともに微増の状況です。

 

社風の比較

帝人及び比較対象として挙げた企業のいずれにも共通する社風が、保守的という部分です。古くからずっと続いてきた業界なので、日系企業の伝統的な体質を色濃く受け継いでいるとも考えられます。しかし、今後の繊維業界の動向なども鑑み、新しいことに挑戦しなければならないと、意識改革を試みている会社も多いようです。

 

保守的な雰囲気のためか、おっとりとして真面目な社員が多いことも特徴と言えます。きつい物言いや冷たい態度など、コミュニケーションに難のある人が少ないので、おおむね良好な人間関係を築きながら働けるでしょう。

 

就職偏差値

就職偏差値については繊維業界・医療機器業界ともに業界トップ企業は就職偏差値が高めです。帝人・東レ・東洋紡はいずれも国内繊維業界のトップを走る企業であり、就職も簡単ではありません。また、フクダ電子も医療機器業界指折りの大手企業で、就活生から人気があります。採用人数が大体各社50〜80人ほどと多いわけではないですが、選考対策に十分力を入れれば採用獲得は不可能ではないでしょう。

 

【24卒・25卒最新版】文系・理系・公務員別就職偏差値・難易度ランキング

採用大学

帝人で採用実績のある大学の例は次の通りです。

 

大阪市立大学、大阪大学、岡山大学、関西大学、関西学院大学、九州大学、京都工芸繊維大学、神戸大学、千葉大学、中央大学、東京工業大学、東京大学、同志社大学、奈良先端科学技術大学院大学、日本体育大学、北海道大学、広島大学、武庫川女子大学、明治大学、立教大学、立命館大学、早稲田大学 など(五十音順)

 

採用実績の中では、国内有数の難関大学や有名私大が目立ちます。必ずしもそういった大学ばかりというわけではありませんが、割合としては偏差値の高い大学が多めです。帝人の採用人数は例年50人前後なので、そう多くない採用者の中で難関大学・有名私大出身が多いことを考えると、学歴フィルターはあると考えた方が良いでしょう。

売上利益は落ち込むも2023年度は回復の見込み

帝人は2022年度の売上高が1兆188億円と、久々の1兆超えで前年を1割ほど上回る数字となりました。ただし、営業利益は前年を約7割下回り、大きく落ち込む形になっています。売上高に関しては、原材料価格の高騰により製品の販売価格もアップした影響が大きいところです。

 

減益については、アメリカの生産拠点におけるトラブルや、中国などで感染症が拡大したことによる工場の稼働減などの影響と見られています。ただし、欧米で自動車・光ファイバー・防護製品などの販売が好調なことから、原材料に使用されている帝人の製品も販売量が増えている状況です。また、半導体不足の解消による製造の安定化も販売量を押し上げました。

 

イレギュラーなネガティブ要素も多かった2022年度ですが、2023年度には売上高・売上利益ともに増が見込まれています。今後の縮小も見込まれる繊維業界ですが、帝人の高品質かつ付加価値の大きい製品は需要が広がり続けており、これからも業界のリーディングカンパニーとして存在感を高め続けるでしょう。

 

参考:帝人が売上高1兆円超えも営業利益は7割減、天然ガス価格高騰や工場の火災が影響(MONOist)

まとめ

帝人は繊維業界と医療機器業界を股にかけながら事業を行う、独自の立ち位置を確立した企業です。社会情勢の影響を受けやすい業界でもありますが、帝人ならではの高い技術力と高品質な製品で、今後も業界の第一線を走っていくと考えられます。また、穏やかで堅実的な社風もあるので、確実な仕事をしながら安定感をもって働きたい人にも適している可能性があります。

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