【業界研究】フィンテック業界とは?志望動機・ビジネスモデル・職種を徹底解説
2023年8月31日更新
はじめに
近年、耳にすることが増えた「フィンテック」。
フィンテックを専門に扱う企業は急速に増え、今とても注目度が高い業界であることが分かるのではないでしょうか。
そこで本記事では、現在注目度が高いフィンテック業界について詳しく解説します。
すでにフィンテック業界に興味・関心がある人はもちろん、金融業界などに興味がある人は、ぜひこの記事をきっかけに興味の幅を広げてみてはいかがでしょうか。
フィンテック業界とは?
そもそもフィンテックとは、下記のような意味を持つ造語です。
FinTech(フィンテック)とは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、金融サービスと情報技術を結びつけたさまざまな革新的な動きを指します。身近な例では、スマートフォンなどを使った送金もその一つです。
出典:日本銀行「FinTech(フィンテック)とは何ですか?」
金融とテクノロジーを掛け合わせたフィンテックは、多種多様なテクノロジーを活用しています。
近年では、AIやブロックチェーン、ビックデータなどのトレンドのテクノロジーを駆使した事業展開が積極的に行われています。
フィンテック業界のビジネスモデル
フィンテック業界では主に、下記のようなビジネスで収益を得ています。
投融資サービス
投融資サービスは、名称通り投資や融資に関わるサービスです。
金融業界全般で主体となっているビジネスですが、フィンテック業界も例外ではありません。
テクノロジーの中でも主にAIを活用した株価予測などのサービスを提供することで、個人の投資活性化や、リテラシーを提供するといった内容が主流です。
また、テクノロジーの力を駆使することで、効率的な融資を行うことができるようなソーシャルレンディングの提供も、フィンテック業界ならではのサービスと言えるでしょう。
この他、クラウドファンディングなどのサービスもフィンテック業界の投融資サービスに該当するビジネスです。
キャッシュレス決済
近年急速に普及しているキャッシュレス決済は、フィンテック事業を代表するビジネスです。
日本は世界と比較すると、キャッシュレス後進国です。新型コロナウイルス感染症が落ち着きを見せ、海外からの旅行者が増えていることからも、キャッシュレス決済のさらなる普及は急務と言えます。
キャッシュレス決済と聞くと、〇〇ペイのようなQRやバーコード決済を思い浮かべるかもしれませんが、クレジットカードや電子マネーもキャッシュレス決済に該当します。
電子送金
キャッシュレス決済に合わせて急速に普及しているのが、電子送金です。
〇〇ペイなどを活用すると、口座情報を知らずとも気軽に送金を行うことができるようになりました。このような電子送金も、フィンテックのビジネスのひとつです。
仮想通貨
フィンテックにおけるビジネスと言えば、仮想通貨を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。ビットコインやイーサリアム、リップルなど、あらゆる仮想通貨はフィンテックにおけるビジネスのひとつです。
仮想通貨のやり取りにはブロックチェーンが利用され、暗号化されたデータを記録することで、仮想通貨のやり取りを実現できています。
仮想通貨は今後もさらなる拡大をしていくことが予想されており、フィンテックの中でも注目度が高いビジネスだと言えるでしょう。
フィンテック業界の職種
では、フィンテック業界ではどのような職種で働くことができるのでしょうか。
開発関連職種
エンジニアをはじめとする開発関連の職種は、フィンテックと縁が深い職種です。
システム開発を行うエンジニアはもちろん、個人情報を多分に扱うという観点から、セキュリティやリスクマネジメントの観点を持った人材も重要になります。
また、実際にユーザーがサービスを利用する際には、分かりやすいUIやUXである必要があります。そのため、UIやUXデザイナーも募集がかかりやすい職種だと言えるでしょう。
営業
フィンテック業界において、営業は非常に重要です。個人ユーザー向けではなく、対象は主に法人となります。
先にご紹介したキャッシュレス決済の導入店舗を獲得するための営業や、新たな投融資先を見つけるための営業など、そのニーズは多岐に渡ります。
ただし、いずれの職種も金融機関での経験がある場合に優遇されることが多く、新卒でフィンテック業界を志望するのはもちろん良いですが、広く金融知識を獲得できる企業へ就職し、転職でいずれフィンテック業界を選択するのもおすすめです。
カスタマーサポート
フィンテックのビジネスは、その特性上個人ユーザーが利用する場合が多いため、カスタマーサポートは欠かせません。サービスの使い方などに関する質問に答えることはもちろん、クレーム対応なども重要な業務です。
かつては電話やメールなどでのサポートが一般的でしたが、現在は初期問い合わせをチャットボットが対応し、具体的な問い合わせのみを対応するケースも増えています。
また、ただ顧客対応を行うだけでなく、顧客対応の満足度を高めることでユーザーの継続利用を促す企業も増えており、カスタマーサポートの企業における存在感はますます強まっていくと言えるでしょう。
では、フィンテック業界ではどのような企業が活躍しているのでしょうか。
有名企業をいくつかご紹介します。
なお、就職偏差値や難易度について詳しく知りたい人は、【24卒・25卒最新版】文系・理系・公務員別就職偏差値・難易度ランキングを参考にしてください。
会社名 | freee | ウェルスナビ | FOLIO |
資金調達額 | 183億円 | 103億円 | 92億円 |
平均年収 | 765万円(2022年6月期) | 819万円(2022年12月期) | 約537万円 |
就職偏差値 ・難易度 | 中 | 中 | 中 |
社風 | ・ダイバーシティ・多様性を重んじる ・カルチャー形成に力を入れている | ・2015年設立ということもあり、いわゆるベンチャー企業の精神が強い | ・多様な働き方に柔軟に対応 ・拡大期ということもあり、会社全体がエネルギーに溢れている |
フィンテック業界の有名企業紹介
では、フィンテック業界ではどのような企業が活躍しているのでしょうか。
有名企業をいくつかご紹介します。
なお、就職偏差値や難易度について詳しく知りたい人は、【24卒・25卒最新版】文系・理系・公務員別就職偏差値・難易度ランキングを参考にしてください。
会社名 | freee | ウェルスナビ | FOLIO |
資金調達額 | 183億円 | 103億円 | 92億円 |
平均年収 | 765万円(2022年6月期) | 819万円(2022年12月期) | 約537万円 |
就職偏差値 ・難易度 | 中 | 中 | 中 |
社風 | ・ダイバーシティ・多様性を重んじる ・カルチャー形成に力を入れている | ・2015年設立ということもあり、いわゆるベンチャー企業の精神が強い | ・多様な働き方に柔軟に対応 ・拡大期ということもあり、会社全体がエネルギーに溢れている |
フィンテック業界の動向
市場規模
フィンテックの市場規模は、2030年までに1兆5,000億円にまで拡大するとされています。
また、BCG、QEDインベスターズ共同調査によると、アジア太平洋地域のフィンテック市場は、2030年までに米国を抜き、世界最大になるという見立てが立てられています。
この成長には中国を中心に、インドやインドネシアが牽引していくとされているものの、日本におけるフィンテック市場は今後更なる拡大が予想され、引き続き多くの事業者の参入が予想されるでしょう。
なお、金融市場におけるフィンテック市場が占める割合も、2030年までには約7%を占めるようになると言われています。
中でも銀行向け関連のフィンテックの企業価値は特に大きな割合となる、全世界の銀行の企業価値の約25%を占めるとされており、銀行向けのフィンテック事業に参入する事業者はさらに増えるでしょう。
成長性
決済分野を中心に成長を続けてきたフィンテック事業ですが、今後はB2bと呼ばれる中小企業向けの領域や、企業が他企業にサービスを提供するB2B2Xと呼ばれる領域を中心に、成長していくことが予想されています。
中でもB2B2Xは、2030年までに年平均成長率25%で拡大すると予測されていることから、非常に高い成長率で成長していくことが分かります。
現在フィンテック市場が拡大しているのは、アメリカや中国など、比較的キャッシュレスが進んでいる先進国ばかりです。今後は、新興国にもフィンテックビジネスが拡大していくと予想されており、未開拓の領域が大きいという点が、フィンテック業界が高い成長性を秘めている理由とも言えます。
フィンテック業界の志望動機
フィンテック業界の志望動機は、下記のような内容がよく見かけられます。
- 現在急速に広がっている、キャッシュレス決済は今後さらに市場が拡大することが予想されるほか、日本発のキャッシュレス決済が世界に広がっていく可能性も秘めていることから、今、この段階でキャッシュレス決済サービスに関わりたいと思い、フィンテック業界を志望しています。
- 現在、貯蓄ではなく資産運用に興味・関心を持つ人が増える中、今後ますます資産運用に関連したサービスは生活の中で身近なものになると予想しています。その中で、暗号資産のようにこれまでとは異なる資産形成のサービスを展開している企業は、今後ますます需要が拡大していくと考え、フィンテック業界を志望しています。
- フィンテック業界では今後、引き続き新たなサービスが登場することが予想されます。市場として進化をし続けているからこそ、まだまだ新たなビジネスの芽が眠っていると考えています。若いうちに、様々なフィンテック関連サービスに触れることで、フィンテック業界の知見を得ることはもちろん、新規事業をつくるスキルも積極的に学んでいきたいと考えています。
フィンテック業界のホットニュース
資産系サービスがトレンドに
これまで日本では、資産を管理すると言えば貯蓄一択でした。
しかし、昨今の景気状況や老後の金銭的な不安などを受け、貯蓄ではなく資産運用を開始する人が増えています。
しかしこれまで、投資について本格的に学んできた日本人は決して多くありません。
したがってまずは、投資にまつわるフィンテック業界のサービスの中でも、一定の知識を獲得できるものや、教育系のコンテンツを含むサービス需要が高まることが予想されています。
すでに投資系のシミュレーションをできるサービスをはじめ、分散型投資を可能にして投資へのリスクを軽減するためのサービスなどが多数登場しており、今後加速的に普及していくことが予想されるでしょう。
既存金融機関との連携強化
日本は、世界的に見るとフィンテック後進国です。
アメリカや中国、韓国などはすでに決済の大多数がキャッシュレスになっているのに対し、日本国内のキャッシュレス率は50%を下回っています。
たくさんのフィンテック企業が登場しているにも関わらず、フィンテック関連サービスが加速的に普及しない理由のひとつに、既存金融機関との連携などにあたり、日本独自の組織構造や法律などの壁が存在することが分かっています。
現在、日本のフィンテックスタートアップのエコシステムを改善するべく、多くの有識者はもちろん、企業が動きを進めており、フィンテック業界への参入障壁を下げることはもちろん、適切なリスクヘッジを行いながらビジネスを展開できるような準備を進めています。
生成AIとの連携がカギ
フィンテック業界の拡大のカギとして噂されているのが、最近注目度が高い生成AIです。
生成AIのような最新テクノロジーと、お堅い印象がある金融機関、また一定のリスクヘッジが必要なフィンテック業界の関連性が薄いように感じるかもしれませんが、実はそんなことはありません。
近年進化が著しいAI技術は、金融関連企業、ひいてはフィンテック関連企業にとっても注目の的なのです。
ただし、様々な情報を扱う必要があるフィンテック関連サービスにおいては、リスク管理は必須です。
フィンテック業界としては、従来のリスク管理方法に固執せず、技術に見合った最適な方法を模索することで、新たな技術の積極的な利用に取り組んでいるのです。
具体的には、生成AIを活用することで一般ユーザー向けのサービスのカスタマーサポートの簡略化などが期待されており、今後ますます技術が進化していく領域だと言えるでしょう。
おわりに
ここまで、フィンテック業界についてご紹介してきました。
業界としては非常に新しい業界である一方で、非常に多くの企業が参入し、今後ますます成長性が高い業界だと言えます。
一方で、この成長機会を逃すことがないよう、即戦力となる中途採用を強化している企業が多いのも事実です。
もちろん新卒で入社し、フィンテック業界で根を張りながら成長を目指すという方法はありますが、一度金融大手へ就職し、広く金融知識を獲得した上で転職するという方法もあるでしょう。
どのような選択が正しいのかは、どのような規模の企業を志望するのか、またどのような職種を目指すのかにもよって変わってくるでしょう。
フィンテック業界へ就職する際は、ぜひ自分のキャリアビジョンと照らし合わせた選択を心がけてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。