【業界研究】精密機器業界とは?志望動機・ビジネスモデル・職種を徹底解説
2023年7月28日更新
はじめに
就活を進める際、どの業界の企業を受けていくのかを決定するために業界研究をしなければなりません。
とくに、その業界にある職種や求められるスキルは将来活躍ができるのかが予想できる大切な事項です。
ここでは精密機器業界の概要から職種、動向など業界に関する事項を徹底解説します。
精密機器業界が気になっている方、まだ業界が明確に定まっていない方は、ぜひご確認ください。
精密機器業界とは?
精密機器業界とはソフトウェアや電子制御にとって精密な精度で動作する機器の開発/販売をおこなっている業界です。
精密機器業界で開発/販売されるものはデジタルカメラや時計など身近なものから産業用の計測機器など分野が幅広いです。
精密機器で開発/販売されている商品は大きく分けると医療機器、時計、計測機器の3つに分類されます。
「精密」といった言葉に明確な定義はありませんが、これらの製品を販売していると精密機器業界に分類される可能性があることを認識しておきましょう。
精密機器業界のビジネスモデル
業界のビジネスモデルを知ることで働き方や、今後の業界動向を知ることが可能です。
では、精密機器業界はどのようなビジネスモデルとなっているのか確認していきましょう。
BtoC
BtoCは「Bussines to Custmer」の略称であり、メーカーから一般消費者への販売するビジネスモデルとなっています。
BtoCは私たちの日常生活においても利用される商品があることから、名前を聞いたことがある企業も多いでしょう。
具体的なメーカーとしてはデジタルカメラで有名なニコンや時計で有名なシチズンなどがあります。
BtoCは多くの方に購入してもらうことが重要であるため、マーケティングなど広告部分にも着目することが多いです。
BtoB
BtoBは「Bussines to Bussines」の略称であり、メーカーからメーカー、もしくはメーカーから研究機関への販売をしていくビジネスモデルです。
具体的な商品としては医療機器、計測機器、検査機器などがあります。
実際の会社としてはデンソーやキーエンスなどです。
しかし、BtoBは一般的には関わることがないため、企業名を知らないことも難しくありません。
ただし、優良企業であるのに就活生から知名度が低いことから入社しやすい企業が多く、就活生にとっては大きなメリットです。
精密機器業界の職種
精密機器業界にはどのような職種があるのでしょうか。
自分が将来的にやりたいことや向いている業務を考え、それぞれの職種がマッチしているのかを確認していきましょう。
研究・技術開発
開発テーマを設定し、それを実現するために実験と解析、分析を繰り返していく職種です。
研究・技術開発は基礎研究、応用研究、製品化研究と分けられていることが多くなっています。
研究・技術開発で活躍するためには分析力などの論理的思考力と結果が得られるまで諦めない気持ちが必要です。
開発・設計
開発・設計は商品を実際に実現化するための図面や構造を考えていく職種です。
主に機械・電子機器設計、制御設計、ソフト設計の3つに分けられます。
まず、機械・電子機器設計は機械や電子機器の開発をおこなう段階で図面ソフトであるCADや解析ツールを使用して安全であるのか、実現可能なのかをシミュレーションしていきます。
制御設計では電気回路など電気の通りを設計し、商品の開発をおこなっていきます。
ソフト設計では商品のなかでもソフトウェアに関わる部分を設計していく分野です。
このようにそれぞれおこなっていることは異なりますが、最終的には1つの商品につながります。
そのため、開発・設計は技術力だけでなくコミュニケーション能力も必要です。
商品企画・商品開発
商品企画・商品開発はユーザーからの意見により、既存商品をどう改善すればより良い商品になるのかを考えていく職種です。
また、既存商品だけでなく新たな商品についても企画を立てていきます。
商品企画・商品開発ではユーザーが求めていることの調査力が必要です。
生産技術・生産設計
生産技術・生産設計は効率的・経済的な生産方法を決定して生産ラインを作り上げていく職種です。
製品が世に出されるまでの一連の流れを見て改善していくため、さまざまな職種に対する理解と大局的な観点が求められます。
生産管理
生産管理では予定の生産数を生産するための管理をおこなう職種です。
また、ただ単に管理をおこなうだけでなく予定の生産数を立てるのも生産管理がおこなうことがあります。
生産管理は生産に関わるすべての職種について管理していくため、管理能力が必要です。
生産・製造・組立
生産・製造・組立は実際に手を動かして製造していく職種です。
生産・製造・組立は実際の商品を作る部分を担っているため、非常に重要な役割を担っています。
生産・製造・組立には技術力が必要です。
品質管理
品質管理は製造した商品に問題がないかをチェックする職種です。
仕様、数量、サイズ、重量などさまざまな項目にて製品の品質をチェックします。
品質管理にはさまざまな方法があるため、品質管理で活躍するためにはそれらについての知識や、正確さが求められる業務が好きなことなどが必要です。
購買
購買は商品の製造に必要な素材や部材を調達する職種です。
生産部門と協議しながら数量や仕入れ先、納期を決定していきます。
会社によりますが、購買は海外の会社と関わることもあります。
購買は他社と深く関わり合うため、コミュニケーション能力が必要です。
セールスエンジニア
セールスエンジニアは営業と同行して商品の説明をおこなう職種です。
技術面からの説明が可能であるため、クライアントにより納得して購入してもらうことができます。
また、購入時だけでなく購入後のアフターサポートをおこなうことも多いです。
セールスエンジニアは技術と営業のどちらもおこなっていくため、技術力と営業力が必要です。
営業
営業は商品の良さなどを伝えて購入を促す職種です。
BtoCでは家電量販店や卸売企業、BtoB企業では直接的にセールスする場合と商社にセールスする場合があります。
営業は商品に対しての理解度と営業先のニーズを把握する能力が必要です。
マーケティング
マーケティングは商品を広めるための広告活動や市場調査、市場予測などをおこなっていく職種です。
また、市場調査や市場予測から販売計画を立案することもあります。
マーケティングは商品の魅力を伝える能力や販売計画を製造部門とすり合わせる調整能力などが必要です。
その他
すべての業界に共通する職種には以下のようなものがあります。
- 経営企画:経営戦略、経営企画の作成や資金管理
- 人事:採用計画、人材育成
- 総務:法務、管理業務
- 経理・財務:資金調達、融資、管理業務
大手企業紹介
精密機器業界の大手企業には以下のような企業があります。
会社名 | 売上高 (百万円) | 平均年収 (万円) | 就職偏差値 ・難易度 | 社風 |
オリンパス | 881,923 | 922 | 60 | 創造性と革新を重視する企業であり、従業員に対しても自己表現やアイデアの実現を奨励する社風 |
テルモ | 820,209 | 736 | 55 | 緻密な仕事と責任感を持ち、人々の健康と医療の向上に貢献することに誇りを持っている |
HOYA | 723,582 | 798 | 58 | クリエイティブで革新的な考え方を奨励され、柔軟性と自己成長を重要視 |
ニコン | 628,105 | 811 | 58 | 品質に対する厳格な取り組みと創造性を持ち、カメラや光学機器に対する情熱とプロフェッショナリズムを持って取り組む |
ニプロ | 545,199 | 658 | 60 | 協力と責任感を持ち、患者さんや医療従事者に最適な製品やサービスを提供することに情熱を注いでいる |
なお、他の会社や他業界の就職偏差値については、下記の記事で紹介していますので、ぜひご確認ください。
精密機器業界の動向
ように非常に多くの種類の機器があります。
- 半導体
- 半導体製造装置
- 電子機器
- 電気機器
- 工学機器
- 大型工作機械
- レーザー加工機
- 医療用機械・機器
- 分析機器
- 精密測定機器
- 精密光学機器業界の動向を確認することで、入社後はどのような働き方になるのか、どの企業へ入社すれば良いのか、を知ることが可能です。では、精密機器業界ではどのような動向になっているのかを確認していきましょう。
医療機器・時計・計測機器における業界規模
精密機器業界は大きく分別すると医療機器、時計、計測機器の3つに分類されます。そして、それぞれの業界規模は以下のようになっており、同じ精密機器業界でも違いが見られます。
- 医療機器:2010年から堅調に増加
- 時計:2020年(コロナウイルス)に大幅に減少したが、現在はやや回復傾向
- 計測機器:安定
伸びている事業に携わりたいのであれば医療機器、回復している事業に携わりたいのであれば時計、安定した事業に携わりたいのであれば計測機器を見ていくことをおすすめいたします。
医療機器に注目が集まっている
精密機器業界のなかでも医療機器は新興国への輸出に注目が集まっています。とくに、日本は診療機器に強いと言われており、新興国への輸出が多くなることが予想されます。さらに、手術支援など今まで無かった技術についても注目が集まってきているため、医療機器はとくに伸びていく可能性が高いです。
志望動機
業界それぞれによく聞かれる質問や、意識すべきことがあります。精密機器業界では下記のようなものが重要視されることが多いです。
「3つのなぜ」を考える
精密機器業界のなかでもBtoBのビジネスモデルである企業はユーザーと直接的に関わらないため、下記の三点が良く聞かれます。
- なぜその業界
- なぜその企業
- 何故向いているのか
これらは他業界でも聞かれる可能性が高いですが、どこで知り、なぜ興味を持つようになったのかなどストーリーを伝えられるようにしておくことが重要です。
機器の種類を把握する
- 精密機器業界には下記の (カメラ・プロジェクター等)
- オフィス機器(プリンター・コピー機械等)
- ロボット・産業用ロボット
- サーバー/IT機器
- 理化学機器
- 印刷機器
- 福祉機器
- 精密部品
そのため、選考に進む企業がどの機器を開発しているのかを確認し、精密機器業界のなかでもなぜその機器であるのかを説明できるようにしておかなければなりません。
精密機器業界における志望動機の例文
前述した精密機器業界における大手企業の志望動機の例文をご紹介します。これらは書類選考を通過した方の志望動機であるため、ぜひご参考ください。
オリンパス
貴社において人々の健康を支えることで「誰もが自分らしく活躍できる社会」を実現したいからだ。私は予備校アルバイトで、生徒が病気で受験を諦めたことに悔しさを覚えた。また◯◯の方へのボランティアを通し、健康上の理由で働くことのできない人の存在にショックを受けた。この経験から、健康を支えることで人々の自己実現を支えたいと考え、医療業界に興味を持った。中でも貴社を志望する理由は2つある。1つはエンドブレインシリーズなどを開発し、内視鏡事業で最先端を走る貴社において、早期診断を推進できるからだ。早期診断で救える命を増やすと共に、健康寿命を延ばすことで高齢でも自己実現が叶う社会にしたい。2つ目に、新興国の医療発展に貢献している点だ。ただ技術を提供するだけではなく、医師育成⽀援を通して医療水準の向上に取り組んでいる点に魅力を感じた。このように魅力を感じている貴社において自身の想いを実現させたい。
–ONE CAREER 24年卒 事務系 本選考 エントリーシート(ES)詳細
テルモ
志望した理由が2点ある。(1)人々の健康のためだけではなく医療現場の課題解決に貢献するといった医療従事者の方々に寄り添った提案を目指していること。私は病院実習を通して、大人数の患者さんひとりひとりに合った医療の価値を提供する大変さを身にしみて感じた。デバイスの新たな価値を創出するだけでなく、課題解決を通じて医療のシステム体制を根幹から支えることを目指している点に魅力を感じた。(2)キャリアプランの幅の広さ。私は色んなことにチャレンジし刺激を受け自分自身が成長できる環境であるかを就職活動の軸としてとても大切にしている。MR職だけでなく海外マーケティングや商品企画への配属・異動の機会があることから営業経験を積みながら自分のしたいこと、貢献したいことに積極的にチャレンジできる環境が魅力に感じた。以上の点から貴社を志望する。
–ONE CAREER 24年卒 企画営業職 本選考 エントリーシート(ES)詳細
HOYA
私はこれまでに培ってきた有機化学の知識・技術を活かして光学技術に強みを持つ 貴社で高機能性レンズを初めとして、私たちの身の回りにある専門性の高いもの作り を志望致しました。特に、研究開発に注力し強みである事業を軸に様々な事業を展開 している貴社で、困難なことに挑戦し、世界を牽引する技術者として常に高みを 目指して研究に取り組んでいきたいと考え、貴社での技術開発職を志望致しました。
ニコン
私自身の強みである行動力を活かし、多くの人の笑顔を支える製品の提供に挑戦したい。高校時代に海外での語学研修に参加した際に、お土産として持参した日本製品を渡した相手の笑顔が深く印象に残っており、ものづくりを通して人々を笑顔にできる仕事に惹かれた。貴社では高い技術力を背景に様々な事業領域を展開し、多様な対象への価値提供を実現している。また、貴社は国内外に幅広く製品を提供しているため、国境を問わずに人々の笑顔を支えることのできるフィールドの大きさに魅力を感じている。私は所属する学生新聞サークルの活動の中で、担当チームのメンバーが積極的に活動に参加できる取材環境の整備に尽力してきた。この経験によって培われた課題を解決するための行動力によって、刻々と変化や多様化の進む社会や人々のニーズを的確に見極めて真に求められている価値を提供することで、人々の笑顔を支える貴社の事業展開に貢献したい。
–ONE CAREER 24年卒 企画営業職 本選考 エントリーシート(ES)詳細
ニプロ
世界中の人々の健康に貢献したいという思いがあるため、貴社を志望します。私は◯歳の時◯◯にかかり一時危ない状態でしたが、偶然合う薬が見つかり命が助かりました。この経験から、今度は自分自身が命を支える側になりたいと考えています。貴社では多様な面から人々の健康を支えられることに魅力を感じています。貴社に入社後は強みである「主体性」や「粘り強さ」を活かし、総務や購買などの事務面から貴社に貢献します。
ホットニュース
ホットニュースは今後の業界がどのように推移していくのか、入射直後にどのような変化が起こりそうなのかを知ることができます。
ここで精密機器業界におけるホットニュースについて確認しておきましょう。
精密機器業界の平均年収ランキングTOP10が発表!
株式会社QuickWorkの調査によって精密機器業界における平均年収ランキングトップ10が発表されました。具体的な会社は下記のとおりです。
- オリンパス
- スリー・ディー・マトリックス
- 平山ホールディングス
- 島津製作所
- ノーリツ鋼機
- ニコン
- ブイ・テクノロジー
- トプコン
- 東京精密
- セイコーグループ
就活の軸が平均年収であり、精密機器業界に興味があるのであればこれら企業の選考へ進んでみましょう。
まとめ
今回は精密機器業界について解説しました。
精密機器業界は細かな動作をする機器を開発・販売しています。
精密機器業界にはさまざまな職種があるため、自分のスキルややりたいこととマッチしている職種へ応募していきましょう。