【企業研究】ニッスイ(旧日本水産)の就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説
2023年6月30日更新
はじめに
ニッスイは日本の水産業界における最大手企業の1つです。2022年12月に商号変更を行い、日本水産株式会社から株式会社ニッスイへリニューアルがなされました。水産業の振興を担い、そして私たちの食卓においしいを届ける、とても身近な企業であるニッスイを、就職先として意識している人も多いでしょう。
本記事では、ニッスイの企業研究をテーマに会社の基本データ・事業内容・社風や、新卒の募集職種、選考フロー、就職難易度、採用大学など、応募や選考に関わる内容などを詳しく解説します。
水産業界
水産業界は、水産物の漁獲・養殖・加工など水産業を営む企業で形成される業界です。水産技術の普及や水産業に関する研究など、水産振興にも力を入れている企業が多く見られます。日本の一次産業の一端を担う、重要な業界と言えるでしょう。
水産業界以外の業界については、以下の記事で概観しているので、ぜひ読んでください!
ニッスイの基本データ
会社名 | 株式会社ニッスイ |
設立年 | 昭和18年(1943年) |
従業員数 | 1,485名(個別) 9,515名(連結) |
売上 | 7,681億円(2023年3月期末) |
福利厚生 | ●住宅補助(居住地域および同居親族の有無により支給) ●交通費全額支給 ●育児・介護支援(産前産後休業、育児休職、介護休職、短時間勤務制度 など) ●財形(住宅財形貯蓄、財形年金貯蓄、積立預金、確定拠出年金(DC)、持株会) ●単身赴任支援(単身赴任手当、帰宅旅費) ●慶弔給付 ●カフェテリアプラン など |
企業理念 | 〇ニッスイの5つの遺伝子 ・使命感 地球や海の資源を持続的に有効活用し、環境を大切にする。 ・イノベーション 起業家の志を持って、様々なイノベーションに取り組む。 ・現場主義 研究開発とマーケティングを重視し、生活者視点に立った価値と機能の創造を目指す。 ・グローバル 水産物をはじめとした資源からグローバルバリューネットワークを構築する。 ・お客様を大切にする 企業として社会的責任を果たし、ブランド価値を向上します。 引用元:株式会社ニッスイ 創業の理念から一部抜粋 |
参考:ニッスイ公式サイト
事業内容
ニッスイで行っているのは主に次の事業です。水産業をベースに、食品製造や研究、物流などさまざまなフィールドに進出しています。
水産事業
漁業・養殖・加工・販売など、水産物及び水産加工品が消費者の手元に届くまでを全て担い、グローバルに供給しています。国内外に拠点をおきながら、水産資源へのグローバルなアクセスを展開しています。また、おいしさにこだわった高次的な養殖事業なども行っています。
食品事業
社会者消費者のライフスタイルの変化にマッチした、簡単でおいしい加工食品を製造・販売しています。市場としては、国内の家庭用・業務用冷凍食品・缶詰・練り製品などの他、海外の食品メーカーをグループに持ち、北米やヨーロッパなどでも事業を展開しています。
ファインケミカル事業
1980年に千葉大学医学部の協力とともに始まった、EPA(エイコサペンタエン酸。イワシなどの青魚に豊富に含まれるオメガ3系の必須脂肪酸)の疫学研究を現在も継続しています。また、研究の成果を生産・商品化などに活かしています。
物流事業
長年業界を物流の面からも支えてきた実績と経験を活用し、独自の「低温一環物流サービス」を構築、提供しています。-50℃の超低温・冷凍・冷蔵・常温など、幅広い温度帯を駆使しながら輸送を行える高度な物流サービスです。
海洋関連・エンジニアリング事業
海洋関連事業では、長年培った海洋関連技術や人財をもとに、船舶の建造や海底・深海調査船の運行管理業務などを展開しています。エンジニアリング事業においては、食品加工関連分野・水産加工工場・物流倉庫等の企画・設計・施工などを行っています。
参考:ニッスイグループの事業
募集職種(新卒年収)
ニッスイで募集している職種は総合職(事務・技術系どちらも)です。募集や選考は総合職の枠組のみで進みますが、入社後は、マーティング&ロジスティクス(営業、調達、マーケティング、物流など)・リサーチ&ディベロップメント(研究、商品開発、食品分析など)・プロダクト&エンジニアリング(生産管理、品質管理、エンジニア、水産技術職など)・コーポレートスタッフ(経理、情報システム、人事、総務、法務など)、この4職掌のいずれかに配属されます(職種別の選考は行っていません)。
なお、コースによっては理系が主に採用される場合もありますが、基本的には全ての職掌で理系・文系どちらの配属も可能です。月給は大卒が225,000円、大学院卒が235,000円、専門卒が199,000円と規定されています。
参考:ニッスイ募集要項
新卒選考フロー
それでは、ニッスイの基本的な新卒選考フローを見ていきましょう。
1.エントリーシートの提出
WEBテストは人によって受験の要不要が異なるようです。WEBテストはSPIで言語・非言語・性格検査が行われます。
2.面接の実施
面接は1~3次と最終面接の最大4回程度で、人によって2回で終了など回数は異なるようです。
インターン
株式会社ニッスイでは、例年インターンシップを開催しています。開催時期は夏~秋にかけて、オンラインまたは指定会場で実施されます(部門によって開催時期はまちまちです)。内容は、部門ごとに1日職場体験を行い、現場で働く社員からより詳しい業務内容や仕事に対するリアルな感想などを学ぶものになっています。
参加したい場合、各就活情報サイトなどからプレエントリーを行った後、ニッスイの公式サイトでマイページ登録をします。もし応募が定員を上回ったとき、エントリーシートや適性検査、録画審査などで参加者の選考が行われます。表立ってインターンシップ参加者への優遇があるとは示されていませんが、インターンシップで優秀だった学生は、リクルーター面接への招待や早期選考など、優遇対象になる可能性もあるようです。
社風
昔ながらの日系企業の特徴の1つである保守的な雰囲気が残る環境のようです。真面目で堅実なカラーが濃く、縦割り的な部分があります。ただし、近年は職場環境の見直しが行われており、少しずつ風通しが良くなってきているとの声も見られます。また、水産業に熱意やこだわりのある社員が多く、穏やかでありながら意見が活発にかわされる場面もある模様です。
なお、休暇制度や福利厚生などはしっかり体制が整っており、ワークライフバランスを意識した働き方がしやすい環境になっているようです。仕事と家庭を両立しながら働きたい人などに適した職場と言えるでしょう。
求める人材
ニッスイは5つの要素を重視しています。
挑戦心
自らの先端分野に挑戦し、仕事を改革し続けられる人
専門性
自己研鑽に励み、専門分野の腕を磨き続けられる人
協働性
協働による高い成果を志向し、チームとしての成果を出すことに情熱を傾け続けられる人
責任感
何事にも誠実真摯に取り組み、責任感を持ってやり遂げられる人
倫理観
倫理観を持ち、多様性を尊重し、海と自然への感謝を忘れない人
引用元:株式会社ニッスイ 採用情報 求める人財像/採用メッセージ
ニッスイにおいては、変革の多い現代社会でその変革を乗り越えること、自立すること、キャリアを描くこと、これらを全て自ら強い意思でもって行い、諦めず努力していける人財が望まれているようです。また、ニッスイの目指す未来を共に見て、共に創り上げていくことができるような人財も求められています。
就職偏差値・難易度および業界での立ち位置
会社名 | 売上高 | 平均年収 | 就職偏差値・難易度 | 社風 |
ニッスイ | 7,681億円 | 600~800万円 | 61 | 保守的ながら新しい空気感も |
東洋水産 | 4,358億円 | 600万円 | 58 | 保守的でWLBを意識しやすい |
マルハニチロ | 1兆205億円 | 700万円 | 57~58 | 挑戦できる機会が多い |
財務情報の比較(売上)
売上としては、マルハニチロが業界トップに君臨しています。次いでニッスイ、東洋水産と続く形です。マルハニチロは2023年3月期末の売上高で、初の1兆円超えを記録しました。また、ニッスイも2023年3月期末が過去最高の売上高となっています。社会的な物価高の影響もあると考えられますが、海外市場の著しい伸びなどが追い風となっている側面もあるようです。
社風の比較
昔ながらの保守的な企業が多い一方で、時代に合わせて新しい空気を取り入れようとする動きも見られます。挑戦を尊重してもらえる職場を選びたいなら、ニッスイやマルハニチロなどがマッチしやすいでしょう。また、東洋水産は残業が少ない傾向にあり、定時で帰宅できる日も多いため、ワークライフバランスを意識した働き方がしたい人に適した職場と言えます。業界全体では穏やかな社風がよく見られますが、各企業によってはっきりカラーが分かれている部分もあるため、十分な分析が必要です。
就職偏差値
就職偏差値はいずれの企業も高めではあるものの、特別に難易度が高いというわけではありません。ここに挙げた企業はいずれも業界の大手であり、全国的な知名度も高いトップ企業ですが、このような条件の割には採用を実現させやすいと言えそうです。
なお、採用大学の実績を見る限りでは学歴フィルターがなく、全国各地から採用者が出ているため、地方大学出身者にも十分チャンスがあります。
採用大学
株式会社ニッスイの採用実績がある大学の例は次の通りです。
東京大学、一橋大学、筑波大学、北海道大学、山形大学、東北大学、京都大学、大阪大学、
九州大学、東京海洋大学、東京農業大学、中央大学、日本大学、法政大学、明治大学、
慶應義塾大学、小樽商科大学、北里大学 など
旧帝大や国内有数の難関大学もラインナップしているものの、偏差値としてはそれほど難関レベルではない大学からも多く採用者が出ています。また、採用大学の地域も、関東や東名阪の主要な都市圏だけでなく、地方からも多数の採用者が出ているようです。これらの状況から、ニッスイには学歴フィルターは存在しないと考えられます。
参考:リクナビ
ホットニュース
日本水産は、2022年12月に社名変更をしたばかりです。食の可能性をより追及していくという目的から、水産業を大きく連想させる旧社名から、同社の食品ブランドとしてなじみの深いニッスイの名前を新社名に冠しました。商品の原料の新たな養殖事業のスタートや、国内大手金融機関との業務提携など、精力的にさまざまな事業活動を行っています。
参考:ニッスイニュースリリース
まとめ
日本の水産業や食をさまざまな側面から支え続けるニッスイは、事業内容が豊かであり、就職できればさまざまな分野の業務に携わることもできるでしょう。国内において重要な産業の一端を担う使命感とともに、新しいことにも積極的にチャレンジする精神を育てる素地が整った環境です。ぜひ今回紹介した内容を参考にしながら、より深くニッスイについて研究し、就職先の候補として具体的に検討を進めてみてください。