ベンチャー企業の年収は低いの?ベンチャー企業を目指すメリットとは?
2023年5月17日更新
はじめに
「ベンチャー企業は、どんな企業なの?」
「給料が安いって本当?」
こんな声を聴くことがあります。
今回は、多くの学生から質問を頂く「ベンチャー企業」にフォーカスして、ベンチャー企業の特徴や年収について、解説していきます。
これから企業選びを開始する方、既にベンチャー企業への就職を決めている方も、参考にして頂き、自分らしく働ける企業を見極めていきましょう。
ベンチャー企業とは
ベンチャー企業とは、どのような会社を指すのでしょうか。
類似している用語との比較を行いながら、ベンチャー企業の特徴を理解していきましょう。
ベンチャー企業とは
ベンチャー企業とは、
・既存のビジネスの枠に拘らず、新しいサービスや商品を提供する比較的年数が新しい企業
と、表現することができます。
ただし、明確な定義付けがある訳はありません。
今までにはないサービスや商品展開にチャレンジしている企業は、少なくありませんが、ベンチャー企業は、常にチャレンジし続ける特徴があります。
スタートアップ企業との違い
ベンチャー企業と、よく比較されるのがスタートアップ企業です。
この2つですが、明確な違いはありません。
実際には、日本ではベンチャー企業、欧米ではスタートアップ企業と呼ばれる、呼び方の違いだと思ってください。
ただし、この2つを明確に分けるのではあれば、
・ベンチャー企業
⇒既存のビジネスの枠に拘らず、新しいサービスや商品を提供する比較的年数が新しい企業
・スタートアップ企業
⇒全く新しいビジネスの枠組みや概念で、サービスや商品を創り出す企業
と分類することができます。
メガベンチャー企業との違い
次に比較したいのは、メガベンチャー企業の定義です。
メガベンチャー企業とは、
- ベンチャー企業としてスタートし、急成長の後に大企業になった企業
- 社員数が1,000名以上
- 上場企業
と説明することができます。
大企業の定義と比較されることが多く、その違いは、スピード感、従業員の年齢層の違いと言われています。
有名なメガベンチャーとしては、リクルートホールディングス、楽天、メルカリなどが挙げられます。
中小企業との違い
もう一つ、比較しておきたいのが、ベンチャー企業と中小企業の違いです。
ベンチャー企業とは異なり、中小企業については、中小企業庁による明確な定義があります。
【中小企業定義】
業種分類 | 中小企業基本法の定義(略) |
サービス業 | 資本金または出資総額5千万円以下 従業員の数が100人以下 |
卸売業 | 資本金または出資総額1億円以下 従業員の数が100人以下 |
小売業 | 資本金または出資総額5千万円以下 従業員の数が50人以下の会社 |
製造業 | 資本金または出資総額5千万円以下 |
その他 | 従業員の数が100人以下 |
参考:中小企業庁:「中小企業・小規模企業者の定義」 (meti.go.jp)
中小企業は、国内で99%を超える圧倒的な割合で存在しています。
ベンチャー企業の数は、中小企業に分類される企業を含めても、国内の企業の中で10%程度になります。
ベンチャー企業の年収は低いの?
ベンチャー企業を希望する人にとって気になるのが、「年収」です。
タイトルにも記載していますが、ベンチャー企業の年収は低いのでしょうか。
ベンチャー企業の年収が、本当に低いのかについて、解説していきましょう。
企業規模別の年齢別平均年収
大手企業の年齢別平均年収を見ていきましょう。
【大手企業:年齢別平均年収】
大手企業の年収の特徴は、50代で平均年収のピークを迎える所です。
長く務めることで、年収が高くなる傾向があります。
年齢 | 平均年収 |
20~24 | 267万円 |
25~29 | 315万円 |
30~34 | 360万円 |
35~39 | 406万円 |
40~44 | 434万円 |
45~49 | 460万円 |
50~54 | 506万円 |
55~59 | 500万円 |
60~64 | 373万円 |
65~70 | 332万円 |
引用:厚生労働省の『令和3年賃金構造基本統計調査』
【中小企業 年齢別年収平均】
次に、中小企業における年齢別平均年収です。
年代 | 平均年収 |
〜19歳 | 245万円 |
20〜24歳 | 285万円 |
25〜29歳 | 323万円 |
30〜34歳 | 353万円 |
35〜39歳 | 381万円 |
40〜44歳 | 408万円 |
45〜49歳 | 426万円 |
50〜54歳 | 440万円 |
55〜59歳 | 438万円 |
60〜64歳 | 366万円 |
65〜69歳 | 324万円 |
70歳〜 | 315万円 |
出展元:令和元年賃金構造基本統計調査
この2つを比較すると、大手企業の方は平均年収が高くなっていることが分かります。
年収のピークとなる50代では、50万程の開きとなり大きな差があることを理解できます。
ベンチャー企業の年収は本当に低いのか?
ベンチャー企業の年収は、他と比較して低いのでしょうか。
答えは、「NO」です。
確かに、年収にはバラツキがあります。
しかし、単純に年収が低いとは言い切れません。
では、年収が高い企業の特徴をご紹介していきましょう。
【年収が高いベンチャー企業の特徴】
ベンチャー企業の中でも、年収が高い企業には特徴があります。
ここでは、その特徴を3つご紹介していきます。
①成長産業で事業展開している
事業の成長率が高いかどうかは、事業の主軸が成長産業であるかにかかっています。
新サービスや商品を、成長産業に展開し注目が集まれば、大きな成長に繋がります。
企業が成長することは、収益が大きく伸びる結果を生み、従業員への還元も可能になります。
②資金調達額が高い
①に不随して、注目を浴びていること、支援されるということは、資金調達にも有効です。
資金調達額が高くなれば、新しいサービスや商品開発にも、より一層注力できます。
その結果、より成長できるサイクルが構築できます。
③チャレンジ精神が強い
ベンチャー企業の特徴は、新しいサービスや商品を開発し展開することです。
その中でも、チャレンジ精神が強い企業は、社内における社員と切磋琢磨し新サービスの提案を促進しています。
社内におけるチャレンジ精神が多い社員が居れば、企業は、より一層新サービスや商品の開発を、促進します。
こうした企業は、実力主義が多く自分の実力が正当に評価されることが励みになる人にとっては、やりがいに繋がっていきます。
【年収が低いベンチャー企業の特徴】
次に、年収が低いベンチャー企業の特徴についてもご紹介していきます。
①スタートしたばかりの企業
創業から間がない企業は、制度なども整備されておらず、給与面での期待が持てない可能性があります。
また、商品化したサービスでの収益も不安定となっている可能性もあります。
②資金調達額が低い
①に不随して、知名度も低いため、資金調達額が低い可能性があります。
資金調達額が低ければ、投資に回せる資金が不足してしまいます。
こうなると、人財に投資できる額にも制限が出てくる可能性があります。
ベンチャー企業の年収を高く設定する理由
次に、ベンチャー企業が年収を高く設定する理由についても、ご紹介していきましょう。
①優秀な人財確保のため
競争力、スピード感を高めるために、優秀な人材確保を積極的に行っています。
そのため、報酬を高く設定し、より人材確保を有効に進める施策を取っています。
②社内で昇進しやすい
チャレンジできる環境があり、社内でも評価に応じて昇進できる可能性が高いのもベンチャー企業の特徴です。
昇進すれば、昇給にも期待できます。
実力主義で厳しい側面もありますが、積極的にチャレンジすることで、より年収をアップできる環境があります。
③市場価値が高いサービスを提供している
新サービスや商品を、新しく市場に展開するのがベンチャー企業です。
市場価値が高いサービスを提供できれば、収益があがる可能性が高まります。
その分、従業員へ還元できる環境の構築に繋げることもできます。
高収入が期待できるベンチャー企業ランキング
ベンチャー企業の中でも、高収入が期待できる企業をご紹介していきます。
【大手企業 平均年収ランキング】
就活生に人気にある企業別の平均年収をランキング形式で、ご紹介いたします。
企業 | 平均年収 |
リクルート | 9,976,816 円 |
メルカリ | 9,683,000 円 |
エムスリー | 9,017,000 円 |
DeNA | 8,501,000 円 |
グリー | 8,196,000 円 |
サイバーエージェント | 8,170,000 円 |
楽天 | 7,970,761 円 |
アカツキ | 7,772,000 円 |
ヤフー | 7,650,000 円 |
LINE | 7,600,000 円 |
ミクシィ | 7,110,000 円 |
GMOインターネット | 6,601,000 円 |
ラクスル | 6,310,506 円 |
DMM.com | 5,030,000 円 |
次に、各企業の特徴などを5社ご紹介していきましょう。
ベンチャー企業①|メルカリ
【企業概要】
設立 | 2013年2月1日 |
売上高 | 44,628 百万円[2022年6月末時点] |
本社 | 〒106-6118 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー |
社員数 | 1,232 人 [2022年9月時点] |
年収(平均) | 968万 |
平均勤続年数 | 2.9年 |
有給消化率 | 81.1% |
平均残業時間(月) | 23.7時間 |
主要サービス | ・フリマアプリ「メルカリ」の運用 |
【特徴】
フリマアプリとして、圧倒的な知名度と人気があるのがメルカリです。
運用のプラットフォームを用意することで、多くの方が自発的に利用できる仕組みを構築しています。
利用者は年々増加しており、メルカリを通してやり取りされる金額も、大幅に増えており、これからも注目されていく企業です。
ベンチャー企業②|エムスリー
【企業概要】
設立 | 2000年9月29日 |
売上高 | 29,192(百万円) (2023.03現在) |
本社 | 〒107-0052 東京都港区赤坂1丁目11番44号 赤坂インターシティ10階 |
社員数 | 574 人 |
年収(平均) | 901万 |
平均勤続年数 | 3.7年 |
有給消化率 | 61.2% |
平均残業時間(月) | 43.0時間 |
主要サービス | ・医療プラットフォーム「m3.com」 ・薬剤プロモーション・マーケティング支援「MR君」 ・転職サイト「m3.com CAREER」 |
【特徴】
医療従事者向けのポータルサイト「m3.com」を運営する企業です。
医療関係のニュースや論文や意見交換などを積極的に行える環境を構築し、医療技術の発展に貢献している企業として、根強い人気があります。
また、現在では、一般向けの「LINEヘルスケア」を展開し、医療情報を広く展開できる仕組みを構築しています。
ベンチャー企業③|DeNA
【企業概要】
設立 | 1999年8月1日 |
売上高 | 10,397(百万円) (2022/3現在) |
本社 | 〒150-6140 東京都渋谷区渋谷2-24-12 渋谷スクランブルスクエア |
社員数 | 1,264 人 |
年収(平均) | 850万 |
平均勤続年数 | 6.3年 |
有給消化率 | 68.7% |
平均残業時間(月) | 32.8時間 |
主要サービス | ・ゲーム「DeNA GAMES」「Mobage」 ・ライブストリーミング「Pococha」 ・スポーツ「横浜DeNAベイスターズ」 |
【特徴】
ゲーム事業を基盤としている有名企業です。
現在では、ゲーム事業だけではなくライブストリーミング事業やヘルスケア事業など、広い事業展開を行っています。
ベンチャー企業④|株式会社アカツキ
【企業概要】
設立 | 2010年6月14日 |
売上高 | 2,773(百万円) (2022/3現在) |
本社 | 〒141-0021 東京都品川区上大崎2-13-30 |
社員数 | 313 人 |
年収(平均) | 777万 |
平均勤続年数 | 3.5年 |
有給消化率 | 72.9% |
平均残業時間(月) | 35.7時間 |
主要サービス | ・ゲーム「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」 |
【特徴】
モバイルゲームを中心に事業展開していることで有名な企業です。
「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」「八月のシンデレラナイン」などの有名なタイトルを複数運営しており、安定した収益を上げている企業でもあります。
日本のゲームは、技術的な面でも世界から高い評価を得ています。
そうした追い風もあり、年々、規模が大きくなる成長企業の1つとして紹介されることも少なくありません。
ベンチャー企業⑤|楽天グループ
【企業概要】
設立 | 1997年2月7日 |
売上高 | 294,061(百万円) (2022/12現在) |
本社 | 〒158-0094 東京都世田谷区玉川1-14-1 |
社員数 | 8,409 人 |
年収(平均) | 797万 |
平均勤続年数 | 4.7年 |
有給消化率 | 61.8% |
平均残業時間(月) | 31.2時間 |
主要サービス | ・ECサイト「楽天市場」 ・金融「楽天証券」 ・通信「楽天モバイル」 |
【特徴】
多くの方が利用される「楽天」を運営しています。
現在では、ネットショッピングだけではなく、保険などを始めとする多くのサービスを展開しています。
社内の公用語を英語と定めており、世界規模での採用活動を展開している点も特徴の1つです。
ベンチャー企業に向いている人の4つの特徴
ベンチャー企業に向いている、活躍を期待できる人の特徴をご紹介していきます。
また、ベンチャー企業で働くメリットなどは、「ベンチャー企業就職のメリットとは?向いている人は?」にもご紹介しています。
こちらも、参考にしてください。
好奇心旺盛な人
ベンチャー企業で働く人には、「好奇心」が必要です。
新しいサービスや商品を開発するには、物事に対しての好奇心を基に、より良くするにはどうしたらいいのかを考える必要があります。
さまざまな事柄にアンテナを立て、新しいサービスとしてどう展開しているかを見極めていきます。
こうした活動を継続的に行うためには、持ち前の好奇心を発揮することが有効です。
失敗を怖れない人
新しいサービスや商品を市場に展開するには、いろいろな障害を越える必要があります。
また、1つのサービスや商品を作り上げるには、何度も失敗することが想定されます。
こうした失敗を怖れず、繰り返し、繰り返しチャレンジできる精神力を持っている人は、ベンチャー企業に向いている人です。
企業全体が、様々なチャレンジを繰り返し行う中、自ら率先してチャレンジをしていく人は、いずれ企業を引率する人材にもなる可能性が生まれてきます。
経営に近い視点で学習できる
ベンチャー企業においては、様々なポジションで業務を行うことができます。
その中でも、経営者と一緒に、いくつもの業務を遂行することができる点もベンチャー企業の魅力の1つです。
経営に近い視点で学べることは、その先の社会人人生においても、良い経験となり、財産にもなります。
こうした学びの環境があることも、ベンチャー企業を希望する就活生に選ばれる理由です。
将来起業したい人
将来、自分の企業を持ちたい人、企業を興したい人もベンチャー企業に向いています。
上述でご紹介していますが、経営に近い視点で業務を遂行していれば、将来の起業にも活かせる要素を培うことができます。
また、さまざまな制度についても、新しい取り組みを実施しているベンチャー企業に在籍することで、より広い視点で社内の整備を促進する素養も培うことが可能になります。
まとめ
今回は、ベンチャー企業の年収について、解説しています。
「自分の能力を試したい」「将来、起業したい」と思う人にとって、ベンチャー企業への就活は魅力ある職場です。
しかし、年収の面で不安に思う人も少なくありません。
今回ご紹介している通り、ベンチャー企業だから年収が低いということはありません。
自分がチャレンジしたい業種や企業規模を見極め、将来の目標に有益な企業選別を行っていきましょう。